水彩画をスキャンする方法は?スマホでやるメリットから業者への依頼まで解説! | 法人実績5,000社超のスキャン代行|そのままスキャン https://sei-syou.com Wed, 13 Dec 2023 02:19:37 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.3 https://sei-syou.com/wp-content/uploads/2022/10/cropped-b7030aef762a4d853565a46e74bf4616-32x32.png 水彩画をスキャンする方法は?スマホでやるメリットから業者への依頼まで解説! | 法人実績5,000社超のスキャン代行|そのままスキャン https://sei-syou.com 32 32 水彩画をスキャンする方法は?スマホでやるメリットから業者への依頼まで解説! https://sei-syou.com/library/how-to-scan-watercolor https://sei-syou.com/library/how-to-scan-watercolor#respond Wed, 13 Dec 2023 02:19:37 +0000 https://sei-syou.com/?p=12646 水彩画で絵を描かれる方は、作品をデータ化(スキャン)する時どうしていますか?

多くの場合スマートフォンでや一眼レフでの撮影で済ます方が多いと思いますが、絵画作品にはスキャニングという手段もあります。ただそのスキャニングにしてもやり方やメリット・デメリットは様々です。

アートスキャニングサービスを展開する「そのままスキャン」が、水彩画をスキャンする方法についてそれぞれ解説しましょう

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水彩画をスキャンする方法

「スキャン」と「撮影」はほぼ同じ意味になるため、ここでは「スキャナー」以外の機材を使った方法(一般的には「撮影」と呼ばれるもの)も合わせて紹介していきます。

フラットベッド型スキャナーを使う

ブックエッジスキャナーFB6280E

フラットベッド型スキャナー」とは、上写真のようにガラス面の下にスキャナーの読み取り部分が設置されており、そこから光を出して対象物をデータ化するタイプのスキャナーです。後述のコンビニに設置されたプリンターも、広義ではこちらのフラットベッドスキャナーに該当します。

フラッドベッド型の良いところは、作品に接触してスキャンすることが出来るため他タイプのスキャナーやカメラと違ってスキャンデータの“ズレ”が起きにくいことにあります。大抵の機種でもガラス面の周辺部分に目盛りが付記されおり、初心者でも比較的正確なデータを作成することが可能となっています。インターネットで水彩画スキャンの方法として紹介されているスキャナーの多くは比較的高価なCCDスキャナーで、クオリティに関してもある程度高い水準を発揮することが出来るでしょう。

デメリット、と言うよりフラットベッド型の特徴になりますが、接触タイプ故に「作品を傷つけてしまう恐れがある」ことが注意点です。

ブックエッジスキャナーFB6280Eでスキャンしている画像

例えば上写真は弊社のフラットベッド型で書籍をスキャンした時のものですが、フラッドベッド型の場合はこのように対象物をガラス面に当てて置く必要があります。スキャン時間はものの数秒ですが、水彩画のようにデリケートな支持体では表面が傷つく可能性は十分考えられます

後述する絵画専用スキャナーと違って操作が容易であり、弊社でも作品によってはフラットベッド型でスキャンさせていただくことがございます。ただし「作品にガラス面を当てる」という工程から、あまり絵画スキャンの方法としては採用していません(スケッチブックや通常の紙に描かれたイラストで一部、使われることがあります)。

インターネットで絵画のスキャン方法を探すと、このフラッドベッド型(の、CCDスキャナー)を使ったスキャニングが一番表示されると思います。もちろん市販のフラットベッド型でも十分なクオリティのデータを出せるのは間違い無いのですが、その工程で発生する懸念点も把握されるておくことをオススメします。

絵画専用スキャナーを使う(業者に外注する)

本稿で紹介する方法の中では最も一般的では無いかも知れませんが、弊社のように絵画専用のスキャナーを持っている業者へ依頼する方法もあります。その場合はスキャナーのタイプに応じて2種類に分けることが出来ます。

接触型スキャナーを使う場合

絵画専用スキャナーでは大きく「接触型」と「非接触型」に分けることができます。「接触型」は先ほどの「フラットベッド型」とほぼ同じ意味だと思っていただければOKです。ガラス面を作品表面に当て、スキャンするタイプの機材になります。

絵画専用スキャナーを所有し、水彩画のような絵画作品のデータ化を担う業者は沢山存在しますが、実は多くがこの接触型スキャナー。『原画を傷つけない』と言ってもガラス面に当てる以上、表現に何らかの影響が出る可能性があります

非接触型スキャナー

アートスキャナーwidetek23 art

非接触スキャナーは文字通り“作品に触れない”ことが特徴のスキャナーで、弊社で使用している絵画専用スキャナーもこのタイプです。

具体的なスキャン方法は、病院等で使われるCTスキャナーをイメージいただくと近いかも知れません。原稿台に作品を上向けで設置し、読み取り部分まで自動でスライドさせて作品のスキャニングを行うという方法です。

widetek23 artのスキャニング拡大写真

非接触スキャナーは読み取り部分を拡大するとこのようになっており、機材本体が作品に触れる必要がありません。『それだと作品が安定しなかったり、綺麗なデータにならないのでは?』と思われるかも知れませんが、触れないと言っても照射口から作品までは10〜20cm程度。クオリティを保てるギリギリの距離で撮影することが出来ます。

また単に触れないだけではありません。「そのままスキャン」で使用しているドイツ製の絵画専用スキャナー「WideTek 36 art」は機能の一つに3D配光というものがあります。これは作品正面だけでなくあらゆる角度からスキャンの光を照射するというもので、原画の持つ「筆致」「油の“盛り”」「作品の凹凸やディテール」まで忠実にデータ化することが出来るというもの。カメラ撮影が抱えていた“フラッシュの光で色合いが潰れてしまう”という課題を解消した、まさに美術品のために設計された最新鋭のスキャナーです。

「そのままスキャン」ではこの絵画専用スキャナーを使ったアートスキャンサービスを提供しております。スキャンは作品1枚からOK(※最低発注料金がございます)、美大生の方からデザイン事務所やプロのイラストレーター様まで広くご利用いただいているサービスです。

詳しくはサービスページをご覧ください!

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スマートフォンでスキャン

スマートフォンで水彩画を撮影する画像

本稿で紹介する方法の中では最も安価かつ簡単に出来るのが、お手持ちのスマートフォンで撮影してデータ化する方法です。

2010年代後半から世界中でInstagramが大流行しており、写真や動画を撮ってインターネット上に投稿するニーズが高い状況が続いています。それに伴い、かつては高価な専用ソフトを使わなければ出来なかった画像加工や修正が容易かつ無料になっており、スマートフォンの撮影でも非常にクオリティの高い作品画像を作成することが可能となってます。スマートフォンのカメラも機種によっては4Kに達しているなど、デバイスのスペック自体が飛躍的に向上していることも後押ししています。

わざわざ複雑な設定や操作をする必要ない、その場ですぐ出来るというメリットから、水彩画をはじめ絵画作品をデータ化する上では最も普及している方法です。弊社ではアートスキャニングサービスを提供していますが、たとえばSNSへアップする程度であればスマートフォンの撮影でも十分、対応出来るかと思います

一方デメリットとしては、先ほどのスタジオ撮影や絵画専用のスキャナーでの撮影に比べると「筆致」「作品のディテール」といった原画の“生々しさ”までは捉えきれないところにあります。当然ですがスマートフォンのカメラは絵画の撮影を目的に設計された訳ではないので、この点は留意する必要があります。特に水彩画には繊細な色使いや筆致があるため、そこまでデータに残しておきたい方には悩ましいポイントかも知れませんね。

またスマートフォンはどこへでも持ち運びが出来ますが、作品はそうではないケースが殆どです。そのため、たとえアプリを使ったとしても撮影場所の環境(光、角度など)次第で撮影データに差が出てしまいます。また撮影場所のスペースによっては、大きな作品が対象の場合画面に入りきらないことも考えられます。

そのため、スマートフォンでの撮影はSNS用などの“普段使い”に留めるのが良いでしょう。

一眼レフで撮影

スマートフォンで水彩画を撮影する画像

スマートフォン(携帯電話)のカメラが普及する前に一般的だったのが一眼レフ等のカメラによる撮影です。前述のスキャナーと違って理論上対応サイズに制限が無い一方、専用のスタジオで機材を組んで撮影すればデジタルアーカイブに使えるほどの極めて高いクオリティでデータ化することが出来ます。現在でもプロの美術品保存の現場で使われる方法です。

デメリットとしては、スマートフォンと違ってカメラの取り扱いにある程度の知識が求められること、カメラ自体を購入する場合は費用もかかってしまうことが挙げられます。先述の専用の撮影スタジオではプロによる設備・撮影が期待出来ますが、やはり費用がネックになってしまうでしょう。

また自分で撮る/スタジオで撮影する場合どちらも言えることですが、カメラでフラッシュを焚くと金銀などの絵の具部分が潰れてしまい、色独特の「輝き」が消えてしまう傾向があります。これは作品の正面から光を当てるという仕組み上、仕方の無いことではあります。

費用やハードルは高いものの、クオリティを追求するならカメラでの撮影は引き続き十分検討に値すると言えるでしょう。

コンビニのプリンターを使う

スマートフォンで水彩画を撮影する画像

実は、コンビニに設置されている複合機で作品をスキャンする方法もあります。コンビニでスキャン、と聞くと書類がイメージされやすいですが、先述のカメラでの撮影と違って撮影環境に左右されずクオリティをキープ出来ること、自宅に家庭用スキャナーがない方にとっては最も身近で安価に「(撮影ではなく)スキャン」が出来るので、絵画やイラストのスキャニングにも使われることが多いのです。

気をつけなければならないこととしては、一般的にコンビニのスキャナーは最高解像度が400dpi程度であり、絵を印刷するクオリティとしては若干不足していることが挙げられます。またコンビニのスキャナーはいわゆる「フラットベッド型」なので、先ほど書いたように原画自体への影響が懸念されます。

スマホから専用スキャナーまで色々な方法がある

以上、水彩画をはじめ絵画作品のスキャン(撮影)方法について解説しました。

「カメラだから、コンビニだから良い(悪い)」ということはなく、どの方法にも一長一短があります。実際弊社でも絵画スキャンのお問合せをいただいた際『それだったらカメラの方が良いかもしれません』と提案させていただくこともあり、どの作品スキャンのケースにも必ず当てはまる最適な方法というものはありません。

ご予算や納期によっても選択肢は限られることでしょう。『一体この場合はどうすればいいのか?』と悩まれた方は、弊社までお気軽にご相談ください。

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水彩画のスキャン よくある質問

Q.水彩画のスキャン方法は?

A.水彩画などの絵画作品をスキャンするには、「絵画専用スキャナーを使う」「フラットベッド型スキャナーを使う」「コンビニの複合機でスキャンする」「一眼レフなどのカメラで撮影する」「スマートフォンのカメラで撮影する」などの方法があります。「絵画専用スキャナー」は機材の種類に応じて「接触型」と「非接触型」に大別されます。

Q.水彩画のスキャンでの注意点は?

A.水彩画のような繊細な色遣いや筆致が特徴の支持体は、スキャナーやカメラの性能、撮影した環境によって生成されるデータに違いが出ます。データの色味が原画と違った場合は、Photoshopなど画像修正ソフト等での修正が必要です。

Q.水彩画のスキャンの費用は?

A.手持ちのスマートフォンを使う場合やコンビニのスキャナーを使用する場合は0円〜100円/枚程度で可能です。業者へ依頼する場合は6,000円程度、フラットベッド型スキャナーを自身で購入するなら30,000~円程度それぞれ発生します。

Q.水彩画をSNSやWebサイトで公開したい時は?

A.作品データをSNS等のプラットフォームで公開する場合は、基本的にはスマートフォンの撮影で十分でしょう。スキャナーや一眼レフなどで超高画質に撮影したとしても、アップロードした段階で画質がダウンコンバートされるため、元データのクオリティをキープすることは一般的に難しいとされています。

Q.水彩画を複製、印刷したい場合は?

A.逆にスキャンデータを複製や印刷出力に使いたい時は、絵画専用スキャナーやスタジオでのカメラ撮影がおすすめ。スマートフォンに比べ費用はかかりますが、印刷しても退職や原画との差異が出にくいデータを生成することが出来ます。

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資料の目録って何?どんな種類あるの? https://sei-syou.com/library/what-is-inventory https://sei-syou.com/library/what-is-inventory#respond Tue, 26 Sep 2023 08:01:28 +0000 https://sei-syou.com/?p=12541 デジタルアーカイブの構築において欠かせないのが資料目録の作成です。デジタルアーカイブ=システム開発が中心と捉えられがちですが、そのシステムに入れるための資料データに欠かせない情報が目録。

それほど重要なものでありながら、目録をどう作れば良いのか、そもそも目録って何?と思われる方も少なくないのではないかと思います。本稿では、デジタルアーカイブ構築や資料整理に欠かせない目録について簡単に解説したいと思います。

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目録とは?

デジタルアーカイブにおける目録とは、簡単に言えばその資料を説明する補足情報や背景となるデータを指します。具体的には後述しますが、資料の作成者、分類、保管場所、作成年代などあらゆる情報が対象です。

『日本目録規則 2018 年版』では、目録について次のように定義されています。

目録は、利用者が図書館で利用可能な資料を発見・識別・選択・入手できるよう、資料に対する書誌データ、所在データおよび各種の典拠データを作成し、適切な検索手段を備えて、データベース等として編成するものである。

図書館で蔵書をPCを使って検索する際、タイトルだけではなく出版年やカテゴリ、著者名など様々な分類で調べられるようになっていませんか?これは本の一冊一冊に目録として様々な情報がデータとして付与されており、色々なキーワード種別で蔵書検索を検索することを想定している為です。

目録の目的は様々ですが、上記引用にあるように第一には検索性の為と考えられるでしょう。

どうして目録が必要なの?

目録が必要な理由の第一は先述したように検索性ですが、デジタルアーカイブという視点で考えると他にも理由があります。

資料整理・管理

図書館のOPAC用PC

大量に資料がある、にも関わらず目録が存在しないというケースの場合、目録の作成は即ち「大量にある資料をどのように分け、管理するか?」という目的に直結します。資料が適切に整理されていなければデジタル化の必要性を判断出来ませんし、追々原本管理をする上でも大変な労力を要します(そもそもデジタルアーカイブ構築のきっかけが「資料整理」になることも少なくありません)。

資料に目録、および管理番号を付与すれば、デジタルアーカイブ完成後も資料原本へのアクセスが容易になるのです

アクセス制限

アクセス制限

デジタルアーカイブシステムの代表的な機能の一つに、ユーザーに応じたアクセス制限機能があります。オフィスの文書管理において社外秘や部外秘といった、特定の人物以外の閲覧が禁止された資料の枠組みが存在するように、アーカイブ上でも会員のランクやユーザーの区分けによって閲覧制限をかけることがあります

いずれの資料に閲覧制限を設けるのかを考える際、各資料の種別や所属などの情報が不可欠です。つまり目録があればその整理が出来るという訳ですね。

検索性の確保

PCでの検索

しかし一番の目的はやはり資料の検索性の確保です。系統的に資料を整理出来れば、数万点以上あるアーカイブシステム内の資料を一瞬で、かつ様々なアプローチで見つけ出すことが出来るのは、まさにアーカイブがデジタル化したことによる最大の恩恵と言って良いでしょう。

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目録の例

それでは次に、具体的な目録の項目を紹介したいと思います。もちろんこれはアーカイブプロジェクトや資料の種類によって変わりますが、ここでは企業など民間団体のアーカイブで使われる目録を挙げていきたいと思います。

カテゴリ 目録の例
史料情報
  • 管理番号(史料ID)
  • 副題
  • 数量
  • 作成年代
  • 史料タイトル
  • 史料種別
  • ページ数
  • 作成部門
  • 劣化状態
  • 受取者
  • 分類
詳細情報
  • 目次
  • 史料概要(関係者などの情報)
管理項目
  • 保管場所(箱番号)
  • アクセス範囲
  • 利用可能範囲
  • 公開ステータス

目録作成で気をつけたいこと

考え込む女性

以上が民間団体でデジタルアーカイブを作成する際に用意される目録の例になります。実は民間企業や法人で目録を作成する場合、一つ注意しなければならないことがあります。

目録は本来、図書館や博物館などの施設での運用を想定しているものです。そのためある程度の基準があるのですが、この基準を民間団体、特に企業の目録にそのまま当てはめてしまうことはあまり推奨されません。

というのも、目的がシンプルかつ統一されている図書館のアーカイブと異なり、民間団体はアーカイブ制作の目的がそもそもバラバラな為です。自社のキャラクターコンテンツを全世界誰でもアクセス出来るようにしたい場合もあれば、ごく限られた会員向けに特定の資料を公開したい、はたまた研究データを専門家同士で共有し合える機関リポジトリを作りたいというケースもあります。

この場合、既存の目録の枠組みに囚われずプロジェクトに応じたユニークな目録を設定することが求められます。

例えば以前「そのままスキャン」で支援させていただいたある企業様は、過去に社内外で作成されたあらゆる販促資料をアーカイブ化したいというご要望をお持ちでした。一つ問題となったのが、過去に放映していたテレビCMの資料にどのような目録を付与するか。企業様と相談させていただいた結果、「(CMの)出演者」というかなりユニークな目録を付与することになりました。これによりアーカイブ内にて『女優の●●さんが出ていた広告を見つけたい』といった時、スムーズに検索することが可能となりました。

ただ、このように柔軟な目録の設計に対応するデジタルアーカイブ業者は多くありません。デジタルアーカイブの相談をする際は出来るだけこちらの要望や完成イメージといった「やりたいこと」を伝え、業者が柔軟に対応してくれるのかをしっかり確認しましょう

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デジタルアーカイブで目録は最重要!

デジタルアーカイブにおける目録について簡単に解説しました。図書館での蔵書検索で何となくイメージがついている方も多いと思いますが、いざ自分の組織で作るとなるとまた違った見え方になってきます。

目録の付け方一つでデジタルアーカイブの操作性が大きく変わり、ひいてはアーカイブを閲覧する無数のユーザーにも大きく影響することとなります。必ずアーカイブの企画時に詳しい業者や専門家へ相談することをお勧めします

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貴重資料のデジタル化ってどうやるの?資料別に方法を解説! https://sei-syou.com/library/valuable-material-digitize https://sei-syou.com/library/valuable-material-digitize#respond Fri, 01 Sep 2023 06:00:38 +0000 https://sei-syou.com/?p=12514 デジタルアーカイブを構築する上で、資料のデジタル化は避けて通れません。しかし一口に資料と言っても様々な種類があり、とりわけデジタルアーカイブのようにイレギュラーな資料がたくさん対象となる場合は、単なる書類のスキャニングや自炊代行とは全く異なる対応が必要です。

では、そうした貴重資料をデジタル化するにはどのような方法があるのでしょうか?5,000社以上の法人様のデジタルアーカイブ構築を支援し、10種類以上の特殊な業務用スキャナーを所有する「そのままスキャン」が開設させていただきます

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貴重資料のデジタル化、それぞれの方法とは?

結論から言えば、貴重資料のデジタル化が難しい理由は「特殊な機材を使わなければならないから」です。しかしハードがあれば良いかというとそうでもありません。

各貴重資料別に、それぞれの事情を解説していきましょう。

古書・貴重書

古書・貴重書の非破壊スキャン

博物館や資料館などで収蔵されていることの多い古書・貴重書は、多くが経年劣化により原本に痛みが見られます。具体的には

  • ページや文字の掠れ
  • ページの抜け落ち
  • 黄ばみ
  • 湿気によるカビの発生

などがダメージとして起こっており、一般的な複合機やオフィス向けのスキャナーでは対応出来ません。

こうした古書・貴重書のデジタル化にはいくつかの手段が存在しますが、最もスタンダードなのはオーバーヘッド型スキャナーというタイプの機材を活用することです。オーバーヘッド型スキャナーは文字通り資料の頭上にカメラが設置されているスキャナーで、資料に触れることなく見開きの状態で書籍をスキャンすることが出来ます

非破壊スキャナーを使った貴重書籍のデジタル化

「オーバーヘッド型」と呼ばれるスキャナー自体は自炊用のものも販売されていますが、個人用ならともかく貴重資料のアーカイブ化が目的であればクオリティ面での不足は否めません。「そのままスキャン」では実際に世界中の博物館や図書館で導入されているオーバーヘッド型スキャナーを使用し、古書・貴重書のデジタル化を行なっています。

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分厚い書籍

分厚い書籍

いわゆる貴重資料とは異なりますが、図書館や資料館には「専門書」「学術書」と呼ばれる類の本があります。非売品や絶版の書籍が多く、数百ページは当たり前にあるほど分厚いのが特徴です。

こういった書籍は分厚いだけでなく、ページもあまり開くことが出来ません。するとオフィスの複合機のように「スキャナーの読み取り面に押し付けて」デジタル化することは難しく、出来てもページの中央部分に影が出来てしまいます。

ブックエッジスキャナーで書籍をデジタル化

分厚い書籍に有効なのはフラットベッド型スキャナーです。フラッドベッド型は読み取り面のエッジ部分に書籍ののど奥を当ててスキャンするタイプのスキャナーで、ページの中央部分でも影を出すことなくページのデジタル化をすることが出来ます。ただしこのスキャナーはページ面を押し当てる手法のため、先述した古書・貴重書にはあまり向いておらず、私たちの現場でも専ら「それほど劣化していない書籍」で使われています。逆に言えば、それだけ汎用性は高いスキャナーです。

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美術品・絵画

油絵

恐らく美術品や絵画作品のデジタル化で最もポピュラーな方法は、専用スタジオに作品を持ち込み(もしくは施設内にスタジオを再現し)一眼レフで撮影する方法になります。これはアーカイブの現場に限らず、美術大学やアマチュアアーティストの間でも広く浸透しているやり方ですね。

油絵や水彩画などの絵画作品、刺繍等の平面に近い美術品は専用のアートスキャナーが使われます。こうした資料はその貴重性もさることながら「どれだけ精緻なデータを撮れるか」が他の資料以上に重要となるため、書籍以上に使える機材が限られてきます。

絵画作品は書類のように自動で大量の作品をスキャン、という訳には行かず、基本的には1作品ずつ手作業でセッティング・スキャンすることになりますが、アートスキャナー自体は「接触型」と「非接触型」に大別されます。

接触型は、作品の表面に透明で軽量なアクリル板を載せるタイプのスキャナーで、先述のオーバーヘッド型に近い仕様となっています。非接触型よりもポピュラーな機材ですが、作品の表面にアクリル板を当てることになるため、非常にデリケートな作品や触れること自体が気になる方にはあまり向いていません

非接触のアートスキャナー

一方の非接触型は、スキャナーの光を上から照射するという方法のため作品に触れる心配がありません。「そのままスキャン」で採用しているアートスキャナーもこの非接触型を採用した機材となっており、『とてもデリケートな作品だから表面に触れずにスキャンして欲しい』『絵の具が盛られた作品だからアクリルは乗せられない』という方から重用いただくことの多いスキャナーです

接触型、非接触型いずれも注意しなければならないのは、カメラ同様「光」を照射するデジタル化のため、支持体や表現によっては色合いが潰れてしまうという点。またスキャナーに流すという方法上、撮影できる作品サイズに上限があるという点です。

一眼カメラ、スキャナーそれぞれにメリットとデメリットがあります。それぞれの作品のタイプや予算を吟味した上で適切な方法を選ぶのが良いでしょう。

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立像、彫刻など立体物

仏像

立体物に関しては、近年博物館等での3Dスキャナーの導入が進められています。3Dスキャンとは、対象に測定用の光を照射することで3次元座標を取得し3Dデータとして生成することです。生成した3Dデータで複製品を作ることも可能で、資料や美術品といった平面の対象物で出来たことがそのまま立体物でも可能になっていると考えて差し支えありません。

3Dスキャナー

3Dスキャナー自体は上写真のようにハンディな機材ですが、中には測量機のような大きめの機材も存在し、なんと建物や街の一区画を丸ごと3Dデータ化してしまうことも可能です。いずれもメリットは「対象物を触らずにデータを生成出来ること」。近年はデジタルアーカイブをVRとして公開する事例も出ており、ますます3Dデータの活用は進んでいくことでしょう。

巻物

巻物

日本では古来より記録物として一般的だった巻物は、厳密に言えば専用のスキャナーがある訳ではありません。縦に短く、横に長大なケースが多いため、そうしたタイプの資料に対応しているアートスキャナーでデジタル化されるのが最適。「そのままスキャン」でも巻物類はアートスキャナーを使用することになっています。

製本図面(A2サイズ以上)

建築やデザイン業界ではない方にはイメージが難しいかも知れませんが、デジタルアーカイブ業界では製本された図面のデジタル化も大きな需要があります。

ネックとなるのは製本形式とサイズ。一口に「製本」と言っても

  • ビス留め
  • 固定
  • 観音

などいくつかの種類に分けられ、また先述の書籍とは異なり、A2サイズ、A1サイズという大型の製本が出てくることも決して珍しくありません。それぞれ最適なスキャナーが異なるためデジタル化の際には注意が必要です。

書籍や絵画作品同様、製本図面にも専用スキャナーがあります。古書・貴重書の項でご紹介したオーバーヘッド型スキャナーがこれに該当しますが、対応サイズがA2やA1の見開きに対応しているというかなり大型のスキャナーです。

製本図面のスキャニング

「分厚い書籍」で説明したように、資料に厚さがあるとページを大きく見開くことが出来ません。特に製本図面はこの点が顕著で、例えばビス留め製本の図面は一度解体して後述のシートフィード型スキャナーで1枚ずつスキャン、というパターンもあります。

しかし一部の製本図面専用スキャナーには「V字クレイドル」と呼ばれる機能が実装されており、図面を設置している原稿台が資料の形に合わせてV字に変形、負荷を掛けずにページの中央部分までスキャン出来るようになっています。この場合は解体せずに製本図面のデジタル化が可能です。

では、製本されていない図面はどのようにデジタル化するのでしょうか?

1枚ものの大判資料

大判サイズの古地図

製本図面専用スキャナーでのスキャニングも難しい図面や、戦前の大判地図をはじめとした貴重な大判資料は「シートフィード型」と呼ばれるスキャナーを使ってデジタル化します

シートフィード型スキャナーによるスキャニング

遠目に見るとキーボードのようなシートフィード型スキャナーですが、ちょうど平になっている部分が資料の“流し込み口”および“読み取り面”になっており、ここに大判資料を流すとスキャニング出来るようになっています(そのため製本図面は一度「解体」し、1ページずつバラした状態でデジタル化することになります)。

ところで『貴重資料なのに、流し込むようなタイプのスキャナーを使って破損しないのか?』という疑問を持った方もおられるかも知れません。この点はしっかり配慮されており、例えば「そのままスキャン」で使用しているドイツ製のシートフィード型スキャナーは資料を挟める透明なフィルターが付属しています。このフィルターで包んだ状態でスキャニングすれば、劣化した貴重な地図でも傷つく心配はありません

が、やはり資料に大きく触れることは間違いないため、サイズが許されるなら先述のアートスキャナーでのデジタル化が最もダメージのリスクを抑えることが出来るでしょう。

⇨「そのままスキャン」の製本・大判図面スキャンサービスはこちら

マイクロフィルム

3Dスキャナー

マイクロフィルムとは、専用のカメラを使って資料を“縮小撮影”したフィルムのこと。耐久性が高く、100年以上の長期保存にも耐えられるとされているため、デジタル保存が登場する以前の戦後日本で広く普及していたフィルム資料です。

2023年現在、わざわざマイクロフィルムで資料を記録しようとする向きは極めて少なく、むしろ保存媒体として作成されたマイクロフィルムを更にデジタル化しようとする動きが出ています。保存に適しているフィルムではありますが、経年劣化は避けられず、マイクロフィルム特有のビネガー・シンドロームと呼ばれる変色が発生することもあります。

⇨【参考記事】マイクロフィルムってなに?劣化したらどうすればいいの?

マイクロフィルムスキャナー

マイクロフィルムにも専用スキャナーが存在し、PDFデータや画像にデジタル化することが出来ます。マイクロフィルムにも「アパチュアカード」「ロールフィルム」等の種類に分けられますが、スキャナーもそれぞれ専用の機材が製造・活用されています。ただしマイクロフィルムの場合はデジタル化出来る業者がかなり限られるため、注意が必要です。

⇨「そのままスキャン」のマイクロフィルム電子化サービスはこちら

ガラス乾板

ガラス乾板(写真乾板)とは、無色透明の平らなガラス板に、写真感光材を塗布したものです。構造自体は写真フィルムとあまり変わらないのですが、その名の通りガラス板で出来ているため、フィルムよりも温度や湿度、経年劣化に強いというメリットがあり、行政や大学等では貴重資料をガラス乾板で保存してきた経緯があるため、知名度に比して数量の多い資料です。よって、デジタルアーカイブでもデジタル化のニーズが存在します。

ガラス乾板のデジタル化でも、専用のスキャナーが使われます。ただし注意しなければならないのが運搬時のリスクガラスのため、業者への依頼時や返却時の運搬中に破損する恐れが非常に高く、通常の資料よりも(デジタル化の費用というより運搬費用により)、高額になる可能性があります。しかしデジタル化出来れば中身の貴重な情報をデータとして活用出来ますので、ガラス乾板をお持ちの方は是非検討してみると良いでしょう。

貴重資料のデジタル化は機材が重要!

「そのままスキャン」で所有する業務用スキャナー

以上、デジタルアーカイブで発生する貴重資料のデジタル化について、それぞれの資料の注意点や事情と合わせて紹介しました。

「貴重資料」の定義は企業や団体によってまちまちであり、一般的には何の変哲もない機関紙のバックナンバーでも当団体にとっては大切な最重要記録だったりします。つまるところ重要なのは「いかに傷つけずデジタル化出来るかどうか」。そのためにどのような機材をどう使うのかがポイントになります。

そして貴重資料をデジタル化出来るのは博物館や美術館だけとは限りません。自社のデジタルアーカイブを作りたいと思っている企業・団体の方もぜひ、過去の貴重な発刊物やフィルム類のデジタル化に取り組んでみてください!

⇨【デジタル化サービス】古書からポジフィルムまで、あらゆる資料をデジタルアーカイブ化するサービスはこちら!

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パーパス経営とは?意味、メリット、注目される理由を解説! https://sei-syou.com/library/what-is-purpose-based-management https://sei-syou.com/library/what-is-purpose-based-management#respond Wed, 23 Aug 2023 02:58:33 +0000 https://sei-syou.com/?p=12500 近年聞かれるようになったパーパス経営というビジネス用語。SDGsやESG投資など、企業の社会的な使命に関係したワードの一つですが、前者2つと違って社内的にも大きな意味のある概念です。

今回は、パーパス経営の意味、メリットや注意点、事例について解説していきます

⇨【パーパス経営のベースに!】企業向けデジタルアーカイブをワンストップで構築できるサービスはこちら!

パーパス経営とは?

「パーパス経営」とは、企業の存在意義社会的意義とも言い換えられるもので、企業や組織が単に利益追求だけでなく、より大きな社会的な目的や価値を追求する経営のアプローチを指す用語です。

単なる収益最大化だけではなく、社会や環境に対する責任や影響を考慮しつつ、企業がどのように活動し社会に貢献していくのかを基軸にした経営を指します。

ビジョン、ミッションとの違いは?

ミッション

似たような概念に「ビジョン(Vision)」「ミッション(Mission)」があり、こちらの方が馴染みがあるかも知れません。しかしパーパス経営はビジョン・ミッションとは少し異なります。

ビジョン

ビジョンとは、企業が社会や環境に対してどのような影響を持ちたいか、将来の目指す状態や目標を示すものです。つまり『(この会社は)何を達成したいのか』『どんな存在でありたいのか』という、比較的長期的な展望を表しています

ミッション

ビジョンが長期的な展望ならば、ミッションはより具体的な企業活動や行動、戦略に焦点を当てたものです。

まとめると、ビジョン・ミッションはどちらかといえば「どんな企業でありたいか」を表しているものである一方、パーパス経営はより社会への貢献、社会的な価値を目指す考え方と言えます。「パーパス経営を実現するためにはビジョン・ミッションが一つの基盤になる」と言い換えることが出来るかも知れません

パーパス経営の意味について理解したところで、何故この概念が現在注目されているのかを説明します。

パーパス経営が注目されている背景

近年パーパス経営が注目されている理由は、大きく4つに分けることが出来ます。

社会的関心が高まっている

SDGsのイメージ

2015年に国連サミットにて採択されて以来SDGsが話題となっているように、環境問題などの社会問題ががますます重要視され、企業にもその責任が求められています。人々は企業に対して、利益追求だけでなく社会的な影響や貢献を考えるよう求める傾向があります

パーパス経営は、企業がこうした社会的な使命を果たす一環としてこれらの課題へアプローチする方法として注目されているのです。

消費者の選択と影響

消費者が、自身の購入する商品やその企業を選ぶ上で社会的課題の解決を考慮することを「エシカル消費」と呼びます。エシカル消費への意識は年々高まり続けており、SNSの普及で情報が簡単に手に入るようになった今、消費者は企業の倫理的な振る舞いにますます注視するようになりました。

このように消費者の意識が高まり、製品やサービスの選択において社会的な影響が重要な要素となっています。企業がパーパス経営を採用すれば、消費者はより良い社会への貢献を支援する手段として、パーパス経営を基軸としている企業を選ぶ可能性が高まるでしょう

従業員の関与とモチベーション向上のため

やる気の高いビジネスマン

従業員が仕事を選ぶ基準は単なる給与や職務だけではありません。企業の目的や価値に共感し、社会的に意義のある仕事に携わりたいと望む傾向もあります。パーパス経営を採用することで、従業員の関与やモチベーションが向上し、企業内の協力や自発性・創造性が促進されエンゲージメントも高まることになるでしょう

投資家の関心

顧客・従業員と来れば当然投資家もパーパス経営の影響を受けます。

環境・社会・ガバナンスを重要視した投資である「ESG投資」が浸透しているように、企業の社会的な影響や持続可能性への取り組みを評価する際に、パーパス経営の取り組みを重視する傾向があります。企業が社会的な課題に貢献することを通じ、長期的な価値を創出しすれば、投資家としてもリスクが軽減されると判断されやすくなります

パーパス経営のメリット

このように、会社内外の様々な方面と深く関係しているのがパーパス経営なのです。しかしいくら注目されているとはいえ、企業にとってメリットが無ければ目指す意義を見出すことは難しいでしょう。

パーパス経営を実践すると、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?

長期的な成長が期待出来る

企業の成長のイメージ

パーパス経営を採用する企業は、社会的な使命や価値を追求することを重視するため、単なる収益だけでなく、社会や環境に対する持続可能な価値を創造します。これにより企業は長期的な視点での事業戦略を採用することになり、結果として競争力を高めることができます

顧客・消費者へのアピールになる

消費者は、社会的な責任を果たす企業のサービスに魅力を感じる傾向があります。パーパス経営を実践することで、企業は消費者からの支持を集め、マーケティングの浸透やブランド価値の向上をさせることが出来るでしょう

従業員のエンゲージメントとモチベーションアップに繋がる

パーパス経営は、従業員に対して自らの仕事の意義、それが社会へどのように貢献しているかへの実感を提供するため、従業員のエンゲージメントとモチベーションを高める助けとなります。従業員が企業の社会的な存在意義に共感し、自身の仕事に誇りを持つことが促進されれば、より高いパフォーマンスを発揮することが出来るでしょう。

投資家との関係強化に繋がる

パーパス経営は、投資家や資金提供者との関係を強化することにもなります。社会的な価値の提供や社会貢献を重視する企業は、先述したESG投資の概念からも投資家からのサポートを受けやすくなるでしょう

競合他社に対し優位になれる

パーパス経営は策定した企業に競争優位性をもたらすことにも繋がります。社会的な使命や価値の達成に焦点を当てることで自社の独自性や市場における差別化を強調すれば、よりユニークネスを保つことに成功するでしょう。ユニークネスを発揮すればメディアにも取り上げられやすくなり、ますます競合に対して優位に働くことが出来るでしょう。

パーパス経営の注意点は?

良いことずくめに見えるパーパス経営ですが、取り組む上で気をつけなければならない点がいくつかあります。

確実なコミットメントが必要

ここまで読んだ方の中には、パーパス経営の実践が単なるイメージやマーケティングの手段として見えるかも知れません。実際そのような側面は大いにあると言えます。

しかしパーパス経営は「言いっぱなし」ではなく、会社を挙げた真のコミットメントが必要です。組織全体が社会的な使命や価値に共感し、それを具体的な戦略などの行動に移すことが重要となります

いくら『我が社は次のようなミッションとビジョンを策定し、企業としてパーパス経営を軸とした活動をしていきます』と言っても、その実旧態依然とした事業展開をしていては消費者も離れるでしょう。

透明性と誠実さが求められる

パーパス経営は透明性と誠実さが求められます。つまり、企業の行動や取り組みが社会的な使命と一致していることを示すことが重要です。企業のCSR活動をステークホルダーへ開示する為に「CSRレポート」があるように、パーパス経営でも具体的な取り組みやエビデンスについて情報発信・開示を行うことが必要となります。

ステークホルダーへの影響を考慮する

安心するパートナー

パーパス経営は、従業員、消費者、サプライヤー、地域コミュニティなど、様々なステークホルダーとの関与を重視します。これらのステークホルダーとのコミュニケーションを強化し、彼らのニーズや期待に応える努力が必要となります。

例えば、より社会的影響を考慮した結果として商品の原材料が高くなった場合、その差額をパートナーや消費者へ転化するケースが考えられます。しかし何の説明も無ければそれぞれの不満を招くことになるでしょう。パーパスを追求した戦略が各種ステークホルダーにどのような影響を及ぼすことになるのか、事前に考慮する必要があります

測定と評価を忘れずに

随時、パーパス経営の進捗状況を評価し、適切な指標やメトリックスを設定して成果を測定する仕組みを確立することが重要です。各ステークホルダーから『本当にこの会社はパーパス経営を実践しているのか?』と疑問を持たれないよう、客観的に測定評価出来る仕組みを作りましょう

バランスの取れたアプローチが必要

バランスに悩む女性

パーパス経営では社会的な使命を重視するため、イメージアップに繋がる一方、企業の健全な経営も確保する必要があります。社会的意義と企業としての成長という難しいバランスを取り、かつそれぞれの結果を両立させるアプローチが必要です。

パーパス経営を進めるには?

パーパス経営のメリットとデメリットを理解したところで、具体的な進め方を解説していきます。

ビジョンとミッションの確立

パーパス経営の基盤となるビジョンとミッションを明確に定義しましょう。企業の理念や価値観を反映させながら、社会的な使命を策定します。この段階は必須ではありませんが、ビジョン・ミッションを策定することで企業のパーパスをより分かりやすくすることが出来るでしょう

ステークホルダーの調査と分析

SWOT分析

従業員、顧客、サプライヤー、パートナー、株主など、関係するステークホルダーを対象とした調査分析を行いましょう。分析手法としては以下が考えられます

  • 顧客・消費者:エンドユーザー調査(ヒヤリング、アンケート等)
  • サプライヤー:パートナー調査(外部調査機関による調査等)
  • 株主:IRに関する調査(外部評価機関による調査等)
  • CSRに関する外部評価機関による調査

それと同時に自社の分析を行うことも必要です。マーケットにおける自社の立ち位置を理解しなければ、パーパス経営を実施する施策も見誤ってしまうからです。自社の分析は市場分析でよく使われる3C分析SWOT分析のほか、従業員に対しては行動特性を分析するコンピテンシー分析等が有効的です

パーパスの明文化

ベースとなるビジョン・ミッションの策定、各種ステークホルダーへ与える影響や自社分析が終わったところでようやくパーパスの明文化を行います。前段階である各種ステークホルダーの分析結果を基に、彼らが共感してくれるような内容を定義することが浸透させる上で重要なポイントです

社内への浸透

パーパスの説明をする経営層

パーパス経営の思想や価値を組織全体に浸透させるための取り組みを行います。リーダー層がパーパス経営の信念を実践し、従業員に理解・納得してもらい、日常の業務の中に当てはめていくようにしましょう

浸透には従業員教育やコミュニケーションの活性化などが必要となりますが、これらを全て実現できる後ほど紹介する企業アーカイブの構築が方法としてオススメです。

パーパスを日々の業務へ落とし込む

パートナーにパーパスの説明をする

従業員への浸透がある程度進んだら、後は実践あるのみです。経営層を起点に末端の従業員にまで日々の業務でパーパスを考え方の基準としてもらい、そこから従業員が関わるパートナーや消費者、ひいては企業の商品に関わるあらゆる人々へパーパスへの理解を進めていきましょう

『これをやったら絶対にパーパスが浸透する』というものはなく、普段当たり前に行なっている業務の一つ一つを積み重ねることがパーパスの実現に繋がることを忘れないようにしましょう。

持続的な改善

パーパス経営はそのような継続的な取り組みが求められるため、持続的に評価・改善を重視することが必要です。先述したように客観的な評価基準を設け、定期的な振り返りを通じ取り組みを最適化させていくと良いでしょう

パーパス経営に企業アーカイブが有効な理由

アーカイブのイメージ

企業アーカイブとは、企業や団体内で制作・公開するデジタルアーカイブのことを指します。具体的には広報資料、マニュアル、販促物、記念誌など企業に関係するあらゆる史資料をデジタル化し、データベース上にアップ、社内外向けにアーカイブとして公開する取り組みのことです。

既に企業アーカイブを公開している大企業は数多く存在しますが、ブランディングやマーケティングといった側面で構築しているケースが中心です。しかしパーパス経営の実現という目的においても、この企業アーカイブは非常に有効な手段となり得ます。なぜ有効か理由を説明しましょう。

企業の歴史と進化の記録が出来る

デジタルアーカイブは企業の歴史、成長、変革を記録する手段となります。過去の業績や取り組み、戦略の変遷をデジタル形式で保存することで、企業の進化を理解し、将来の方向性を確認するのに役立ちます。こうした記録はパーパスを浸透させる上で極めて重要となる情報です

透明性の確保と説明責任を果たせる

パーパス経営を実現する企業は、社会やステークホルダーに対して透明性と説明責任を持つことが求められます。デジタルアーカイブには、企業の取り組みや成果、目標達成の過程が記録されており、これを共有することで、企業の行動と結果を透明に示す手助けとなります。

資料をエビデンスとした検証と評価が出来る

パーパス経営の成果を評価し、目標の達成度を示すためには、定量的なデータや証拠が必要です。デジタルアーカイブには、関連するデータやドキュメントが保管されており、これを活用して実績を評価し、パーパス経営の効果を示すことができます。

ナレッジの共有と社員教育に使える

ナレッジの共有

デジタルアーカイブは、過去のプロジェクトや取り組みの情報を保持しているため、新たなプロジェクトやイニシアティブにおいて、過去の経験から学びを得るのに役立ちます。知識共有と学習のプロセスを支援し、効率的な意思決定と実行を促進します

【参考記事】ナレッジマネジメントとは?意味、使用ツール、導入方法を解説!

社内外での円滑なコミュニケーション

デジタルアーカイブがあると、社内外でのコミュニケーションを促進することにも繋がります。従業員やステークホルダーとアーカイブを共有し資料を閲覧することで、なぜ企業がパーパスを策定しているのか、その達成に向けてこれまでどんな取り組みをしてきたのかについてシェアし、社内外の者がパーパスについて様々な意見交換や交流を深めることが可能となります

このように企業内外の資料を収集・アーカイブ化した企業アーカイブを介することで、よりパーパス経営の実践を現場レベルで浸透させることが出来るようになります。自社の歴史や取り組み、各ステークホルダーとの取り組みをまとめた企業アーカイブは、まさにパーパス経営を実現させる上で最良のツールと言えるでしょう。

⇨【パーパス経営のベースに!】企業向けデジタルアーカイブをワンストップで構築できるサービスはこちら!

これから求められていくパーパス経営

今回はパーパス経営について解説しました。一昔前まで、企業の社会貢献と言えばCSRや一部のソーシャルビジネスに限られたお話でしたが、現在は経営レベルで社会的意義の表明・具体的戦略の実施が求められるようになっています。また消費者や各ステークホルダーも容易に情報を手に入れられるようになったため、より厳しく企業をチェック出来るようになりました。

繰り返しますが、パーパス経営は「言いっぱなし」では決してなく、表明したパーパスを具体的にどう実現するのかが極めて重要であり、その姿勢そのものが企業内外から注視されています。企業アーカイブの構築を始め様々な戦略を遂行し、真の意味で社会に貢献する企業を目指してみてはいかがでしょうか。

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ナレッジマネジメントとは?意味、使用ツール、導入方法を解説! https://sei-syou.com/library/what-is-knowledge-management https://sei-syou.com/library/what-is-knowledge-management#respond Mon, 21 Aug 2023 02:10:28 +0000 https://sei-syou.com/?p=12491 知識経営を意味するナレッジマネジメントという言葉をご存知ですか?現代の日本社会において、ナレッジマネジメントは企業に必要不可欠な手法となっています。

更に言えば紙資料を電子化し、企業アーカイブとして構築することでナレッジマネジメント自体を大きく前進させることが可能です。

ここではナレッジマネジメントの概要や導入プロセス、そこに企業アーカイブを導入することで得られるメリットを中心に説明します

⇨【企業のナレッジマネジメントに】デジタルアーカイブをワンストップで構築できるサービスはこちら!

ナレッジマネジメントとは?

まずはナレッジマネジメントの概要から追っていきましょう。ここではナレッジマネジメントの意味や手法についての特徴を説明します。

ナレッジマネジメントの意味

ナレッジマネジメントとは、経営手法の一つで、企業が蓄積したノウハウやスキル、顧客の情報などをすべての社員間で共有することによって企業が保有している競争力を向上させ、よりよい営業成績を上げるための手法を指します。個人が持っていた知識を集約した知識は集合知とも呼ばれ、ナレッジマネジメントが注目される要因でもあります

組織に属している個人の数が少ない場合はナレッジマネジメントを行って情報やスキルを共有することは難しいことではありません。しかし、企業規模が大きくなることによって、社員の数も多くなり、情報共有の難易度が高くなります。すると重要な情報が共有されづらくなるため、営業の機会を損失するといった障害が発生するようになります。

例えば、以前そのままスキャンで社内報のバックナンバーを電子化させていただいた株式会社WOWOW様も、出向等で新たに参加した社員が多い中情報を全社的に共有したかった、話されていました。

そのため、いかに情報を集約して社員全体で共有するかが重要になります。

暗黙知と形式知

社員の経験

ナレッジマネジメントを語る上で欠かせないものが暗黙知形式知の2つです。

暗黙知とはビジネスの現場では社員が経験を積んで身につけたカンや知識など文章や図式で明示化されていないものを指します。一方で、形式知とはマニュアルや図表などによって表現されており説明できる情報のことを指します。

ナレッジマネジメントでは、暗黙知である社員1人ひとりが身につけたスキルや知識をマニュアルなどで視覚的に残すことによって、社員全員で情報を共有し、企業全体の資産とすることが重要です。

暗黙知の形式知化を嫌がる社員

暗黙知を形式知化することは企業にとって大きな利益に繋がる重要な施策ですが、社員個人の面で考えるとメリットばかりではありません。例えば自分が長年の経験で身につけたスキルを共有化されてしまうということは、社内において自分の独自性や優位性を失ってしまうことになります。

そのため、自分の立場を守るためにナレッジマネジメントを嫌がる社員が一定数発生します。これらの社員の説得もナレッジマネジメントを成功させる上で重要になってくるでしょう。

SECIモデル

SECI(セキ)モデルは、個人の知識を組織で共有して、より高度な知識を生み出すことを目的としたフレームワークプロセスです。SECIモデルの名称由来は、このモデルを形成している4つのフェーズにつけられている名前の頭文字から取られており、各フェーズを通してSECIモデルは形成されると定義されています。

    【フェーズの定義内容】
  • 共同化(Socialization):組織内の小さなグループで暗黙知を共有することによって、新しい暗黙知を作り上げる
  • 表出化(Externalization):共同化によって作り出された暗黙知を小さなグループが洗い出すことで形式知化する
  • 結合化(Combination):複数の小さなグループがそれぞれ洗い出した形式知を結合することによって、新しい知識を作り出す
  • 内面化(Internalization):結合化によって新しく作り出された知識を組織に広めることによって、新たな暗黙知を作り出す

SECIモデルは、一橋大学の名誉教授である野中郁次郎氏と竹内弘高氏によって執筆された「The Knowledge Creating Company」で提唱されました。

昨今注目されている理由

注目された理由

ナレッジマネジメントは最近できた新しい技術ではなく、1990年代から日本の多くの企業が採用してきたものです。それがなぜ今改めて注目されているのでしょうか?ここではその理由について説明します。

新しいナレッジマネジメントのシステムが必要に

日本企業の多くは上から下に指示がいく、ピラミッド型経営を昔から行っています。ナレッジマネジメントは提唱された1990年代から2023年現在に至るまで日本企業の経営スタイルに非常にマッチしており、広く支持されていました。しかし、終身雇用制の崩壊をきっかけに転職を積極的に行う人も多くなったことから人材の流動性が高くなり、社員個人の知識や経験を共有して組織の資産として集約する従来のナレッジマネジメントが難しくなってきました。

そのため、従来の概念を更新する新しいナレッジマネジメントが必要になっている背景があるため、注目を集めています。

ビジネスの複雑化からデジタル化されたナレッジマネジメントが必要に

新しいナレッジマネジメントが必要とされる理由として、ビジネスが国内だけではなく、海外も視野に入れたグローバル展開やインターネットをはじめとしたIT関連のインフラが一般化したことによるスピードの激化によって複雑性を増したことが挙げられます。

ナレッジマネジメントは今の時代に合わせてアナログなものからデジタルなナレッジマネジメントツールを使ったナレッジマネジメントにアップデートされてきており、徐々に企業は新しいナレッジマネジメントの導入を開始しています。

導入するメリット

ナレッジマネジメントを導入することによって、個人の知識やスキルを企業全体で共有できることが分かりましたが、導入することによって具体的にはどのようなメリットを得られるのでしょうか?

属人化を防げる

企業によっては長期間部署変更などがなく、一つの仕事にずっと同じ担当者がついているケースが見られますが、そのような場合は業務において担当者しか知らない情報やスキルが蓄積されて属人化されている可能性が高いでしょう。

属人化されたままの状態で、万が一担当者が入院するなど業務に携われない状態になると、他の社員では対応できず仕事に穴が開いてしまう可能性があります。

ナレッジマネジメントを採用することにより、担当者しか知り得ない暗黙知を形式知にすることによって、属人化を解消することによって誰でも該当の業務を対応できるようになるため、担当者のトラブルにより仕事が回らなくなるというリスクを回避することが可能になります。

情報共有によって個人の能力強化が可能

人間には得意不得意があるため、何でもそつなくこなせる社員は少ないはずです。ナレッジマネジメントによって優れた社員のノウハウをマニュアルなどで視覚化して共有することによって、他の社員の得意不得意分野を補強することが可能になります。

ナレッジマネジメントを実践する課題、注意点

ナレッジマネジメントに悩む女性

優れた施策であるナレッジマネジメントですが、実践するにあたって課題や注意点が存在します。

経営陣が率先して取り組む必要がある

ナレッジマネジメントは企業のトップにいる経営陣が率先して取り組む必要があります。特定の部署や人員に対してナレッジマネジメントを組織に浸透させるように指示したとしても、社員に対してナレッジマネジメントの重要性が十分に伝わりません。

経営陣がナレッジマネジメントのメリットや重要性をきちんと理解し、主体的に組織に対してナレッジマネジメントを浸透させる努力を行うことによってはじめて社員に重要性が伝わります。

社員の意識改革が必須

ナレッジマネジメントの導入で失敗する原因の多くは、知識やスキルがうまく共有されないことです。その背景には、社員の意識改革が十分に足りてないケースが多く存在します。

ナレッジマネジメントを行うことにより、社員間で知識やスキルを共有することによって、どのようなメリットが発生するのか、会社の利益になるなど全体的なことではなく、知識を共有することにより仕事の効率性を上げられるために残業時間を減らせるなど個人レベルまで落とし込んで説明する必要があるでしょう。

人は自分の利益になる行動は起こしたくなるものですから、いかに社員のモチベーションを上げて意識改革出来るかがポイントです。

情報を共有するための環境を整備する

経営陣が主体的にナレッジマネジメントの重要性を社員に説明して実行したとしても知識や情報が共有しにくい環境であれば、効果は見えません。極端な例ですが、オフィスのホワイトボードに優秀な社員のノウハウを記載したとしても、共有しにくいことからあまり効果は期待できないでしょう。

社内イントラネットや社内SNSなど、ナレッジマネジメントツールを使って簡単に閲覧して学習できる状態にすることが大事であり、知識を共有しやすい媒体を選ぶことが重要です。

ナレッジマネジメントの導入プロセス

導入イメージ

ナレッジマネジメントは思い立ったときにすぐ導入できるものではありません。順序を追って社内に導入していく必要があります。ここでは具体的なナレッジマネジメントの導入プロセスについて説明します。

①課題を明確にする

ナレッジマネジメントを導入する際に最初に行うべきことが社内でどのようなことが問題になっており、課題なのかということを明確化することです。課題が見えていない状態でナレッジマネジメントを導入しようとしても失敗してしまいます。

まずは課題を全て洗い出し、目に見える状態にリストアップすることが大事です。

②可視化する方法の考案

課題を全て洗い出したら、今度は問題を解決するために情報を可視化する方法を考えます。例えば情報共有が遅いのであれば高速化するためには社内イントラネットや社内SNSの導入など方法を考案して、どのようなメリット・デメリットが発生するか、導入費用がどれくらいかかるのかといった具体的なレベルまで落とし込みます。

ナレッジマネジメントを社内に導入するために中心となる人物たちで複数考えた案のうち、どれを採用すべきなのかを検討して決定し、導入を進めましょう。

③徐々に仕組みを導入する

導入を決定した施策は一気に導入するのではなく、あくまで徐々に段階を踏んで社内へ浸透させることがポイントです。

導入した後、社員がきちんと仕組みを利用しているか、問題点はないかなどを確認しながら導入を進めていき、決定した施策をすべて現場レベルで問題なく稼働するように努めていきます。

また常に業務上の課題はないか確認してナレッジマネジメントに結び付けていくことが重要です。

ナレッジマネジメントを加速させる方法

現代のナレッジマネジメントで重要になるのがナレッジマネジメントツールです。効率よく業務とナレッジマネジメントを結びつける上でナレッジマネジメントツールは都合が良く、最適な存在といえます。

ここではナレッジマネジメントで使われることが多い主なナレッジマネジメントツールについて説明します。

オンラインストレージ

オンラインストレージはDropboxやGoogle Drive、OneDriveなどWeb上でドキュメントや画像などのデータを保存することができて、チームメンバーと共有可能なツールです。

オンラインストレージを導入することによってチームで共同作業を行っている場合、ドキュメントの共有が簡単かつ高速に行えるようになるため、共有に充てる労力の軽減、速度の向上が期待できます。

社内イントラネット・社内ポータルサイト

イントラネット

社内イントラネットや社内ポータルサイトを導入して活用することによって、社員に対しての情報周知や業務に関するマニュアル、旅費精算書等の申請フォーマットといった別々に管理されがちな情報を1カ所に集約してわかりやすく管理運用することで業務効率を向上させることが可能になります。

社内SNS

スマートフォン

チャットワーク、Slackなどのコミュニケーションツールを導入することによって、社内でメールを送り合うより高速かつ気軽にコミュニケーションを取ることが可能になります。

多くのコミュニケーションツールは個人単位の連絡のみではなく簡単にグループを作成することができるため、プロジェクト内のメンバーにだけ情報を共有したり、部署間を超えて情報やコミュニケーションが行えます。

社内SNSを導入することによって情報の高速化や社員同士のつながりを高めることが可能です。

企業アーカイブの構築で加速する

企業アーカイブのイメージ

企業アーカイブとは、企業内外の資料をデジタルアーカイブとして整理・デジタル化し、アーカイブシステムとして公開することを指します。ここでのアーカイブは必ずしも全世界に公開するものとは限らず、特にナレッジマネジメントに寄与する企業アーカイブは社内や関係者にのみ開示されるのが通常です。

『会社でデジタルアーカイブを作ることがナレッジマネジメントに繋がる』と言われてもイメージが難しいかも知れませんが、どのようなメリットがあるのでしょうか。

ナレッジの保存と共有

企業アーカイブの対象となるのは、過去のプロジェクト資料や発刊物、PR資料など多岐に渡ります。これらは将来的に参照したり、社内外へ共有する為に重要なリソースとなります。

企業アーカイブを作れば、従業員が会社の過去事例から学び、今後同じような課題に直面した場合のベストプラクティスを特定する為に大いに役立つでしょう

情報のアクセス性・透明性の向上

アーカイブ化されたナレッジは、必要な時、必要な人がアクセス出来るようになります。また情報の透明性が向上し、ビジネスにおける意思決定や問題の解決がスムーズに行われることが期待出来ます。

新人教育に活用出来る

企業アーカイブは、社外では決して実現出来ない、会社のナレッジの宝庫です。新入社員が過去のプロジェクトや会社の情報を参照することで組織の文化やコーポレートアイデンティを深く理解することが出来、トレーニングに一役買うでしょう

文化と歴史の維持

博物館や自治体のデジタルアーカイブは、その分野や地域の文化・歴史を維持継承する役割があります。同じように民間企業のアーカイブでも、従業員に会社の文化と歴史を伝え、その価値観を理解させる為に大変有効です

会社の伝統を伝えることで、従業員の仕事へのモチベーションやエンゲージメントの改善が見込めるでしょう。

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ナレッジマネジメント

オフィス

ナレッジマネジメントで重要なのは、暗黙知を形式知に変換していくことです。社員1人ひとりが持っているスキルや知識をマニュアルなどで可視化することによって、企業に大きな利益をもたらす重要な資産として活用することが可能になります。

現代のナレッジマネジメントには、デジタル化されたナレッジマネジメントツールの導入が欠かせません。自社が抱えている課題や問題点を洗い出して、社内イントラネットや社内SNSなど、どのナレッジマネジメントツールを導入するとより効果的かを検討し、徐々に社内に浸透させていくことが重要になります。

また、知識が資料で蓄積されている場合は、デジタル化やアーカイブの構築によって一元管理することが可能になるため、誰でもアクセスすることが容易になり、より会社の資産としての質が上がります。会社の今後を左右することになる経営判断にも紙媒体ではなくデジタルデータを使うことで、少ない労力で経営判断を下すことが可能になります。企業内でアーカイブシステムを構築することも、ナレッジマネジメントを促進する上では有効な手段と言えます。

ただし、ナレッジマネジメントに『このやり方が絶対正しい』ということはありません。様々なツール、ノウハウを使うのも重要ですが、まずは自社にどのような課題があるのか、どんなナレッジマネジメントを目指せば良いのかを把握するところから始めると良いでしょう。

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デジタルアーキビストとは? 資格や活躍の場も紹介 https://sei-syou.com/library/what-is-digital-archivist https://sei-syou.com/library/what-is-digital-archivist#respond Wed, 16 Aug 2023 01:51:04 +0000 https://sei-syou.com/?p=12468 デジタルアーキビストという職業をご存知でしょうか。

図書館司書や博物館学芸員と比べるとまだまだ認知度が低いかもしれませんが、急速なデジタル技術の発達やインフラの普及にともないデジタルアーカイブというものの重要性が高まっている現在、徐々に注目があつまっている職業です。

今回はデジタルアーキビストの仕事の内容や、その活躍の場について詳しくご紹介します。

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アーカイブとデジタルアーカイブって何?

デジタルアーキビストとは、一言でいえば文化資源であるデジタルアーカイブを記録・保存・管理するプロフェッショナルのことです。まずはデジタルアーキビストが扱うことになる、アーカイブやデジタルアーカイブについて簡単にご説明します。

「アーカイブ」の意味

資料群

そもそもアーカイブって何だろうと思う人は多いでしょう。聞いたことはあるけど、いまいち意味がわからないのが「アーカイブ」という言葉ではないでしょうか。

アーカイブ、または複数形のアーカイブズという言葉が使われていますが、古文書や公文書、記録文書の集合、もしくはそうした文書を保管する場所、というのが本来の意味です。言い換えると、貴重で文化的な価値があり、保存すべき資料はすべてアーカイブであり、また公文書館のような保存機関もアーカイブと呼ばれる場合があります。

「デジタルアーカイブ」の意味

デバイスと書庫

次にデジタルアーカイブについて説明します。

「アーカイブ」に「デジタル」をつけた「デジタルアーカイブ」は、実は日本で生まれた和製英語です。1996年に日本で設立された「デジタルアーカイブ推進協議会(JDAA)」の準備会議の中で、当時東京大学教授であった月尾嘉男氏が初めて提案したものだとされています

古文書や公文書、記録文書といったアーカイブをデジタル化したものがデジタルアーカイブですが、それだけにとどまらず、出版物、文化財、その他歴史資料等、有形・無形を問わずあらゆる知的資産を対象としている点が特徴です。デジタル情報の形で知的資産を記録し、その情報をデータベース化して管理、さらにネットワーク技術を用いて広く公開し活用することが、デジタルアーカイブの役割です。

デジタル化されていないアーカイブは現物資料であるため、保管している機関でしか目にすることができません。それに、貴重な資料や古くてぜい弱な資料はいつでも公開されているわけではありません。しかしデジタルアーカイブであれば、いつでも、どこでも、誰でも自由にその情報を見たり、活用したり、研究したりすることができます。これがアーカイブをデジタル化することの一番のメリットと言えるでしょう。

用途や媒体に応じてデータの形式を使い分けることも簡単になり、情報の発信や共有という点でも大きなメリットがあります。

アーカイブとして保存されている文化財や文化資産、たとえば古文書などの紙資料、写真や映像を記録したフィルムなどは、経年によって劣化が進行していくことが避けられませんが、一度デジタル化してしまえば、文字も画像も映像も音声も劣化することがありません。アーカイブを未来に遺すための手段としてもデジタルアーカイブは重要な役割を果たしているのです。

なお、デジタルアーカイブについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

デジタルアーキビストとは

それでは次にデジタルアーキビストの仕事の内容を解説します。

デジタルアーキビストとは、アーカイブのデジタル化についての知識と技能を持ち、総合的な文化情報の管理・活用をする専門家のことです。と言っても、これではなんだかよく分かりませんよね。

デジタルアーキビストに求められる3つの能力

デジタルアーキビストのイメージ

デジタルアーキビストに求められる能力を整理すると次の3つが挙げられます。

  1. 資料の文化的価値の理解
  2. デジタル化の技術
  3. 法的理解と倫理

ひとつずつ具体的に説明しましょう。

1. 資料の文化的価値の理解

最初に説明した通り、アーカイブとは貴重で文化的な価値があり、保存すべき資料のことです。デジタル化にあたっては、その資料の価値を正しく認識するための、幅広い知識と専門分野の深い知識がデジタルアーキビストには必要とされます。さらに言えば、そのアーカイブを公開することにどんな意味があるのか、それがどんな文化活動につながるのか、といった視野も求められます。

2. デジタル化の技術

デジタルアーキビストには、有形・無形の貴重な資料をデジタル化し、デジタルアーカイブを作成する能力が当然ながら必要となります。どのような機材(デジタルカメラ、スキャナなど)を使うのか、そしてどのようなシステムでデータベース化していくのかを適切に判断する能力ですね。

デジタル技術は日々急速に進歩しています。ですから、そうした技術に関する新しい情報を積極的に学び続ける意欲が大事になります。

3. 法的理解と倫理

デジタルアーカイブを作成すると言っても、何でもかんでもすべてデジタル化して公開すればいいわけではありません。

デジタル化の対象となる有形・無形の文化資産には、複製する権利、上演する権利、展示する権利などを含む著作権(知的財産権)があります。その他にも個人情報保護法に基づき、著作者のプライバシーに配慮する必要もあります。インターネットやマルチメディアの普及にともない、現行の著作権法ではカバーできない事例が増えてきています。そうした課題に対し、デジタルアーカイブ整備推進法(仮称)の制定が進んでいます。著作権法も改正されていくでしょうから、情報を常にアップデートしていく必要があります。

デジタルアーキビストには、こうした流動的な法の理解と倫理観念を踏まえた上でデジタルアーカイブを作成・公開することが求められるのです。

なかなか高度な専門職だということが想像できますよね。

日本におけるデジタルアーキビストの資格

勉強のイメージ

博物館・美術館の学芸員や図書館の司書は、国家資格ですが、デジタルアーキビストにこれに相当する国家資格はいまのところありません。ただし、特定非営利活動法人日本デジタル・アーキビスト資格認定機構によって認定される「デジタル・アーキビスト資格」があります。

資格は次の4つに分かれています。

  • 上級デジタル・アーキビスト
  • デジタル・アーキビスト
  • 準デジタル・アーキビスト
  • デジタルアーカイブクリエータ

それぞれの資格について、日本デジタル・アーキビスト資格認定機構は次のような説明をしています。

上級デジタル・アーキビスト

【デジタルアーカイブの計画と指導能力のある者】

関連する技術・法律等について主体的に学び続けコンテンツの活用方法を追求するとともに、デジタル・アーキビストとしての能力をもって計画から利用までの指導ができる高度な専門性をもつ人材。

デジタル・アーキビスト

【デジタルアーカイブ制作能力のある者】

準デジタル・アーキビストとしての能力を基礎として一連のデジタルアーカイブの制作・実施ができ、運営も含めて責任をもって対処できる専門性をもつ人材。

準デジタル・アーキビスト

【基本的なデジタルアーカイブ制作能力のある者】

文化・産業資源等に対し、情報の収集・登録・保存・管理・流通等の知識に加え権利処理等の能力をもち、情報提供等に責任をもって対処できる人材。

デジタルアーカイブクリエータ

【基礎的なデジタルアーカイブの作成能力のある者】

文化・産業資源等に対し、情報の収集・登録・保存・管理・流通等の基本的な知識をもち、撮影・記録の作業を行える人材。

デジタルアーキビストの資格を取るには?

具体的な資格取得方法は、2つあります。

一つは、認定養成機関として定められた短大、大学、大学院で必要な単位を取得した上で、日本デジタル・アーキビスト資格認定機構が行う認定試験に合格すること。デジタルアーカイブについて学べる大学については、次に詳しく説明します。

もう一つは、認定養成機関で行われる講習会を受講し、認定試験に合格することです。

4つの資格のうち、準デジタル・アーキビストとデジタルアーカイブクリエータであれば、2日間の講習会(社会人に対しては1日コースもあり)と試験だけで取得可能です。これなら仕事をしながらでも、できそうですよね。

そして準デジタル・アーキビスト資格を取得すれば、大学卒業者であれば3年の社会経験で、短大や専門学校の卒業者であれば5年の社会経験で、さらに上のデジタル・アーキビスト資格取得のための講習会に参加することが可能になります。この講習会は土日を中心とした合計5日間の授業と在宅での学習の後に試験を行うもので、資格取得までに1ヶ月~3ヶ月ほどかかります。

上級デジタル・アーキビスト資格は講習会では取得できず、かならず大学院で必要な単位を取得することが最低条件となります。

デジタルアーカイブの勉強ができる学部

デジタルアーキビスト資格取得のための授業が設けられている認定要請機関としては、次の大学があります。

  • 東北文教大学短期大学部
  • 常磐大学
  • 岐阜女子大学
  • 別府大学
  • 沖縄女子短期大学
  • 上田女子短期大学
  • 札幌学院大学
  • 島根大学 教育・学生支援機構 生涯教育推進センター
  • 筑波学院大学
  • 学校法人 国士舘

デジタルアーキビスト資格の取得に必要な単位は、必須科目10単位と選択科目2単位、選択分野22単位で合計34単位です。

必須科目の主な内容は、デジタルアーカイブ文化論、デジタルアーカイブメディア論、計画と資料の収集、デジタルアーカイブ選定評価、保存とメタデータです。

選択科目は、デジタルアーカイブ実践、デジタルアーカイブ活用と評価などです。選択分野の科目は、デジタルアーカイブと教育、デジタルアーカイブと博物館、デジタルアーカイブと図書館、デジタルアーカイブ活用と観光、デジタルアーカイブと提示、デジタルアーカイブと収集、といった内容です。

さて、日本デジタル・アーキビスト資格認定機構によって養成機関に認定されている大学を挙げましたが、養成機関以外でもアーキビストを目指す人のために授業を開講している大学はあります。前述の通り、デジタルアーキビストの資格はいまのところ図書館司書や博物館学芸員のように国家資格ではないため、資格を持っていなくてもデジタルアーキビストとして活躍することができます。

大学や大学院でアーカイブズ学、図書館学、図書館情報学、歴史学、政治学、法学、記録管理学、コンピュータ・サイエンス学などを学び、さらに現場で経験を積んでデジタルアーキビストになるというケースが多いようですね。ですから資格取得だけにこだわらず、自分に合った大学を選ぶのもオススメです。

次にアーカイブ関係の学問を学ぶことができる主な大学(大学院)を挙げておきます。

  • 神奈川大学大学院 歴史民俗資料学研究科
  • 駿河台大学 メディア情報学部 図書館・アーカイブズ分野
  • 駿河台大学大学院 現代情報文化研究科 文化情報学専攻
  • 東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 文化・人間情報学コース
  • 東京大学大学院 人文社会系研究科 文化資源学専攻
  • 別府大学 文学部 史学・文化財学科 日本史・アーカイブズコース
  • 別府大学大学院 文学研究科 歴史学専攻
  • 学習院大学大学院 人文科学研究科 アーカイブズ学専攻
  • 九州大学大学院 統合新領域学府 ライブラリーサイエンス専攻

さて、ここまではデジタルアーキビストを目指すための大学選びという観点でお話をしましたが、デジタルアーキビストは扱う資料に対する深い専門知識が求められるため、往々にしてもともとその資料を所蔵していた図書館の司書や美術館の学芸員が、アーカイブに関する知識を補強して実質的にデジタルアーキビストとしての役割も果たすという例が少なくありません。

こうした現職者を対象として次のようなアーキビスト養成研修も行われています。

  • 国文学研究資料館 アーカイブズ・カレッジ(史料管理学研修会)
  • 国立公文書館 公文書管理研修、府省別公文書管理研修、アーカイブズ研修、地域別研修会
  • 企業史料協議会 ビジネス・アーキビスト研修講座

これらはデジタルアーキビストに限定した講習ではありませんが、いまはアーキビストと言えばデジタル化が前提ですから実質デジタルアーキビストのための講習と考えてもいいでしょう。

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デジタルアーキビストが活躍する場

それでは最後にデジタルアーキビストが実際にどのような場所で活躍しているのかをご説明します。

デジタルアーカイブ先進国の欧米

欧米のデジタルアーキビスト

日本国内の話をする前に、アーカイブ先進国である欧米の話をしましょう。

イギリスでは、ヒラリー・ジェンキソンという人が著した『アーカイブ管理の手引き(Manual of Archive Administration)』という書籍の出版が、専門職としてのアーキビスト誕生のきっかけだったと言われています。その本の出版年は、なんと1922年です。日本が大正時代の頃から、イギリスではアーカイブの概念が生まれていたということですから驚きです。

そして1956年にT.R.シェレンバーグが著した『近代のアーカイブス(Modern Archives)』では、よりアーキビストの職務内容が明確化され、欧米においてはアーキビストという職業が確立されました

現在アメリカやイギリスでは、アーキビスト協会が、アーキビスト資格認定やアーキビスト養成課程におけるガイドラインを策定していて、その内容にはデジタル化技術の習得もきちんと組み込まれています。

そして各自治体、団体、企業、教育機関には、当然のように専門職としてのアーキビストがきちんと配置されています。官公庁や大企業ではなく、中小規模の自治体や会社にもアーカイブの部署があり、必ずアーキビストがいるという点は日本とは大きな開きがあります。アメリカでは現在アーカイブ関連の仕事についている人の数が6,000人を超えると言われています。

欧米の企業で活躍するアーキビストは、企業の歴史をアーカイブとして整理、デジタル化して保管し、さらにそれを公開することで、企業のブランド価値を高める役割を果たしています。アップルやディズニー、ナイキ、コカ・コーラといった一流企業ほどアーカイブの力を理解して、自社の歴史を大事にしているのです。

また欧米のみならずアジアにおいても中国や韓国を中心に、デジタルアーキビストを中心としたアーカイブに従事する人材育成は急速に進みつつあります。

日本で活躍するデジタルアーキビスト

資料を持った人

欧米に比べて、またアジアの中でもアーカイブを扱うという仕事への認知度が低い日本ではありますが、確実にその重要性が増していることは間違いありません

今後は、官公庁や地方自治体などの行政機関から一般企業にいたるまで、あらゆる組織が所有する情報資源をデジタルアーカイブとして保存し、活用することが強く求められているからです。たとえば、企業では知的財産や社史のデジタルアーカイブ化が進み、地方の自治体では文化資源や地域資源のデジタルアーカイブ化、学校現場では教育資料のデジタルアーカイブ化が必要になってくるでしょう。

そこで、デジタルアーカイブシステムを作り上げ、適切に運用することができるデジタルアーキビストの存在が必要不可欠になってくると予想されます。

日本企業の取り組みは?

企業におけるデジタルアーキビストの働きに絞って、もう少し詳しく説明しましょう。

まず、企業活動の中で作成され、他社とのやり取りの中で生まれた資料は、すべて企業アーカイブ(もしくはアーカイブズ)と呼ばれます。

具体的には、記録文書、会議資料、写真、ビデオ、各種報告書、議事録、会社案内、商品カタログ、広告、宣伝フィルム、社内報などが挙げられます。さらに言うなら、商品とそのパッケージ、試作品、社章、社旗、制服、商品生産ラインの機器などもアーカイブになり得ます。その企業に関するほぼすべての物といっても過言ではありません。

この企業アーカイブは、これまで50年史や100年史といった社史を作成するために参照される程度のものだと考えられていました。しかし、さきほど欧米の例で示したように、本来企業アーカイブはその企業の価値を高める、つまりブランディングのために非常に重要な役割を果たすものです。

海外の例にならい、そうした企業アーカイブの重要性を認識し活用する日本企業も増えてきました。

いくつかその事例を挙げてみましょう。

これらの企業のウェブサイトを見ると、企業アーカイブをデジタル化して保存し、それをうまく広報に利用して、自社の企業価値を高めていることが理解できますね。

企業アーカイブはデジタル化によって、従来の単なる社史の材料から、より多様な企業価値を実現するための材料に変化しました。特に「企業文化を伝達する材料」としてインターネットを通じて、社の内外に発信されるようになってきたのです。

これまでも企業では、社史編纂のために一時的に社内にアーカイブの部署を設けるということは行われていました。しかしその部署への配属は、特別な知識を持たない人が異動によって仕方なく、という例がほとんどでした。しかし企業アーカイブの重要性が高まっていくこれからの時代は、専門職であるデジタルアーキビストがこうした仕事にあたる例が増えていくでしょう。

活躍の場が増えていくデジタルアーキビスト

デジタルアーキビスト活躍のイメージ

デジタルアーキビストという職業のイメージを少しつかんでいただけたでしょうか。

欧米やアジアの中でも後れをとっている日本のデジタルアーカイブ事情ですが、未来が暗いわけではありません。たとえば日本ほど各企業が社史を作る国はほかにはない、とよく言われます。30年、50年、100年という節目に作られる社史は、その質もかなり高い傾向があります

このような企業風土があり、また元来物を大切にすることを美徳としてきた日本にとって、アーカイブの概念が浸透することは難しくはないでしょう。そうしたアーカイブ意識の高まりと、それをデジタルアーカイブとして積極的に活用する動きが結び付けば、デジタルアーキビストが活躍する場はどんどん増えていくと推測できます。

ぜひ、今後もデジタルアーキビストという職業にご注目ください。

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デジタルアーカイブとは?作り方、事例、活用方法を解説 https://sei-syou.com/library/what-is-digitalarchive https://sei-syou.com/library/what-is-digitalarchive#respond Thu, 20 Jul 2023 09:38:09 +0000 https://sei-syou.com/?p=12423

デジタルアーカイブという言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。今年(2023年)4月に改正された博物館法では、博物館の事業としてデジタルアーカイブ化が新たに盛り込まれており、ますます私たちの生活にとって身近な存在になりつつあります。

実はデジタルアーカイブは博物館などの専門機関に限った話ではなく、今では一般企業も幅広く取り入れ始めている仕組みなのです。

今回は、『デジタルアーカイブってそもそも何?』というところから話を始めて、具体的にどんなことができるのか、どういったところで活用されているのかをご説明したいと思います。最後まで読んでいただければ、デジタルアーカイブをきっと身近に感じるようになり、『うちのあの資料もデジタルアーカイブにしたら便利かも?』というアイデアが湧くかもしれません。

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デジタルアーカイブとは?

アーカイブって、あまり日常では使わない言葉ですよね。「アーカイブ(archives)」という言葉は、もともとラテン語の「倉」に由来するもので、辞書をひくと、「古文書や公文書、記録文書の集合、もしくはそうした文書を保管する場所」と解説されています。

その「アーカイブ」に「デジタル」をつけた「デジタルアーカイブ」は、実は日本で生まれた和製英語です。デジタルアーカイブとは、古文書や公文書だけに限らず、出版物、文化財、その他歴史資料等のあらゆる知的資産をデジタル化し、インターネット上で電子情報として共有し利用できる仕組みを指します。

それではまず、このデジタルアーカイブの歴史からお話したいと思います。

デジタルアーカイブ誕生 ―概念の構築

世界に公開

1993年にアメリカ合衆国は、全米情報基盤整備(National Information Infrastructure)という施策をスタートしました。これは全米規模でコンピューターネットワークを構築しようというものでした。この施策によって一気にインターネットが普及し、全米にとどまらず世界中で情報が共有されるようになったのです。

それにともない、1995年にブリュッセルで開かれたG7では、世界規模での情報基盤整備が必要であるという認識に基づき「G7電子博物館・美術館構想」が計画されました。この報告書の中には、文化資産の保存に役立つあらゆるデータを集積し、マルチメディア・データバンクを構築する、という理想が語られていました。この概念が、デジタルアーカイブ誕生へとつながっていきます。

「デジタルアーカイブ」という言葉そのものは、1996年に日本で設立された「デジタルアーカイブ推進協議会(JDAA)」の準備会議の中で、当時東京大学教授であった月尾嘉男氏が初めて提案したものだとされています。JDAAでは、有形・無形の文化資産をデジタル情報の形で記録し、その情報をデータベース化して保管し、また情報ネットワークを利用して発信するという構想がまとめられました。

デジタルアーカイブの発展 ―公開に向けた取り組み

公開作業

JDAAの発足後、日本でデジタルアーカイブ構築の動きが始まりました。例えば、国立国会図書館は電子図書館である「近代デジタルライブラリー」を2002年に開始し、NHKは2003年に埼玉県川口市にNHKアーカイブスという施設を開館しました。また、2005年には、国立公文書館が「国立公文書館デジタルアーカイブ」の公開を開始しています。

このように膨大な文化資産を所有する機関を中心に、資料のデジタル化が進み、デジタルアーカイブとして一般公開されるようになったのです。

90年代から2000年代にかけては、地方各地の公共図書館や博物館、美術館でもデジタルコンテンツの開発が盛んに行われました。

デジタルアーカイブの普及 ―学術から民間へ

広まるデジタルアーカイブ

さらにその後、各機関がそれぞれ制作したデジタルコンテンツを、相互に連携させて公開する様々なポータルサイトが構築されるようになります。これは2008年に国際図書館連盟(IFLA)とオンラインコンピューターライブラリーセンター(OCLC)から発表された「MLA連携」の構想の影響が大きいと言えます。MLA構想とは、美術館・博物館(Museum)、図書館(Library)、文書館(Archives)の頭文字をとったもので、これらの機関が連携して情報を共有しようという考えです。

最近では、このMLAに、大学(University)と産業界(Industry)を加えて、「MALUI連携」という用語も使われるようになりました。ここにきて、デジタルアーカイブは学術世界だけの話ではなくなり、企業の歴史や文化もアーカイブの対象として認識され始めたのです。

企業が自社のデジタルアーカイブを作る重要性については、後ほど詳しく述べます。

それでは次に、デジタルアーカイブというシステムの仕組みと、デジタルアーカイブにはどんな機能があるのかをご説明します。

デジタルアーカイブの仕組み

疑問を持つ女性

現在、デジタルアーカイブとして公開されているもののほとんどは、SQLによって操作されるリレーショナル・データベースです。

リレーショナル・データベースとは、Excelのような表形式のデータの集合が互いに関連づけられたデータベースのことで、最も普及しているデータベースシステムです。SQLについてここで詳しくは述べませんが、データベース上で指示を出したりデータを定義したりして必要な操作を行うための専門言語だとご理解ください。コストがかかるという欠点がありました。

これに対して、最近増えているのがクラウド型のデータベースです。サーバーを構える必要がないため、初期投資や運用コストがサーバー型よりも抑えられるというメリットがあります。このクラウド型の登場により、デジタルアーカイブの導入を積極的に検討する企業が増えてきています。

最後にデジタルアーカイブでどのようなデータが扱えるのか、ですが、言ってしまえばデジタル化できるほぼあらゆる情報です。文字情報はもちろん、画像、映像、音声など、後世に残すべきだと考えられる情報は、すべてデジタルアーカイブの対象となります。

デジタルアーカイブの作り方

デジタルアーカイブの開発

デジタルアーカイブ=システム、と行きがちですが、実際にデジタルアーカイブを作る時にはその前段階に様々な工程が発生します。簡単に説明しましょう。

①企画

まず、どんなアーカイブシステムを作りたいのか?を明確にしなければなりません。

デジタルアーカイブを作りたい時には必ず目的や解決したい課題があるはずです。その目的を可視化し、システムの仕様や予算、スケジューリングといった具体的な企画へ落とし込んでいくようにしましょう

②資料整理

保管されている資料を整理し、各資料の位置付けを把握。デジタルアーカイブの運用方針に則した目録の作成や資料の分類項目の作成を行います。

③資料のデジタル化

スキャナーを使って各資料のデジタル化を行います。実際には単なるスキャニング作業だけではなく、テキスト情報の入力やOCR処理による文字検索機能の付与も併せて行うことが一般的です。

気をつけなければならないのは、オフィス内の設備で対応出来る分量や種類とは限らないということ。裁断出来ない貴重書のスキャニングが必要だったり、A1サイズの大きな図面も対象になったり、またただのA4書類でも数十万枚に上ればとても社内リソースだけで賄える量ではありません。

そのため、デジタルアーカイブの構築に際したデジタル化は専門の業者へ外注することが推奨されます

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④アーカイブシステムの構築

一般的に「デジタルアーカイブシステムを作る」と言われてイメージされる段階です。整理された資料の分類項目を基本に、③でデジタル化した資料のデータをアーカイブシステムへインポートします

システムの機能要件、性能要件、ユーザーインターフェース、セキュリティーなどを検討し、最適なシステムの設計をします。またそれに応じ、技術選定、インフラのセットアップ、ソフトウェアのインストールと設定、カスタマイズ、テスト等もこの段階で行います。

永らくデジタルアーカイブの閲覧デバイスをPCのみでしたが、現在はタブレットやスマートフォンなどあらゆるデバイスからのアクセスが想定されるため、デザインやユーザビリティについての配慮が必要です。

⑤公開・運用

インターネット上で接続されていれば全世界からアクセスすることが可能になりますが、会員などより限定したユーザーにのみ公開したい場合は限定公開の設定をすることもあります。

また単に公開するだけでなく、近年は公開したアーカイブシステムをどのように運用し使っていくかも重要です。①の企画の段階では、システムの公開をゴールとせず継続的に活用していくことも念頭に置いて考えましょう。/p>

デジタルアーカイブのメリット

メリット

それではデジタルアーカイブには、どんな機能があり、どんなメリットがあるのか。一般的に言われているメリットと、それに加えて企業がデジタルアーカイブを持つことのメリットをご説明します。

資料の劣化を防ぐことが出来る

デジタルアーカイブの対象となるのは、貴重な文化資料です。そうした資料の多くは経年によって劣化し、場合によっては参照を繰り返していくうちに所在不明になってしまうことも。一度デジタル化してしまえばその情報(テキスト、画像、映像)はそれ以上劣化しないことになります。また原資料を取り出す必要がなくなるため、原資料の保存という意味でも効果があります。

コンテンツの加工が出来る

そしてデジタル化した情報は、加工・編集が容易になるのもメリットと言えます。原資料では不鮮明だった文字を読みやすくしたり、退色してしまった写真を復元したり、といったことが可能になり、ストレスなく情報を読み取ることができるようになります。また印刷物電子出版ウェブ上での公開など、様々な用途に応じて最適な形式に変換することができます

資料検索が容易に出来る

デジタルアーカイブをオンラインで公開すれば、誰でもどこからでも検索して情報にアクセスできるようになり、資料の活用の幅が大きく広がることになります。

デジタルアーカイブが優れているのがこの検索機能です。Excelのようなソフトでも検索機能はありますが、複数のデータベースをまとめて構築したデジタルアーカイブでは、横断検索といって、一度に様々なデータベースに対して必要な情報を求めることができます。この横断検索機能により、思いもかけない情報を発見することもよくあります。

ビジネスへの活用が出来る

そして研究施設や公共機関ではなく企業がこのデジタルアーカイブを構築するメリットは、ずばり企業価値のPR、言い換えれば企業のブランディングです。

企業アーカイブの重要性はアメリカではすでに認識されていて、ウォルト・ディズニー、アップル、ナイキ、コカコーラ、リーバイスなど名だたる大企業が自社資料のアーカイブ化に熱心に取り組んでいます。これらの企業CMでしばしば過去の製品CMが使われているのはご存知でしょう。なかにはアーキビストという専門家を雇っている企業もあります。もちろんこれらの企業は、いま現在アーカイブのデジタル化にも着手しています。

充実したデジタルアーカイブを公開することで、その企業が芯の通った経営理念を持ち、長い歴史もあるということのPRになり、それこそが企業に対する信頼感へとつながっていくのです。ですから、自社の倉庫に大事に創業当時の社内誌を保管しておくのではなく、デジタルアーカイブという形でオープンにすることが必要不可欠なのです。

デジタルアーカイブのメリットについてはこちらの記事にてより詳しく解説しています。

デジタルアーカイブを取り入れている企業・機関

それでは実際にデジタルアーカイブを導入し、大きな効果をあげている企業や機関をいくつかご紹介します。

資生堂企業資料館

資生堂のイメージ

日本でデジタルアーカイブに積極的に取り組んでいる企業として、資生堂が挙げられます。

1872年に創業した資生堂は、企業文化を経営資産と位置づけ、1990年に企業文化部を設置しました。企業文化部は、社の記録をアーカイブとして管理するための部署です。さらに1992年には創業120周年を記念して資生堂企業資料館を開館しました。同館ではなんと約20万点もの資料をアーカイブとして保存していると言います。

その内容は多岐にわたり、ポスターなどの広報資料や商品のパッケージ、そして写真やCM映像などをはじめ、『花椿』というPR誌は創刊号からすべて保存されています。こうした姿勢は、海外にも広く販売展開を行っている資生堂にとっては、国外での信頼度を高めることに役立っています。現在、資生堂は世界120カ国で事業を行っているため、歴史ある企業としてのイメージ作りは非常に重要なのです。

資生堂はアーカイブ資料のデジタル化を進め、社内向けにデジタルアーカイブ「SHISEIDO-HISTORY」を公開しています。このデジタルアーカイブでは、2,000点以上の画像をダウンロードすることができ、社員はその画像を商品開発や社内資料、PR素材などさまざまな用途に自由に使えるということです。これによって、社内でも「資生堂らしさ」のイメージが自然と共有されるようになるのです。

また、資生堂のデジタルアーカイブが社外で活用された好例として、アメリカのマサチューセッツ工科大学での教材利用があります。「資生堂が伝える:20世紀初期の日本の化粧品広告とデザイン」と題して制作された教材には、資生堂の画像データが数百点使用されました。2009年にこの講義内容は大学のサイトで公開 され、いまでは世界各地の大学や高校で広く用いられています。

ヤマハ発動機株式会社

ヤマハのイメージ
ヤマハ発動機株式会社(通称ヤマハ)も、アーカイブに対する高い意識をもった企業です。

ヤマハは、「過去・現在・未来」と「コミュニケーション」をキーワードに、ヤマハ製品を紹介する企業ミュージアムを所有しています。ここでは過去に開発したモーターサイクルや自動車の展示を行っています。

そうした実際の展示に加え、ヤマハの過去の発行物やアーカイブ映像をデジタルライブラリーで配信しています。具体的には、創業間もない頃から刊行していた情報誌『ヤマハニュース』、国外の販売会社や代理店に向けて発刊した英語版の『Yamaha News』、ヤマハボートの販売店向けに発刊した情報誌『ヤマハボート/マリンニュース』、また発展途上国の沿岸漁業に携わる人々に手渡していた情報誌『Fishery Journal』など、どれも今となっては手に入らない貴重な資料ばかりです。

やはり資生堂と同様に、ヤマハも自社がたどってきた歴史そのものに価値を見出し、それを未来につなげていこうという活動の一環として、デジタルアーカイブに力を入れている のです。

パナソニック株式会社

パナソニックのイメージ

1918年創業のパナソニック株式会社は、創業100周年をむかえた2018年に、記念事業として100年史の編纂に加え、歴史資料のデジタル化とデジタルアーカイブの構築を行いました

パナソニックの歴史資料とは、創業者松下幸之助の音声や記録映像約7,000本、文書資料や写真アルバム約20,000冊、エポックメーキングな商品約3,000点という具合に、歴史ある企業なだけに膨大な点数に及びました。デジタルアーカイブ構築に向けて、それらの資料を整理、分類し、デジタル化が行われました。データベース化されたパナソニックの企業アーカイブは、社内イントラネットに公開され、社員であれば社内また自宅のパソコンや携帯端末からも参照でき、パナソニックが運営する歴史館の端末からは誰でも一部のデータにアクセスできるようになっています。

アーカイブのメニューは「創業者に学ぶ」「社史を知る」「年表を見る」「資料を探す」「広報誌を読む」「歴史館アーカイブズ」に分類され、キーワード検索も可能になっています。松下幸之助という伝説的な創業者の言葉や思想を、パナソニックが社内教育に活用するとともに、企業のブランディングの点でも重要視していることがわかります。

国立国会図書館

最後に民間企業ではありませんが、日本のデジタルアーカイブを常に牽引している国立国会図書館の活動に少しだけ触れておきます。

国立国会図書館は、日本のデジタル情報全体へのナビゲーション総合サイトを構築することを目的に、ポータルサイトPORTA(現在はNDLサーチに名称変更)を開設しました。このポータルサイトには、国立美術館や公共図書館などの組織が次々と参画し、それぞれが構築したデジタルアーカイブをひもづけることで、今では200種類以上のデータベースを一括して横断検索できるようになりました。

これにより任意のキーワード検索で、約7,000万件の文献情報や全国各地の図書館の所蔵状況を調べることが可能だというからすごい話です。これこそデジタルアーカイブのメリットであり、国立国会図書館は海外機関まで含めてさらに連携先を増加していく方針です。

文化財や文化遺産を遺すために

貴重資料のスキャニング

失われゆく文化遺産や文化財を後世に遺すという意味でもデジタルアーカイブは注目されています。デジタルアーカイブの歴史で触れた通り、そもそもこの概念は、有形・無形の文化資産をデジタル情報の形で記録し、その情報をデータベース化して保管するために日本で生まれたものです。

脆弱な美術品や考古資料、退色しやすい古写真などを高精細の画像データとして記録し、無形文化財と言われる音楽や演劇なども音声や映像データとして記録することで、劣化や消失を防ぎ、次世代へ継承することが可能になるのです。また2008年に文化庁が開設したポータルサイト「文化遺産オンライン」のように、文化財のデータが総合的に検索できる仕組みもできています。これによって、文化財情報が広く共有されるようになり、文化財の保存と公開の両立が可能になりました。

身近になってきたデジタルアーカイブ

画面を見る社会人

デジタルアーカイブについて、その歴史とメリット、具体的な導入事例をご説明しました。「デジタルアーカイブ」は、貴重な資料を扱う図書館や美術館だけの特別なシステムだというイメージが強かったかもしれませんが、ご紹介した通り、実は民間企業でも取り入れているところは増えています

一昔前は、デジタルアーカイブのシステム構築のためには、ハードとソフトの両面で環境構築に大きなコストがかかりました。しかし、クラウドサービスといった通信や情報伝達の技術の開発が進み、またデジタルカメラやスキャナなどのデータ化に用いる機材の進化にともない、コストの面で見違えるほどハードルが下がってきました。この流れは今後も加速していくでしょう。

企業のデジタルアーカイブ構築・運営には、企業理念の浸透、社員教育効果、そして企業のブランディングという様々なメリットがあることもご説明した通りです。デジタルアーカイブは自分の会社には無関係な話だと最初から考えず、自分の会社だったらどんな風に活用できるかな、とぜひ想像してみてください。

企業アーカイブの構築はどうすれば良いの?

とはいえ、自社でデジタルアーカイブを1から作るのは至難の業です。多くの場合外部業者へ相談することになりますが、大規模なプロジェクトゆえ多数の業者が関わることになり、管理コストや予算・期間が大きく膨らむことになります。あまりに長期にわたって検討した結果企画自体が「お蔵入り」した例も少なくありません。

「そのままスキャン」では、アーカイブの企画や資料整理から電子化、アーカイブシステムの開発までワンストップで承っております。デジタルアーカイブ専用のスキャナーを10種類以上所有しているので、あらゆる資料のデジタル化・アーカイブ化にも対応。様々な業者とやり取りに忙殺されることなくスムーズなアーカイブ構築を実現します。

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レバウェル看護に掲載されました。 https://sei-syou.com/news/kango-oshigoto_202307 https://sei-syou.com/news/kango-oshigoto_202307#respond Tue, 04 Jul 2023 03:40:11 +0000 https://sei-syou.com/?p=12402

レバレジーズメディカルケア株式会社様が運営されている看護業界に特化した求人紹介/転職支援サイト「レバウェル看護」にて、2023年7月4日に記事「働きやすい職場づくりと女性特有の疾患への対策に寄与する企業」に弊社が掲載されました。

皆様、ぜひご一読ください。

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デジタルアーカイブのメリットとは?代表的な機能も紹介! https://sei-syou.com/library/what-is-digitalarchive-merit https://sei-syou.com/library/what-is-digitalarchive-merit#respond Tue, 27 Jun 2023 10:43:53 +0000 https://sei-syou.com/?p=12355

2023年4月に施行された改正博物館法にて、博物館の事業の一つとして資料のデジタルアーカイブ化が盛り込まれることになりました。最近では民間企業の間でもデジタルアーカイブを構築・公開する事例(企業アーカイブ)も増えており、史資料に関わりの少ない人にもデジタルアーカイブが身近になってきました。

一方「デジタルアーカイブ」という言葉は、わかるようで具体的なイメージが難しい概念でもあると思います。本稿では、デジタルアーカイブで出来ることや導入のメリット、実際の活用ケースについて解説したいと思います

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デジタルアーカイブとは

デジタルアーカイブ

まずは「デジタルアーカイブ」とはそもそもどんなものなのか、簡単に解説しておきましょう。

「デジタルアーカイブ」という言葉は、古文書や公文書、記録文書の集合、もしくはそうした文書を保管する場所を示す「アーカイブ」という言葉に「デジタル」をつけた和製英語です。

デジタルアーカイブは、古文書や公文書だけに限らず、出版物、有形・無形の文化財、その他歴史資料等のあらゆる知的資産をデジタルコンテンツとして記録・管理し、さらにインターネットを通じて広く公開する仕組みを指します。

デジタルアーカイブのメリットを端的に言うと、いつでも、どこでも、誰でも、自由に、コンテンツが利用できる点です。つまり、昼でも夜でも、世界のどこからでも、専門家でなくても、おまけに無料で、その情報にアクセスすることができるのです。デジタルアーカイブによって、情報が飛躍的に広まっていくことが容易に想像できますね。

デジタルアーカイブの普及は日本だけではなく、世界的な動きだと言っても過言ではありません。むしろデジタルアーカイブを牽引しているのは、欧米諸国の方です。

遡れば、1995年にG7(先進7ヵ国)世界情報インフラ関係閣僚会議(1995年2月,ブラッセル)において打ち出された「電子美術館・博物館構想」が、デジタルアーカイブという概念に繋がっていくものでした。そして2008年には、国際図書館連盟(IFLA)とオンラインコンピューターライブラリーセンター(OCLC)から、美術館・博物館(Museum)、図書館(Library)、文書館(Archives)の頭文字をとったMLA構想が発表されました。このMLA構想は、美術館・博物館、図書館、文書館が連携して情報を共有しようという働きかけであり、デジタルアーカイブ先進国である欧米を中心に各機関がデジタルコンテンツの充実を図るようになりました。

最近では、このMLAに、大学(University)と産業界(Industry)を加えて、「MALUI連携」という概念が生まれ、大学や企業の資料もデジタルアーカイブの対象になっています。

こうしたデジタルアーカイブ先進国の欧米の動きに続く形で、日本でも2000年代から徐々にデジタルコンテンツの作成と公開が進み始めました。いまでは公的機関がデジタルアーカイブを構築することは、社会的責務とも考えられています。

デジタルアーカイブのメリットは?

デジタルアーカイブには様々なメリットがあります。ここでは代表的なデジタルアーカイブのメリットを紹介していきましょう。

資料の共有が容易になる

PCでファイルデータを共有

デジタルアーカイブ構築の目的で最も多いのは資料の共有、公開です。デジタルアーカイブとして資料をインターネットに公開すれば、全世界のユーザーが資料を閲覧することが出来ます。

従来は原本をわざわざ取りに行って直接参照する、もしくは原本のコピーを都度撮って共有するといった手間のかかる方法を取らざるを得ませんが、アーカイブシステムを公開しておけば自由に手元のデバイスで資料を検索・閲覧出来るようになります

資料の劣化・紛失を防ぐ

「そのままスキャン」ではこれまで数多くのデジタルアーカイブ構築支援を実施してきましたが、その中で特に聞かれたのが希少資料の劣化と紛失です。

例えば紙資料は日焼けで色褪せたり、原本が擦れた結果一部ページが抜け落ちてしまうということが少なくありません。また希少資料とはいえ、利用者の“欲しい情報”がその中にしかない場合は都度持ち出されることになりますが、いつの間にか行方不明になってしまった、という例も少なからず存在するのです。

デジタルアーカイブに先立って電子化しておけば、中身の参照や共有はデータで済ますことが出来ます。原本は引き続き保管箱や書庫で大切に保管しておけば劣化・紛失の心配がありません

資料の検索性を高める

検索のイメージ

図書館で本を探す時、検索用のPCを使ったことのある方は多いと思います。蔵書の貸し出し状況や開架場所、著者情報や出版年といった基本情報が瞬時に把握出来るのは大変便利ですが、これと同じことがデジタルアーカイブでも実現出来ます。

デジタルアーカイブでは各資料に「メタデータ」と呼ばれる情報が付与されます。これは著者名やカテゴリ、ページ数、資料のタイプといった基本的な情報のことで、これらを付与しておけばデータベース上での検索・閲覧が瞬時に出来るようになります(図書館の検索システムも同様の仕組みです)。

数百〜数万点ある資料の中から目当ての1冊を見つけ出すのは面倒ですから、これは大変大きなメリットと言えます。

資料整理が出来る

資料が整理された倉庫

前項と重なる部分もありますが、デジタルアーカイブを構築すると資料整理が出来るようになります。『デジタルアーカイブを作るには、資料を整理する必要がある』と言い換えられるかも知れません。

デジタルアーカイブ構築フローの序盤で「概要調査」と呼ばれる作業があります。これは資料の保管状況、分類、種別等を調べて資料の全容を把握し、アーカイブのアウトラインや費用感を設計するために行うもので、ここの概要調査の結果を基にアーカイブ化する資料の系統を決定することになります。

あらかじめ資料が系統別に適切に保管されているケースもありますが、数量も資料の種類も全くわからない状態でも、デジタルアーカイブを構築する上では概要調査、加えて資料の系統の把握が必要となります。つまり、デジタルアーカイブを進める上で資料の整理は“いずれにしろやらなければならない”ことなのです。

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デジタルアーカイブにデメリットはあるの?

必ずしもデメリットがある訳ではありませんが、注意点をいくつか挙げさせていただこうと思います。

公開までに膨大な時間がかかる

資料の数量や仕様、ご予算にも依りますが、どんなに小規模でも企画から公開まで最低1年はかかると見てください。実際には2~3年以上要するのが一般的です

なぜここまで日数が必要かというと、資料のカウントや調査、仕様固め、スキャニング等それぞれの作業フェイズで数ヶ月以上必要となるからです。企画しているうちに予算上の都合が生じ、プロジェクト自体ペンディングに・・・ということも珍しく無いため、まずはデジタルアーカイブに詳しい担当者や業者にイメージを確認するのが良いでしょう。

“作って終わり”になりかねない

デジタルアーカイブ一般が抱える大きな課題として、『時間と費用をかけて作るだけの価値を見出すのが難しい』という側面があります。

デジタルアーカイブのメリットは先述した通りですが、いずれも売上に直結するものではなく、ブランディングや教育といった活用方法が中心です。しかしそうした活用方法を最初に意図していないと“完成したのはいいけど、何の役に立つの?”ということになりかねません。

デジタルアーカイブを企画する際は、何よりもまず「何のために作るのか?」を明確にすることが大切です

デジタルアーカイブで出来る事とは?

それでは実際にデジタルアーカイブというシステムでは、どんなことが出来るのでしょうか。アーカイブシステムに一般的に備わっている主な機能をご紹介しましょう。

検索・横断検索

検索のイメージ

デジタルアーカイブの最も重要な機能は、検索機能です。

充実した検索機能を持つことで、利用者がストレスなく目的のコンテンツまでたどり着くことができるようになります。カテゴリごとに検索したり、フリーワードで全文検索対象項目の中から検索したり、日付や数値などの範囲を指定して検索したり、様々な検索方法を選ぶことができます。

ただしこれだけであれば、Excelで作ったデータと大きな違いはありません。デジタルアーカイブの拡張性、発展性を支えているのが、横断検索機能です。横断検索とは、複数のデータベースを同時に検索することができる機能です。

横断検索で重要なのは、デジタルコンテンツの各項目に付与されている「ID」、「年代(作成年度)」、「資料名」、「作成者(部署名)」、「場所」、「備考等」といったメタデータです。SRU(Search/Retrieve via URL)、SRW(Search/Retrieve WebService)、Open Searchといった情報検索用APIを用いて、コンテンツに付与されたメタデータを取得することで、外部サーバーのデータベースの情報にもアクセスできるのです。APIについては、次に詳しく説明します。

標準規格のAPIの提供

API

デジタルアーカイブを積極的に活用してもらうためには、なるべく利用者にとって扱いやすい検索システムであることが必須です。汎用性のない独自のシステムを作り上げていては、利用者に使い勝手の悪いシステムになってしまう恐れがあります。

他のデジタルアーカイブシステムとリンクし、シームレスな利用ができることが利用者にとっての利便性につながりますが、そのためにはサーバー間で柔軟にメタデータのやり取りが可能になるよう、API(Application Programming Interface)を設ける必要があります。

APIとは、デジタルアーカイブのようなオペレーティングシステムやアプリケーションソフトなどが、他のシステムやアプリケーションソフトに対し、機能の一部を利用できるよう提供するインターフェースのことです。多くのデジタルアーカイブシステムには、このAPIを提供する機能があります。標準的な検索用のAPIとしては、SRU、SRW、OpenSearch、OpenURL、Z39.50などがあり、ハーベスト用APIとしてはOAI-PMHなどがあります。

こうした標準規格のAPIを複数提供しているデジタルアーカイブシステムであれば、他機関のデジタルアーカイブやその他のサービスとの連携が期待できます

アクセスの管理

アクセス管理のイメージ

デジタルアーカイブシステムでは、ウェブアクセス状況、通信履歴などのログをとって、管理者はデジタルアーカイブがどのように利用されているか詳細に状況を把握することができます。また、これらのデータを用いて、「閲覧数ランキング」や「ダウンロード数ランキング」などを作成することも可能です。

このようにシステムへのアクセスを管理することは非常に重要です。なぜなら、利用状況を正確に把握することで、利用者のニーズを適切に読み取り、そこから効率的にデジタルコンテンツの充実化を図ることが可能になるからです。

多言語対応

多言語

デジタルアーカイブのシステムによっては、多言語対応機能が備わっているものがあります。

デジタルアーカイブは、インターネットを通じて国内のみならず全世界に公開されることになります。コンテンツの活用を促進するためには、ユーザーインターフェースの多言語化が鍵となります。利用者が日本語以外に、英語や中国語、フランス語、ドイツ語など表示言語を切り替えて、ストレスなく閲覧できるようにすることが求められているのです。

多言語対応がなされているシステムであれば、分野を横断した統合ポータルの構築や、海外のポータルサイトとの連携などといった可能性も広がります。海外のポータルサイトの圧倒的な充実ぶりについては後で詳しく述べます。

画像・動画の配信・ダウンロード

動画閲覧

デジタルアーカイブが収集するコンテンツには、テキストデータだけでなく画像や動画、音声なども含まれます。そのためデジタルアーカイブシステムでは、こうした画像データや動画データを利用者が特別なソフトウェアを用いなくても閲覧、視聴できる機能があります。

ストリーミング配信という形で動画や音声を視聴する方法もありますし、ファイルをダウンロードする方法もあります。利用者は必要に応じた方法で、デジタルコンテンツを体験することができるのです。

バックアップ機能

貴重な資料をデジタル化した場合、最も気をつけなければならないのはデータの消失です。デジタルアーカイブのバックアップ機能がこの問題を解決してくれます。

デジタルアーカイブシステムがクラウドサービスを利用している場合は、クラウド上にバックアップデータを保管するサービスがあります。さらに天災の被害などを考慮して、遠隔地のデータセンター等へのバックアップサービスを提供しているシステムもあります。バックアップ機能の優劣でどのシステムを選ぶか検討する必要もあるでしょう

スマートデバイス対応

スマートフォンの操作
スマートデバイス対応機能を備えたデジタルアーカイブシステムもあります。現在の日本では、59歳以下の年齢層ではスマートフォンの普及率がパソコンの普及率を上回っているというデータがあります。そのため、デジタルアーカイブの閲覧も、パソコンだけでなくタブレットやスマートフォンを用いたケースがこれからも間違いなく増加していくでしょう。

タブレットやスマートフォンといったスマートデバイスは、ディスプレイのサイズや解像度がパソコンとは異なりますし、タップやスワイプといったパソコンにはない操作があるため、スマートデバイスに対応した専用のユーザーインターフェースが必須となります

SNS連携

デジタルアーカイブの検索結果画面にSNSへの投稿ボタンを設置することができるシステムもあります。

スマートデバイスの普及とともにtwitter、Facebookなどソーシャルメディアによる拡散効果も無視できなくなっています。SNSによる共有を簡易にすることで、デジタルアーカイブへの新たな流入が見込めるようになります

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デジタルアーカイブの活用例

デジタルアーカイブの主な機能をおさえたところで、図書館や博物館など各機関でこのシステムがどのように活用されているのかをご紹介します。

図書館

図書館

公共の図書館施設が、図書資料のデジタル化とデジタルアーカイブの構築をすると、まずレファレンス機能をアシストしてくれます。つまり、資料の有無だけを確認したいといった簡単な内容の利用者からの問い合わせが減り、職員の負担が軽減されます

また横断検索によって、自館にない資料を照会することが容易になります。特定の地域の図書館で連携すれば、資料の不足を補い合うことができ、相互に利用者の増加が期待できます。

図書館のデジタルアーカイブのポータルサイトとして国内最大規模の国立国会図書館サーチ[https://iss.ndl.go.jp/]は、全国の図書館、さらに公文書館や博物館・美術館とも連携し、1億件以上のデータ検索が可能になっています。このように図書館にとってデジタルアーカイブの横断検索は、大きな効果を発揮しているのです。

また、図書館の所蔵する貴重図書類は、保存の必要上、閲覧回数を制限したり、閲覧時の取り扱いを職員が管理したりしないといけませんが、これをデジタルコンテンツとして公開すれば、ほとんどの場合現物資料を閲覧のために持ち出す必要がなくなります。これは職員の負担軽減という面だけでなく、資料を未来に安全に伝えるという意味でも非常に大きな効果があります。

博物館・美術館

美術館

博物館や美術館などの展示施設にとって、デジタルアーカイブを活用することの恩恵は大きいと言えます。

博物館・美術館のデジタルアーカイブでは、当然ながら所蔵作品のデジタル画像が主なコンテンツとなります。実物の作品はいつでも公開できるわけではありません。保存のことを考えれば、展示期間は限定せざるを得ませんし、展示スペースにも限りがあります。またケース越しでは、作品の細かな部分が鑑賞できないという問題もあります。

作品を超高精細のデジタル画像にしてデジタルアーカイブで公開すれば、展示の制約にとらわれず、多くの人々に作品を鑑賞してもらうことができます。デジタルアーカイブのコンテンツを利用した電子展示会をウェブ上で行っている博物館・美術館もあります。

このようなメリットがあることから、デジタルアーカイブ導入を進める博物館・美術館は多く、文化庁は全国の国・公・私立博物館・美術館等と連携して、文化遺産オンライン[http://bunka.nii.ac.jp/]というポータルサイトを公開しています。これは各館のデジタルアーカイブコンテンツのメタデータを検索できるシステムで、12万件以上の文化財の情報にアクセスすることができるのです。

この他にも、国立科学博物館が運営するサイエンスミュージアムネット、国立美術館の所蔵作品総合目録検索システム、国立博物館の所蔵品を横断的に検索できるColBaseなど、複数機関の連携したデジタルアーカイブの活用が進んでいます。

公文書館

公文書館

公文書館においても、公文書をデジタルアーカイブで保存・公開することで、誰でも自由に資料を参照できる環境が実現します。

公文書管理法のもとで収集された情報は、国立公文書館と自治体の公文書館を中心とした国立公文書館デジタルアーカイブで公開されています。また、国立公文書館、外務省外交史料館、防衛省防衛研究所から歴史的公文書の提供を受けデジタル化、公開しているアジア歴史資料センターのデジタルアーカイブは、日本だけでなく世界中の日本・アジアの近現代史関係の研究者に利用されています

また、2019年に日本政府は行政文書の電子管理の促進に向けた基本方針を打ち出しました。業務の効率化や文書の改ざん防止などの理由で、行政文書は作成から保存、移管までを一貫して電子化するようにしよう、という動きです。

こうしてデジタルデータとして最初から作成される公文書の数が増加していく中で、情報の保存や利用に関しては、デジタルアーカイブがこれからさらに大きな役目を果していくことが想像できるでしょう。

地方自治体

地域文化

地方自治体やNPOなど地域団体でもデジタルアーカイブは活用されています。

そして、自治体主導のもと地域の図書館や美術館のデジタルアーカイブを連携させることで、巨大な地域文化のデータベースを作り、広く全世界から注目を集めようという動きもあります。誇るべき地域の文化をデジタルアーカイブによって広く公開することで、地域アイデンティティの再認識、地域起こし、地域復興、地域の絆の形成につながると考えられます。

教育機関

大学

大学などの教育機関もデジタルアーカイブを活用しています。

大学図書館のデジタルアーカイブは、主に書誌データを登録している公共図書館のアーカイブとはやや異なり、教員や学生の論文などの学術成果物を登録・公開しています。これは論文を発表した教員らからすれば、今まで以上に多くの人が自分の論文を目にする可能性が高まるというメリットがあります。

研究とは、常に先行研究を踏まえながら発展させていくものですから、本来誰でも自由に参照できる状態であることが望ましいのです。そして大学自体もデジタルアーカイブを通して所属する教員や学生たちの研究結果を公開することで、教育機関としての価値をアピールすることにもつながります。

また、大学が研究資料として収集したものの中には非常に貴重なコレクションも少なくありません。そうしたコレクションを公開することで、世界中の研究者が利用できるようになるというのも、見逃せないメリットです。

企業

オフィス

デジタルアーカイブはいまや企業にとっても重要な役割を果しています。過去の商品そのものや、企画資料、販売促進用の広報物、写真資料や図面など、企業の歴史をたどることのできるものを企業アーカイブといいます。企業アーカイブの重要性が広く認識されていた欧米では、古くから名だたる大企業がアーカイブの充実に取り組んでいます。

この企業アーカイブをデジタルアーカイブの形で公開することで、その企業が芯の通った経営理念を持ち、長い歴史もあるということのPRになり、それこそが企業に対する信頼感へとつながっていくのです。

日本では、これまでも50年史や100年史といった社史を作成して、企業の歴史をまとめることは慣習的に行われていました。しかし、そうした社史が配布されるのは関係者だけですから、その情報が世間に普及することにはつながりませんでした。

しかし近年では欧米の大企業と同様に、日本でも自社がたどってきた歴史そのものに価値を見出し、それを未来につなげていこうという活動の一環としてデジタルアーカイブの構築が進んでいます。そうすることで、企業理念の浸透、社員教育効果、そして企業のブランディングという様々なメリットがもたらされるのです。

海外の事例

欧米の町

ここまで日本における各機関のデジタルアーカイブ活用事例を挙げてきましたが、海外にも目を向けておきましょう。デジタルアーカイブ先進国の欧米では、図書館や博物館といった枠組みにとらわれない情報の共有が進んでいます。

欧州連合(EU)の統合ポータルサイトEuropeanaでは、欧州各国の博物館・美術館、図書館、文書館などが所蔵する図書、映像、音楽、絵画、写真などのデジタルコンテンツが網羅的に検索できるようになっています。その数は、43カ国約3,500機関から、5400万件以上のコンテンツのメタデータを集約しているというから驚くべき規模ですよね。

アメリカにはDPLAというデジタルアーカイブの統合ポータルサイトがあり、大規模な博物館・美術館、図書館、文書館と各州・地域などのサービス・ハブと呼ばれる組織から、1500万件以上のデジタルコンテンツのメタデータを集めて提供しています。

日本もこうした海外の事例にならって、各機関が構築したデジタルアーカイブがよりシームレスに連携することが期待されます。

さらなる機能の発展が期待されるデジタルアーカイブ

未来のイメージ

デジタルアーカイブが出来ることとして、主な機能を挙げてみました。またデジタルアーカイブの活用例についてもご紹介しました。

この記事でご説明した通り、図書館や博物館、公文書館の他、自治体や企業、教育機関などでデジタルアーカイブの構築は着実に進んでいます。デジタルアーカイブを導入することは、大げさに言えば地球規模の知識の共有に参加することなのです。

この数年で、デジタルアーカイブの機能は幅広くなり、またシステムの使いやすさも大幅に改善してきました。AI(人工知能)やAR(仮想現実)、VR(拡張現実)、MR(複合現実)といった技術革新も進んでいます。こうした新しい技術とデジタルアーカイブが組み合わさることで、今後はさらに様々な機能が追加され、より情報の共有が世界的に進むでしょう。

企業アーカイブを構築するサービスとは

先述したように、デジタルアーカイブは永らく文化施設での構築・運用がメインでしたが、近年では日本の企業でもその導入が進んでいます。

しかし単純な資料の電子化と違い、スキャニングをすれば終了、とはならないのがデジタルアーカイブの難しいところ。デジタルアーカイブでは、電子化に加えて

  • 企画
  • 現地(概要)調査
  • 目録の作成
  • 電子化データの加工
  • アーカイブシステムの開発・運用

などなど、それぞれ特殊なノウハウや技術が必要となる作業が発生します。機材を購入すれば良い電子化プロジェクトと異なり、これらを内製化するのは極めて困難です。

「そのままスキャン」では自社コンテンツを掲載・公開するデジタルアーカイブを構築したい法人様向けに、企業アーカイブの構築サービスを提供しています。サービスの最大の特徴は「デジタルアーカイブ専用のスキャナーを自社で多数、所有している」こと

デジタルアーカイブ構築を支援する業者は沢山ありますが、多くは企画やシステム開発のノウハウがあっても、資料のスキャニングにおいては外部業者へ委託することが殆どです。「そのままスキャン」では世界の博物館や図書館で導入されているスキャナーを10種類以上所有。だから大切な資料や情報の流出リスクを極限まで低減させたアーカイブ構築が実現出来ます。

企業・団体のデジタルアーカイブ構築を検討中の方は、ぜひ以下リンク先をご覧ください。

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機密文書の廃棄方法を解説!セキュリティや環境に配慮した方法とは? https://sei-syou.com/library/how-to-destruct-document https://sei-syou.com/library/how-to-destruct-document#respond Tue, 16 May 2023 03:50:00 +0000 https://sei-syou.com/?p=12209 オフィスに保管されている機密文書、皆さんの会社ではどのように廃棄されていますか?一般的なオフィスでよく導入されているのは「シュレッダー」ですが、他にもいくつか処分方法があります。

それぞれの文書廃棄の方法について、その概要とメリットとデメリットを解説しましょう

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機密文書とは?

機密文書

機密文書とは、「社内外に公開されることが適切ではない情報が記載された文書」を指します。「社内外」というのがポイントで、必ずしも社内であれば見られて構わないという訳ではありません。人事評価シートや戦略上の重要なレポート等がイメージしやすいでしょう。

「機密文書」は法律用語では無いため『明確にコレが対象』という定義はありません。しかしいずれにしても「漏洩すれば重大な損害、損失、信用の失墜を招く」という点は変わりません。

機密文書は次の3種類に分けることが出来ます。

  • 極秘文書:最も厳重に取り扱いされる必要のある文書で、会社経営に直結する情報が対象(極秘プロジェクト、M&A情報など)。
  • 秘文書:特定の部署や関係者にのみアクセスが可能な文書(人事情報、重要な契約書など)
  • 社外秘文書:社内での共有は許されるが社外はNGな文書(議事録、顧客情報、企画書類等)

繰り返しですが、これらは企業によってそれぞれ対象となる文書が異なります。但しいずれも不用意に扱ってはいけないため、取り扱いには注意が必要です。

機密文書が漏洩するリスク

PCを眺める女性

では、こうした機密文書が漏洩するとどうなるのでしょうか。

まず、情報漏洩による企業イメージや信頼性の悪化が挙げられます。よくニュースになるのは個人情報の大規模な漏洩ですが、実は「商品の卸価格の流出」など、個人情報以外にも機密情報の漏洩は頻繁に発生しています。こうした事案が発生すれば企業イメージの低下は免れず、徹底した社内調査や広報での謝罪、場合によっては取引停止や損害賠償等も考慮しなければなりません

また意外と知られていないのが競合他社への流出。例えば退社した元従業員が、社内の企画書や商品情報を競合他社である転職先へ持ち出すといった事例は、日本のみならず世界中で見られています。

このように、機密文書の管理を徹底することはコンプライアンスだけでなく経営上も極めて重要であり、その処分方法についても適切な方法を選ぶ必要があります。

機密文書廃棄のポイントは?

機密文書を廃棄する方法は以下で紹介しますが、その前にポイントとなる項目をいくつか解説したいと思います。

環境に優しい(再生紙に出来る)かどうか

機密文書は「紙」なので再生紙としてのリサイクルが可能です。しかし方法によっては二酸化炭素やダイオキシンといった物質を排出してしまうことになり、企業のサステナビリティ活動やCSRの観点からはあまり望ましいと言えません。処理後のフローについても確認することが必要です。

コストやリソースに見合っているか

処理にかかる費用はいわゆる「ピンキリ」で、機械を一台買えば済むレベルから数十万円以上掛かる場合もあり、一概に予算感を掴むことは出来ません。

文書の数量が多ければ多いほどコストや人手が必要のは間違いありませんが、実際に導入する前にサービスについて比較することで大幅に抑えられるケースもあります。業者へ依頼する場合は複数者へ相見積もりを取ることが重要です。その上で費用が今回の目的に適っているか考えましょう。

セキュリティは問題ないか

『廃棄なんだからセキュリティは万全に決まってるでしょ?』と思うかも知れませんが、廃棄したから機密情報が完全に抹消された、とはなりません。方法によっては処理後でも復元が可能ですし、業者に外注する場合でも、文書を預けた後の漏洩リスクは0ではありません

特に業者へ依頼する場合は認証資格(プライバシーマーク、ISO27001など)が一つの目安になります。

機密文書を廃棄する方法

では、機密文書を廃棄するにはどのような方法があるのでしょうか。代表的な方法は以下の3つです。

シュレッダー

裁断された文書

冒頭でも述べた通り、恐らく最も一般的な方法がシュレッダー。機密文書を細かく刻むことで、外部に漏洩するリスクを軽減することができます。

メリットとしては、導入が安価で必要な時・必要な分だけ使用することが出来ることが挙げられます。反面、廃棄する文書が大量にあると非常に長い時間がかかってしまうこと、その間人的リソースが割かれてしまう点がデメリット。また一部にはホチキスの針やクリップが混在していることも考えられ、これらを都度外す作業も必要です。さらに言えば、細かく裁断したとしても悪意のある人物が“破片を繋ぎ合わせて”文書を再現することも不可能ではなく、完全な文書の消滅には至りません

廃棄する機密文書が大量で人手を使いたくない場合は別途、専用の業者(いわゆる出張シュレッダーサービス)へ依頼することを検討しても良いでしょう。しかしこれはかなりの高額になる上、オフィスが地方にある場合は対応すらしてもらえない恐れもあります。

焼却処理

焼却処理

焼却処理とは、機密文書を熱で燃やす処理方法のことです。高温で燃やすため、紙の文書以外にも保管に使っていたクリアファイル、更には磁気テープやCD、DVDなどもまとめて処分することが出来ます。この手段であれば文書の繋ぎ合わせは物理的に不可能となり、セキュリティ上の懸念も払拭することが出来ます。

デメリットとしては、焼却によって二酸化炭素や酸化物質、ダイオキシンなどの排出物が発生し、環境へ悪影響を及ぼしてしまうことが挙げられます。またこの方法は基本的に社内で行うことが現実的ではなく、基本的には専門の業者へ依頼し工場で処分する流れになりますが、工場への配送中にはセキュリティリスクが発生します。厳密には実際に処理が行われる瞬間に立ち会わなければなりません。

溶解処理

溶解処理

溶解処理とは、パルパーと呼ばれる特殊な機械で機密文書を溶かす処理方法のことです。

パルパーでは紙を酸化剤やアルカリなどの薬剤で処理し、液体状にして処分します。当然復元は不可能で、これまで紹介した方法の中では最もセキュリティリスクの低い文書廃棄と言えます。また元々パルパーは紙から繊維を取り出し、再生紙やトイレットペーパーを製紙する際に用いられるもの。つまり溶解された機密文書は再生紙としてリサイクルされるのです。

デメリットとしては、焼却処理同様専用の業者へ依頼する必要があること、また業者によってはクリップやクリアファイルが混在していると受け付けてくれないことが挙げられます。処分は工場で行われますから、運搬中のセキュリティリスクがあることも留意しなければなりません。

電子化からお願いできる溶解処理サービス

スキャン代行サービス「そのままスキャン」では機密文書の溶解処理サービスも承っております。

通常、溶解処理業者は処理作業のみ対応しています。しかし10年以上に渡って電子化サービスを展開してきた「そのままスキャン」なら、処分前の電子化作業から溶解処理まで丸投げOK。溶解処理ではクリアファイル等が混ざっているとそのまま処分出来ないケースもありますが、電子化時に全ての文書を目視でチェックするため、事前の仕分けも不要です。

10種類以上の業務用スキャナーを所有しているため資料の種類も問わず、混在していても問題ありません。プライバシーマーク所持だからセキュリティ面でもご安心いただけます

溶解処理単体でのご依頼も可能!機密文書の電子化やその後の溶解処理にお困りの方はお気軽にご相談ください。

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機密文書の廃棄は適切な方法を選ぼう

機密文書の廃棄について、それぞれの方法とそのメリット・デメリットを解説しました。

機密文書の廃棄は、企業や団体が秘密保持を守るために重要な作業と言えます。シュレッダー、焼却処理、溶解処理など様々な方法がありますが、機密文書の状態によって適切な処理方法は異なりますし、現代では環境に配慮した処理方法を選ぶことが求められます。機密文書の廃棄に関しては、法令や規則に適合しつつ慎重に検討を重ね、分からない場合は無理せず業者へ聞いてみることをお勧めします。

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スキャンの解像度はどう決めれば良いの?資料タイプ・目的別に解説! https://sei-syou.com/library/proper-resolution https://sei-syou.com/library/proper-resolution#respond Mon, 10 Apr 2023 06:01:38 +0000 https://sei-syou.com/?p=12153 オフィスの書類からお家で保管されている写真まで、あらゆる資料をスキャニングする時出て来るのが「解像度をどうするか」問題です。

解像度は高ければ良いという訳ではなく、スキャン画像の使い道や対象資料によって適切な数値が異なります。本稿では、スキャン実績5,000社超の「そのままスキャン」がこれまでのノウハウと経験から導き出した「適切な解像度」について紹介していきたいと思います。

解像度って何?「画質」との違いは?

よく「解像度=画質」と誤解されがちですが、画質とは”画像のきめ細やかさ・美しさ”を示す指標のようなもので、その指標を表す単位として「解像度」があると考えていただければと思います

解像度には“DPI”という明確な単位があります。よく印刷やスキャニングで目にする単位ですが、具体的にどのような意味でしょうか。

DPIとは?

DPIとは

DPIはdot per inchの略で、つまり「1インチ当たりのドットの数」という単位を意味します。例えば300dpiという解像度は『1インチの中に300個のドットがある』という意味です。同じく画質を表す単位としてPPIがありますが、こちらはスクリーンで見る分にはあまり違いがありません。厳密にはDPIは印刷物に、PPIはデジタル画像の品質にそれぞれ使われるものではありますが、一般的にスキャンサービスではDPIをクオリティの基準として使用しています。

基本的には、このDPIの数値が高くなればなるほど画像やテキスト情報が綺麗に写る、と考えて差し支えありません。もちろん数値が高いほど画像の情報量が多いことになるため、データ容量も重くなります。

解像度は「高ければいい」という訳ではない

もしかすると撮影や印刷時『解像度は高い方が良いはず』と思ってしまうかも知れません。例えばスマートフォンの購入を検討する時、カメラやスクリーンの解像度・画素数を気にする方は多いと思いますが、同じような感覚でいくととにかく高解像度を求めたくなりますね。しかし、これは(特にビジネスの現場では)誤った考えです。

解像度は高ければ高いほど容量が増加します。その分ファイルストレージを圧迫しますし、それが大量にあればデバイス全体のパフォーマンスにも影響するかも知れません。弊社では絵画作品のスキャニングも承っていますが、絵画のように特に高解像度が求められる資料は作品1枚で300MB以上生じることも珍しくありません。

ただし適切な解像度を選ばなければならない一番の理由は、実は「表示(読み込み)スピードの遅延」にあります。例えば書類をスキャンして、都度PC画面でPDFデータを表示する際読み込み速度が遅ければ大きなストレスになるだけでなく、業務スピードの低下にも繋がります。後述するように一般的な書類なら400dpiで十分なところ、あえて600dpiでスキャンしてオーバークオリティを求めるケースが少なくないのです。

実際のところ、解像度にはケースや資料毎に適切な数値があります。では具体的にどう判断すれば良いのでしょうか?

それぞれの解像度(dpi)の目安とは?

解像度とその注意点について理解したところで、具体的な場面でどの程度の解像度が理想的なのか紹介しましょう。以下にご紹介する解説は全て弊社が実際にスキャンサービスを展開する上で基準としているものになります。スキャン業者や自社内でのスキャニング時のご参考にしてみてください。

PCで問題なく視認できるようにしたい:300dpi

スマートフォンとノートPC

書籍でも文書でも、PCやスマートフォン等のスクリーンでスキャン画像(PDF)を閲覧したい場合は300dpiがオススメ。300dpiは一般的なスキャナーやプリンターであれば間違いなく可能な解像度です。

スキャン業者のHP等を見ると、時折200dpiの料金を目にすることがあるかも知れません。しかし200dpiまで下げてしまうと、資料の状態によっては文字が掠れてしまう恐れがあります。その分安価ですが、使い物にならなければ意味がありませんから、安易に低価格のプランを選ばないよう注意しましょう。

書類をスキャンしたい:300~400dpi

書類のスキャニング

紙文書を600dpiで保存するメリットはあまりありません。OCR処理を施したり再出力する場合は別ですが、単に画面上で視認出来るレベルであれば前述したようにオーバークオリティです。特にスキャン業者へ依頼する場合は600dpiで値段が跳ね上がりますから、予算を抑える為にも300~400dpi程度を選択しましょう

デジタルアーカイブに使いたい:400dpi

スキャンした画像やPDFをデジタルアーカイブとして保存したい場合は400dpiを推奨します。これは弊社だけでなく一部の博物館等でも言われている基準となります。『PCで閲覧する時と何が違うのか?』と思うかも知れませんが、確かに“普段使い”で300dpiと400dpiにはあまり差が無く、一見すると違いを認識出来ないと言われています。

では何故400dpiが良いかというと、デジタルアーカイブシステムを運用する上で“ちょうど良い”解像度だからです。600dpiは確かに画像がハッキリ写るもののデータが重くなり、システムの運用に影響が出る恐れがあります。一方300dpiまで下げてしまうと、容量は軽くなりますが高解像度とは言えず、アーカイブ資料として閲覧すると少々物足りなさを感じる画質です。

もちろん300dpiでデジタルアーカイブを作ることも不可能ではありませんし、同じアーカイブでも美術作品などは600dpi以上で保存した方が、細部まで精緻に見えるため推奨されています。ただ将来どう使うかわからない・あまり解像度が良くないと不安という方は400dpiを選ぶのが無難でしょう。

スキャン後にOCR処理を施したい:600dpi

スキャンデータにOCR処理を施し、文字検索が出来るようにしたい場合は600dpiが推奨されます

昨今のAI-OCRで「精度」の話が出る時によく言及されるのは『手書きの精度』ですが、そもそもの画像に写っている「印字の明確さ」がOCR処理の精度を左右することは意外に知られていません。そのため、弊社ではOCR処理である程度の精度をお求めの方には基本的に600dpiを推奨しています。まして検索に留まらず「テキストデータの活用」までお求めの場合、600dpiでなければ正確なテキストの保証は出来ません。

スキャニングのスピードは解像度に反比例するため、600dpiまで行くとかなり時間がかかります。しかし妥協して低解像度でOCR処理を施しても、必ずしも精度の高いデータが出るとは限りません。『スキャニングだから同じでしょ?』と安易に考えず、(OCRに限らず)目的に応じで解像度を選ぶことが大切です。

⇨【参考記事】OCR処理ってなに?メリットを紹介

契約書のスキャンをしたい:400dpi

弊社の契約書スキャンサービスでは200~400dpiで料金表を提示していますが、現実的には400dpiがベストです。先に述べたように200dpiという解像度は画像が粗くなり、原本状態やインクの濃さによっては文字の視認が難しくなる恐れがある水準で、弊社でもあまりオススメはしていません。

図面のスキャニングをしたい:200~600dpi

図面のスキャニング

弊社の図面スキャンサービスでは200dpi〜600dpiまでお選びいただけるようになっています。とはいえ200dpiは図面の状態によっては掠れが発生してしまうため、実際には300dpi以上が現実的な解像度です。スキャンした図面データを再度CADデータへコンバートしたい場合でも300dpiで十分です。

図面データを印刷する場合は400dpi〜が一般的とされています。しかし400dpiでの出力は、こちらも表面の掠れが発生する可能性が高いため、弊社では通常600dpiでのスキャニングをご案内しています。

書籍の印刷・出力(複製)したい:600dpi

スキャンした書籍のデータを再出力して出版したい、印刷して使いたい場合は図面の時と同様600dpiがオススメ。多くのスキャンサービスでも書籍や紙文書等一般資料の電子化はこの解像度が最高ランクとして設定されているかと思います。

底本からEPUBデータを作成したい:300dpi/600dpi

EPUBのイメージ

個人の方は非常に稀なケースかも知れませんが、EPUBとはAmazonのKindle等で採用されている電子書籍フォーマットのことです。

EPUBには、画面幅や文字サイズに応じて自在に表示レイアウトを変えられる「リフロー型」、ページ毎に決まった表示しか出来ない(=ほぼスキャン画像そのまま)「FIX型」の2種類があります。このEPUBデータを底本から、つまり紙の書籍をスキャンしてその画像をEPUBデータにする場合はどの程度の解像度が適切でしょうか?

⇨【参考記事】電子書籍でよく目にするEPUBとは?

まず、小説等文字が中心の電子書籍に使われる「リフロー型」は、600dpiが理想的です。というのも、「リフロー型」のEPUBデータには文字のテキスト化作業が発生するからです。これは前出のOCR処理とほぼ同じものだと考えて差し支えありません。OCR処理は高精度を求める場合600dpiがベストですから、電子書籍という商品として発売する場合はこの解像度でスキャニングを行いましょう。

一方のFIX型」ですが、こちらは通常の“スクリーンで問題なく閲覧出来るレベル”で考えていただいて問題ありません。つまり300dpiが適切です

ケースに応じて適切な解像度を

今回は解像度とシーン別の適切な数値(DPI)について解説しました。同じスキャニングでも用途や資料によって考え方が変わることがお分かりいただけたかと思います。

スキャン業者は、このように様々なケースに応じた解像度・スキャン方法を熟知しています。もちろん自社内で完結するに越したことはありませんが、リソースや適切なやり方について不安がある方は、是非業者への外注を検討してみてくださいね。

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書類の電子化とは?メリット、注意点、関連する法律について解説! https://sei-syou.com/library/what-is-document-scan https://sei-syou.com/library/what-is-document-scan#respond Mon, 20 Mar 2023 08:04:04 +0000 https://sei-syou.com/?p=12124 電子帳簿保存法、デジタルトランスフォーメーション(DX)、行政のペーパーレス化の推進、テレワークの浸透・・・現在様々な変化を背景に「書類の電子化」が進んでいます。

書類を電子化することは、単に『紙がなくなる』だけではありません。検索性の向上や情報共有の改善に加え、RPAやAI-OCRといったテクノロジーを組み込むことで劇的な業務オペレーションの改善につながります。書類の電子化は、いまや企業にとって待ったなしの状況です。

しかし、いざ『我が社の書類を電子化することにした!』と言われても、一体何から始めたら良いのか、どこに相談したらいいのか、そしていくらかかるのかイメージが難しいのではないでしょうか。

今回は、スキャン実績5,000社超のそのままスキャンが、書類電子化のメリットや方法、気をつけなければならない点や関連する法律について解説していきます

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書類の電子化とは?

ドッジファイル

書類の電子化とは、紙文書や帳票類などの書類をデータ化することを指します。実際のオフィスには本や写真、ポスター類など様々な資料が保管されていることもあるので、「オフィスにある資料を電子化する」と言い換えることも出来ます。

前述したように、2023年現在書類の電子化は単なるスキャニングに留まりません。最近では電子化後の文書管理システムへの登録、RPAによるCRMへの登録とデータ分析などスキャニングの先の活用まで含めて「書類の電子化」を指すこともあります

書類電子化のメリット

では、書類を電子化するメリットは何でしょうか。改めて確認してみましょう。

保管スペース/コストの削減

電子化を検討する際に「このキャビネットを丸ごと電子化したい」「書庫にあるここからここまでの文書を全部スキャンしたい」等、枚数ではなく保管場所の単位で話が出ることはよくあるケースです。文書を置いている分はそれだけ賃料が発生しており、丸ごとペーパーレスにする(そして不要になったキャビネット等を処分する)ことで節約出来るコストは侮れません。

特に新型コロナウィルス以降、世界的にオフィス縮小の動きが続いています。スペースを大量に占めていた紙文書を電子化出来れば、より賃料の低い小さな事業所へ移転することが可能になります。このように年間を通じて固定費を削減出来ることは、書類電子化の大きな利点です。

検索性の向上

書類を紙で保管している時は、参照する度にファイルを探したり保管箱を開けたりする必要があり、書類1枚探すだけで膨大な時間が必要になります。一方電子化していれば書類のタイトルを入力するだけで、社内データベースやシステムから一瞬で見つけ出すことが可能です(なお、この時重要なのが各ファイルネームの付け方です。これについては後述します)。

単なる電子化に留まらず、書類中の文字情報にOCR処理が施されていれば、中身の単語レベルで何千枚という書類から必要な情報を抽出することが出来ます。

スムーズな情報共有の実現

書類をPDF化しておけば、社内外の方に共有する際チャットツールやメールが活用出来ます。また従来日数を要していた稟議の手続きも、PDF化しクラウド上に保管されていればスムーズな承認が実現します。

劣化・紛失の防止(BCP対策)

基本的に紙の資料は経年劣化を免れません。保管箱で保管しているならまだしも、ファイリングしている状態から都度取り出したりする回数の多い書類はそれだけ破れや汚れのリスクがありますし、最悪の場合紛失することもあります。まだそうしたヒューマンエラーだけでなく、地震や火災などの災害による紛失リスク(BCP対策)も軽く見ることが出来ない懸念点です。

『大して重要でない資料ならともかく、社内的に貴重な資料を無くすなんてことはないだろう』と思うかも知れませんが、実際に弊社で電子化代行をご依頼いただいた企業様に伺うと「長い年月の中で行方が分からなくなった」例は枚挙に暇が無いのです。そしてその資料が社内外において重要な情報資産だったということも、決して少数ではありません。

電子化しておけば、言うまでもなくPDFのコピーが自在に出来るのでデータを紛失する心配はありません。仮に誤って大元のデータを削除してしまった場合でもバックアップを取っていれば復元可能です。これは物理的に紙の書類には出来ないことなので特に大きなメリットと言えますね。

RPAやAI-OCRとの連携

RPAのイメージ

恐らく2023年現在最も重要な電子化のメリットとして挙げられているのが、RPAAI-OCRといったソフトウェアとの連携です。

長らく書類電子化のメリットは、これまで紹介したような「コスト削減」「(電子化と言うより)PDFの機能性」といった観点からのものが中心でした。ところがここ数年でRPAやOCRなどのソフトウェアと連携させることで、業務のワークフローを劇的に効率化・自動化することが出来るようになっています

例えば電子化した書類にOCR処理を施してテキスト情報を抽出し、CRMなどのデータベースへ登録する一連の作業をRPAで自動化することも可能です。「紙の書類を目視で手入力する」という、現場によってはルーティンとなっていた単純作業が、書類の電子化をきっかけに劇的な効率化を目指すことが出来るようになりました。

RPA、AI-OCRは登場からまだ日が浅いものの、それでも目覚ましいスピードでイノベーションが進んでいます。書類を紙のまま扱っているとこの変化に置いていかれることになりかねません。その意味でも、書類の電子化は待ったなしの状況なのです。

書類電子化のデメリット

とは言え、全くデメリットが無いかというとそうではありません。会社や部署によっては電子化したことがかえってデメリットになる場合もあります。電子化するとどのような不利益が考えられるでしょうか。

セキュリティ対策

紙の書類では、入室制限を設ける・閲覧権限をルール化する等で比較的容易にセキュリティ対策を講ずることが出来ましたが、電子化しても情報漏洩のリスクがあります。

電子化の場合は保管ストレージのウィルス対策、アクセス制限、アクセスログの管理、データのバックアップ等様々なセキュリティ対策を取らなければなりません。またソフトウェア上だけではなく、保管しているハードディスクを「物理的に」チェーン等で盗難を防ぐことも求められます。

情報セキュリティ等、ある程度の専門知識も必要になるため、紙の保管に比べると敷居が高く思えるかもしれません。

ストレージの課題

紙の書類には原本紛失や破損の可能性がありますが、電子化したデータにもシステムトラブルやストレージの不足などにより消失する可能性があります。書類データにはバックアップを設けるのが理想的です。

コストの課題

以上を考慮すると、セキュリティソフトの導入、サーバータワーの設置、ストレージの確保・・・という具合に様々な費用が発生することとなります。特にセキュリティ対策を講ずる場合は専門の人員を当てるため人件費も加算されることを忘れてはいけません。「電子化のコスト」と聞くとスキャニング費用のみ考えがちですが、導入にはこれだけの費用が発生するのです。

データ管理、整理の手間

紙の書類に比べると、電子化した書類は容易に検索や整理が出来るため作業の効率化が期待出来ます。しかし電子化した書類の整理や管理が不十分な場合、逆に作業の手間や混乱を招くことがあります

よくあるのは、ファイル名を適当に付けてしまうケースやファイルの保存場所をいい加減に考えてしまうこと。紙の書類同様、電子ファイルでも運用・保管からファイル名付与までルールを定めることが必要です。

電子化する場合はこの点まで考えないと、後々非常に検索や管理が面倒になります。

書類電子化の方法

電子化のメリット・デメリットを理解したところで、具体的な電子化の方法を見ていきましょう。

書類を電子化する方法は、大きく4つに分けられます。

コピー機・複合機

オフィスの複合機

最も簡単な方法は、オフィスにあるコピー機(複合機)を使ってスキャニングすることです。

普段から使っているコピー機なら従業員も慣れていますし、万が一故障した場合でもサポートや修理が充実しているので、最もリスクなく電子化を進めることが出来ます

デメリットとしては、やはりコア業務の合間を縫って作業しなければならないこと(人的リソースの投入)が挙げられます。オフィスのコピー機や複合機は大量の書類をスキャンする想定で設計がされていないため、量が多ければ多いほど作業が大変になるでしょう。

また、多くのコピー機は最大A3サイズ程度の書類を想定しています。仮にオフィスにA2以上の大きな資料や分厚い書籍があった場合、スキャンの効率性は著しく下がります。あくまで会社のコピー機を使うのは数量が限定された“普段使い”に留めるのが良いでしょう。

スキャナーのレンタル・購入

レンタルしたスキャナーで書類を電子化

数が多い、一部スキャン対象に書籍や大きな資料が発生した場合はスキャナーをレンタルする方法もあります。

スキャナーは大きく「自動スキャナー(上写真)」と「手置きスキャナー」の2種類に分けることが出来ます。「自動スキャナー」は文字通り数十枚単位の書類を自動でスキャンしてくれる機材で、書類を大量にスキャンしなければならなくなった時に短時間でのスキャニングを実現

「手置きスキャナー」は1ページずつ手作業で動かす必要のあるスキャナー。こちらは「自動」では対応出来ない書籍や冊子になっている資料の電子化が可能で、「自動」よりも時間はかかりますが裁断しないで電子化することが出来ます。またA2以上の大きな資料も、業務用の「手置き」があれば簡単にスキャンが可能です。

どちらも単なる電子化だけでなく、自動の傾き補正やOCR処理など嬉しいオプション機能が搭載されていることが多いです。

なおいきなり購入するのは気が引ける・・・という方は、販売に比べるとサービス自体少ないもののレンタルという選択肢もオススメです。スポット的に数日〜数週間だけ使いたい場合はむしろレンタルの方が費用を抑えられてお得ですね

注意点としては、慣れない機材を使うことになるため、最初の1日〜2日程度は思うように作業が進まないかも知れません。また前述したように、定期的に使うことが確実でない限り、まずはレンタルで様子を見ることをおオススメします。

スキャン業者への外注

株式会社誠勝 奈良支店のスキャナー

とはいえ、いくら自社内での作業に慣れたとしても量が膨大な場合はリソースがかかります。こういう場合にオススメなのはスキャン業者への外注です。

前項で紹介した一連のスキャナーを揃えていることが多いため、こちら側で機材やツールを用意する必要がありません。また機材だけでなく、スキャン作業に最適な作業体制・現場の構築、スキャニングのエキスパートの存在といったハード/ソフト両面での技術力を期待することが出来、自社で行うよりも遥かに高いクオリティを期待することが出来るでしょう

一方の懸念点としては、やはり外部の業者を使うということでセキュリティが第一に挙げられます。「スキャニングの業者」と言っても非常に幅が広く、数千人以上の従業員を有しビル一棟丸ごと万全のセキュリティ対策を講じている大企業もあれば、マンションの一室にスキャナーを置いているだけの「自炊代行」に近い業者も「スキャン業者」の一つです。

HP上で取得している資格や規格を確認する、これまでの実績企業を確認するというのも業者のセキュリティ対策を確認する上で重要ですが、入念に行う場合は実地見学、つまり業者のオフィスへ直接足を運んでヒヤリングやセキュリティ体制を確認するのがベスト。特に重要書類の電子化を依頼したい・予算規模が高額になりそうな場合は見学を打診することをオススメします。

気になる費用ですが、業界平均としては1ページ3円〜10円程度が電子化の相場となっています。とはいえ単なるスキャニングに留まらず、書類のホチキス外しやOCR処理などの前後処理も加味すると、費用は実際に見積もりを取らなければ確実には分かりません。あくまでHP上の料金表記は予算感の把握程度に留めましょう。

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書類撮影アプリの使用

レンタルしたスキャナーで書類を電子化

大量に発生する場合はあまり現実的ではないものの、スマートフォンアプリを使って書類の電子化を行うことも可能です。

例えばAdobe社がリリースしたスマートフォンアプリAdobe Scanでは、スマートフォンのカメラで紙の書類を撮影→PDF化やデータ同士の結合、画像へのコンバート、OCR処理など一連の機能を使うことが出来ます。

とはいえ1枚ずつ撮影する必要はあるため、あくまでサブ的な利用に留めるのが良いでしょう。

なお、今回ご紹介した方法含め「自社で電子化する方法」については別記事で詳しく解説しています。宜しければ以下記事をご覧ください。

⇨解説記事「セルフスキャンの方法6選!コンビニからアプリまでお安い方法を紹介」を読む

書類電子化の進め方

書類の電子化には様々な方法があることが分かったかと思います。では具体的にどのように進めれば良いのでしょうか?

以下より書類電子化の流れについて解説していきます。なお自社内で行うことを想定に解説していきますが、外注業者に依頼する場合も基本的には同じです。外注を検討している方も併せてご覧ください。

①書類の確認・選別

いきなり片っ端から書類を電子化するのではなく、対象となる資料の確認および電子化の是非を行います。これはやや面倒ですが、極めて重要な作業です。

というのも、書類の数量やサイズ、それぞれの書類の内容によって予算・人員・スキャン期間が大きく変わってくるからです。規模が大きくなればなるほど大変ですが、関係部署や担当者へのヒヤリングを行い、最小限のリソースと納期で済むよう慎重に検討を行いましょう

ちなみに弊社では数万ページを超える書類電子化のご相談を多数承ってきましたが、ご担当者様がまず最初に「挫折」するのがこの段階。数量が多く、また種類も様々で色々な部署へ確認しなければならないことから、その選別に半年以上かかってしまうということも珍しくありません。結果『予算が取れなくなり、電子化自体やらないことになった』というケースも多々あるのです。この「書類の確認・選別」にある程度時間と労力がかかることを、予め想定しておきましょう

②解像度とデータ形式の確認(目標設定)

基本的にデータ形式はPDFになると思いますが、問題は解像度です。

カメラから考えると「解像度は高い方が良いだろう」と思いがちです。しかし一般的なスキャナーの最高解像度である600dpiは、実はオーバークオリティ。これは印刷出力で選択される解像度設定で、PDFを画面に表示するだけでも長い読み込み時間が掛かってしまいます。またあまり知られていないことですが、スキャナーを使う場合は解像度が上がるほど「読み取り時間(スキャニングにかかる時間)」も長くなる傾向があります(ちなみに業者へ依頼する時、解像度が上がるほど料金も高くなる理由はここにあります)。と言っても1ページ当たり1秒に満たない程度ですが、これが数万ページに上ると侮れません。

そのままスキャンで書類の電子化をご依頼いただく時は、一般的に400dpiをオススメしています。もし書類データをPCで見たい、クラウドで管理運用したいという程度ならばこの解像度が最適です。後述するe-文書法などの関連法規の要件にも十分なクオリティを確保出来ます。

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③スキャニング

前準備と仕様の設定が終わったらいよいよスキャニングです。スキャニングは次の作業に分けることが出来ます。

1.ファイルから取り出す

ファイルから書類を取り出す

意外に見落としがちなのがこの作業。例えばクリアポケットに収納されている書類を電子化する場合は「ファイルから取り出す」、ドッジファイルに収納されているなら「バインダーを外して書類をバラす」作業が発生します。

スキャン業者によってはこの作業に追加料金を設定するほど、この「取り出し作業」は手間がかかります。いい加減にやると書類を破損するリスクもあるため、少なくとも慣れないうちは慎重に行いましょう。

2.ホチキス外し

ホチキス外しの作業

書類がクリップやホチキスで留められている場合は必ず外してからスキャンしましょう。もしホチキスの針が残ったままスキャニングしてしまうと機材の故障に繋がってしまいます。十分チェックしてスキャナーにセットしましょう。

3.スキャニング

ADFでの書類スキャニング

書類をスキャナーにセットし、電子化します。自動スキャナーを使う場合、スキャニング中は手が空きがちです。余裕があれば次の書類の整理やホチキス外しといった別作業を進めると効率が良いでしょう

4.OCR処理

スキャンした段階では書類に文字情報は付与されません。書類内の文字をクラウドやイントラ内で検索したい場合はOCR処理を行いましょう。ただしOCR処理を行う場合はスキャン解像度に注意が必要で、200~300dpiだと書類の状態によっては精度が低くなる恐れがあります

④ファイル名変更

一通りPDF化作業が終わったら、各PDFのファイル名を変更しましょう。ファイル名については保存場所やフォルダ階層含め、前もって明文化されたルールを作っておくことが必要です

オススメはファイリングシステムを導入すること。これは元々紙資料の文書管理の為に開発されたシステムですが、電子文書の運用にも十分適用出来ます。詳しくはリンク先をご覧ください。

⑤書類の保管/廃棄

書庫のイメージ

保管年数が法律で定められている書類は、電子化後も引き続き保管が必要です。社内のキャビネットや文書保管箱で保管するのも良いですが、ランニングコストやスペースが気になる場合は倉庫を持つ業者へ外注し、社外で保管することで出費を抑えることが出来ます

一方PDFデータさえ残っていればOKという書類に関しては、溶解処理や破砕処理等で廃棄すると良いでしょう。ちなみに書類の捨て方としてはシュレッダーがポピュラーですが、こちらは紙の破片が残ってしまう上、大量にある場合はスキャニング以上に時間がかかる恐れも。量が多い、セキュリティを厳守したい場合は廃棄専門の業者へ依頼すると確実です。

書類電子化の注意点

以上、書類電子化の方法について紹介してきました。最後に書類を電子化する上で気をつけたい点を紹介します。

セキュリティ(電子化を外注する場合)

セキュリティのイメージ

先述したように、電子化をスキャン業者へ外注する場合、価格や納期と同じく見なければならないのがセキュリティです。

  • プライバシーマークは取っているか?
  • オートロックや監視カメラなどの設備が整っているか?
  • NDA(秘密保持契約)の締結は可能か?
  • これまでどのような企業と取引してきたか?
  • アクセスログの管理はしているか?

等、見積もりを取る段階で業者にヒヤリングをしましょう。なおデータエントリーと違って国外は考えにくいものの、依頼した業者が更に別の業者へ再委託(いわゆる下請け)するケースがあります。実際に作業する業者が誰なのかを明確にしておくことが大切です。

一方自社内で実施する場合も注意が必要です。『すべてのPDFが社内の誰からも閲覧できる』という状況は、一見アクセシビリティが高く属人化していない”良いこと”のように思えますがこれは好ましくありません。情報漏洩のリスクが高く、簡単にコピーやデータの持ち出しが出来てしまうからです。

フォルダごとにアクセス出来る担当者や部署をルール化し、NG行為を周知する等して社内の理解を得るようにしましょう

導入するソフトの検討

ペーパーレス化やデジタルトランスフォーメーションが叫ばれる今、書類電子化は新しいソフトウェアを導入するまたとないチャンスです。シンプルなイントラネットに保管するだけでもメリットはありますが、先述したようにRPAソフトやAI-OCRといったソフトウェア、SaaSの導入によって業務フローが大きく改善します

ただし『安いから、便利そうだから』と安易に導入する前に注意が必要です。企業によってはクラウドサービスの導入が社内規定で難しいこともあるでしょうし、既に導入しているソフトとの連携に対応出来るか、API連携する場合対応できるエンジニアが居るか等様々な確認をしなければなりません。『この機能を使いたいんだけど、今のプランには含まれていない。しかしプランをアップグレードする予算が降りない・・・』というケースも、実は沢山あるのです。

特に2023年現在は後述する電子帳簿保存法やインボイス制度への対応で関連サービスが多数リリースされており、ますます比較検討事項が増えている状況です。ソフトを導入する場合は資料の取り寄せや詳しい者へのヒヤリングを入念に行い、導入後運用に困らないよう気をつけましょう。

関連法規の確認

書類電子化に当たっては関連する法律の確認が必須です。挙げればキリがありませんが、特に代表的な2つの法律を紹介しましょう。

e-文書法

e-文書法とは、「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」という2つの法律を合わせた総称のこと。電子文書法とも呼ばれ、2005年に施行されました。

それまで商法などにより書面、つまり紙での保管が義務づけられていた書類がデータで保存されることを認める法律で、各法律で保存が義務付けられている大部分の書類を電子データで保存することが出来るようになりました。

ただし、電子データで保管する場合は次の4点が技術的要件として求められています。

  • 見読性:データをPCやスマートフォンなどの画面で読めること
  • 完全性:データの改ざんや消失が防止されていること
  • 機密性:不正アクセスや情報漏洩が防止されていること
  • 検索性:速やかにデータを見つけられること

スキャニングやデータ保管の際には以上4要件を留意する必要があります。

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法、いわゆる電帳法は、その名の通り帳簿を電子データとして保存することを認めた法律です。e-文書法と似ていますが、前者が商法や会社法などで定められた書類が対象である一方、こちらは法人税法や所得税法など国税関係の法律で定められた書類が対象という違いがあります。

この電帳法では、紙で作成した書類を電子化して保存するスキャナ保存と呼ばれる形式が認められています。しかしe-文書法同様、このスキャナ保存にも要件があります。

具体的な要件は「バージョン情報の管理」「検索機能の確保」「タイムスタンプの付与」など多岐に渡りますが、電帳法の規定はe-文書法以上に複雑で、このスキャナ保存の要件に関しても変更や緩和が繰り返されています。電帳法を巡ってはネット上に無数の解説記事が公開されていますが、情報が古いものも多く、一概に鵜呑みにすることはオススメ出来ません。会社の顧問税理士など、専門家に相談することを推奨します

いずれにしてもe-文書法、電帳法共に書類のスキャニングや管理において避けられない法律です。それぞれに該当する書類とその要件を把握した上で電子化作業を行うようにしましょう。

自社に合った方法をご検討ください

いかがでしたでしょうか。書類の電子化は様々なトラブルが付きもので、見切り発車で進めてしまうと後から大変なことになりかねません。「業者に任せればあとは大丈夫」と思っても、その業者でアクシデントが発生したり、また電子化が成功しても社内での運用が上手くいかないというケースはよくあります。

いずれの方法を採るにしても、大切なのは「スキャン前の準備と確認」です。自社内で進める余裕が無いという方は、是非私たちのようなスキャン業者へ相談してみてください。

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電子ブック(デジタルカタログ)って何?メリット、作り方、PDFとの違いを解説! https://sei-syou.com/library/what-is-ebook https://sei-syou.com/library/what-is-ebook#respond Tue, 14 Feb 2023 07:33:13 +0000 https://sei-syou.com/?p=12081 電子ブックという言葉を耳にしたことはありますか?紙媒体のカタログやパンフレット、資料等を中心に電子化し、Web上で閲覧できるようになったファイル形式を電子ブックと呼びます。

電子ブックは、紙のカタログにはない特有の便利さがあります。本記事では、電子ブックの仕組みやメリットを中心に、カタログの電子化によく使用されるPDFと電子ブックの比較や弊社で用いている電子ブック作成ソフトActibookについて説明します。

⇨【紙の本から作れます!】電子ブック(デジタルカタログ)の作成サービスはこちら

電子ブックとは?

疑問を持つ女性

電子ブックには以下のように様々な呼び名があります。

  • ebook
  • 電子カタログ
  • デジタルカタログ
  • webカタログ

メディアや企業のWebサイトで呼ばれる名称が異なるだけで、性質は一緒です。この章では電子ブックの基本的な仕組みを説明します。

電子ブックの仕組み

HTML

電子ブックはパソコンやスマホ、タブレットで読むことができる、Web上で閲覧するカタログ。紙のカタログのようにペラペラとめくるアニメーションが入る点が特徴です。

電子ブックはパソコンやスマホ、タブレット等閲覧するデバイスによって最適なレイアウトに変更することが可能。2023年現在におけるWebサイトを思い出してください。同じWebサイトでもパソコンかスマホかでレイアウトが変わるものが大半のはずです。電子ブックは2023年現在のWebサイトのカタログ版と考えるとわかりやすいでしょう。

なぜ、電子ブックは閲覧するデバイスによってレイアウトが変わるWebサイトに似ているのでしょうか。実は電子ブックとWebサイトは同じ技術を使っているため、似ているのは当然なのです。

電子ブックもWebサイトもHTML5という技術をベースに作られています。HTML5で文章等コンテンツを書き、CSSと呼ばれるデザインを扱う技術でレイアウトを設定し、プログラミング言語であるJavaScriptを併用することでペラペラとめくるようなアニメーションを実現しています。電子ブックはWebサイトと作りが同じであるため、Web上で閲覧する形式なのです。

電子ブックは印刷物やデータを元に電子ブック制作ソフトを使用して作られます。作成した電子ブックはサーバーにアップすることによって、Web上で閲覧することができます。一般的にはサーバーにアップして利用する電子ブックですが、DVD等ローカルファイルに電子ブックを用意して閲覧することも可能です。

電子ブックという名称から顧客に対する広告物を連想しますが、社内用書類の電子化にも利用されています。機密性が高い社内資料等はローカルファイルを利用した方が安全かも知れませんね。

PDFとの違い

電子ブックはよくPDFと比較されます。「カタログであればPDFで良いのでは?」と感じる方もいるでしょう。

以下にPDFと比較した電子ブックの違いを列挙しました。順に説明していきます。

  • 閲覧するデバイスに最適化される
  • 閲覧する環境を選ばない
  • データの一部だけを更新できる
  • Webで利用されるリッチコンテンツを使用可能

閲覧するデバイスに最適化される

PDFは閲覧するデバイス問わず、レイアウトは1種類のみです。そのため、パソコンで閲覧していると時は問題なくても、スマホやタブレットで見た時は画面が小さすぎて拡大して見る必要が出てくる場面もあります。

一方、電子ブックは前の節で説明したように閲覧しているデバイスがパソコン、スマホ、タブレットのいずれかによってレイアウトを最適化します。スマホで閲覧している時は、スマホに最適化したレイアウトで表示されるため、拡大や縮小する必要はありません。PDF化されたカタログより見やすいため、ユーザーに優しいカタログとして作成することができます。

閲覧する環境を選ばない

PDFを閲覧するには、パソコンであればAdobe Acrobat ReaderなどPDFを表示するためのソフトをインストールする必要があります。スマホやタブレットでもPDFを読み込めるアプリが必要です。PDFを閲覧するには、専用ソフトのインストールという手間がかかってしまいます。

電子ブックに専用ソフトは必要ありません。Web上で表示するため、ブラウザさえあれば閲覧することが可能です。ブラウザはどんなパソコンやスマホ、タブレットでも最初からインストールされています。電子ブックを閲覧したい場合は、電子ブックを配置してあるサーバーのURLへアクセスするだけでOKです。

データの一部だけを更新できる

PDFの場合、データの一部を更新する場合は元データを修正して保存した後、再度PDFとして書き出す必要があります。つまり、PDFだと更新する度に新しいバージョンを作成する必要が発生します。

例えば自社のWebサイトにPDF化したカタログを設置して、顧客にアクセスして読んでもらう場合、新しいバージョンのPDFを再度設置する手間が発生します。

電子ブックの場合は、データを一部更新したら作業は完了です。新しいバージョンとして書き出す必要がないため、更新作業の手間もかからず、短時間のメンテナンスで済みます

例えば自社のWebサイトに電子ブックを設置して、顧客にアクセスして読んでもらう場合、更新した内容が更新前の電子ブックを配置していたURLにそのまま反映されます。

Webで利用されるリッチコンテンツを使用可能

PDFは、表示出来る媒体が基本的に文字か絵のみです。一応、動画も加えることはできますが、ファイル容量の肥大化等考慮しなければならない要素が増えるため、あまり一般的ではないでしょう。

電子ブックでは、Webサイトで使用されるリンクやページめくりをはじめとするアクション、YouTube動画やGoogleマップを埋め込むといったリッチコンテンツを使用可能。PDFで作るカタログと比べて、動的で使いやすく、華やかなカタログを作ることができます。

EPUBとの違い

本とタブレット

EPUBは主に書籍の電子化に広く使われるフォーマット。電子ブックと同様にHTMLをベースに作られています。リフロー型と呼ばれるレイアウトでは、電子ブックのように閲覧するデバイスに最適化した見やすいデザインへ自動的に変更してくれるなど、ユーザーが電子書籍を読む上で使いやすい性質を持っています。

以下にEPUBと比較した電子ブックの違いを列挙しました。順に説明していきます。

  • Webで利用されるリッチコンテンツを使用可能
  • 閲覧ソフトのインストールが不要
  • データの一部だけを更新できる
  • 用途が異なる
  • ファイルを置く場所が異なる

Webで利用されるリッチコンテンツを使用可能

この2点についてはPDFと同様、EPUBでは実現できません。EPUBでデータを更新したい場合は元データを更新した後、再度EPUBとして出力する必要があります。

閲覧ソフトのインストールが不要

EPUBを閲覧するには専用のEPUBリーダーソフトが必要です。EPUBリーダーはパソコン用ソフトの他にスマホ・タブレット用のアプリが多くリリースされています。2019年現在ではマイクロソフトのEdgeなど一部のブラウザにEPUBリーダーが搭載されるようになり、ブラウザからEPUBを閲覧することも可能です。

PDFの節でも説明しましたが、電子ブックに専用のソフトをインストールする必要はありません。ブラウザからWebサイトを閲覧する時と同じく指定のURLにアクセスするだけで見ることができます

用途が異なる

EPUBと電子ブックでは使用される場面が異なります。EPUBは電子書籍のフォーマットであるため、デジタル資料として書籍を扱いたい時や保管目的で利用されます。

一方、電子ブックはカタログの名前がつく通り、顧客に自社の商品をアピールする時等、営業目的で使用されるケースが大半です。

ファイルを置く場所が異なる

EPUBを閲覧する時は、読み込むEPUBファイルをEPUBリーダーがインストールされているデバイスの中に入れておく必要があります。

電子ブックの場合は、ブラウザから電子ブックが置いてあるURLにアクセスするため、電子ブックはサーバーに置かれている必要があります。そのため、EPUBと異なり、デバイスの中に電子ブックのファイルを置く必要はありません。

なお、EPUBについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

電子ブックの作成方法は?

ここまで、電子ブックにはただの電子書籍に留まらない、様々なメリットが沢山あることが分かりました。では、電子ブックはどのように作れば良いのでしょうか?

電子ブックはPDFのようにPCに標準搭載されている訳ではなく、専用の作成ソフトを使う必要があります。その上で電子ブックを作る方法は大きく2つです。

電子ブック作成ソフトを導入する

電子ブックは一見多機能なため難しそうに見えますが、お手元にPDFなど冊子のデータがあれば、専用ソフトを使うことで簡単に自作することが出来ます

電子ブックにはいくつかソフトがありますが、中でも10,000社以上で導入されているクラウドサーカス社の「アクティブック」が特にポピュラー。このソフトについては記事の後半で紹介します。

電子ブック作成「代行」に依頼する

自作した電子ブックのイメージ

もう一つの方法として、電子ブックの作成を丸ごと代行してくれるサービスへ依頼する方法があります

電子ブックの作成ソフトは基本的に月額制です。しかしスポット的に利用したい、少しだけ作りたいので割に合わないというケースも十分あるはずです。作成代行サービスではPDFを送れば電子ブックのを1冊単位で作成してくれるので、自社での導入や自前で作成することが難しい方に最適と言えます。

基本的にはページ単位での料金設定なので、必要な時、必要な分だけ支払えば良いのは嬉しいですね。

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電子ブックが使用される場面

前章では電子ブックの基本的な情報を説明しました。では、電子ブックはどういった場面で使用されるのでしょうか?

電子ブックが使用される媒体

電子ブックは主に企業のパンフレット製品カタログホワイトペーパーや広報誌等の資料が中心。顧客の元へ届ける必要のあるものが電子ブックとして取り扱われます

ただし必ずしも販促物ばかりとは限らず、一部では会員向けに公開する会報誌や書籍などのWebコンテンツとしての活用も徐々に増えています。例えばそのままスキャンで電子ブック化を承っている株式会社絵本ナビ様は、自社の情報サイトに掲載する絵本を「コンテンツとして」電子ブック化し公開しています。

このように、販促物としての使い勝手もさることながら純粋なWebサイトのページとしても使われるなど、様々な活用の可能性を持っているのが電子ブックなのです。

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電子ブックのメリット

メリットのイメージ

電子ブックには、紙のカタログでは実現できない多くのメリットが存在します。

見込み客の開拓に貢献

紙のカタログは郵送や手渡し等、制限された範囲内でしか配布することができません。ですが、電子ブックは自社のWebサイト等からオンラインで公開可能。紙のカタログと比べて、多くの人に見てもらえる可能性があります

多数の人にカタログを閲覧して貰えれば、それだけ自社の商品に興味を持つ見込み客を開拓できます。

印刷コストの削減

電子ブックは紙のカタログと異なり、印刷する必要がありません。電子ブックを採用することで、印刷コストを大幅に削減することができます

また、印刷コストを削減することによって、環境活動へ取り組んでいることをCSR報告書等から社会へアピールすることが可能です。

顧客に届くまでに時間がかからない

紙のカタログだと、顧客が注文してから届くまでに時間がかかりますが、電子ブックだと顧客が見たいタイミングですぐに閲覧可能。顧客のニーズが冷めないうちに情報を提供できるため、見込み客の獲得につながります。

一括管理できる

複数の紙のカタログがあるとかさばってしまい、管理コストがかかってしまいますが、電子ブックでは複数のカタログを一括管理できるため、コストがかかりません。

また、電子ブックのデータを更新すれば、全ての顧客や社員が最新のカタログを閲覧することが可能になります。最新版を閲覧している人と旧版を閲覧している人に分かれる、といった状態を回避できます。

営業社員の負担を軽減

営業社員は営業先に行く時に重いカタログを複数持つ必要がなくなります。代わりにカタログ閲覧用のタブレットやパソコンだけ持ち出せば良いため、営業社員の負担軽減が可能

営業先でカタログを見せる時も目当てのカタログをカバンの中から探す必要がなくなるため、スムーズに営業活動を行えます。

電子ブックのデメリット

以上のようにとてもメリットの多い電子ブックですが、注意しなければならない点もあります。

タブレット等デバイスがないと閲覧できない

パソコンやスマホ、タブレット等Webに接続できるデバイスがないと電子ブックを閲覧できない点がネックになります。また、電子機器類に疎い人の割合が多い高齢者層に訴える内容は、電子ブックに向かないでしょう。

流通費用の代わりに広告費用が

電子ブックは紙のカタログと異なり、顧客や書店に届けるための流通費用がかかりません。一方で、多くの人の目に触れるには広告活動を行う必要があるため、広告費用が発生します

PDFと比べた時の優位性

ノートPCで閲覧する女性

カタログをPDFで出力すれば、データのカタログとして使用可能です。しかし、電子ブックはPDFで出力したカタログと比べて優れた面がいくつも存在します。

表示速度が速い

Web用に特化してあるため、開く速度がPDFと比べて高速。電子ブック制作サービスEBOOK5では、電子ブックは開くまで3秒なのに対し、PDFでは10秒かかり、差は3倍になると発表しています。

Webサイトのコンテンツは、表示速度が遅いほどユーザーが途中で去る傾向があるため、電子ブックの表示速度は見込み客を逃さず掴むことができる力を持っていると言えるでしょう。

アクセス解析ができる

PDFではクリック数程度しか顧客がアクセスした形跡を解析できません。電子ブックはWeb上で閲覧するコンテンツであるため、Webサイトと同様にアクセス解析を利用することができます。

具体的には下記の項目等です(一部抜粋)。

  • ユーザー数・セッション数
  • ページビュー数
  • 平均滞在時間
  • 離脱率
  • 参照元
  • ヒートマップ

アクセス解析を利用することによって、顧客が何を望んでいるのか、何に対して強い興味を示すのかがわかるため、マーケティングの強化につながります

特にヒートマップは、電子ブックを閲覧した顧客がどの部分をクリックやタップ、拡大縮小等行動を起こしたのかサーモグラフィーのようにわかりやすく表現してくれるため、電子ブックのコンテンツ強化等バージョンアップに貢献します。

電子ブック作成ソフト「アクティブック」

そのままスキャンでは電子ブック作成ソフトアクティブックを使用しています。アクティブックは10,000社の導入実績を持つソフトであり、冊子印刷物の体裁を維持したまま、HTML5やiOS、Androidに対応した電子ブックデータを一度の操作で制作可能。弊社のそのままスキャンと連携して本を裁断せずに電子ブック化できます。

アクティブックでは、Webサイトやスマホ、タブレットで閲覧・利用されたログ情報を解析でき、顧客動向を掴むことによって、問い合わせや閲覧率の向上を目的にしたコンテンツ強化に利用することが可能です。

電子ブックはブラウザで閲覧することがメインですが、アクティブックには専用のパソコン用ビューアiOSアプリAndroidアプリが用意されています。アプリを使用することで、ペンツールで情報を書き込む、本棚機能で複数の電子ブックを簡単に管理できるといった機能を簡単に利用可能です。

私たちそのままスキャンでは、このアクティブック作成を原本のスキャニングから承っております。電子ブックにするためのPDF化からOCR処理、電子ブックへの変換作業、ブラウザ上での動作確認まで全てワンストップで対応。電子ブックを作りたいけど元データが無い・大量・定期的に電子ブックを作りたい方はお気軽にご相談ください。

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電子ブックでビジネスを広げよう

電子ブックのビジネスでの活用

電子ブックはHTML5を使用しているため、2023年現在のWebサイトを形作っているHTMLが廃れることがない限り、電子ブックも廃れることはないでしょう

Web上で閲覧できる電子ブックは非常に利便性が高く、見るデバイスによってレイアウトが変わる点もユーザーのことを考えられた作りになっており、とても便利です。また、Webで使えるリッチコンテンツが使用できる点も見逃せません。

マーケティングに使用できる電子ブックは、商品を販売する会社にとって便利な存在です。見込み客の開拓から、アクセス解析を通してコンテンツの強化を図ることは売上を向上させるためにも重要なポイントになります。

肝心の作成方法ですが、これはスポット的に作りたいだけなのか、定期的な更新が想定されるのかに応じて検討することをお勧めします。いずれの方法でも代行サービスがありますので、リソースが限られている・社内での作成に自信がないという方は外注することも良いでしょう。

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AI-OCRは使えない?導入後の課題6選と対策 https://sei-syou.com/library/problem_ai-ocr https://sei-syou.com/library/problem_ai-ocr#respond Fri, 10 Feb 2023 03:24:57 +0000 https://sei-syou.com/?p=12052 DXやオフィスのペーパーレス化の強力なツールとして多くの企業で導入されている、AI-OCR。従来のパッケージ販売されているOCRソフトやPDFに標準搭載されているOCRには無いメリットや機能が注目されている一方、「AI-OCRのサブスクリプションを辞めた」「思ったよりAI-OCRが使えなかった」という声も徐々に出てきています

2022年6月にハンモック社が実施したAI-OCR導入企業向けのアンケートによると、導入企業の実に8割近くが「AI-OCRに課題を感じている」と回答しています。何故このようなお声が出てしまうのでしょうか。

AIという言葉から完璧さを想像してしまいがちですが、実はAI-OCRにも苦手分野やデメリットがあります。10年以上に渡ってOCRサービスを提供してきたそのままスキャンが解説しましょう。

AI-OCRとは?

AI-OCR

AI-OCRとは、OCRにAI(人工知能)エンジンを搭載したOCRのことを指します

従来のOCRソフトは主にパッケージとして販売されてきており、予め対応する文字に上限がありました。また基本的に読み取りが出来る文字はボーンデジタルが中心で、手書き文字への精度は非常に厳しいレベルとなっていました。

一方AI-OCRはAIエンジンが都度入力される文字を学習し、徐々に精度が上がっていくのが最大の特徴です。特に従来のOCRソフトでは対応出来なかった癖の強い手書き文字の読み取りに効果を発揮しており、これまで書類や紙文書へ手書きで書き込むことが多かった企業やシーンでも導入することが出来るようになりました。更にAI-OCRは多くがクラウドサービスのため、デバイスの紐付けや場所の制約を受ける心配がありません。

以上がAI-OCRのメリットであり、普及してきた理由です。では何故、最近になって「AI-OCRは使えない」という声が出てくるようになったのでしょうか。

AI-OCRが「使えない」とされてしまう理由

前提としてAI-OCRには沢山のメリットがあり、導入することは大小関わらず何らかの恩恵を企業にもたらしてくれます。しかし、次のようなAI-OCRの苦手な部分、デメリットも認識しておく必要があります。

定型化された書類が想定されている

見積書

AI-OCRは主にオフィスの業務効率化やDX化を目的としたソフトです。オフィスで最も発生する紙文書は帳票類、具体的には請求書や領収書、見積書のほか、工場などの現場で作業員が作成する報告書なども頻繁に発生する書類です。

フォーマットのことを定型とも呼びますが、AI-OCRは文字を読み込む前に予め定型を利用者側で設定することが必要です。上記のように定型が決まっている書類は読み取りやすい一方、非定型の資料、例えばフリーフォームのアンケートや調査票のように形が定まっていない資料の読み取りは苦手としています

精度にバラつきがある

PCを眺める女性

先出のハンモック社の調査で、AI-OCR導入後に最も課題として挙げられていたのが「確認作業の手間がなくならない」「文字認識の精度が低い」というものでした。つまり精度への不安・不満です。

多くのAI-OCRが手書き文字の読み取りに対応していますが、実際にはケースによって殆ど認識出来ない場合も少なくありません。もちろん使い続けることで精度は上がりますが、『どんな手書きでも正確に文字認識してくれる!』と期待していた方にとっては『意外とAI-OCRって使えないんだなぁ・・・』と思ってしまうかも知れません。

当然AI-OCRの開発側でもこの点は認識しており、サービスによってはAI-OCRで読み取った後に目視で校正までしてくれるところもあります。しかし作業員を挟む分コストは高くなりがちなので、予算との兼ね合いになるでしょう。

これはAI-OCRに限らずOCR一般に言えることですが、HPや広告で『精度●●.●%以上!』と書かれていても、あくまで「大体の目安」程度に考えることをオススメします。

セキュリティヘの懸念

AI-OCRは多くがクラウド型のサービスになります。これは大きなメリットである一方、社内規定やセキュリティ的な理由からクラウドサービスを簡単に導入出来ない企業も少なくないのではないでしょうか

折角高精度でもこの部分がネックになり、従来のOCRサービスへ依頼するというケースもあります。もっともこちらに関してもサービス側によっては対応が進んでおり、顧客のサーバーに直接インストールする「オンプレミス型」のAI-OCRも続々とリリースされています。

操作への慣れに時間がかかる

PCで操作する男性

これはAI-OCRに限りませんが、クラウドサービスはサービスによって仕様やUIが異なるため慣れるまでに時間が必要です。下手に運用すると『むしろ業務スピードは導入してから遅くなった』ということも。

設定を間違えたまま読み取りを開始してしまい、最初からやり直しになった・・・などとならないよう、導入直後は丁寧に操作する必要があります。

費用対効果(コストパフォーマンス)

AI-OCRは通常月額制です。『毎月定額』と言われるとお得な気がしますが、毎日大量の書類が発生する大企業ならともかく、月によって発行する書類の数量に差がある場合「あまり使わなかった月」も同じ費用を支払うのはなるべく避けたいですよね。

OCRサービスの中には、OCR処理を「代行」してくれる業者も存在します(後述)。この場合は「使う分だけ払いきり」なので、毎月決まった量が出る訳ではない・一時的に大量のOCRが必要な時がある企業の方はOCR処理の代行サービスを利用することをオススメします。

縦書きの書籍に対応していない場合がある

縦書きの日本語の文章

AI-OCRは当初、横書きの英語圏で開発が先行していた技術です。数年前まで縦書きの日本語に対応したAI-OCRは多くありませんでしたが、2023年現在は縦書きの読み取りも可能なAI-OCRが登場しています。

ただしAI-OCR一般の傾向として、やはり横書きの定形フォーマットを最も得意とする点は変わりません。サービスによっては縦書きの読み取りに対応していない場合もあるので、導入を検討する際に必ず確認するようにしましょう。

AI-OCRが向いているシーンとは?

以上紹介したように、AI-OCRには導入する上で気を付けておかなければならないポイントが複数あります。では導入しない方が良いのかと言えば勿論そんなことはありません。

次からはAI-OCRが向いているシーンを紹介しましょう。

定形フォーマットの書類が大量に発生する

大量の書類

繰り返しになりますが、AI-OCRの技術力が最大に発揮されるのはフォーマットが決まっている帳票類などの書類です。これまでペンで直接書き込んだ書類を手入力でExcel等に反映していた企業の方は多いと思いますが、AI-OCRはまさにこうしたケースに最適

それまで派遣社員や事務員が、中小企業ならフロント部署自ら地道に入力していた手書きの情報が一瞬で文字データに変換させることは、控えめに言っても革命的ですね。

DX、RPAの一環として考えている

RPA

OCR処理という技術は意外に古く、1914年に文字列を読み取って電気符号に変換する機械が発明されたことに端を発します。2023年現在、OCR処理はAIを取り入れるまでに大きく進化していますが、「画像データ上に見える文字を読み取り、文字データを付与する」という仕組みそれ自体は従来のOCRソフトの延長とも言えます。

では何故AI-OCRがここまで話題になっているのかというと、RPAなどのシステムと連携させることで業務フローの自動化・DX化が出来るからです。例えば、PDF化した手書きの報告書をAI-OCRでテキストデータ化し、そのデータを更にCRMなどのシステムへ自動的に登録するフローを確立すれば、劇的な作業効率の改善が見込めます。このように、AI-OCRは単なる文字のデータ化だけでなく、業務一連のオペレーションに組み込むことで最大の効果を発揮することが出来るのです。

従来型のOCR代行サービスが便利な場合は?

AI-OCRは精度やコストパフォーマンス等の面で課題があるものの、いずれも今後改善されていくことは間違いないでしょう。

一方でAI-OCR以前より普及しているOCR代行サービスにも、AI-OCRには無い様々なメリットがあります。なお、ここでの「OCR代行」は、書類や書籍を送るとあなたに代わってOCR処理を代行してくれるサービスのことを指します。課題によってはむしろこちらの方が良い場合もあるので参考にしてみてください。

書籍にOCRを施したい

書籍のスキャニング

特に研究者や出版社の方、企業の広報部所属の方などは「書籍の文字データ(原稿データ)が欲しい」と考えたことのあるのでは無いでしょうか。日本で開発されてきた従来のOCRソフトは縦書きが多い日本語の書籍に強さを発揮するため、AI-OCRの登場以前からデータ分析用出版データ作成用シンプルな検索用など様々な用途で活用されてきました

先述したように、現在は縦書き対応のAI-OCRも増えてきたためこの点の優位性は年々弱くなっています。しかし書籍の場合、精度とは別に考えなければならないことがあります。それは、電子化作業です。

書類のような、いわゆる一枚もののペラ紙は会社の複合機でも電子化が可能です。しかし書籍のような本に厚みのある資料は複合機でのスキャンが中々難しいですよね。AI-OCRに限らず、OCR処理は文字を認識する上で「スキャン画像が鮮明であること」が極めて重要で、OCR代行を担う業者では書籍専用のスキャナーを使うことが一般的です。

このスキャナーを購入することは簡単です。しかし書類と違って頻繁に電子化する機会がある訳ではないでしょうし、非破壊スキャンの場合1ページずつ電子化するのは(仮に1冊だけだとしても)膨大な時間がかかってしまいます。つまり、書籍へOCR処理を施すことは全体的に書類よりもハードルが高いのです。

そのままスキャンでは、10年以上に渡って大学、出版社様他あらゆる法人様の書籍のOCR処理を代行してきました。書籍専用だけで4機種以上という豊富な業務用スキャナーと、国内製OCRソフトに独自の校正システムを活用した高精度なOCR処理で、企業様が保管する貴重な書籍や冊子を「使えるデータ」にさせていただきます。

OCRサービスはこちらからご覧ください。

スキャナーや人員が不足している

ADFスキャナー

AI-OCRは確かに素晴らしい技術ですが、大前提として対象資料がPDFや画像等にデータ化されている必要があります。しかし日々発生する大量の書類を社内で逐一スキャンすることは、それこそ業務効率の大きな妨げになります。

複合機ではなく卓上タイプのADFを導入しているオフィスの方もいらっしゃるかと思いますが、それでもスキャンを内製化するのは大きなリソースの負担となる筈です。まして、OCR処理後のチェック作業まで行うのは出来れば避けたいところ。一方いわゆるOCR代行サービスでは、業務用の自動スキャナーなど電子化に必要な機材は全て揃っている上、OCR処理、更にOCR処理後のチェック作業まで全てワンストップで代行してくれます

もちろん料金は一回のご依頼毎に発生するのみなので、OCR処理が必要ない時期に月額費用等を支払う必要は一切ありません。「必要な時に必要な分だけ」OCR処理をしたいという方は、OCR代行サービスも選択肢の一つに入れてみてはいかがでしょうか。

そのままスキャンのOCR代行サービスこちらから

「AI-OCRは使えない!」と言い切る前に

本稿ではAI-OCR導入における課題・注意点と、従来のOCR代行サービスとの比較について解説してきました。今後もAI-OCRの活用シーンは飛躍的に拡大し続けると思われますが、完璧な精度を前提に導入を検討すると「期待はずれ」に感じてしまうかも知れません。一方でケースによっては従来のOCR代行サービスに依頼した方がお得でもあります。

AI-OCRの導入を検討中の方、既に使っている方のご参考になれば幸いです!

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絵画作品の修復の歴史・技法 ルネサンス期から機械学習まで解説! https://sei-syou.com/library/art-restoration https://sei-syou.com/library/art-restoration#respond Tue, 31 Jan 2023 13:13:05 +0000 https://sei-syou.com/?p=12022 美術専門業界ではよく聞く絵画の「修復」。 実際、具体的にはどんな技法が使われているのでしょうか。

本稿ではその技術と必要性について、修復の歴史を遡りながらご紹介していきたいと思います! 「修復」と聞くと職人技のような技術がイメージされるかも知れませんが、最新の修復は凄いことになっているんです。

修復の技術の歴史

これまでの何千年という長い歴史の中、芸術作品はどのような修復技術によって後世に受け継がれて来たのでしょうか。修復の歴史が長いヨーロッパに着目し、現世に至るまで絵画や芸術作品の保存や修復がどの様に行われてきたのか、実例を参考に具体的な修復を取り上げていきます。

修復において重要なことは?

美術品の修復の処置は、これまでの歴史背景と技術、また後世に引き継ぐという面でとても重大な責任を背負っています。

そこで修復の大前提として、最新技術を常に取り入れ、修復前の状態に戻せる状態に出来るよう心掛けながら作業する必要があります。 つまり作品のオリジナルの部分とそこに手を加えた修復部分の『差異』を明確に把握することが重要なのです。

ではそんな長い歴史の中で、どんな修復事例があるのでしょうか。

『最後の晩餐』の修復

最後の晩餐

1726年、実はあの「最後の晩餐」を最初に修復したのは、巨匠ミケランジェロでした。

当時彼はこの絵が油絵具の作品と判断し、表面を強い溶剤を使用した洗浄をさせ、落ちてしまった部分を油絵具で描き足す修復方法をしていました。そして仕上げとして全体を二スで覆い保護する、という工程を実施しています。

しかしその後、これでは長期的な保存が出来ないことが分かり、歴代の様々な修復師や画家による復元が施されます。 そんな中で宗教戦争や第二次世界大戦といった過酷な状況に晒され続けてきました。

最後の修復は、1978年から1999年と最も長期にわたるもので、修復専門の名高いアーティストによる最新技術を駆使した修復によって完成しました。

当時の最先端を駆使した修復

絵画の修復

この修復技術は、まず先に絵画を補強した上で汚染による損傷を回復させ、これまでに施された油絵具等の修復を取り去るところから始めました。

次に最新技術を駆使し、反射鏡や顕微鏡でのコア試料などの科学鑑定を行って絵画の原型を判定。 ここでの判定により、上塗りされた絵の具がダ・ヴィンチの使った元の絵の具を侵食・絵具を剥落させているとされた部分は、ダ・ヴィンチの絵の具をもろとも剥がして修復しました。

このような長い過程を踏み、ようやく今日私たちが見る事の出来る「最後の晩餐」の修復が成功したのです。

後世に受け継がれる芸術品は、これまで様々な歴史や時代背景の中で守られてきたことで、現代の私達が観ることが出来ます。 修復において『保存をする』ということは、文化的資産を未来の世代のために守ることをも意味します。 時の経過とともに劣化しないよう管理をしなければ、私たちの子孫が作品の美しさに触れることは出来ないでしょう。

“芸術作品のドクター”修復師 その技術とは?

続いて現代の修復技術について、詳しくご紹介してきます。

劣化の原因

そもそも何故、劣化するのでしょうか?大体の原因は、おおよそ日々の継続的な変動にあります。

乾燥した土地のヨーロッパに比べると、特に日本では四季の温度変化や湿度による劣化が見られます。劣化の大まかな目印としては、絵画の場合はキャンバスの表面のひび割れ、めくれ落ち、張りの衰え等が考えられます。 その他にも、木枠・木材の傷みや歪み、場合によっては虫害を受けやすくなることもあります。 また、画面をコートしているニス自体が黄色に変色したりします。

このように専門的な保管をしない限り、作品の劣化は必ず発生する環境下にあるのです。

修復の流れ

修復イメージ

では、どんな修復技術があるのでしょうか。 一般的な修復の流れをご紹介します。

最新技術を駆使した調査と修復計画の検討

まず、現状がどういう状態なのかを明確に調査の上に記録し、どのような工程で修復をするのか計画書を作成します。

洗浄

長い年月で積み重なった汚れを落とす作業です。

浮き上がり接着

剥落

剥落(はくらく)という、画面の表面が亀裂等によりキャンバスから絵の具層が剥がれていく現象が発生することがあります。その際、顕微鏡を使用し、浮いている絵の具を貼り付けていく剥離止めと呼ばれる作業を実施します。

変形修正

画面の変形(凹凸)には、上記の説明の通り、絵具やその下地剤等の亀裂や割れによって生じる変形や、キャンバス布や型枠などの支持体の伸縮が原因で生じる変形などがあります。 これらの変形を修正するには、加湿、加温、加圧し、伸縮性を利用した方法を用います。

また、ルースライニング処置といって、作品裏側面の支持体の厚みが薄かったり、劣化・損傷による強度が不足している場合、裏打といって接着剤を使用せず、あらかじめ張った布の上に作品を袋張りをするという専門技法があります。 この作業によって、作品移動の際の振動なども緩和されます。

充填整形

補彩を行う前に、絵具の剥落部分に充填剤(着色等の為に使用する化学物質)を充填し、周囲の絵肌に合わせ充填部分を整形します。 伝統的に、主に使用するのは、ボローニャ石膏(天然石膏の一つ)を膠(にかわ)で溶いた充填剤であり、この充填剤は、古くから板絵の地塗りに使用されてきました。

補彩

充填整形をした部分に、水彩絵具や修復用の溶剤型樹脂絵具を用いて補彩をします。

殺菌防黴(ぼうばい)

カビ

画面や支持体裏面に発生したカビや微生物、また、それらが原因で生じた損傷部が認められた場合は、洗浄によって除去した後、殺菌防黴剤を塗布することがあります。

ワニス塗布

画面保護のために、必要に応じてワニスを塗布します。

額装

額のイメージ

破損は絵画作品に限らず額縁にも及んでいることが多く、汚れ、黴、剥落等で絵画と同様の状態に陥っていることがあります。これらを作品と平行して修復していきます。修復した作品が安全な形で額縁に固定されるよう、固定材料や裏板、アクリル板などを調整することも重要な作業です。

以上のようになかなか複雑な工程をたどり、職人技と言えるほどのレベルではありますが、現代の修復技術においては、データ化による分析という手段があります。

絵画修復用のデータ化サービス

従来職人のみの世界だった絵画の修復は、そうしたテクノロジーの発展により身近なものとなりつつあります。

そのままスキャンで使用しているアートスキャナー WideTek®25 ARTは、独自の3D配光など作品の『質感』ごとデータ化するために必要な機能が豊富に揃っている最新鋭の絵画専用スキャナーです。実際に現役アーティストの方も多数利用されており、原画の質感を忠実に再現出来ることから純粋な保存~ジクレー印刷まで幅広い領域でニーズがあります。

依然として完全に自力で絵画の修復を行うのは困難ですが、上記紹介した修復作業を行う上でオリジナルの姿を高精細に残した作品画像は非常に有用です。そのままスキャンのアートスキャナーで将来の為に作品を撮影してみてはいかがでしょうか。

絵画スキャニングサービスはこちら

未来の修復 新しい技術と伝承

未来の後世に備え、作品をデータ化した参考資料を保存、アーカイブすることで、後の未来の修復時に大きな参考文献になるといったことが可能となっています。つづいては、これからの未来の修復を予感させる最新の修復を紹介します。

AIによるモネの修復

国立西洋美術館

世界でも例がない人工知能による推定復元、修復作業を通じてこれからの修復を予感させる事例となったのは、昨年2019年、東京の国立西洋美術館にて公開された、モネの幻の作品と言われる「睡蓮、柳の反映」。これまでに無い新たな修復方法が、従来の修復に加えて実施されました。

19世紀後半にフランスで活躍した印象派の巨匠の代表、クロード・モネの作品。モネが人生の集大成として、60代の頃から制作に取り組んだ300点以上に渡る睡蓮シリーズの一部ではないかと言われる幻の作品です。

2018年の6月から、修復を実施した国立西洋美術はこれまでの長年の経験を生かした従来の修復に加え、自然科学的調査と国内外の美術館からモネの作品を撮影・調査、さらに筑波大学の協力によって開発したAI技術による色彩推定結果を踏まえ、欠損部分をデジタル推定により、復元しました。

AIという前代未聞の技術を使用した背景には、カビによる浸食でこの作品の上部分の大半が破損し、失われた状態だった為です。

破損の原因を辿る

モネ

この大きな破損の背景から簡単に説明をしましょう。

まず、この度日本の西洋美術館での保管になった背景としては、当時、日本の実業家の松方幸次郎がモネを訪れ、なんと直接作品を譲られたという経緯があります。

本来、この作品はフランスのオランジェリー美術館に飾られるべき大作品といわれている傑作でした。しかしその後、フランスにも第二次世界大戦の戦禍が。松方幸次郎はパリ郊外へ逃れます。そこで作品を保管をしましたが、湿気が多く、そこからカビが発生しダメージが深刻化する状態となっていったのです。

結果、木枠もなくなり、キャンバスの上半分が欠失され、絵具の残存部は全体の半分のみとなりました。何が描かれているのか分からない程の状態になり、深刻な損傷を受けることになりました。

その後時が経ち、ようやくこの作品が再びパリに戻った時には、既に絵としての価値がないと判断され、美術館の中では保管されるものの、忘れ去られていました。

 

最新修復のはじまり

カメラ

ルーヴル美術館内で再発見されたのは2016年9月。そこから調査を行った結果、松方コレクションであることが判明し、翌年松方家から国立西洋美術館に寄贈され、同年12月に美術館に到着する経緯を辿りました。

ここからようやく修復プロジェクトが始動します。

大まかな方法ですが、まずは絵具の残っている下半分をこれまでの手作業による方法で修復。次に、失われた上半分について4億画素数というスペックのカメラで撮影し、筑波大学人工知能科学センターのAIでデジタル復元を行います。

今回の修復の分析には、1925年頃にフランスで撮影された白黒のネガが重要な参考資料として使われました。これはフランス文部省・建築文化財メディアテークが所蔵する本作の白黒写真であり、その撮影原版にあたるガラス乾板から、高精細にスキャンされたデータを入手し、高精細スキャンデータと作品の現存部分を比較することが可能となったのです

ここから当時の撮影環境なども推定することで、白黒写真から得られる色彩情報の精度を高められたのです。

そしてここでようやく、劣化し失われた部分の絵の全体像が明らかになりました。このネガをデータ化し、現在の修復中の作品と合成する作業へと繋がっていきます。

AI×絵画修復

色彩の分析イメージ

この世界初の試みとなるデジタル修復については、失われた色が定かではない劣化部分に、色を判定し推定するAI技術を使用しています。

これは、初期から晩年までモネが使用していた色使いを人工知能に330万回以上の情報を機械学習をさせるというAIの推定判定となります。AIがモネのさまざまな作品の彩色パターンを学習し、「睡蓮、柳の反映」の一部の色彩情報と合わせて全体の色彩を推定する仕組みを実現したのです。

従来の人による推定をAI技術による推定で検証することで、客観性を高めることが可能になったという発見もありました。再現される作品はAIの学習データの影響を受けるため、完全なオリジナル作品を生み出すのは困難と想定されますが、今回のように巨匠などの作風の再現が必要な絵画の修復への利用は今後にも増えていくと予想されています

その他科学調査の修復では、放射線を絵の表面に当て、絵具に使われている物質を詳細に特定していく作業を行います。クロム、カルシウム、酸化亜鉛等の物質を特定することで、モネがどんな色をどのように使用したか推測することが出来ます。絵具の破片も直接光学顕微鏡で調査し推測していきます。例えば、0.4ミリの層に7つの色が地層のように重なることで、独特の色彩に深みを持たせていることなどが判明しました。

更に、筆使いについても筆致をデータ化して取り込むことで、モネの独特の筆使いのリズムと生き生きとしたストロークを分析することが出来ます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。修復とは、在るものを現状で良い状態に留め、そこから作品を観る人の想像の手がかりへといざないます。

歴史に残る芸術作品を、これまでの長年積み重ねた修復技術と、データ化や人工知能による新しい修復技術によって、芸術文化を後世へと築いていく未来が予想されます。 また今回紹介したAIによる客観的推定の色彩鑑定等が、新たな修復調査の担い手となり、文化財の保存業界のサポート役となるのではないでしょうか。

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書籍や紙は何故劣化するの?劣化の要因と対策方法のご紹介 https://sei-syou.com/library/book-deterioration https://sei-syou.com/library/book-deterioration#respond Tue, 10 Jan 2023 08:55:06 +0000 https://sei-syou.com/?p=11934 職場で大切に保管してきた貴重な書籍、いつまでもきれいな状態で残しておきたいですよね。

残念ながら、本は長い年月を経ると、ページが黄ばんできたり、シミができたり、退色したり、紙がもろくなってページを開くだけで破れてしまったり、と様々な劣化の症状が出てきます。

大切な書籍を今後も長く活用していくために、劣化は書籍の宿命だと思ってあきらめずに、きちんとした対策をとる必要があります。

そこで今回は、そもそもなぜ書籍は劣化してしまうのか、その原因を挙げながら、劣化を防止する効果的な対策方法をご説明します。

書籍の劣化が起こる原因とは?

書籍の劣化が起こる原因はひとつではありません。大きく分けると内的な原因外的な原因があります。では考えられる主な原因を挙げてみましょう。

紙に含まれる劣化成分

紙の製造

そもそも書籍に用いられている紙そのものに、劣化を引き起こす成分が含まれていることをご存知でしょうか。

具体的に言うと、紙の原料となる木材に含まれているリグニンという成分、そして紙の製造工程で用いられた硫酸アルミニウムです。

リグニンは、木材がもともと持っている成分です。簡単に説明すると、木が強く頑丈な幹を作るためにリグニンは重要な働きをします。しかし困ったことに、このリグニンは光に触れると変色する性質があるのです。

丁寧に漉き込まれた日本伝統の和紙と違い、木材を機械で粉砕して作るパルプを原料とする洋紙には、このリグニンが多く含まれています。リグニンが特に多く含まれている新聞紙が、時間の経過とともに黄色く変色していくのはこれが原因です。

もう一つ硫酸アルミニウム(硫酸バンド)は、かつて洋紙の製造工程でインクのにじみ止め効果を目的に用いられていた薬品です。この製造工程を経て作られたのが酸性紙と呼ばれる紙です。

硫酸アルミニウムは、水分と反応して硫酸を発生させます。硫酸ですから、当然紙そのものを破壊していきます。少し専門的な説明をすると、硫酸が紙の繊維であるセルロースを加水分解してしまい、紙の強度が弱くなってしまうのです。

古い書籍の紙が、ぱりぱりと硬く、触っただけで割れてしまうほどもろくなっているのは、このように紙が酸化してしまっているためなのです。

現在では書籍に用いられる上質紙は、基本的にすべて硫酸アルミニウムを使わずに製造された中性紙となっていますから、そこまで劣化が素早く進むということはありません。しかし酸性紙が問題視され、中性紙の開発が進んだのは1980年代あたりからです。当然それ以前に作られた貴重書は、酸化しやすい成分を含んでいる可能性が高く、保管には十分な注意が必要です。

蛍光灯

紙そのものに含まれる劣化成分のほかに、書籍の劣化には外的な要因も数多くあります。

まずはです。自然光いわゆる太陽の光や一般的な蛍光灯の光には、目に見えない紫外線が含まれています。ご存じの通り過度の紫外線は人の肌に悪影響を与えますが、同じように、紙そのものを劣化させ、また印刷を退色させてしまいます。

そして先ほど説明したように、紙に含まれたリグニンは光の影響で変色が進行しやすいという特徴があります。貴重な書籍は、なるべく紫外線から遠ざける必要があるでしょう。

紫外線の他にも、太陽光白熱灯(ほとんど見かけなくなりましたが)に含まれる赤外線は、熱を生み出す性質があり、紙を乾燥させて劣化を進めてしまいます。

書籍に光を当てることは、こうした紫外線や赤外線のダメージを与えていることだと理解しておきましょう。

温湿度の変化

温湿度計

書籍は当たり前ですが、紙でできています。紙は温度や湿度の変化に敏感です。

紙にとって保存に適した理想の温湿度は、温度20度前後、湿度60%前後とされています。それよりも高温になるほど紙の寿命が短くなることが明らかになっていますし、湿度が高くなると、カビが発生するリスクが高まります。また、先ほど触れた酸性紙の場合、特に湿度の変化の影響を受けやすく、紙の酸化が進行してしまうため注意が必要です。

可能な限り、温湿度の上下動がない環境が求められますが、そうした保存環境を整えることは簡単ではありませんよね。

有害ガス

ガス

空気中には書籍にとって有害なガスが数多く含まれています。アンモニア、酢酸、ギ酸、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどです。

書籍の劣化を進めるこうした有害ガスは、自然の木材(桐、杉、檜)からも発生しますし、建築資材から発生するものもあります。そのため、どんなに資料の保存を意識して設計された図書館や美術館の収蔵庫でも、有害ガスの発生がゼロになることはありません。

アーカイバル容器などの保存箱に入れずに生身の状態で置かれている本は、こうしたガスに終始さらされていると考えた方がいいでしょう。

カビ

カビ

書籍の劣化は上記の原因の他にも、カビの被害も見逃せません。カビはフォクシングという斑点を紙に作ってしまい、一度斑点ができてしまうとカビをとっても斑点は消えません。

カビの原因は、ひとつは堆積したほこりや手あかなどに含まれる栄養分です。ほこりの中には、綿ぼこりだけでなく、人間のふけや髪の毛、ダニの死骸など有機物が含まれています。これを栄養分にしてカビは繁殖するため、書籍にはほこりがたまらないようにすることが重要です。また貴重な書籍を扱う場合は、カビの栄養分となる皮脂がつかないように手袋をして取り扱うと防止効果が高まります。

カビの原因のもうひとつは相対湿度が高い環境です。相対湿度が70%の環境下では、およそ3~4か月でカビが発生すると言われています。65%の場合は、3年程度でカビが発生します。気を付けなければいけないのは、書籍を置いている部屋全体の湿度がそれほど高くなくても、壁際など局所的に結露が生じる場合があり、こうした箇所に書籍を置いているとカビが発生してしまう危険性があります。となりの部屋との寒暖差をなくす、部屋の空気を循環させて湿気だまりを作らないようにする、などの対策も考えましょう。

また、カビは書籍の劣化を引き起こすだけではなく、人間の体内に入ると深刻な症状を引き起こす場合もあるため、そうした意味でも発生は極力防がなくてはいけません。

虫害

悲鳴を上げる女性

紙魚(シミ)やゴキブリ、シロアリなどによって紙が食べられてしまう虫害も、深刻な被害をもたらします。劣化とは少し違うかもしれませんが、保存環境に問題があると発生するという意味では、虫による損傷も劣化と同じように対策をとる必要があるでしょう。

紙を好んで食べる文化財害虫に分類される虫としては、シバンムシ類,シミ類,ゴキブリ類のほか,チャタテムシ類,アリ類,シロアリ類,ヒラタキクイムシ類,チビタケナガシンクイなどがいます。

虫害を防ぐためには、ほこりをためない、湿気をためない、食べかすなどのエサを残さないなど、部屋の衛生環境を清潔に保つことが重要です。

物理的損傷

古い書籍

書籍を頻繁に取り扱うことによる物理的な傷みも、劣化を進める大きな要因と言えます。書籍は、手に取って開いて中を読むという行為が不可欠ですから、どうしても年月とともに劣化することが避けられないと言わざるを得ません。

それでも、貴重な書籍であればカバーをつけて直接表紙が傷まないようにする、閲覧する機会を制限するなど、現状に合わせた現実的な対策を考慮する必要があります。

書籍の劣化を防ぐためにできることは?

それでは次に、書籍の劣化を防ぐ、もしくは遅らせるためにはどのような手段があるかをご説明します。

脱酸性化処理

上記の通り、書籍の劣化には紙そのものが持つ成分という内的要因と、光、温湿度、ガスなどといった外的要因があります。

まず内的要因として挙げました、製造工程で硫酸アルミニウムが用いられた酸性紙の場合は、紙が酸化することを防ぐために脱酸性化処理を行うという対策方法があります。

具体的には、紙の中の酸性物質を洗い流す方法、アルカリ性剤を溶かした水に本を浸けて、紙が持つ酸の成分を中和する方法、そしてアルカリ性剤を紙に残留させて再酸性化を防止するといった様々な方法があります。脱酸処理によって酸性紙の寿命が3~5倍のびると言われていますが、書籍の写真や革、色材などにアルカリ成分が影響を与える懸念もあるため、慎重に処置を検討する必要があります。

アーカイバル容器を使った保管

保管箱

書籍の劣化を引き起こす外的な要因として挙げた光の問題を解決する方法としては、太陽光や蛍光灯の光が直接あたらないように保管すること、貴重な書籍であればできれば保存箱のようなものに入れることをおすすめします。

保存箱に入れるメリットは光だけではありません。有害ガスから書籍を遮断する、カビの原因となるほこりの堆積を防ぐ、虫の侵入を防ぐ、温湿度の変化がゆるやかになる、などの理由からも、保存箱を使った収納は有効です。

伝統的な保存箱としては、桐製の箱などがありますが、こうした木材からもガスは発生するため、中性紙素材のアーカイバル容器を用意する必要があります。中性紙と言っても、厳密に言うと酸性ではなく弱アルカリ性(pH7.5~8.5程度)の紙が用いられることが一般的です。ただし、そうした微量のアルカリ成分が影響を与える場合(前述の通り、写真や革、色材など)もあるため、その時はまったくアルカリ成分を含まない無酸の容器を作らなくてはいけません。

アーカイバル容器の機能面の進化は目覚ましく、紙の中に調質材を漉き込んだ中性紙や、汚染ガスを吸着する機能を持たせた紙なども開発されています。用途に応じたアーカイバル容器を使いましょう。

もちろん保存用のアーカイバル容器に入れたからといって、あとはどんなところに置いても大丈夫というわけではありません。アーカイバル容器に入れた上で、温湿度の変化がなるべく少なく、適度な温湿度を維持できるところで保存することが大事です。

定期的なコンディションチェック

本を取る手

書籍の劣化は少しずつ進行していきます。定期的に目で見て、触ってみて点検する必要があります。

アーカイバル容器に収納すると、それで安心してしまい、この定期的なチェックを怠る心配がありますが、劣化の症状を早期に発見できれば、対策もとりやすいため書籍に対する目配りや気配りを忘れないようにしましょう。

コンディションチェックをする時のポイントとしては、ほこりがたまっていないか、カビが発生していないか、虫食いは発生していないか、紙が変色したりシミができていないか、といった点に注意するといいでしょう。もしカビの発生が確認された場合は、消毒用エタノールを含ませたペーパータオルでふき取りましょう。

書籍の劣化対策には電子化を

電子化のプロ

書籍の劣化を防ぐ方法として、中性紙の保存箱の活用を挙げてみましたが、金銭的にも、また1冊2冊ではなく大量にある場合は収納スペースの点からも(当然箱に入れた分だけボリュームが増えます)現実的ではありません。

そこで、おすすめしたいのが書籍の電子化です。

書籍は内容を読むためには、毎回ページをめくらないといけないという宿命があります。でも貴重な書籍を電子化することで、書籍自体を頻繁に取り出す必要がなくなります。安定した環境で保存すれば、書籍の寿命は格段に伸びます。原本の方は先ほど説明したように、光や有害ガスを遮断し、適切な温湿度を保つように、中性紙の保存箱に入れて、大切に保管しましょう。

そして電子化したデータは、念のため光学ディスクやハードディスク、サーバーなど複数のバックアップを取りましょう。

いずれにしても、当然貴重な書籍に比べれば、光や温湿度などの保存環境にシビアである必要がありませんし、収納スペースもほとんど必要ありません。それだけでなく、データの形にしておくと情報の検索性も高まりますし、その情報を共有したり、必要に応じてプリントしたり、と活用の幅が一気に広がるというメリットもあります。

ただ、ひとつ気になるのは、貴重な書籍を電子化、つまりスキャニングする時に原本に負担がかかるのでは、という点ですよね。弱っている書籍を無理やり広げてスキャニングして、原本を壊してしまったら、劣化防止のために行っているはずなのに本末転倒です。業者によってはページを裁断しなければスキャニングできないという場合もありますが、これでは仕方がありませんよね。

しかし今は、非破壊スキャナーを使った電子化サービスもありますから、大切な書籍の劣化がこれ以上進まないうちに電子化することも選択肢に入れるといいでしょう。

※非破壊スキャナーを使った書籍の電子化サービスはこちら!

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記念誌・社史とは?何のために作るの?発刊までのフローも解説! https://sei-syou.com/library/what-is-anniversary-magazine https://sei-syou.com/library/what-is-anniversary-magazine#respond Fri, 06 Jan 2023 10:43:27 +0000 https://sei-syou.com/?p=11925 記念誌」と聞いて、まず思い浮かぶものと言えば、学校の何十周年かの記念に発行される分厚い立派な本でしょうか。個人の喜寿や米寿の記念に作られる本も記念誌ですし、家族の歴史や系譜などをまとめた家族史も記念誌だと言えます。ほかにも、企業が作る社史やいろいろな団体が作る周年史(年史)も記念誌の類に入ります。

今回は、この記念誌を取り上げて、その意味や意義、作成するメリット、作成のフローなどについて説明したうえで、電子化についても言及します

記念誌とは?

まず、記念誌とはどういったものなのか説明します。

意味

記念誌

「記念誌」とは、節目となる年や時代を迎えた時や出来事を記念して作成される書籍のことです。

この記念誌が発行されるようになったのは、日本では明治時代に入ってからです。明治5年(1872年)に学制や国立銀行条例が発布され、各地に学校や銀行が設立されたことがきっかけとなったようです。やがて大正時代に入るとそれぞれが創立〇〇周年を迎えることになり、その記念として「創立〇〇周年記念誌」といったものが発行されるようになったと言われています。

この記念誌の中には「社史」や「周年史」も含まれます。それぞれに、どういうところが出すのか、どういう目的で出すのかといった違いはありますが、明確に線引きすることができないために、ほとんどの場合、記念誌と見なされます。

参考のために、それぞれの特徴を以下に簡単にまとめておきます。

周年史(年史)

通常、「○○年史」とか「○○周年史」などと呼ばれるもので、学校や企業や市町村を問わずいろいろな団体が作ります。区切りのよい年に作られることが多く、歴史的な内容を記録することを目的としています。

社史

企業または法人組織が作ります。○○周年に限らず、その企業や組織が歴史的な転換期を迎えた際に、例えば、株式上場を実現したりトップが交代したりした時などに、出されます。その企業や組織が自身の歴史を残すことを目的としています。

この社史には、創業前から現時点に至るまでのすべての歴史を年ごとに記録していく「正史(通史)」、ある一定のポイント、例えば50年史発行以降現時点に至るまでの〇〇年という区切られた期間における歴史を記録する「略史」、1年ごとにその歴史を記録していく「編年史」など、いろいろなパターンがあります。

記念誌

企業や団体に限らず、個人も作ります。結婚○○周年の記念に作ったり、何らかの受賞記念に作ったり、あるいは新築祝いに作ったりします。祝うという目的で作られるために、必ずしも歴史的な内容でなくても構いません。したがって、周年史や社史と比べて内容や構成ともに制約がなく、作り手の自由な発想で作成することができます

どんなところが作るのか

オフィス街

上述したように、記念誌は、周年史や社史など、その種類によって作成者(発行者)が異なります。

  • 周年史:学校、企業、法人組織(NPO法人や財団法人なども含む)、市町村団体など
  • 記念誌:『周年誌』で挙げられた組織のほか、同好会、グループ、個人など
  • 社史:企業、法人組織(NPO法人や財団法人なども含む)

重複するところもありますが、以上のような組織が主に作成しています。

どれくらいの数が作られているのか

学校

現在、日本においてどのくらいの企業や団体がこういった記念誌を作成しているのか、その数を把握することは不可能ですが、記念誌専門の制作会社はほとんどのところが、制作実績として発注元を公開しています。大体「ほんの一例」として数十社の名前が上げられています。

また、学校が作る「創立〇〇周年記念誌」に関しては、現在、全国にある学校数が45,000校だと考えると、大体の需要が見えてきますね。この数には幼稚園は入っていませんが、幼稚園も含めるとその数は58,500校に昇ります。

意義

では、こういった記念誌を作る意義は何なのでしょう。ここでは、社史や周年史といった、企業や団体が作る記念誌に制限して説明します。

記念誌を作る第一の意義は、その企業や団体の歴史や功績を後世に残し、世に知らしめすということでしょう。それによって、その企業や団体の存在価値も見えてきます。またそういった過去の歴史や功績を知ることは、その企業や団体の未来へも貢献することになります。

作るメリットとは?

冊子の作成

意義とは別に、記念誌を作ることでどのようなメリットを得ることができるのでしょう。ここではそのメリットについて、社内的視点社外的視点の両方から具体的に説明します

社内的メリット

社内的には、モチベーションの向上から業務効率化まで様々なメリットが挙げられます。

今後の経営や業務改善に役立つ

過去の経営や業務の実態と成果や業績を知り、それを教訓や手本にして今後の企業運営の見直しをすることで、経営力を強化したり業務の品質向上を促進することができます

社員教育に効果をなす

記念誌、ことに社史は、創業以来培ってきたその企業独自のノウハウをまとめ上げたもの、いわば集大成であると言えます。これは、社員、ことに新入社員や若手社員が自分の会社のことを学ぶためのよいツールとなります。それによって、社員は、会社に関する認識を新たにしたり、その会社の社員であるという自覚を高めたりすることができます

企業全体の活性化につながる

創業者をはじめ、過去にその企業を牽引してきた先達者たちの功績、また企業理念や経営方針を社員全員が理解することによって、社内に一体感をもたらし業務の活性化を引き起こします。同時に、そういった先達者たちの努力があって今があるということに対する感謝の思いも業務に対してよい影響を与えると考えられます。

情報の整理や分類を行うことができる

社史や周年史を作成することで、いろいろな部署に散在している資料や情報を収集し、整理し、分類することができるために、充実したコンテンツの情報を効率的に次世代へ引き継いでいくことが可能になります

節目に対する自覚と責任を促すことができる

ことに周年史などの場合は、○○周年という節目に対して、社員がそれぞれにその意義を考え、自分の立ち位置を見据えて、それまでの業務を顧みたり今後の抱負などを考えたりするよい機会となります

社外的メリット

社外においても、PR面などで大きなメリットが存在します。

企業のイメージアップや宣伝の効果がある

企業の理念だけでなく、創業時以降どのように発展してきたのかその過程やどのような活動をしてきたのかその内容を知ってもらうことは、その企業のイメージアップにつながるだけでなく、宣伝効果も発揮します

社会貢献につながる

社史を商工会議所や図書館などに贈呈することで、その企業の経営史、産業史、技術史などの貴重な資料を提供して社会的な貢献を果たすことができます

記念誌を作る流れ

では、記念誌というものは、どのような工程を経て作られるのでしょう。一般的な書籍、例えば小説などは企画から製本されるまで数か月くらいかかるようですが、この記念誌はどうなのでしょう。

実は、記念誌の場合は、もっと長い期間を要します。通常は、1年から3年くらいをかけて作成されるという、長期プロジェクトになります

以下では、記念誌のうちの社史を作成する流れについて、各工程ごとに説明していきます。

1. 準備

準備のイメージ

何事にも準備期間というものが必要です。社史づくりのこの「準備」という工程では、まず社内で社史づくりの編集委員会のようなものを立ち上げ、責任者を決めます。責任者には企業の歴史や先達者などに詳しい人物を選びます。また編集委員たちも、自社に誇りをもち、自社のことを人に伝えるのが得意だったり好きだったりする人物を選ぶとよいでしょう。

次に必要なことは、編集委員会全員が、「何のために社史を作るのか」を明確に理解しておくことです。この認識がないと、上記の社史を「作るメリット」が提供される質の高い社史はできません。またどういう人たちに読んでもらうのかもこの時点で把握しておかねばなりません

ほかにも、すべて外注に委託するのか、それとも社内である程度まで制作するのかを決めます。後者の場合は、どの工程を社内で担当しどの工程を外注に委託するのかを検討します。どういった体裁にするのか、構成はどのようにするのか、紙ベースの書籍だけにするのか、電子化も併せて行うのか、なども検討します。

参考のために一般的な構成を下記に示します。

前付

まえがき、代表者挨拶、目次、祝辞、監修の言葉、凡例など

口絵

企業のイメージ写真、歴史を物語る写真、現状の写真、各事業所の写真、サービスや製品の写真など

本文

企業の足跡(企業史、歴代の社長などの人物史、経営史、その他)、テーマ別足跡、部門や事業所別足跡など

資料編

社内資料、業界資料、年表など

後付

あとがき、索引、奥付など

この時点で、配布先もおよそでいいので決めて、そこから発行数を割り出し、大体の予算を把握しておきます。

ここで制作会社の選定も行います。見積りなどをとって決めるのもよいですし、実績を見て、自分たちのイメージにあった社史を作成しているところを選ぶのもよいでしょう。

最後に、スケジュールを作成します。いつ発行するかを決めて、それから逆算し、どういったスケジュールでそれぞれの工程を動かしていくかを決めます

いずれも、社史編纂室などがある企業の場合は、社史や周年史作成に慣れた担当者がいるはずですので、その人を中心に準備を進めていくとよいでしょう。そういった担当者や社史編纂に慣れた社員がいない場合は、社史専門の制作会社に相談しながら進めるのが安心です。

2. 企画

企画会議

この「企画」という工程では、上記の準備段階で決めた事項にもとづいて、大まかな企画を立てて、企画書を作成していきます。まず、準備の段階で決めた構成に沿ってコンテンツを検討します。

参考のために定番と呼ばれるコンテンツを上げておきます。

  • 代表者の挨拶や祝辞
  • 商品やサービス
  • 開発秘話や転換期などに起こった出来事
  • 対談による企業の歴史のふり返り
  • 社員からのメッセージ
  • 写真
  • 年表

大体のコンテンツが決まったら、下記のような台割を作成します(※画像はイメージです)。

台割

3. 資料収集

大量の書類

企画が立ち上がったら、それに応じて、社史に盛り込む情報や写真の収集をはじめます。この場合、過去に社史や○○周年史などが発行されていればそれを参考に、もしなければ他社のものを参考にどんな資料が必要かを見極めていきます。それだけでは不安な場合は、パートナーとなる制作会社に相談しながら進めることもできます。

資料は、社内報、新聞や雑誌などの掲載記事、営業報告書などのほかに、写真も含めてできるだけ多くのものを収集します。

4. 取材・撮影

取材風景

次に、取材を行いますが、まず、それに先立って、取材する人物のリストを作成しておくとよいでしょう。社長や、その企業の事情を古くから知っている人、OBなど、何名くらいに話を聞くかを前もって決めておきます。社史のボリュームによって異なってきますが、5名から20名で考えておくとよいでしょう。インタビュー形式にするのが難しければ、手記を書いてもらうのも一案です。

誰に取材するかが決まったら、早速アポイントメントをとって、取材へ出かけます。取材は、レコーダーなどで録音をしながら行いますが、大事なポイントに関してはしっかりとメモをとることも大切です。

取材の時間ですが、1時間半から2時間くらいは見ておきたいものです。話しだすと、あれもこれもとどうしても長くなってしまうものですが、その中から楽しいエピソードなどを聞けることも多々あります。この時、写真撮影も忘れずに行います。

また手記にする場合は、原稿の締め切りに関して配慮をする必要があります。遅れて提出される場合も多いので、その時のために、余裕を持たせた納期を設定することをお勧めします。

5. 執筆

執筆作業

取材内容や手記も含めて、執筆はプロのライターにお願いします。制作会社がライターを抱えている場合もあれば、外注のライターに任せる場合もあります。

この執筆にかかる期間ですが、ボリュームにもよりますが、大体3か月から半年くらいを目安にスケジュールを立てます

6. デザインワーク

デザイン作業

原稿が上がってきたら、制作会社の担当者とデザイナーも交えて、字詰めや行数、フォントの指定、どこにどういった写真を挿入するかといった紙面のデザインから、表紙のデザインに至るまで、綿密に打ち合わせをします。装丁に関してもこの時点で話し合って決めます。

7. 入校・組版・ゲラづくり

DTPレイアウト

デザインワークが終わったら次は入稿です。入稿とは、原稿を印刷所へ渡すことを言います。印刷所では、入稿された原稿をベースに組版を行います。

組版によって、単なる文字データだった原稿が実際の本のページとなって印刷されます。組版とは、DTP(デスクトップパブリッシング)という、パーソナルコンピューターを使って文字の割り振りやレイアウトなどを行う作業のことです。

印刷所では、この組版によって、「ゲラ」というものが刷られます。「ゲラ」とは、一言で言うと試し刷りのことです。実際のレイアウトに合わせて原稿の文字を組んで印刷されたもの、いわばサンプル本のようなものです。

8. 校正

校正作業

校正は、慣れない作業ということもあるので、誤字脱字などの誤植や、写真の挿入位置、デザインの乱れなどがないかどうか、手分けをして何重にも綿密に行います。製本された後で間違いが見つからないように、念には念を入れてチェックすることが大切です。

9. 再校~責了

再校

最初の校正(初校)で指摘した間違いが直っているかどうか、再び手分けをして入念にチェックをします。この時に間違いが見つかったら、再度赤で指摘して再入校します。

制作会社によって異なりますが、再校によって二校、三校と刷られる場合もあれば、二校までとし、その後の校正は制作会社の責任によって行うという「責了」にする場合もあります。

10. 印刷

印刷作業

校了(校正終了)となった原稿は、再び印刷所へ入稿されます。これを再入稿と言います。印刷所では、この原稿を元に製版を行い印刷機のセッティングを行って印刷作業を開始します。表紙やカバーなども印刷されます。

11. 製本~納品

製本された書籍

印刷所で刷り上がった、「刷本(すりほん)」と呼ばれる用紙、表紙、カバーなどは、次に製本所へ回されます。製本所では、折り機や丁合機(ちょうあいき)、綴じ機、表紙付け機、裁断機などを使い、書籍の仕様に沿って製本作業を行います

最後にカバーがつけられて、社史が完成して、企業へ納品されます。印刷から納品までの期間は、大体1か月から2か月を見ておくとよいでしょう

記念誌の電子化

近年、データの電子化が普及するにしたがって、既刊の記念誌の内容をデジタルデータに変換、つまり電子書籍という形態でコンパクトディスク(CD)などの記憶媒体に記録して保管するところが増えてきました。それだけでなく、新しく作成する記念誌も同様に電子化で作成し、関係者へもそのコンテンツを収めたCDを配布(贈呈)するという傾向が見られるようになっています。

しかし、やはり贈呈は書籍の形がいい、ということであれば、記念誌を紙ベースの書籍と電子書籍の両方で作ることも可能です。

以下では、このように記念誌などを電子化することで得られるメリットについて説明します。

電子化のメリットとは?

電子書籍を閲覧

電子化すると、分厚い紙の書籍故に難しかったことが可能となります。

社内で共有しやすくなる

記念誌の中でもことに社史はどれもボリュームがあってかなり分厚い本になるために、閲覧の必要が生じた場合、持ち運ぶのに苦労します。しかしこれを電子化すれば、現物はなくても、各自のパソコンを立ち上げるだけでそのコンテンツを共有することが可能になります。さらにタブレットがあれば、どこにいても閲覧することができます。

劣化の心配がない

紙ベースの書籍だと、経年の黄ばみや劣化は避けることができません。しかし電子書籍にすれば、そういった劣化や損傷の心配もなく、そのままの形で残すことができます。

必要な個所が見つけやすい

紙ベースの書籍だと、どこに何が書いてあったのか、すぐに見つけ出すことができません。1ページ1ページをめくって目視チェックする必要があります。しかし電子化されたデータは、検索機能を使うことで必要な個所を瞬時で見つけることが可能になります。

後々の編集が可能になる

紙ベースの書籍は、一旦製本されると部分的な編集や修正など、手を加えることはできません。しかし電子化されたデータは、いつでも加工が可能であるために、次世代の社史編纂や次の節目の周年史編纂の際に、一からはじめることなく、既存のデータを添削することで容易に新しいバージョンを作ることができます。これによって、制作にかかるコストと時間や労力の削減が可能になります

以上のようなメリットを考えて、紙ベースの記念誌と一緒に、電子書籍の記念誌を作成しておかれることをお勧めします。その際に気をつけることは、データの電子化も行ってくれる専門業者を選ぶということです。また、既刊の古い記念誌をデータ化する場合、手元にある原本を裁断しなければならないのかどうかも確認する必要があります

そのままスキャンでも、記念誌の電子化の実績を持っています。そのままスキャンの場合、非破壊スキャナーを使用しているために、原本を裁断せずに電子化をすることができます

会社の財産を有効活用しよう

企業が発行する社史や周年史などのような記念誌は、1,000ページを超えるものも少なくなく、出し入れするだけでも大変だということで、本棚に入れたまま開きもしないという人も多いのではないでしょうか。

このような宝の持ち腐れを防ぐためにも、記念誌を作るときに電子化も同時に行っておけば、分厚い現物を手にしなくとも、社内に限らすどこにおいても、閲覧が可能になります。つまり、いつも社史や周年史を携帯しているということになります。企業の財産とも言える社史や周年史、大いに有効活用したいものです。

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古文書って何?種類、特徴、保存方法を丸ごと解説 https://sei-syou.com/library/what-is-ancient-document https://sei-syou.com/library/what-is-ancient-document#respond Fri, 06 Jan 2023 06:16:32 +0000 https://sei-syou.com/?p=11918 古文書」(こもんじょ)は、読んで字のごとく、古い文書のことです。博物館や史料館を訪れると、陳列ケースに変色した古い手紙が収められていることがありますが、あのような文書を古文書と言います。

では、単に古ければどれでも古文書に含まれるのでしょうか。またその種類には区別はないのでしょうか。

今回は、この古文書を取り上げて、古文書とはどういうものを指して言うのか、その定義や意味や特徴、どんな種類があるのか、また、どのように保存されているのか、などについて解説していきます

古文書とは?

まず、ここでは古文書について、定義、その学術的研究、特徴について説明します。

古文書の定義

古文書

古文書は、古い文書というだけでなく、歴史的な資料のひとつとして考えられています。

その意味や定義に関しては、三省堂の大辞林第3版によると、古文書では以下で定義されており、

「① 古い文書。② 古文書学の用語。歴史の史料となる古い記録で、特定の対象に意思・情報などを伝えるために作成された文書。一般の著述や記録・日記などと区別される。」

また、小学館のデジタル大辞泉によると次のような定義づけがされています。

「1 古い文書。古証文。2 古文書学上の用語。特定の相手に意志を伝えるために作成された書類のうち、江戸時代以前のもの。特に相手が定まっていない記録、すなわち一般の著述・編纂(へんさん)物・備忘録・日記などとは区別される。」

さらに、平凡社の世界大百科事典第2版には、「定義」として以下のように書かれています。

「広義の古文書とは,古い書付のことを広くいい,古記録や古典籍,さらには系図まで含めていう。たとえば冷泉家古文書というのがこれであるが,この広義の使い方はかならずしも学問的な厳密なものではない。狭義の古文書とは,差出人から受取人に対して,差出人の意思を表明するために作成されたものと規定できる。したがって古文書の要件としては,差出人と受取人の名がそろっていることであるが,願文(がんもん)のように神仏に捧げられたもの,禁制さらには法典のように受取人が不特定多数の場合もある。」

これらから、古文書は、江戸時代以前、つまり、近世以前に作成された文書で、特定の相手に何らかの意思を伝えるために書かれたもの、と定義することができると考えられます。

また、古文書は、紙に書かれているものであると限定されがちですが、上記の条件を満たしているならば、木に書かれていたり石に刻まれていたりしたものであっても、古文書と考えてよいとされています。

「古記録」との違いは?

この古文書は、よく古記録と混同されます。では、古記録とはどんなものを指して言うのでしょう。古文書との違いはどこにあるのでしょう。

古記録も、古文書と同様に歴史的資料のひとつです。小学館のデジタル大辞泉によると、「特定の相手なしに書かれた、比較的古い時代の史料となる記録。特に、公私の日記類。」となっています。これからも、古文書が特定の相手に向けて書かれたものであるのに対して、古記録は特定の相手なしの記録であることがわかります。特に公私の日記を指して言うことが多いようです。

学術的研究

学者

日本には、奈良時代よりも前の時代から種々の古文書が多数存在しています。そういった古文書の研究は、古くから、様式や作成方法、書札礼(文書や手紙を書く時のマナー)などを中心に行われていたようですが、明治時代に入ってから、ヨーロッパの古文書学が紹介されたことをきっかけに、日本においても、科学的に体系立てて古文書に関する研究が学問として行われるようになりました。これを古文書学と呼びます。

この研究は大きく3つに分かれていると言われています。

文書の様式

まず、1つ目は、文書の様式の研究です。古文書には、差出人と受取人の関係に応じた様式が使われていたようです。この様式は、701年(大宝元年)に制定された大宝律令の中ではじめて定められたと言われていますが、その様式には、その当時の様式だった「公式様文書」、それが簡略化されていった「公家様文書」、鎌倉時代に入って武士も文書を書くようになってできていった「武家様文書」などがあります。さらには、下の者が上の者に出す「上申文書」や財産の譲渡などで発行される「証文類」などもあります。

形態

2つ目は、形態に視点を据えた研究、つまり、用紙、書風、文体、花押(署名の代わりに書いた記号や符号)、印章、用語などの研究です。

授受関係

そして3つ目は、授受関係においてその文書がどのような役割を果たしたのかといった視点からの研究です。つまり、文書の差出人はどういった人物なのか、その差出人と受取人との間にどんな関係があったか、どんな用件が書かれているのか、などの研究です。

いずれにしても、古文書の研究を介して、集積した文書を様式や形態ごとに分類したり、用紙、書風、文体、花押、印章、用語などを類型化することで、時代ごとあるいは地域ごとの特徴や相違を分析することが可能になります。また、古文書を読み解くことで、それに関連する史実の背景を推測したり裏付けたりすることができます。このように古文書学の発展は、その文書の持つ歴史的意義を明確にして、その文書の価値を高めるものだと考えることができます

古文書の特徴

古文書

では、古文書は、現代の文書とどう違っているのでしょう。ここでは、江戸時代の古文書、近世古文書を取り上げて、古文書全般に見られる特徴について説明します

草書体である

博物館や史料館などで古文書を目にして、まず誰もが気がつくことは、草書体(くずし字)で書かれているということではないでしょうか。文章の書き易さが優先されていたと見えて、くずし方や筆順などにこだわらずに書かれていることがわかります。

読点と句点がない

古文書を目にして、次に気がつくことは、読点(、)と句点(。)がないということです。延々とくずし文字が書き連ねられていて、文章がどこで終わるのか見ただけでは判別できません。

実は、古文書には、元々読点と句点はなかったのです。それが、明治時代に入ってから、読みやすいようにと、読点と句点をつけるようになったと言われています。

お家流である

お家流というのは、書道における書風の流派のひとつです。身分の高い家において代々伝承され用いられる流儀や流派のことを言いますが、平安時代の書道の一派だった青蓮院流(しょうれんいんりゅう)が室町時代を経て、そのまま江戸時代でも、お家流として公文書に用いられ、広く一般庶民の間にも浸透していきました

和漢混淆文(わかんこんこうぶん)である

和漢混淆文という、和文体と漢文訓読体(漢文くずし)が入り混じった文体で書かれています。例えば、和文の中に返読文字(必ず返り点が付いて下から戻って読む字)が混じって使われていたりします。

候文である

「…………候」(そうろう)といった表現が頻出します。この「候」は、丁寧の助動詞で、文の切れ目や終わりに用いることで丁寧な表現の文章にします。

現在使われていない文字が使われている

例えば、発音や意味は同じでも自体が異なる「異体字」(旧字)(学→學、沢→澤、体→體など)や、現在使われていないひらがなである「変体仮名」が使われています(ゐ、ゑ、乃など)。1つの音に1つの文字が割り当てられたのは明治33年になってからで、それまでは、1つの音に複数の文字が使われていました。つまり、それだけ、自由に文章を書くことができていたということです。

特有の用字・用語があった

例えば、「急度・屹度」(きっと)、「草臥」(くたびれ)、「爰元・爰許」(ここもと、「拙者」という意味)、「扨」(さて)、「鳥渡」(ちょっと)、「無拠」(よんどころなし)などの古文書特有の言葉が使われています。

古文書の種類

古文書は、特定の対象に向けて出される文書、つまり伝達の役割を持った文書です。そういった視点で考えると、古文書は、個人間でやりとりされるもの、支配(主従)関係のある両者間でやりとりされもの、権利関係の取り決めに関するもの、生活や娯楽に関するものといった4種類に分けることができると考えられます。

個人間(差出人→受取人)

武家屋敷

これには、書状や遺言書や家訓などが含まれます。

例としては、天正12年(1584年)に作成された『酒田市指定文化財の奥羽古文書《上杉景勝書状 本庄越前守宛》』等が挙げられます。

これは、上杉景勝(1556~1623)が、越後国(新潟県)の本庄繁長に出した書状です。所蔵している本間美術館によると、「信濃の情勢、勅使の来訪、羽柴秀吉との関係、関東及び越中の情勢、最後に新発田重家の乱と、景勝の置かれた状況全般について書かれている」手紙だとのことです。

支配(主従)関係のある両者間

これには、以下のような令状や通行手形(上→下)、上申文書(下→上)の「願」や「村明細帳」などが含まれます。

例:「送り一札之事(銀次郎娘とよ)」(人別送り状)(埼玉県立文書館所蔵 飯島家700)

人別送り状とは、住民が別の場所へ籍を移動する際に村の役人が移転先へ出す送り状のことです。

通行手形

例:「差上申一札之事(箱根関男五人御通行ニ付)」 (埼玉県立文書館所蔵 飯島家549)

通行手形とは、旅行中に、ある場所の通過が許可されたという証に発行された通行券。現在のパスポートのようなものです。

願(名主から役人へのお願い)

例:記録二(埼玉県立文書館所蔵 吉田(市)家7)

願とは、村の困窮に関する訴状です。

村明細帳(名主→役人)

例:當間家文書『村方銘細帳』 (小平市立図書館所蔵 (D-4-4)元文元年)

村明細帳とは、領主や代官の交代時に、村の村高・年貢高、戸数、人口、年貢高などの村の状況を村側で作成して役人に提出する文書です。

権利関係の取り決めに関するもの

握手のイメージ

これには、質地証文や金子証文などがあります。

質地証文

例:「質地証文之事(下畑・荒山、壱反壱畝十五歩)」 (埼玉県立文書館所蔵 飯島家397)

質地証文とは、家屋や土地や田畑を質入れして借金をする際にそれを証明する書付けのことです。

金子証文

例:「金子請取之事(りた蒲団代)」(埼玉県立文書館所蔵 平山家3909)

金子証文とは、今で言う領収書のことです。

生活や娯楽に関するもの

神社のイメージ

これは、版元が大衆に向けて出す文書で、暦、教科書、瓦版、図鑑、旅の心得を書いた旅行マニュアルみたいなものまで、多種に渡って出されています。

例:「伊勢暦 天保壬寅元暦 文久2年」(埼玉県立文書館寄託 小室家4031)

伊勢暦というのは、地方暦のひとつで、カレンダーのことです。地方暦は、中世に入って各地の暦師が作っていた暦です。三島暦、南都暦、会津暦、鹿島暦などが作られていて、江戸時代に入ると、さらに伊勢暦、江戸暦、仙台暦ができて全国に流布しました。

瓦版

例:「蒸気船[図](フレカツト船図)」(埼玉県立文書館寄託 増田家文書402)

瓦版は、今で言う新聞で、江戸時代に、人々の関心度の高い出来事や事件、例えば、天変地異や火事、心中や仇討などを急報するために刷られた印刷物のことです。木版刷りで町の中を読みながら売り歩いたので、「読売」とも呼ばれていたそうです。

図鑑(植物図鑑)

例:「植学啓原 3巻合綴」(埼玉県立文書館寄託 小室家文書3954)

江戸時代には、植物図鑑、生物図鑑、馬の図鑑、魚図鑑、明かり図鑑、道具の図鑑など、様々な図鑑が精妙な絵入りでつくられていたようです

旅行マニュアル

例:「旅行用心集」(埼玉県立文書館寄託 小室家文書3361)

古文書の保存について

古文書は、公的機関に保存されているものだけでなく、個人が所蔵しているものも含めてすべて、その土地やそこに住んでいた先人たちの歴史を物語る大切な資料です。失ってしまうともう二度と手に入れることはできません。それだけに取り扱いや保存には十二分な注意を払う必要があります。

特に閲覧時や保存場所の移動時には、古文書の破損や劣化を引き起こす可能性があるので要注意です。では、どういったことに気をつければ、破損や劣化を防ぐことができるのでしょう。

ここでは、古文書が破損したり劣化したりする原因博物館や史料館などの公的機関で実際にどのような保存方法がとられているのか、また一般の家庭で保存する際にできる施策について説明したうえで、究極の保存方法を紹介します。

古文書が破損したり劣化したりする原因とは

劣化した資料のイメージ

古文書の破損や劣化を引き起こす原因には想像以上に多くのものがあります。

まず環境面から言うと、高温・多湿、光、水分、空気、ホコリ、ゴミがあります

高温・多湿は、最もカビが生えやすい条件です。光は、太陽光線だけでなく、蛍光灯、白熱電球、水銀灯も紫外線を含んでいるために紙焼けを引き起こします。空気は、空中の酸素で紙が酸化したり汚染物質で汚染されたりして変色を引き起こします。ホコリやゴミは、カビや虫の温床になって、カビが繁殖したり虫食いができたりします。

次に気をつけなければならないのが、人為的な処置です。例えば、汚れた手で触るとその汚れが付着してシミをつくることがあります。汚れていなくても、手の皮脂が手あかとなって残ることもあります。また指をなめてページをめくったりすることでもシミをつくります。ホッチキスやクリップ、輪ゴム、セロテープ、付箋、科学のりなども古文書の大敵です。紙そのものを傷めたり、金属の錆の色がついたり、粘着部が紙について変色したりします。

公的機関で実践されている保存方法

公的機関
では、博物館や史料館などの公的機関では、どのような方法で古文書を保存しているのでしょう。ここでは、1つの例として岡山県立記録史料館で行われている保存方法を紹介します。

古文書を受け入れて保存するまで


  1. 古文書を受け入れる
  2. 状態をチェックし、ゴミやホコリが付着していれば除去
  3. 館内で燻蒸(通常は業者に依頼して施工)
  4. 燻蒸終了後、残っているゴミなどがあればきれいに除去
  5. 書き記されている内容、年代などを調べて概要を把握
  6. 中性紙箱でできている文書保存箱へ保存(中性紙の箱・封筒・付箋、無漂白の布紐、こより、薄葉紙を使用)
  7. 番号(資料番号)を付与し、付箋に記入して古文書に挟み込む
  8. 資料カードを作成し、古文書に関する情報を書き込み、システムに入力
  9. 古文書が入った保存箱を書庫へ納める

保存後の管理

①書庫内の空調および衛星管理

  • 温度 22~25℃、湿度 55%程度に維持
  • 定期的な清掃
  • 専門業者に依頼し、書庫内の環境に関して温湿度の測定、酸度・アルカリ度の検査、空気中のほこり・粉塵・浮遊菌の測定、害虫の有無・数・種類の調査などを行って整備を徹底
  • 書庫へ入る際に履物を履き替える
  • 粘着フロアマットを設置
  • 害虫侵入対策として出入口ドア下へ虫除けブラシを設置

②防カビ・殺虫・殺菌対策

  • 薬剤を使った燻蒸による処理(専門業者へ持ち込む場合あり)
  • 冷凍庫による低温処理
  • 低酸素濃度(脱酸素)処理(酸欠状態にして殺虫を行う方法)
  • 二酸化炭素処理(60%の二酸化炭素で殺虫・殺卵を行う方法)

家庭でできる保存方法

手と古文書

古文書を自宅に所蔵している方のために、家庭でできる保存方法を紹介します。現在の古文書の保存状態を確認する意味でも、この方法を参考にしながらメンテナンスを行ってみてはいかがでしょうか。

  1. 保存している容器や箱から取り出す(天気のよい日に、清潔な布や紙の上に置くようにしてください)
  2. 状態をよくチェックし、カビが生えていないか、虫に食われていないか、劣化などが見られないか確認
  3. ホコリやゴミがついている場合は、ハケや筆などで取り去る
  4. 直射日光の当たらない、風通しの良い日陰に置いて虫干し
  5. 古文書に傷んでいるところがないか調べる
  6. 保存していた容器や箱の清掃を行って、同じように陰干しをして乾燥させる
  7. 古文書を6の容器や箱に入れます(新聞紙は使わないこと)
  8. 市販の防虫剤を古文書の上にのせる(違う種類やメーカーのものを一緒に使わないこと)
  9. 内容物リストを作成し、メンテナンスを行った日付も記入して、容器の蓋の上や側面に貼り付ける
  10. あらかじめ清掃して清潔になった保存場所に容器を置く

古文書が傷んでいた場合に家庭でできる応急処置

古書の処置のイメージ

水濡れの場合

風通しのよい、直射日光の当たらない日陰で自然乾燥させます。この場合、紙同士がひっついてしまっていても、無理にはがそうとせずにそのままにしておきます。紙がめくれるようであれば、紙と紙の間に和紙などを挟んで水分を吸収させるという作業を繰り返します。

虫食いや破損の場合

軽度の傷みの場合は、補修紙を使用して補修します。虫食いの場合は、古文書についたホコリや虫を取り去って、容器内を清掃し、防虫剤を入れます

カビが生えている場合

容器から取り出してカビをハケなどで払い落としてから、エタノール(70%)を浸み込ませた布やキッチンペーパーなどで軽く拭きます。この場合、エタノールが合わない素材もあるので、きちんと確認してから処置するようにしましょう。またエタノールを使用する場合は換気に気をつけましょう。

その後、直射日光の当たらない風通しのよい日陰に置いて乾燥させます。容器も同じように手入れをして乾かします。ただし、段ボールの場合は、新しいものに取り換えてください。

のりが剥がれている場合

ばらばらにならないように気をつけながら、でんぷんのりを薄めたもので処置を行います。この場合、決してホッチキス、クリップ、セロテープ、化学のりは使わないでください。のりづけしたら、よく乾燥させてから容器に戻します。

泥などの汚れがついた場合

きれいな水で軽く洗浄し、キッチンペーパーや和紙で水分を吸い取ります。決して長時間水につけたり、力を入れてごしごしとこすったりしないでください。吸水処理ができない場合は、形を整え、カビが発生しないようにエタノールを噴射し、ポリ袋に入れて、冷凍庫に保存します。(エタノールを使用する際は換気に注意してください。)

家庭では、以上のような応急処置が可能ですが、素人でできる処置には限度があります。手に負えないと判断した場合は、早目に修復のプロに依頼しましょう。

電子化による保存のすすめ

古文書の非破壊スキャン

貴重な歴史的資料である古文書は、これからも後の世に引き継いでいかなければなりません。しかし、紙ベースの資料は、保存の期間が長くなればなるほど、破損や劣化の可能性が高くなります。

そこでお勧めしたいのが、原本の紙の文書の保存と並行して、その古文書を電子化してデータとして残すという究極の保存方法です。以下に、電子化することで得られるメリットについて説明します。

原本を壊さずに済む

電子化する際に、非破壊スキャンで行えば、原本の古文書を裁断せずにそのままの形で残しながら、文書の電子化を実行することができます。電子化によって古文書をデータで残しておくと、その古文書が必要になった際に、原本ではなくデータを使うことができるようになるので、古文書をそれ以上傷めることがなくなります。

劣化を修正できる

電子化でデータにすると修正が可能になります。そのために、経年による黄ばみなどの劣化も画像修正によってきれいな文書に直すことができます

共有が楽に

電子化すると、同時に複数の人がいろいろな場所でそのデータ(古文書)を閲覧することができるようになります。紙ベースの古文書は、取り扱いに気をつけながら閲覧しなければなりませんが、データ化すれば、そういったわずらわしさからも解放されます。

非破壊スキャナーを採用しているそのままスキャンの書籍電子化サービスは、戦国時代に作成された重要文化財の古文書(約400年前)を電子化したという実績を持っています。実は上の写真はその時のもの。しかも電子化だけでなく、書物に書かれている文字を白文化(レ点などのない漢文)する作業まで実施しました。電子化はもちろん、電子化の際に古い資料を出来るだけ傷つけたくない方に最適なサービスとなっています。同じお寺様の事例としては、蔵書およそ360冊を、こちらは電子化の上旧字→新字へ変換作業させていただいた浅草寺様もあります。

このように将来世代への保存もさることながら、古文書の中の情報を「現代で共有し、使える」ように加工することも電子化をする大きなメリットと言うことが出来ます。

古文書を未来に遺すための保存を

非破壊スキャナーによる古文書の電子化

古文書は、どこに保存されていようと、どれも日本の大切な文化遺産です。その研究によって日本の知られざるエピソードが生まれる可能性もあります。ともすれば、見過ごされがちな古文書は、その研究者からしてみると宝の山です。それこそ世界にただ1つしか残っていない貴重な歴史的資料です。

そのように日本の歴史を知るうえで重要な古文書は、可能な限り破損や劣化を防いで後世へ引き継いでいかなければなりません。そのためにもこれを機に、電子化といった方法も含めて、保存の大切さを考えてみたいものです

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https://sei-syou.com/library/what-is-ancient-document/feed 0
今更聞けないPDFとは?紙をPDFにするメリットとは https://sei-syou.com/library/what-is-pdf https://sei-syou.com/library/what-is-pdf#respond Fri, 06 Jan 2023 04:47:46 +0000 https://sei-syou.com/?p=11915 ビジネスの分野だけでなく学術研究の分野でも、また個人ベースでも、今やPDFは広く利用されているファイル形式です。それにも関わらず、「ではPDFって、具体的にどんなものですか?」と尋ねられて、すぐに答えることができる人はそんなに多くはいないはずです。

そこで今回は、このPDFを取り上げて、PDFとは何ものなのか、PDFにするとどんなメリットが得られるのか、また紙をPDF化する際の注意点などについて、PDFの機能や活用方法も含めて解説していきます

PDFとは?

PDFは、米国のアドビシステムズ社が開発したファイル形式で、2008年7月に国際標準化機構(ISO)によって標準化されて以来、急速に普及してきました。

この呼び名PDF(ピー・ディー・エフ)は、Portable Document Format(ポータブル・ドキュメント・フォーマット)の頭文字からきています。「ポータブル・ドキュメント・フォーマット」と言われても、「持ち運び可能なドキュメント・フォーマット?」と首をかしげてしまいますよね。

そこでここでは、PDFについて、辞書的な意味、誕生した背景、作成の方法、メリットといった順序で詳しく説明していきます。

PDFの意味

PDFの意味

小学館の「デジタル大辞泉」によると、PDFとは、「《portable document format》米国アドビシステムズ社が開発した、電子文書のファイル形式。テキストや画像のほかに、フォントやレイアウトの情報が収められており、パソコンの機種やOS環境に依存しない表示が可能。」と解説されています。

つまり、機種やOSに関係なく、どのパソコンでも読み取ることができるファイル形式だということです。

多くの場合、Windowsで作成したファイルはWindowsでしか読み込むことができない、といったような互換性の問題が発生します。それがPDFを介することで、どんなファイルも互換性に縛られることなく読み取ることが可能になるということです。

ここでやっと「ポータブル」という言葉のもうひとつの意味が浮上してきます。コンピューター用語で「移植可能な」という意味です。「移植可能な」というのは、特定の環境でしか動作しないソフトウェアをそれ以外の環境でも動作するようにする、という意味が含まれた言葉です。PDFは、そういった意味での「ポータブル」なドキュメント形式だということなのですね。

誕生の背景

クロスデバイス

米国のアドビシステムズ会社によってPDFがリリースされたのは1993年のことですが、開発自体は1991年にアドビの共同創設者であるジョン・ワーノック博士の立ち上げたプロジェクトをもとに開始しています。

どのようなプロジェクトかというと、作成されたアプリケーションを問うことなく、どんな文書でも読み取ることができ、それを電子化することでどこへでも送信し、どんなコンピューターでも表示・印刷することができるようにするツールを提供するというプロジェクトでした。

通常、あるアプリケーションで作成した文書は、そのアプリケーションが入っているパソコンだけでしか開くことができず、パソコン自体が同じものでない場合は、レイアウトやフォントが変わってしまう可能性がある、といった問題が発生します。そういった時代の背景を考えると、このワーノック博士の立ち上げたプロジェクトは画期的なものでした。

そしてそのプロジェクトの目標は達成され、1992年にその成果としてPDFが誕生したのです。

作成方法

作成

※PDFのファイルを読み込んだり表示したりするには、専用のソフトが必要になります。ご使用のパソコンやタブレットに事前インストールされていることもありますが、もしまだインストールされていないようであれば、アドビ社が無料で提供している「Adobe Reader(アドビ・リーダー)」をダウンロードしておきましょう。

PDFファイルの作成方法には、大きく分けて2通りあります。

1.WordやExcel等で作成→PDFに変換して保存

Microsoft Office10以降のWord、Excel、PowerPointなどでは、Acrobatリボンを使ってファイルをPDFファイルに変換することができます。

  1. Officeアプリケーションでファイルを開く
  2. Acrobatリボンの「PDFを作成」ボタンをクリック
  3. 表示されたダイアログボックスで「PDFを保護」を選択
  4. 次のダイアログボックスで必要に応じてパスワードとアクセス権を設定し、他のユーザーの操作を制限
  5. 「OK」をクリックし、PDFの名前を指定して、目的の場所に保存

※引用:Word、ExcelまたはPowerPointファイルをPDFに変換 (Adobe)

Microsoft Office9以前のWord、Excel、PowerPointで、Acrobatリボンが表示されない場合は、ファイルの保存時に「エクスポート」でPDFを指定します。

  1. 該当のファイルを開き、トップバーの左端の「ファイル」をクリック
  2. 左のサイドバーから「エクスポート」をクリック
  3. 次に表示される画面の「PDF/XPSの作成」ボックスをクリック
  4. ファイルの保存場所やファイル名を指定し「発行」をクリック

2.最初からPDFファイルを作成する

もう一つの作成方法は、既存ファイルの変換ではなく最初からPDFとして作ってしまうというものです。

この場合、専用のPDF作成ソフトをインストールする必要があります。アドビ社が提供している正規版のAcrobat DCという有料ソフトをインストールする方法もありますが、現在は、いろいろな会社がPDF作成ソフトを有料または無料で提供しています。セキュリティーなどの問題もありますので選ぶ際には十分に調査をすることをお勧めします。

※参考:アドビ社Acrobatについて

紙と比較した時に優れているポイント

紙とPDF

PDFは、データを紙に印刷したときと同じ状態を保ったまま保存することができるために、「電子の紙」と呼ばれています。そこでここでは、紙ベースの書類と比較した際に、PDFファイルの方が優れていると思われる点を上げます。

すばやく配信したりアクセスできる

紙ベースの書類は、送付する際に郵送またはファックスで送ったり、あるいはスキャンしてデータ化し、メールに添付して送ったりしなければならないために、余分な作業が発生します。

これに比べてPDFファイルは、それそのものが電子化された情報なので、瞬時に先方に、しかも同時に複数の宛先へ配信することができます。また、保存場所のアドレスさえ公開しておけば、誰でも必要になった時にどこからでもすぐにアクセスすることが可能です。

セキュリティーが強化される

PDFでは、Acrobat DCなどで書類を作成する際に、紙ベースの書類と同じように署名・捺印を取り入れることが可能ですが、さらにパスワードを設定することで、その書類を開示できる人物を制限することができます。つまりセキュリティーが強化されるということです。

データの劣化や破損がない

紙ベースの書類は、経年による黄ばみや傷みが生じます。また紛失する恐れもないとは言えません。

これに比べて、PDFファイルは、電子化されたデータであるため、劣化したり破損したりすることがありません。また、紛失の心配もありません

そのままの状態のデータを後世に引き継げる

上記でも述べているように、紙ベースの書類やデータは、経年による劣化や破損、あるいは紛失などが生じて、ほとんどの場合、後世へそのままの状態で引き継ぐことはできません。

これに対して、PDFファイルで保存されたデータは、そのままの状態で後世へ引き継ぐことができます

瞬時に検索できる

紙ベースの書類は、バインダーなどにファイリングして、棚や倉庫に保管しますが、必要になった時に、保管場所に出向いたり、バインダーの中を探したりしなければならず、時間と労力がかかってしまいます。

これに対して、PDFファイルで保存した場合は、パソコンやタブレットがあれば、どこにいてもすぐに検索することができます

PDFでできること

今や、個人だけでなく、世界中の企業や官公庁などで使われているPDFですが、このPDFを使うことでどういったメリットが得られるのでしょう。以下では、PDFのメリットを理解するために、PDFでできることについて考察していきます。

公共性をもたせる

誰でも利用可能

PDFは、誰でも利用できるオープンフォーマットです。

PDF作成ソフトがあれば、誰でもPDFファイルを作成することができます。またAcrobat Reader(Adobe Reader)がインストールされていれば、アプリケーションや機種に関係なくどの環境でも読み取ることができます。さらに、すでにWindowsやExcelやPowerPointなどの他のアプリケーションで作成されているファイルも、PDFに変換することができます。

このようにPDFを使うことで、ファイルに公共性をもたせることが可能になります

ちなみに、Acrobat Readerは1994年に無償配布が開始して以来、そのダウンロード数は5億回を超えているといわれています。このことからも、PDFが世界中の人々に広く利用されている、つまり必要とされているのがよくわかります。

標準化することができる

様々な環境

通常、ファイルは、それを作成したアプリケーションやプラットフォームなどの環境に依存します。つまり、同じアプリケーションやプラットフォームでないと開くことができないということです。

しかしPDFは、マルチプラットフォーム仕様なので、どのような環境でも開いて読み取って印刷することができます。これが、PDFが「紙に代わる電子の紙」と言われる所以です。

しかも、PDFファイルは、どのような環境でも、元の文書と同じように表示されます。アプリケーションや機種によって文字が読み取れなかったり文字化けしたりすることはありません。これは、PDFでは、文字そのものにフォントを埋め込むことができるため、そのフォントを持っていない環境でも、元の文書どおりに表示し印刷することが可能だということなのです。

このように、PDFは、どのファイルも環境から独立させて標準化することができます。

軽量化することができる

通常、PDFファイルに変換すると、元々のファイル(WordやPowerPointやIllustratorで作成したファイル)のサイズは小さくなりますが、メールに添付して送信する場合などにもっと小さくして軽くする必要が生じることがあります。

そのような場合、PDFの「ファイルサイズを縮小」機能を利用すれば、さらにファイルサイズを小さくすることができます

ファイルサイズを小さくすると、メールでやりとりする時だけでなく、Web上に配信したり、Web上に配信されたPDFファイルにアクセスする場合も、素早く行うことができます。このようにPDFは、ファイルの軽量化を可能にします。

セキュリティーを設定することができる

ファイルのセキュリティ-

PDFファイルは、「電子の紙」と言われるだけあって、読み取った時点でそのファイルを改ざんできないようになっていますが、さらにパスワードを設定することでセキュリティーを強化することが可能です。これをPDFのパスワードセキュリティーと言います。

このパスワードセキュリティーを設定すれば、PDFファイルを読み取る際に、ファイルを開くためのパスワードを設定したり、そのユーザーに対して、コンテンツの一部をコピーできるか否か、印刷することができるか否か、編集することができるか否かといった権限を設定して、セキュリティーの強化を図ることが可能になります。

共同作業を効率化させる

PDFの構造は、元々の文書の「文書層」と、その文書に書き込む注釈やコメントなどの「付帯情報層」に分かれています。そのために、閲覧時に何か注釈やコメントが書き込まれても、それらは付帯情報層に書き込まれていくだけで、元々の文書が記録されている文書層は変わることはありません。

この機能は、複数の人間で役割を分担して編集したり、文書の校閲や校正を行ったりする共同作業を効率よく進めていくうえで役に立ちます

この例が、「オンライン校正」です。従来は紙ベースで行っていた校正作業を、PDFを利用することで、オンラインで、しかも複数のスタッフが分担して進めることができるということです。このようなオンライン校正は、用紙にかかるコストが削減されるだけでなく、仕事の効率も上がるということで、現在、さまざまな現場で取り入れられています。

コストを削減する

社内で作成した文書が環境依存のファイルの場合、アプリケーションがバージョンアップした際に、プラットフォームとの間に互換性がなくなるといったような不都合が生じたり、あるいはプラットフォームでそのバージョンをサポートしなくなったりして、将来的にそのファイルを開くことができなくなる恐れがあります。そうなると、全社的なメンテナンスが必要となり、そのための人件費が発生します。

しかし、そういった社内資料をPDFで統一しておけば、どのような環境になってもファイルを開くことができるので、問題も発生することはなく、メンテナンスにかかる余分なコストも発生しません

さらに、上記のオンライン校正などのように、紙ベースでしていた作業をオンラインで行うことができるようになるため、用紙にかかっていた費用も削減できます。このように、PDFは、コスト削減にも貢献すると言えます。

情報の再利用を可能にする

テキストの検索

PDFは、よく文書を画像化したものだととらえられることがあるようですが、実際には、そうではありません。PDFは、テキスト情報とグラフィック情報が分けられているために、個別に操作することが可能なのです

どういうことかというと、テキストだけの検索を行ったり、テキストの必要な個所をコピーしたり、必要なグラフィックだけを選んで、別のファイル、たとえば、Word文書などに貼り付けて利用するといった操作ができるということです。このように、PDFでは、情報の再利用を可能にしてくれます。

Acrobat DCの機能

無料のPDFビューアであるAcrobat Reader DCは、文書に注釈をつけたりハイライトをつけたりすることはできますが、文書そのものを編集することはできません。編集するためには、有料のAcrobat DCが必要になります。Acrobat DCには、Acrobat Standard DCAcrobat Pro DCの2タイプがあります。

Acrobat Standard DC

Acrobat Standard DCでは、PDFファイルの作成と編集のほかに、次のような機能が備わっています。

  • スキャンした文書を検索可能なPDFにする
  • PDFをオフィス文書に変換する
  • フォーム機能やオンラインでの共有も可能
  • 複数のPDFファイルをまとめる
  • 他の人がデータを編集できないようセキュリティー機能を有効にする
  • 電子証明書もサポートする

Acrobat Pro DC

Acrobat Pro DCでは、さらに次のような機能を提供しています。

  • スキャンした画像をワンクリックで補正&文字認識する
  • スキャンしたデータを編集可能なPDFにする
  • PDFのファイルサイズを自動的に最適化する
  • 文書に通し番号を追加する
  • 作業手順を登録・保存・共有できる「アクションウィザード」が利用できる
  • 2つのバージョンのPDFを比較して差分を確認できる
  • Macでも利用できる
  • iPadアプリでPDFファイルにテキストを追加したり編集したりできる

※引用:Acrobat Pro、Standard、Readerの違いは? (ASCII.jp)

自分(社内)でPDF化するのが難しいケース

難しいPDF化の場合

どのような資料もPDF化することで、環境に依存することなく、どこでも閲覧することが可能になります。ただ、データ化されているものはそのまま変換すればPDFファイルにすることができますが、紙ベースの資料をPDF化するには、まずスキャンしなければなりません。この時に、以下のような資料を扱う場合に問題が発生することがあります。

  • 貴重資料だが経年劣化が激しく、裁断したくない
  • 大量の資料

それぞれ、簡単に解説していきます。

貴重資料だが、経年劣化が激しい資料

痛みが激しい文書は、スキャニングでさらに傷んだり破損したりする可能性があります。また、貴重な資料ほどオリジナルのものを残しておく必要が生じますが、通常のスキャンでは、裁断してスキャニングを行わなければならないために、大切なオリジナルの文書がばらばらになってしまいます

大量の資料

量も問題です。数ページの文書だと時間もそれほどかかりませんが、数十ページ~100ページを超えるような文書だと、そのスキャニングに多くの労力と時間がとられるため、生産性の低下につながります。

このような場合は、自分または社内で行うよりも、PDF化の専門業者に任せる方が無駄がなく、また事故も起こることがないので安心です。

当サイトを運営するそのままスキャンは、こういった場合のPDF化に対応できるサービスです。しかも非裁断スキャナーを使っているために、大切な文書や資料を裁断することなくPDF化を行うことができます。紙資料のPDF化、特に貴重資料をPDFへ変換したいとお考えの方はお気軽にご相談ください。

まとめ

まとめ

PDFは、ひと昔前までは、どちらかというと特殊なイメージを持つフォーマットでした。Wordファイルなどのように、他のアプリケーションで作成したファイルをPDF化することなどもすぐにはできませんでした。それが今や、さまざまなシーンでPDFファイルが大活躍をしています。

配布されて読み取るといった形で利用することが多いPDFファイルですが、無料のソフトなどをインストールして、PDFファイルの作成を楽しんでみると、よりPDFのすばらしさを理解できるかもしれません。

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ガラス乾板について解説!保存はスキャニングがおすすめ https://sei-syou.com/library/what-is-photographic-plate https://sei-syou.com/library/what-is-photographic-plate#respond Wed, 04 Jan 2023 09:41:29 +0000 https://sei-syou.com/?p=11910 ガラス(写真)乾板をご存知でしょうか。簡単に言えば、フィルムではなくガラス板に画像が写っている写真のことです。

研究室や書庫に眠っていることの多いガラス乾板は、非常に貴重な資料です。しかし、知らない人からするとどうやって扱えばいいか分からず、下手に触ると割ってしまいそうで怖いですよね。

今回は、このガラス乾板とはどんなものなのか、そしてどうやって保存していけばいいのかを詳しくご説明します。

ガラス乾板(写真乾板)とは?

用語を解説

今では日常的にほとんど目にすることのないガラス乾板。でも実は、世界でも日本でもフィルム写真より長く使用されてきた歴史があるものなのです。まずはその構造や歴史について見ていきましょう。

ガラス乾板の構造

ガラス乾板の構造

ガラス乾板は、その名の通り無色透明の平らなガラス板に、写真感光材を塗布したものです。写真乾板、または乾板と呼ばれることもあります。

なぜ乾板というのか。乾板が登場する前の写真撮影術としては、19世紀半ばにイギリスで発明された、コロジオン湿板法という方法が主流でした。感光板を薬品で濡れた状態で撮影するこのコロジオン湿板法に対し、ガラス乾板は乾いた状態で撮影することができたため乾板と呼ばれたのです。

ガラス乾板の構造を説明すると、ゼラチンを媒体として臭化銀の感光乳剤がガラス板に塗布されています。ちなみに、この支持体がガラス板からセルロイド素材のシートに変わったものが、私たちのよく知る写真フィルムです。

つまり構造自体はガラス乾板も写真フィルムも大きな違いがないのです。

ガラス乾板の歴史

ガラス乾板の歴史

ガラス乾板の歴史を振り返ると、19世紀末に実用化され、ヨーロッパで広く使用されるようになりました。

ガラス乾板が登場するまで主流だった湿板は、撮影をするためにカメラやレンズだけでなく、薬品や暗室など様々なものが必要であり、また撮影の直前に感光板を撮影者が自分で製作して、濡れた状態で撮影しなければならなかったため、非常に熟練した技術と知識が必要でした。この不便さを解消したのが、ゼラチン乳剤によるガラス乾板だったのです。

1871年にイギリスのリチャード・リーチ・マドックスという人物が、ゼラチンを媒体として臭化銀乳剤をガラス板に塗布した乾板を発表したのを皮切りに、1870年代に次々と改良が加えられていきました。

臭化銀ゼラチン乳剤は、感光度が非常に高いため、それまでの湿板写真が撮影に十数秒かかっていたのに対し、乾板では25分の1秒程度の露光時間での撮影が可能になり、一気に撮影の可能性が広がりました

1870年代後半のイギリスでは、リヴァプール乾板・印画会社、モーソン&スワン、ラッテン&ウェインライト、サミュエル・フライ社の4社を皮切りに、数多くの乾板製造会社が次々と登場しました。こうして乳剤や感光板の製造は撮影者個人が行うものではなく、工場で大規模に行われるものに変化したのです。ガラス乾板の製造は、ベルギーやフランス、ドイツ、アメリカへと広まっていきました。アメリカで1881年に創業したイートマン乾板会社は、その後コダック社となって20世紀の写真界を支える世界的なメーカーへと発展していきます。

日本に先に伝わったのは、湿板写真の方でした。江戸時代、安政年間の初め頃、つまりペリーが来航した頃に日本に初めて湿板撮影の技術が渡来したと言われています

ガラス乾板の技術が日本に紹介されたのは、明治10年代半ば頃です。長崎の職業写真家であった上野彦馬がロシア海軍の士官から乾板を入手して撮影したのが始まりだと言われています。明治10年代後半には、小西本店、浅沼商会、桑田商会などの日本の写真材料商が外国製のガラス乾板を輸入するようになりました。こうして日本でも明治20年代には、写真は湿板写真ではなくガラス乾板が主に用いられるようになっていったのです。

日本国内で安定してガラス乾板が製造されるようになるのは、大正時代に入ってからです。東洋乾板やオリエンタル写真工業といった会社が、乾板の製造に成功しました。そして国産のガラス乾板が主流になるのは、ようやく昭和時代に入ってからです。

ガラス乾板の普及によって、日本でも撮影方法は大きく変化していきました。災害や戦争も現地で記録できるようになり、また産業や学術の分野でも幅広く活用されるようになりました。そして撮影が湿板写真に比べて容易であったため、職業写真家ではない写真愛好家の数が急激に増加したのです。

その後、ガラス乾板に変わるものとして写真フィルムが登場し、さらにロールフィルムの登場によって、何枚も写真を連続して撮影することが可能になります。これによってさらに写真撮影の大衆化が進むのですが、それでも職業写真家はガラス乾板を使用しました。それはガラス乾板の安定性がフィルムよりも勝っていたためです

写真を職業とする人たちの間では、明治20年代から戦後の昭和30年代までのおよそ70年から80年もの間、ガラス乾板が使われてきました。こうした歴史を見る限り、ガラス乾板はフィルム写真やデジタル写真と比べても、もっとも長期間用いられてきた記録メディアと言えるでしょう。

そしてガラス乾板は、いまではその貴重性が認識され、国の重要文化財として指定される対象にもなりました。近年では次のようなガラス乾板がその価値を認められ、国重要文化財に指定されています。

  • 琉球芸術調査写真(2005年)
  • 法隆寺金堂壁画写真ガラス原板(2015年)
  • 東京国立博物館所蔵臨時全国宝物調査関係資料(2016年)

ガラス乾板の種類

様々な種類

日本で用いられていたガラス乾板は、寸法によって次のように名称が分かれます。

  • 101×126mm 4×5(シノゴ)
  • 119×165mm カビネ(キャビネ)
  • 164×214mm 八切
  • 252×303mm 四切
  • 354×430mm 半切
  • 455×557mm 全紙

ただし古いガラス乾板の中には人の手で切り出したたために、この寸法に合致しないものもあります。

ガラス乾板の活用シーンは?

ガラス乾板の活用シーン

ガラス乾板の大きな特徴は、フィルムと比べて形状が非常に安定していることです。具体的に言うと、支持体がガラス板であるため、フィルムよりも平面性が高く、温度・湿度・経年による伸縮が小さいという点が大きな長所です。

そのため、乾板に代わるものとして写真フィルムが広まってきてからも、学術や医療の分野ではガラス乾板の方が重宝されてきました。また官公庁の行政文書にもガラス乾板は数多く含まれています。

それでは参考までに、数多くのガラス乾板を所有し、その活用を積極的に行っている機関の例として、東京大学史料編纂所と奈良国立博物館をご紹介します。

東京大学史料編纂所

東京大学の外観

日本史の貴重な史料を集め、研究し、史料集として編纂・刊行することを目的としている東京大学史料編纂所は、非常に数多くのガラス乾板を保有しています。

その理由は、東京大学史料編纂所が設立して間もない明治時代後半から、ガラス乾板によって全国各地の貴重な史料を複製し保存してきたからです。史料編纂所のガラス乾板による調査史料の複製は1960年代にマイクロフィルムを用いるようになるまで続けられ、なんと約2万枚のガラス乾板を蓄積する結果となったということです。

そして1997年に史料編纂所の附属施設として画像史料解析センターが発足し、古写真研究プロジェクトが開始されたことで、この膨大なガラス乾板を保存・研究する本格的な取り組みが始まりました。

現在は、この東京大学史料編纂所が日本のガラス乾板の保存活用をリードしていると言えるでしょう。具体的な保存の仕方、クリーニング方法、デジタル化やデータベース構築に関してなど積極的に情報発信を行っています。

奈良国立博物館

奈良国立博物館の外観

奈良国立博物館は主に仏教関係の歴史史料や美術品などの文化財を、収集、研究し展示公開している博物館です。1895年の開館以来、所蔵する文化財や展覧会で借用した作品などを撮影したほか、文化財の修理記録も撮影して残しています。また社寺の調査、発掘風景などもガラス乾板によって記録しています。

こうして奈良国立博物館には現在約7000枚におよぶガラス乾板が保管されているのです。

奈良国立博物館では、ガラス乾板一枚一枚を台帳に記録し、それと同時に順次電子化を進めているところです。台帳には、撮影内容の他、ガラスの状態、サイズ、電子化の有無、電子化した場合はそのファイル名などを記載しています。

電子化は、館内でデジタルカメラを用いてガラス乾板の撮影を行う他、業者に委託してスキャナーによる電子化も行っています。ガラス乾板の電子化を進め、そのデータを情報公開という形で有効に活用している好例と言えます。

何故、今はあまり目にしないのか

見なくなったイメージ

先ほど「ガラス乾板の大きなメリットは、フィルムと比べて形状が非常に安定していること」と言いました。それではガラス乾板はなぜ使われなくなってしまったのでしょうか。

最も大きな理由は、ガラス板という素材が重く、割れやすいため取扱いが難しいという点にありました。

ガラス乾板は、厚みのあるガラス板を支持体としているため、一枚一枚に重みがあり、数枚まとめて箱に入れると相当な重量になります。湿板に比べて撮影が容易になったとは言っても、この重さでは気軽に外へ持っていって撮影するというわけにはいきませんよね。そしてガラスなので、扱う人の不注意によって欠けたり割れてしまうということが多々ありました。

ガラスは硬く平面性があるので、長い時間が経っても変形は起きないという利点がありますが、割れてしまっては撮影情報を読み取ることすらできなくなります。また、ガラス乾板を緩衝材をいれずに重ね合わせてしまうと、ガラス同士が擦れて傷がつき、やはり読み取りが困難になることもありました。特に乳剤面同士が触れるように重ねてしまうと、膜面がはがれて画像が消えてしまうのです。

こうした不便さを解消したのが、支持体にセルロイドを用いた写真フィルムでした。軽く柔らかいセルロイド素材によって、ロールフィルムという形状も登場しました。イートマン・コダック社が1889年に発売したこのロールフィルムは、何枚も連続して撮影することを可能にして、持ち運びも簡単だったため、写真撮影はより気軽に行えるものになり、一気にアマチュア写真家の数が増える結果となりました。

その他にもガラス乾板のデメリットとしては、経年劣化がありました。ガラス乾板は、保管状態にもよりますが、時間が経つと、ガラスの表面が銀色に変色する「銀鏡」や、玉虫色になる「虹彩」と呼ばれるような劣化現象が起きることがあります。いずれも画像面の銀が変化して、画像の一部が見えにくくなる現象です。また画像が退色したり黄変したりすることもあります。こうした現象は、主に酸化によって引き起こされるものです。

またガラス乾板に塗布されている感光乳剤のゼラチンはカビの恰好の栄養源となるため、相対湿度65%以上の高湿な保存環境に置いておくと、比較的簡単に画像面にカビが発生します。そしてそのまま症状が進行するとカビの浸食によって画像が消えてしまうのです。

こうした経年劣化は、ガラス乾板に限らずフィルムでも同様に起きることなのですが、重くかさばるガラス乾板は、状態をこまめにチェックすることが現実的に難しいため、劣化症状が進行するのに気づきにくいという問題もありました。

こうした保存の難しさのために、ガラス乾板は写真フィルム、そしてデジタル写真へと置き換えられていったのです。

ガラス乾板の取り扱いと保存の方法

ガラス乾板の取り扱い方

それでは今に残る貴重なガラス乾板はどのように取り扱い、保存すればいいのでしょうか。

保存方法

ガラス乾板を保存する時に気をつけなければいけないのが、温度、湿度です。

日本工業規格(JIS)が定めた「写真―現像処理済み写真乾板―保存方法」(JIS規格番号 K 7644)を参考に、ガラス乾板の保存環境をご説明します。

まず、10年以上の中期保存を目指す場合は、

  • 温度は20℃以下が望ましく、25℃を超えることがあってはならない。
  • 相対湿度は50%を超えてはならない。湿度の変動があったとしても24時間以内に±10 %までとする。

という条件を満たすことが求められます。

そして、より長期間にわたって画像情報を残すためには、
  • 温度は18℃を超えてはならない。
  • 相対湿度は30%から40%の範囲内におさめなければならない。

という低温低湿の保存環境が必要になります。専門機関以外で、この保存環境を実現できるところは少ないかもしれませんね。

さらに言えばガラス乾板は一枚ずつ、畳紙で包んだうえで保存箱に収納することが理想的です。畳紙、保存箱とも中性紙製である必要があります。酸性の素材は変色をまねく恐れがあるからです。

またガラス乾板は素材がガラスであるため当然ですが紙のように軽くありません。そのため、ある程度まとまった数がある場合は、保管する棚はしっかりとした造りの、重量物に耐性のあるスチール製キャビネットにすることが望ましいです。それだけではなく、ガラス乾板は落下することが致命的な破損につながるため、落下防止板をキャビネットに取り付けることが理想です。それが難しい場合は、簡易的にひもを棚の前に張るなどして地震対策を取りましょう。

収納方法ですが、ガラス乾板を平置きにして重ねると下のガラス乾板に重みがかかり割れる危険性があるため、ガラス乾板は縦置きにすることが基本です。ただし、すでにヒビが入っている、または完全に割れてしまっているものに関しては、個別に平置きする必要があります。

もうひとつ、写真プリントやフィルム、また光学ディスクはガラス乾板と同じ箱に収納しないように注意しましょう。これらは乾板の銀画像に影響を与える窒素酸化物を放出するためです。

取り扱う際の注意点

ガラス乾板を触る場合は、指紋、手の脂が乾板につくことを防ぐために、薄手のきれいな木綿の手袋を着用しましょう。

なるべく乾板の乳剤面(画像面)には触らないように、乾板の縁を持つように心がけましょう。ガラス乾板が汚れている時は、刷毛でやさしくホコリを払います。

そしてカビが発生していた時は、エタノールを混ぜた水でガラス面を吹きましょう。乳剤面(画像面)にはエタノール水溶液は使わず、刷毛で払うだけにします。

以上のような点に注意すれば、ガラス乾板の劣化を遅らせることができるでしょう。

ガラス乾板は電子化のメリットが大きい

電子化で幸せになる女性

ガラス乾板はきちんとした保存環境に置かないと劣化が進むことをご説明しました。そうした環境を維持するのは難しい、またはすでに割れてしまっていて取扱いができない、そういった場合はガラス乾板をスキャニングして電子化することをおすすめします。

最初に触れた通り、ガラス乾板は構造としては写真フィルムと大きな違いがありません。つまり写真フィルムと同じようにスキャニングして、撮影内容を電子化することができるのです。

ガラス乾板は、物理的に重たくかさばっていて、さらに割れやすいため、取り出すのも簡単ではありません。しかし一度電子化してしまえば、撮影画像を簡単にパソコンで確認することができるようになり、ガラス乾板を取り出す必要がなくなります。ガラス乾板自体を扱う回数の減少は、物理的な破損が起こる危険性を減らすことにもつながります。

そして何と言っても電子データにすれば、それ以上画像が劣化することはありません。ガラス乾板の劣化は時間が経てば経つほど進行してしまうので、なるべく早い段階で電子化することが重要になります。

電子化のメリットはそれ以外にも数多くあります。まず、すでに劣化が進んだり、物理的に割れてしまっていたりして、内容を確認することが難しいガラス乾板でも、スキャニングして電子化すれば、画像を加工してデータをある程度復元することができます。ガラスが割れていても、粉々ではなく、ガラスのピースがある程度揃っていればスキャニングは可能です。

写真データは出版物や電子書籍に使用することもできます。貴重な撮影情報の活用という点では、電子化のメリットが非常に大きいのです。

ガラス乾板のデータが数多くある場合は、データベース化することも可能です。検索による利便性も高まるため、必要な情報を求めてガラス乾板を一枚一枚取り出して中身を確認することがなくなります。オンラインやクラウドで共有すれば、誰でもその情報にアクセスすることができるようになります。

このように一般の書籍や写真フィルム以上に電子化のメリットが大きいと言えるガラス乾板。もしガラス乾板の取り扱いに悩んでいる場合は、電子化を検討してみてもいいでしょう。

ガラス乾板の電子化はご相談ください

当サイトを運営するそのままスキャンは、書籍から大判資料、絵画、フィルムなど様々な資料の電子化を代行するサービスです。今回ご紹介したガラス乾板は非常に取り扱いが難しいため、電子化を請け負っている業者は極めて少数ですが、弊社ではこの資料にも対応しております(料金は都度、仕様に応じて算出させていただきます)。

ガラス乾板の保存にお悩みの方はお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。

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OCR処理ってなに?メリットを紹介 https://sei-syou.com/library/what-is-ocr https://sei-syou.com/library/what-is-ocr#respond Wed, 04 Jan 2023 09:06:00 +0000 https://sei-syou.com/?p=11899 OCR処理という言葉を見たり聞いたりしたことはありますか?

OCR処理とはスキャニングした書類や書籍からテキストの抽出を可能にしている技術のことです。最近ではAI OCRが浸透して一気に認知度の高い技術になりましたね。

例えばPDFに電子化された書類に書いてある文字列をマウスでドラッグするなどして選択したことはありませんか?画像であるはずのPDFから文字が選択できるなんて不思議ですが、これもOCR処理を施しているからできることなのです。

本記事ではOCR処理の概要やメリット・デメリットを中心に説明します

OCR処理とは

OCR処理と一口に言っても、具体的にどのような技術を使って実現されているのでしょうか?この章ではOCR処理に関する基礎的な情報や種類について説明します。

OCR処理の基本情報

本

OCRとは「Optical Character Recognition(光学文字認識)」の略で、書籍や書類を電子化する際に取り込まれたデータから印刷・手書きのもの問わず文字や数字を探し出してコンピューターが使用できる文字コードに変換して出力するソフトを指します。

OCRの歴史は古く、1914年に文字列を読み取って電気符号に変換する機械が発明されたことによりOCRの研究はスタートします。1950年には世界初の商用OCRシステムが販売され、日本では1968年に手書きの郵便番号の読み取りにOCRが利用されるようになりました。

2023年現在の日本においてOCRは、企業の伝票・帳票管理、書類管理の場面でよく使われている技術であり、昨今のペーパーレスやDXの風潮と合わせて官民問わずメジャーなものになっています。

旧来のOCRではフォントにより識字率にムラがありましたが、2023年現在のOCRは高い識字率を誇り、ほとんどのフォントを変換することが可能になりました。

OCRの中でも最近は手書き文字認識が注目されており、実用化されるとともにより高い精度を目指して研究が進められています。

OCRの仕組み

PC操作

一般的なOCR処理はスキャナーでスキャニングするだけでは行われず、スキャニング後OCR専用ソフトを使用してテキストを抽出したのちにドキュメントとして出力します。

OCR処理の流れ

OCR処理は簡単に説明すると以下の流れで実行されます。

1.画像の取り込み

書類や書籍などをスキャナーで画像として取り込みます。この時点ではまだOCR処理は施されていません。

2.画像と文字列の分離処理

ここからOCR処理が開始されます。書籍や書類は段組みで記載されているときが多いですよね。OCRは解析を始めるために画像と文字列を分離させて、どの文字列から解析をスタートさせるか決定します。

3.文字列の解析

画像と文字列を分けたら、文字列を1行ずつ分解し、さらに1文字ずつ分解します。

4.文字の解析

1文字に分解したら、ひとつずつターゲットの文字が何の文字か解析を開始します。その文字がどのような線で構築されているか特徴を捉えて、該当する文字をソフト内から検索してマッチング。

その後、文字の前後から該当する単語があるか検索を行って合致したものをデータとして決定します。

5.出力

PDFなどの画像やWord、Excelをはじめとしたドキュメントに解析した文字データを出力して、一連のOCR処理は完了します。

OCR処理に使われる代表的なソフト

OCR処理ソフトは一つだけではなく、OCR技術を扱う各社が販売しています。ここでは代表的なOCR処理ソフトを紹介します。

読取革命5

高精度のOCRエンジンを搭載しているOCR処理ソフト。

誰でも簡単に使えることをテーマにわかりやすい画面表示と操作方法にこだわっており、ユーザーフレンドリーなことで定評のある製品です。

より高精度な文字認識を実現するために認識対象文字を拡張しており、結果としてすべての日本語第二水準漢字3,388文字に対応しています。

「Evernoteクラウドサービス連携機能」が搭載されており、読取革命で作成したデータの保存と管理が可能な点もポイントです。

本格読取5

パナソニック社製の高精度OCRエンジンを採用し、辞書データに約750,000語格納していることから専門書や論文なども高精度で読み取ることが可能な点が特徴

表組みがされている帳票などを電子化した際、Excelに書き出すことによって表組みを自動で作成してくれる機能があるため、事務作業の簡略化が可能。

傾き補正に力を入れており、スマホで撮影した斜めの文章もまっすぐ補正することができ、傾いた画像は自動で補正してくれるため、楽に文字の認識精度を上げることができます。

Adobe Acrobat Standard DC

PDF作成がメインとなるソフトですがOCR処理機能を搭載しており、最大の特徴は書類における文字画像をベクターデータ化出来ること。ベクターデータにすることで検索はもちろん、PDFの文字が綺麗に描画されてズームしても歪むことがありません。

多言語に対応しているため日本語・英語のみだけではなく、ヨーロッパ圏やアジア圏の言語もカバーして文字認識することができます。

Evernote

Evernoteはオンラインメモアプリであり、純粋なOCR処理ソフトではありません。機能の一つにOCR処理を搭載しており、Evernoteに保存したPDFや写真に対して自動でOCR処理を行ってくれます

また、Evernoteで検索を実行するとPDFと写真に記載してある文字列も検索対象に含まれるため、検索キーワードから該当するPDFや画像を探し出すという変わった方法を取ることができる点は面白い試みですね。

Googleドライブ

Googleドライブはオンラインストレージであり、Evernote同様純粋なOCR処理ソフトではありませんが、OCR機能を内蔵しています。

Googleドライブに入れたPDFや画像は自動的にOCR処理が施され、テキストを抽出することが可能。印刷された文字の他に手書き文字も読み取ることができる高精度のOCRエンジンを搭載しています。

AI OCR

女性

AI OCRとは、AIを取り入れたOCRのこと。日本語はひらがな、カタカナ、漢字と文字が多いという言語の特徴もあって、今までのOCRでは認識精度の向上が難しいという課題があります。AI OCRではAI技術を利用し、多くの文字データを収集することによって文字の特徴をディープラーニングさせ、文字認識精度を向上させています。

AI研究は2019年現在、活発に研究開発されている分野であり、そんなAIとOCRを組み合わせたAI OCRは、今後のOCRにおける技術発展の要になるジャンルです。

AI OCRで有名なOCR処理ソフトは以下になります。

Tegaki

名前の通り、手書きで行われた書類のOCR処理に特化しているソフト。OCRとディープラーニングを活用した独自アルゴリズムを搭載したAIを利用することによってひらがなやカタカナ、漢字、数字、アルファベット、記号など多くの手書き文字を認識できるように作られています。

OCR処理の障害になっていた手書き書類でよく使用される1文字ずつ記載する枠やチェックボックスにも対応しているため、多くのフォーマットで作成されている書類にOCR処理を施すことを考えている場合に最適な選択肢となります。

DX Suite

AIだからできるオートラーニング機能を搭載しており、使えば使うほどデータが蓄積されて識字精度が向上するように設計されています。また、手書きで乱れた文字で書かれていても高い精度で読み取ることが可能です。

大量のデータをスキャニングしてOCR処理をかけることを得意としていて、自動でスケーリングすることができます。また、高速処理を実現するために分散コンピューティング技術が利用されており、先進的なAI-OCR処理ソフトです。

外国語のOCR

外国人

外国語を使用している書類や書籍などに対してOCR処理を施す場合は、OCR処理ソフトが該当する言語に対応している必要があります。

日本製のOCR処理ソフトは日本語市場をメインにしているため、多くの言語に対応していないものが多いのですが、海外製のOCR処理ソフトは海外という市場の関係で英語や中国語といった広い範囲で使われている言語以外にもドイツ語やロシア語などさまざまな言語に対応しているものが多く存在します

多言語対応で有名なOCR処理ソフトは以下になります。

FlexiCapture

FlexiCaptureは世界的に活躍するABBYY社製ということもあって198の言語に対応しており、複数言語が混在していても高精度でテキストを読み取ることが可能です。多くの言語に対応している点は、さまざまな言語が使われている海外で作られたからこそ実現できた強みでしょう。

また、最先端テクノロジーを利用することで、レイアウトが複雑な書類や書籍でも高精度でテキスト化できる点も特徴です。

Readiris

多言語対応に対応したOCR処理ソフトで120ヶ国語以上をサポート。中欧やバルト海諸国、キリル文字の言語およびギリシャ語やトルコ語などアメリカとヨーロッパの言語すべてに対応しています。

海外で非常に高く評価をされており、PC World Best Buyなど100以上の賞を受賞している点は驚きですね。

また、「スマートタスク」機能によって1クリックでスキャニングから文字認識及び変換、保存まで実行可能なため、作業時間を大幅に短縮できる点も見逃せません。

OCR処理のメリット

OCR処理には多くのメリットがあり、場合によっては電子化よりも重要な要素も存在します。ここではOCR処理のよってもたらされる沢山のメリットの中でも特に大事な要素を紹介します。

検索できる

検索

OCR処理によってもたらされる代表的なメリットが電子化したドキュメントに対して検索できるようになることでしょう。

例えば書籍や書類をPDFで電子化した場合、任意のキーワードで検索を実行することによって該当する場所を一瞬で見つけることができます。

特定のキーワードを紙媒体で探したい場合は目視で1ページずつ見て回るしか方法がありませんが、電子化してかつOCR処理を施すことによって検索という電子ファイルならではの探し方が実現可能になるのです。

検索はOCR処理における一番ポピュラーかつ大きな特徴でしょう。

コピペができる

コピー&ペースト

コピペが行えるようになる点も文字情報を埋め込むOCR処理を施すことで得られる大きなポイントです。書類を電子化したPDFなど画像フォーマットからもテキストをコピーできるため、非常に便利

ただし、誤認識が混じっている可能性があるため、テキストの精度に関しては注意が必要です。ペーストした後は問題ないか一度確認した方が良いでしょう。

Microsoft Officeにコンバートできる

様々なファイル

電子化してOCR処理を施した書類や書籍からテキストをコピーしてWordやExcelといったOfficeソフトにペーストすることによって、新しいファイルとして編集することが可能になります。

例えば原本で誤字が見つかったなどして修正したい点がある場合は自由に修正することができるため、ドキュメントの改訂版も簡単に作ることができます。

紙の復元ができる

紙の書籍

貴重な資料や報告書など原本が1冊しか存在しない場合、万が一紛失してしまったら取り返しがつきません。また、紙でできている以上は経年劣化や湿気、害虫などで痛むのは避けられません。

原本を電子化してOCR処理を施してから製本することにより、新品同様の状態で復元することが可能になります。また、冊数についても置く場所がある限り制限がありません。

OCR処理は紙の原本を保管し、復元するためにも重要な要素なのです。

書類の整理が可能になる

整理された本棚

例えば会社で取り扱う紙の書類や書籍などは廃棄しない限りオフィスのスペースを占領していきます。しかし、ただ廃棄するわけにはいかない重要な資料や書籍もあることでしょう。

OCR処理は資料や書籍のテキストを維持したまま電子化できるため、データとしてバックアップを取って不要になった原本を廃棄して整理することも可能にします。

再度紙媒体で電子化した書類や書籍が必要になったら印刷するだけで良いので、復元も容易に行えます。

OCR処理のデメリット

OCR処理には多くのメリットが存在しますが、同時に無視できないデメリットも存在します。

文字認識は完璧ではない

誤認識のイメージ

デメリットとは少し違うかも知れませんが、どんなに高価で高性能なOCR処理ソフトを使っていても文字認識の正確さは完璧ではありません。書籍や書類の原本に記載してある文字の形状を読み込んで判断するため、誤認識は必ず起きてしまいます。

例を出すと原本に「れ」という文字があった場合、OCR処理ソフトが「ね」と判断してしまう、「大」を「犬」と認識して文字情報を埋め込むなど、似ている形をしている文字が多い日本語ではどうしても誤認識は避けて通れません。

完璧にならない理由の1つにOCR処理で実現できる文字認識の精度は、取り扱う原本の状態やスキャンの解像度によって大きく左右される点が挙げられます。

原本が痛んで文字がかすれていたり、日焼けしている場合はそれだけ認識率が下がる原因になりますし、「①」などの特殊文字が使われていたり、文字と背景のコントラストが低い、斜めになっている等があると文字認識のマッチングがうまくいかずに認識率は下がってしまいます。

認識率を上げるにはモノクロ300dpi前後の高解像度でスキャンしてコントラストを濃く調整したのち、傾きがあれば修正するといった手間をかけなければなりません。文字を認識するためのOCR処理自体はコンピューターが自動で行ってくれますが、OCR処理を実施するまでの下準備は人力で細かい労力をかける必要があるのです。

正確さを求めると目視確認が必要

書類や書籍を電子化した際にOCR処理を施した際、検索機能をメインに使うといったケースでは大きな問題になりませんが、読み取った文字を使用してExcelでデータ分析を実行する、手書き原稿から電子書籍用の文字データとして使用するなど高い精度が必要となる用途では、必ず「人の目」によってテキスト化する校正作業が必要になります。

1~2ページくらいで構成されている書類のデータなどであれば時間はかかりませんが、辞書など100万文字以上の文字を有するデータを目視でチェックしていくとなると完成まで時間がかかります。

2019年現在でもOCR処理は精度の向上を目指して研究されている分野であって、完成されている技術では無いのです。誤認識が必ず出てしまう点が現在のOCR処理の課題であり、限界と言えるでしょう。

AI OCRはクラウドサービスが基本

AI OCRに限って言えば、パッケージの購入やダウンロード購入ではなく、クラウド型のサブスクリプションが基本となります。

サブスクリプションは初期費用が低額で抑えられる反面、仮に1度も使用しなかったとしても毎月数万円引かれることがデメリット。実際にこのランニングコストが割に合わないという理由で解約に至ったケースも多く存在します。

またセキュリティが厳しい会社では、クラウドサービスだと導入自体難しい・・・ということも少なくありません。文字の認識精度は今後もAIを中心に高くなっていくと思われますが、価格とセキュリティはサービスの根本的な仕組みの話でもあり、中々解決が難しいところです。

そのままスキャンのOCR処理サービス

そのままスキャンのOCRサービス

当記事を執筆したそのままスキャンでもOCR処理サービスを提供しており、これまで研究機関様や企業様はじめ業界問わず様々なお客様からご依頼いただいてきました。

最大の特徴は、精度に応じて6種類から選べること。前述した通りOCRソフト「だけ」で文字情報を得ようとすると不正確なものになってしまうため、応用的なソフトの設定や校正システムを取り入れることで、最大99.96%の高い精度を実現しています。お客様に原本ないしデータをお送りいただければ、OCR処理や校正は全て弊社が行うため、月額費用の支払いやセキュリティへの懸念は必要ありません。

予算内でできるだけ高い精度を求める方は、お気軽にご相談ください。

AI OCRを中心に今後も発展が続く

OCR処理は書類や書籍をスキャニングした際にテキストデータを読み取る機能。

2023年現在の日本ではOCR処理機能が搭載されているスマホアプリが登場した背景もあって、より身近な存在になりました。スマホやタブレットに手書きした情報をテキスト化してくれるアプリもあるため、OCR処理技術を日常的に使用している方も沢山いるのではないでしょうか。

OCR処理では誤認識が必ず発生するため完璧とは言えませんが、AIの導入により進歩のスピードが大きく向上し、今後も非常に便利な技術です。研究が始まってから100年以上経った今でも継続して技術発展が行われているOCRは、書籍や書類の電子化において今後が非常に楽しみな分野と言えるでしょう

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書類スキャン 価格改定のお知らせ https://sei-syou.com/news/discount-document https://sei-syou.com/news/discount-document#respond Wed, 04 Jan 2023 02:29:55 +0000 https://sei-syou.com/?p=11894 .single .entry-header .entry-title { text-align: center; } .pricing_table td, .pricing_table th { padding-top: 1em; padding-bottom: 1em; }

平素よりご愛顧たまわり厚く御礼申し上げます。


この度弊社は2023年1月1日(日曜)より法人顧客の需要に特化した電子化総合サービス「そのままスキャン」内の「書類スキャン」におけるA4サイズ資料のスキャン料金の値下げをいたしますことをお知らせします。
弊社では作業体制の見直しによる業務効率化を実現し、よりお求めやすい価格でご提供できるよう価格を改定いたしました。


1.新価格実施日

2023年1月1日(日)~


2.該当商品 

「そのままスキャン」内の「書類スキャン」のA4サイズ資料
サービスページ:https://sei-syou.com/service/scanning/document


【新料金】

基本料金


今後ともサービス向上に努めてまいりますので、引き続きご愛顧を賜ります様、よろしくお願い申し上げます。



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ポジフィルムとは?特徴とネガフィルムとの違いも解説 https://sei-syou.com/library/what-is-positivefilm https://sei-syou.com/library/what-is-positivefilm#respond Wed, 04 Jan 2023 02:03:05 +0000 https://sei-syou.com/?p=11885 ポジフィルムという言葉は聞いたことがあるけど、正確な意味を理解している方は少ないのではないでしょうか。

フイルム一眼レフカメラを使ったことがある方であれば、馴染みはあるかもしれませんが、現代はデジタルカメラ・スマートフォンの普及によりフィルムを使ったことがある世代も減ってきました。

しかし、ポジフィルムは1940年代から使用されている歴史あるフィルムです。貴重な資料となる写真や映像も多く、情報保存の観点からポジフィルムをデジタル化する動きも活発になってきています

本記事では、そんなポジフィルムの

  • 基本情報
  • 特徴
  • ネガフィルムとの違い

について解説していきます。

ポジフィルムとは?

ポジフィルムは別名「リバーサルフィルム」「陽画(ようが)フィルム」とも呼ばれています。どんな特徴があり、どんな用途で使われているのでしょうか?

まずは、ポジフィルムの基本情報について解説します。

ポジフィルムの特徴

美しい景色のイメージ写真

ポジフィルムは、きれいに映し出せる分、露出の対応範囲が狭く、カメラ設定を間違えると写真が白飛び(オーバー)・黒つぶれ(アンダー)が起こりやすいです。

そのため、カメラ上級者向きフィルムとも言われています。

しかし、シーンに合わせたカメラ設定をすることで、表現したい繊細なタッチ・色味まで映し出せる点においてポジフィルムに勝るものはありません

中でも、光を取り入れた写真の美しさは圧巻です。山肌に生える木々の凹凸・雲1つ1つの繊細なグラデーションが表現された夕焼け・日差しやストロボライトを取り入れた人の撮影では発色が良く感情に訴えかける絵が撮影できます。

また、現像するときは、「スリーブ」か「マウント」かを選ぶことができる点もポジフィルムの特徴です。

スリーブ」とは、ネガフィルムと同じように数コマずつシートに入れて仕上げること。「マウント」とは、1コマごとにフィルムをカットしてスライド映写機に適した形状にすることを意味します。

フィルムをまとめて保管したい方はスリーブ、1枚ずつに分けて保存したい方はマウントにしましょう。

デジタルカメラが普及した現在でも、美しい表現が必要な雑誌の撮影・映画などの映像フィルムとして・風景を鮮やかに映し出すためにプロ〜アマチュアのカメラマンの間で活用されています。

ポジフィルムの歴史

黎明期 1940年代から日本にもポジフィルムが普及し、書籍・ポスター・雑誌などの素材写真や風景を撮影するフィルムとして広く活用されはじめました。
全盛期 1960年代からカメラも娯楽の1つとして一般家庭にも浸透。1990年代まではプロジェクターが無かったため、資料となる写真や図などをスライド映写機から投影して鑑賞する形が企業の会議・学会・学校の授業でも取られていました。
衰退期 2000年代に入り、デジタルカメラが普及。ポジフィルム市場は縮小しはじめ、現在に至る。

ポジフィルムの市場はデジタルカメラの普及により、縮小傾向にありますが、美しい表現ができるフィルムとして今でもプロカメラマンや〜カメラ愛好家の間で使われ続けています。

しかし、現像できる写真屋も減っているため、ポジフィルム愛用者からは存続を願う声が上がっています。

ポジフィルム保存の注意点

カビの画像

衰退したとはいえ、世の中には既に大量のポジフィルムが出回っています。資料である以上経年劣化は避けられないため、適切な方法で保管する必要があります。ポジフィルムの保管で気をつけるべきことは何なのでしょうか。

保管ミスによる劣化が起きやすい条件は以下3点です。

  • 高温な場所で保管している
  • 紫外線による日焼け
  • 湿気によるカビやヨレ

保管場所からお酢のような酸っぱい臭いがしたら「ビネガーシンドローム」と呼ばれる代表的な劣化症状が進行している可能性があります。

ポジフィルムの保管温度はフィルムにより異なりますが、10~15℃ほど・湿度が50%以下の日陰で涼しく、湿度の低い場所での保管がおすすめです。

ポジフィルムとの違い

ネガフィルムの画像

ネガフィルムとポジフィルムって何が違うのでしょうか?

特徴となる主な違いは以下4つです。

  • ネガフィルムは露出範囲が広いので、多くのシーンに対応できる
  • ネガフィルムは撮影後に色の補正ができる
  • フィルム代、現像代もネガフィルムの方が安い
  • ポジフィルムはプリント(焼き付け)しなくてもフィルムを見れば写真の内容や色味を確認できるが、ネガフィルムは現像しないとわからない

ネガフィルムは「見た通りの絵が撮れるフィルム」と言われており、使い捨てカメラにも用いられています。

撮影できる写真の表現は1パターンになりやすい傾向にありますが、露出範囲が広いため、初心者にも扱いやすい点が大きなメリットです。

ポジフィルムのメリット

カメラを構えた女性の画像

今でも「きれいな写真を撮るならポジフィルム」と言われ続ける理由は何なのでしょうか。

それは「圧倒的な表現の幅の広さ」があるからです。

ネガフィルムは多くのシーンに対応できる分、どの写真も似たようなタッチになってしまいますが、ポジフィルムはカメラ機能を駆使できるようになれば自由自在な表現ができるようになります

  • ホワイトバランス(色温度)
  • ISO(明るさ)
  • F値(レンズの絞り / ピント)
  • シャッタースピード など…

これらをシーンごとに適切な設定ができれば、繊細な風景やシャープな仕上がりの写真を撮ることができます。

ポジフィルム自体も対応している種類が豊富なので、撮影したい明るさやイメージに合ったフィルムを選びましょう

ポジフィルムはデジタル化しよう

デジタル化で喜ぶ女性

ポジフィルムで撮影した、人を魅了する写真・時代を映し出した写真も、月日とともに経年劣化は起きてしまいます。

思い出の1枚や、貴重な資料となる写真フィルム・映像フィルムも長年放置していては、現像当時のような色味から色あせてしまうでしょう。

ポジフィルムで撮影した美しい写真を形として残すためにも、デジタル化(データ化)することをおすすめします。

デジタル化のメリット

デジタル化することで得られるメリットは下記5つです。

  • データとフィルム原本の2つがあれば、バックアップとしても安心
  • フィルム保管に使われていたスペースが空いて、コスト削減につながる
  • フィルム内に写っていた美しい風景や、貴重な宣材写真は商品展開(収益化)が可能となる
  • ホームページやSNS投稿、資料への掲載が可能となる
  • 情報共有が容易になり、作業効率化が図れる

フィルムや写真からしか伝えられなかった情報をデジタル化することで、用途の可能性も大幅に広げることができます。

フィルム管理でお困りの方へ

Widetek25

そのままスキャンでは本から絵画まで様々な資料のスキャニングサービスを提供していますが、ポジネガフィルムやレントゲンフィルムなどのフィルムに関しても専用スキャナーを所持しています

ドイツ製のスキャナー「Wide TEK® 25」により、最大1200dpiという高解像度、かつ通常の機材ではデジタル化が困難な8×10インチの大判フィルムで美麗に電子化。A2サイズの透過素材でもたった1度のスキャンで完了します。ポジネガフィルムの保管にお悩みの方は、この機会にデジタル化を検討してみてはいかがでしょうか?

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プロが教える『紙を綺麗にスキャンするコツ』 https://sei-syou.com/library/hint-for-scanning https://sei-syou.com/library/hint-for-scanning#respond Thu, 29 Dec 2022 06:29:34 +0000 https://sei-syou.com/?p=11873 そのままスキャンは電子化代行なので毎年100万ページ分ほどスキャニングしています。

これだけ電子化していると、スキャニング担当者は『綺麗にスキャンするコツ』を感覚レベルで理解することが出来るのですが、普通の方々はスキャンしても完成した画像データを見て『あぁー…影ができた』みたいに落ち込むことも多いんじゃないでしょうか。このブログをクリックしたあなた、もしかして本や資料を綺麗にコピーする方法を探していませんでしたか?

という訳で本稿では、自炊でお悩みの皆様へ、書籍を綺麗にスキャンするコツについて解説させていただこうと思います。オフィスやご自宅で本を綺麗にスキャニング出来ないとお悩みの方は是非ご覧ください。

※当記事は、2018年2月23日に公開された内容を大幅に修正したものです。

書籍は二種類に分けられる

書籍は大まかに「一般書」と「貴重書」に分けられ、この違いでスキャン方法が大きく変わります。まずはそれぞれについて解説しましょう。

一般書

一般書籍

文庫本、漫画、新書など書店などで広く流通している書籍を指します。仮に裁断しても同じものが容易に手に入る場合、電子化してしまえば必要無くなる等、本そのものが貴重でない場合は裁断してスキャンする事で視認性をぐっと上昇させる事が出来ます。書類など、元々一枚のペラ紙であるものなどもこちらに分類されます。

今回は一般的なフラットベット型(コンビニやオフィスにある、アクリル面に資料を押し付けて撮るタイプ)でのスキャンを想定してコツをご紹介しますが、ADF(自動給紙装置)があるならばそちらでスキャンする事も可能です。

貴重書

貴重書

この世に一冊しかない、絶版である、文化財である等々、その書物自体に価値のあるものがこちらになります。企業が節目の時に作成した記念誌、一般に流通していない社内報など、いわゆる社内刊行物と呼ばれるものも含まれます。

そのままスキャンの経験上、こうした貴重書は基本的に厚さが数cm程度ある傾向があります。一般的にこうした貴重書はストックが無いため、非破壊スキャンが前提です。しかしスキャナーの仕様上、こういった書籍のスキャン時には見開いた時の真ん中の部分(ノド奧と呼びます)にが出来てしまうため、綺麗にスキャンすることが難しくなってしまいます

スキャン業者の場合、より特殊な機材やノウハウ、ソフト等によってそんな書籍でも非破壊で電子化することは可能です。しかし一般的なオフィスや自炊の現場で、こうした手法を導入することは中々難しいと思います。

よって、今回は書籍を裁断して電子化する方法について解説します。

本をきれいにスキャンする方法

まずは本の裁断方法から解説していきます。本の形によってコツが必要になりますが、基本的な作業は同じです。

①表紙を切り離す

表紙の切り離し

いわゆる裁断と呼ばれる作業です。

ハードカバーの物は表紙・裏表紙部分を切り離す必要があります。本を広げて、上から覗くと分かりますが、本文と表紙部分が離れていると思います。その接合点をカッター等で切断し、分解しましょう。

文庫本や漫画など、本文と表紙等が合体している物に関してはこの作業は必要ありません。

②本文を数冊に切り分ける

ページの切り離し

本文の中央辺りのページを開き、背の部分をカッターで切断します。続いてその半分の中央ページを開き裁断・・・と言った手順で、本文をある程度の分量に切り分けていきます。

この際、背表紙にタイトル等書いてる本はタイトル部分が細切れになりますので、必要に応じて先にスキャンする等の処置を行って下さい。

③ノドの部分を切り落とす

ノドの切り落とし

切り分けた本文の糊でくっついている側(背表紙側)を切断し、各ページをバラバラにしていきます。切断後のページの順番が混ざると非常に面倒なので、順番はしっかり確認しておきましょう。また、本文の文字や、写真などの図を切ってしまわないよう、気をつけましょう。

以上で本の裁断が終了です。裁断が終わったらスキャンして行きましょう。

よくあるミスと対処法

フラットヘッド型でのスキャンは破壊・非破壊共に基本的には同じ処理をしていきます。置いて撮るだけなので簡単ですね。

なんて気楽に構えていると、突然現れる裏写りと謎の影、文字の伸びに傾きや一箇所に固まるゴミに悩まされることも

ドライバ等によりスキャン範囲を決めたり自動切り抜き等の機能などで切り抜く事も出来ますが、設定等の説明をし始めると細かくなってしまうので、汎用的なコツを紹介していきます。

裏写り

裏写り

書籍であれば裏の文字が、ペラ紙等であれば手の平が透けてしまうことがあります。この場合は、裏に黒い紙などを挟みましょう

これだけで裏写りがみるみるうちに押さえられます。

ノド奥の影

影の映りこんだ書籍

スキャナのガラス面から少しでも浮いてしまうとスキャン後の画像では黒い影となってしまいます。しっかりと書籍を押さえ、隙間の無いようにしてスキャニングしましょう。

非破壊スキャニングの場合、この影がどうしてもでてしまいますので、なるべく背表紙の部分を押さえ、ガラス面に近づけるようにしてください。そのため使用するスキャナーは極力ガラス面の割合が大きいとベターです。

文字の伸び

文字の伸びた本文

文字に限らず、画像などが伸びてしまう場合があります。これはスキャン中に書籍を動かした為に起きてしまう現象です。

こちらも、スキャン中にしっかり押さえて、動かないように対処しましょう。

妙な傾き

傾き画像

スキャナに対して垂直水平に書籍を置きスキャンしましょう。ページをめくる度に移動してしまうので、マスキングテープや付箋等で位置を決めてあげると良いでしょう(これは実際にそのままスキャンの制作現場でも行っています)。

ゴミが入ってしまう

ゴミの映ったスキャン画像

ガラス面の清掃をマメに行いましょう。また、スキャン中にプレビュー画面等でちゃんと撮れているかを確認し、ゴミを見つけたら払う、等の対策をすると良いでしょう。

基本は動かずずらさず毎画像しっかりと確認する事、です。スキャナの蓋が外れる場合は外し、外せない場合でも、蓋を開けたまま作業等をするとやりやすいでしょう。

これさえ守ればあなたも明日からスキャンマスター。この世のありとあらゆる物をスキャンして全てをPDFにしましょう!

丁寧にやることが肝要

いかがでしたでしょうか。今回は破壊スキャンを例にコツを紹介しましたが、基本的には非破壊スキャンでも注意点は同じです。機材によってスキャン画像のクオリティ、スキャニング作業の進めやすさは変わりますが、先述したように1ページずつ丁寧に行う、この点は機材に関係なく重要なポイント。

初めは時間がかかっても、慣れてくるとあまり時間がかからず、ミスも少なくなります。本記事が少しでも自炊や業務効率化の助けになれば幸いです!

本記事で使ったスキャナーがレンタル出来ます!

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電子書籍でよく目にするEPUBとは? https://sei-syou.com/library/what-is-epub https://sei-syou.com/library/what-is-epub#respond Thu, 29 Dec 2022 02:23:18 +0000 https://sei-syou.com/?p=11864 EPUB(イーパブ)という言葉を見たり聞いたことはありますか? 電子書籍を扱う仕事をしていたり電子書籍に興味がある方は、EPUBという言葉に聞き覚えがあるかもしれません。

本記事では電子書籍を扱うにあたって、重要な要素になるEPUBの詳細から使用するメリット、デメリット、自分でEPUBの電子書籍を制作する際に必要となるものを中心に説明します。

EPUBとは

EPUBとは一体何なのでしょうか?ここではEPUBについて詳細に説明します。

電子書籍のフォーマット

電子書籍

EPUBは「Electronic PUBlication」の略で、電子書籍の1つのファイルフォーマットです。EPUBの特徴は特定のハードウェアでなければ読めないという依存性がないオープンフォーマットであるという点です。

EPUBの歴史

割れたタブレット

EPUBが登場する前は独自仕様の電子書籍ファイルフォーマットが多く、固有のハードウェアが必要となるケースが大半でした。

固有のハードウェアに依存する電子書籍ファイルフォーマットは、そのハードウェアが販売されなくなった場合使えなくなる可能性が高いというリスクがあります。

それに危機感を抱いた国際電子出版フォーラムは、2007年9月にオープンフォーマットでハードウェアに依存しないファイルフォーマットの規格であるEPUBを策定したのです。2022年12月現在では、EPUBは最新の規格であるEPUB3.1となっています。

EPUBのファイル構造

HTML

少々専門的になりますが 、EPUBのファイル構造はWebサイト制作に使用されているHTML形式で情報内容が記載されています。それを圧縮フォーマットであるZIPで圧縮した後、ファイルの拡張子をEPUBに変更しています。

EPUBファイルを制作する際はテキストデータをEPUBファイルに変換する専用ソフトを使用するため、HTMLの知識等は必要にはなりません。

補足ですが、.epubファイルの拡張子を.zipに変更して圧縮解凍ソフトを使って解凍するとHTMLファイルとして記述されている中身を確認することができます。一般的にこのような使い方をすることはまずありませんが、雑学として覚えておくと面白いかもしれません。

EPUBは専用のリーダーが端末にインストールされていれば読める

スマートフォンとキーボード

EPUBは最初にお伝えしたように特定のハードウェアに依存しない電子書籍ファイルフォーマットです。EPUBリーダーが端末にインストールされていれば、どの端末でもEPUBファイルを読み込むことができます。

EPUBリーダーは2019年3月の時点で多くリリースされており、WindowsやMac以外にもiPhoneやAndroidといったスマートフォン向けのアプリとしても登場しています。

具体的にEPUBリーダーとして有名なソフトは以下の通りになります。

  • Adobe Digital Editions(Windows/Mac)
  • iBooks(iPhone(iOS))
  • Google Play Books(Android)
  • honto(Windows/Mac/iPhone(iOS)/Android)

補足ですが、電子書籍リーダーとして有名な楽天 KoboではEPUBを使用していないため、EPUBで作られた電子書籍を読み込むことはできません(※Amazon Kindleも長年対応していませんでしたが、2022年5月ついにEPUB形式のサポートが始まりました)。しかし、ちょっとした手間を加えると読み込めるようになります。

その方法はEPUBで作られた電子書籍に対して専用ソフトを利用し、Amazon Kindleや楽天 Koboで利用されている電子書籍ファイルフォーマットに変換すること。

そうすることによって、例えばEPUBで制作した自作の電子書籍などを楽天 Koboで楽しむことができます。

EPUBのメリット

特定のハードウェアに依存しない電子書籍ファイルフォーマットである時点で十分使用する価値があるEPUBですが、メリットはそれだけではありません。

EPUBは今後読めなくなる可能性が無い

EPUBは現在のWebを構成しているHTMLをベースにしているため、HTMLが廃れない限り、読めなくなるということがありません。また、HTMLもWebを構成するフォーマットとして 画期的な代替手段が現れない限り廃れることはないでしょう。

つまり、今のところEPUBが読めなくなるという可能性は限りなくゼロに近いということです。そのため、EPUBというフォーマットは長期的な目で見ても安心して使用することができます。

動画や音声を入れられる

電子書籍のフォーマットであるEPUBですが、驚くべきことに動画や音声も埋め込むことが可能です。音声や動画によって電子書籍という枠を超えて、メディアを伝えることができる革新的なフォーマットといえるでしょう。

縦書きに対応している

2010年10月に発表されたEPUB3は縦組みと縦中央による縦書きにも対応しています。他にも句読点の禁則処理やルビ表記など、日本語で作られる電子書籍に必須となる機能が多々追加されました。

また補足ですが、台湾や香港による縦書きや右から左へ書いていく、アラビア語やヘブライ語などにも対応しています。

つまり、2022年12月現在の最新バージョンであるEPUB3.1では英語のみならず、日本語をはじめとした多国語にも対応しているわけです。多くの言語に対応している点もEPUBの特徴と言えるでしょう。

レイアウトを細かく設定可能

EPUBはWebサイトのデザインを設定するCSS(カスケーディング・スタイル・シート)を利用することができるため、細かくレイアウトを設定することが可能です。他にも画像を埋め込めるため、画像を多用する書籍、例えば数式を多く使う技術書なども電子書籍として作成することができます

また、EPUBのレイアウトには大きく分けてリフロー(再流動)型とFIX(固定)型の2つがあります。

リフロー型は文字サイズや端末の解像度に合わせて1ページに表示される行数や文字数を変化させる仕組みです。

リフロー型にはページの概念がなく、文字情報のみ持っています。画面に都度必要となる文字だけを呼び出して表示するため、結果的にそれが我々のよく知っている「ページ」というかたちになるのです。一般的に販売されている小説の多くはリフロー型を採用しています。

一方、FIX型は紙の本と同様に文字や画像などの配置場所やデザインを始めとしたレイアウトが固定されているものを指します。 例えば画像が多用される技術書や漫画などにはFIX型が採用されます。

FIX型はリフロー型と異なり、ページの概念を持っています。そのため画面解像度が異なる別々の端末で表示した場合でも1ページあたりの見え方は変わりません。

ただし、一般的にFIX型は解像度が大きく、画面サイズも大きい端末ではないと見にくいという欠点が存在します。

まとめると文字情報中心ならばリフロー型画像やページあたりのレイアウトが重要となるコンテンツはFIX型が採用されます。

EPUBで書籍を作成するとAmazonで出版できる

電子書籍を販売している出版社や企業は数多くありますが、その中でも多くのシェアを占めている企業はAmazonでしょう。

実はAmazonでは個人で制作した本を電子書籍として販売することが可能です。Amazonで扱う電子書籍としてAmazon Kindleストアに並べる方法は複数ありますが、その1つが EPUBで電子書籍を作成すること。

EPUBで作成した電子書籍をAmazonが用意するサービス「kindle direct publishing」にアップロードすることによって、Amazon Kindleストアに自分が制作した電子書籍を並べることが可能です。

EPUBを使えば個人でもAmazonで電子書籍を販売できるなんて、なんとも夢のある話です。

EPUBのデメリット

オープンフォーマットで国際化も進んでいるEPUBは、読み取る端末にとらわれない素晴らしい電子書籍ファイルフォーマットですが、2022年12月時点ではまだ完璧とは言えません。

多言語対応がまだ完璧ではない

オープンフォーマットで多言語を扱える電子書籍ファイルフォーマットであるEPUBは、とても便利で夢のある規格であるように感じます。

一方で多言語対応がまだ完璧とは言いづらく、全てのEPUBリーダーで正常に読み込めない可能性があるなど、不安定な部分がまだ残っています。

少々技術的な話になりますが、コンピュータで扱う文字はシングルバイトとマルチバイトという2つの概念があります。例を挙げると英語はシングルバイトで日本語がマルチバイトに該当します。

元々EPUBは英語圏を中心に開発されたもので、開発当初は扱う文字情報をシングルバイトに限定。それがEPUB3でマルチバイトにも対応し、英語以外の多言語を扱えるようになりました。しかし、それでもまだ不完全だということです。

とはいえ、EPUBは国際化を進めている電子書籍ファイルフォーマットです。今後一層マルチバイト対応は行われ続けていくでしょう。

EPUBの注意点

EPUBを使用して電子書籍を制作するときは、読者が読む端末のことを考慮しなければなりません。

紙媒体ではA4やB5などの紙面サイズが決まっており、必ず読者は制作者がレイアウトして読ませたい内容通り読み進めていくことになります。一方、EPUBには前述した通り、リフロー型とFIX型の2つがあります。これによって端末のサイズや解像度によって見え方が異なってきます。

特にリフロー型は読者が使用する端末の環境によって文字サイズや行間、1画面に表示される行数が異なってきます。1ページ何文字や何行といった単位で制作してしまうと、制作者が意図しないところで文字が切れたりして、意図通り読まれない可能性が高くなります。

FIX型は文字のサイズやレイアウトが固定されているため、端末によっては文字が非常に小さく読みづらくなるケースも考えられます。

そのため、制作者の目線で本を作るのではなく、読者の目線で本を作る必要が出てきます。特にFIX型はどんなサイズや解像度によっても読みやすいレイアウトを心がける必要があるでしょう。

ブラウザでEPUBが読めることで今後一層の普及が見込まれる

2022年12月現在、EPUBは読める環境の増加により、より一層の普及が見込まれています。

ブラウザでもEPUBが読める

2022年12月現在、最新のWindowsである、Windows11に標準搭載されているブラウザ「Microsoft Edge」ではかつてEPUBリーダーが標準搭載されていましたが、2019年にサポートが終了しました。ただしアドオンとして引き続き公式より配布されており、ドライブからのアップデートやフォントサイズの変更など豊富な機能が用意されているため、ただ読むだけのEPUBリーダーではなく、多岐に渡って利用することが可能です。

Microsoft Edge以外にもGoogleがリリースしているChromeやMozillaのFirefox、AppleのSafariなど様々なブラウザでもEPUBリーダーを拡張機能として追加して、ブラウザ上でEPUBを読むことができます。

ブラウザは、Windows 、Mac、Linuxといった主要なパソコンの中に必ずインストールされているものです。そのため、パソコンがあれば簡単に読むことができるという点もEPUBがさらに普及すると見込まれている理由でしょう。

Googleが推進しているPWAの影響

PWA(Progressive Web Apps)はスマートフォン向けのサービスで今までブラウザで体験していたWebサービスをスマートフォンアプリのように使えることを目的としたプロジェクト。

現状ではブラウザに搭載されたEPUBリーダーはあくまでブラウザの機能であり、ブラウザを立ち上げなければ使うことができません。それがPWAの影響により、スマートフォンアプリと同様の感覚で使用できる可能性が高まってきています。

この点がEPUBのさらなる普及に拍車をかけるのでは、と有識者は言及しています。

自作のコンテンツをEPUB化させたい場合

EPUBの普及により自作のコンテンツをEPUBとして電子書籍化したいというニーズも増えてきています。では、どうやって電子書籍化するのでしょうか。

EPUBで電子書籍を作るためにはソフトが必要になる

スマートフォンと書籍

一般的にEPUBで電子書籍を制作するために必要なソフトは以下になります。EPUB制作ソフトは有料ソフトから無料オープンソース、クラウドベースまで多岐にわたってリリースされています。

  • 一太郎(Windowsのみ、有料)
  • adobe InDesign(Windows/Mac、有料)
  • Calibre(Windows/Mac/Linux、無料)
  • でんでんコンバーター(クラウドベース)
  • BCCKS(クラウドベース)

この中でも特にでんでんコンバーターが無料で簡単にリフロー型のEPUBフォーマットの電子書籍を制作できるため、個人で出版しているセルフパブリッシャーから多くの支持を集めています。初めてEPUBで電子書籍を作る際に最適でしょう。

EPUBのまとめ

オープンフォーマットであるEPUBの登場により、電子書籍は特定のハードウェアに依存することなく、様々な端末で利用できるようになりました。この件は電子書籍において非常に重要なポイントでしょう。

EPUBはファイル構造にHTMLを採用されているため、今後使えなくなる可能性はありません。リフロー型とFIX型という2つのレイアウトを任意で選択できる点も見逃せません。

また、昔から日本の書籍で馴染み深い縦書きに対応している点も我々日本人にとっては非常に重要なところでしょう。一方で多言語対応がまだ不完全という点は否めません。

EPUBはEPUBリーダーさえインストールされていれば、パソコンでもスマートフォンでも様々な端末で読むことができます。また、chromeを代表とするブラウザでもEPUBは読むことが可能です。そのため、EPUBは我々の生活の中で非常に近い位置に存在する電子書籍ファイルフォーマットと言えるでしょう

自作のコンテンツを簡単にEPUBにできる点も見逃せません。また、それを発展させることでAmazon Kindleストアに自分の本を並べることができる点もEPUBの魅力です。

電子書籍市場は2021年には5,510億円になっており、2022年には8,000億円に到達すると株式会社インプレスは調査結果を発表しています。

まだ電子書籍は紙の書籍より市場が小さいことは否めませんが、確実に成長してきています。電子出版業界は、今後が非常に楽しみな業界の1つと言えるでしょう。

紙の原本からEPUBが作れるサービス

紙からEPUBを作るサービス

当サイトを運営する「そのままスキャン」では様々な非破壊スキャナーを所有しており、紙の原本を傷つけることなくEPUBデータを作成することが可能。最高精度99.96%の文字起こしでリフロー型も高品質に作成致します。

詳しくはこちらのページをご覧ください。

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自炊代行って何?メリットや違法なケースまで紹介 https://sei-syou.com/library/what-is-selfscan https://sei-syou.com/library/what-is-selfscan#respond Tue, 27 Dec 2022 09:20:26 +0000 https://sei-syou.com/?p=11854 「最近自炊ってよく聞くけど、自炊ってどういう意味だろう」「自炊は自分でやるのと代行してもらうのとどっちのほうが良いのかな?」本記事は、このようなお悩みを持った方が対象となります。

自炊はここ数年で、良くも悪くもかなり話題になっています。紙の本を自炊して電子化し、スマホやリーダーで読めるようにする人が増えてきています。その一方で、自炊代行した結果著作権法違反だとして裁判になった例もありました。

本記事では、そんな今話題となっている自炊について纏めてみました。自炊代行業者に頼むことのメリット、問題点についても解説していきます。本記事を読めば、自炊に関することはおおよそ分かるような構成になっています。

自炊とは?

まずは「自炊」という言葉の意味について解説していきます。自炊が普及した理由や、具体的な自炊のやり方についても合わせて説明致します。自炊に関する基礎知識をまずは抑えていきましょう。

『自炊』ってどういう意味?

自炊の意味

そもそも自炊とは、どういう意味なのでしょうか?

自炊とは、本をデジタルデータに変換する行為のことも言います。デジタルデータに変換するために、書籍を裁断機で分解する行為も含めて自炊と呼ばれています

元々自炊という言葉はネットスラングであり、違う意味で使われていました。自炊とは、p2pソフトウェアで配布する目的で書籍を自分でスキャニングすることを指していたのです。スキャニングする際に、データを「自ら吸い込む」ということで、自炊と呼ばれるようになりました。

そこから転じて今では、本をスキャンすること自体を自炊と呼んでいます。

自炊が普及した背景

デバイス

自炊が普及した発端となる原因は、スマホやタブレットが普及してきたことでしょう。スマホを使ってどこでも気軽に、人々は本を読むようになりました。またAmazonや楽天など、各電子書籍サイト運営会社が次々と電子書籍リーダーを発表しました。

人々は電子書籍の利便性に、次第に気がつくようになっていきました。そのため、自らの手で手元の紙の書籍も電子書籍にして読みたいと考える人も増えてきたのです。

更には、自炊するときに必要なスキャナーも、安価で手に入るようになってきました。ソニーやシャープといった会社が家庭用のスキャナーで高性能なものを作り上げ、それらが普及してきました。

このような理由で、自分でスキャナーを使って書籍を電子化させる人が増えてきたのです。

電子化させると、本を気軽に持ち運べる他、屋外でも読むことができるようになります。更には紙の本と違って実物がないので、本棚を占領することもありません。本棚がいらなくなる分、部屋や押入れを広く使うことができます。更には電子化させると、書籍から情報を検索したり、本文のデータ化まですればエクセルに纏めて分析したり、といったことも簡単にできます

電子化させることには、このように数多くのメリットがあるのです。

電子書籍のメリットを知らない方からすると「なぜそんな手間とお金をかけてまで自炊するのか」と思うでしょう。しかし電子書籍の利便性は非常に高いため、そこまでしてでも自炊したい人が多いのです。

具体的な自炊の方法とは?

本のスキャン

自炊の具体的なやり方について説明します。自炊は自分で行う場合、以下の手順で行うことが多いです。なお、書籍や紙を綺麗にスキャニングする方法はこちらの記事にて詳細に解説していますので、宜しければ併せてご覧ください。

  1. 裁断機で本を裁断する(非破壊スキャナーを使う方法もあり)
  2. スキャナーを使ってページを読み込む
  3. データをリーダーに送る
  4. 裁断して本を処分する

まずは本を分断するための裁断機が必要になります。カッターナイフで分断することも可能ですが、裁断機を使った方が早くて便利でしょう。

なお「非破壊スキャナー」を使えば本を裁断せずとも読み込むことができます。非破壊スキャナーはページが歪んだ状態でも読み取れるため、スキャンしたいページを開くだけで良いのです。ただし非破壊スキャナーは通常の元と比べて、少し高いお値段となっています。

裁断したら、スキャナーを使ってページを読み込んでいきます。スキャナーの性能次第では綺麗に読み込めない場合もありますので、できるだけ高性能なものを使うのが望ましいでしょう。

その後は読み込んだデータを纏めてPCに保存したり、Kindleなどのリーダーに送ったりします。

バラバラにしてしまった本は、処分するのが普通です。ヤフーオークションで売る人もいますが、そこまで高くは売れないでしょう。

以上が自炊の基本的な流れです。一見すると自炊はそこまで大変ではなさそうに思えます。しかし何冊もスキャンしたいとなると、この作業を延々と続けなければいけないため、非常に根気がいります

自炊代行とは?

先程は、自炊のやり方についてご説明させて頂きました。自炊は自分で行うと、スキャナーも用意しなくてはいけないし手間もかかります。特に自炊したい本が少ない場合、わざわざスキャナーを購入するのか、悩ましいですよね。

そのため自炊を自分でやらずに業者に代行する人もいるのです。本項目では、「自炊代行」について説明していきます。

自炊代行ってどういうサービス?

書籍

自炊代行とは、自炊行為を業者にやってもらうことを言います。1冊あたり100円などといった料金形態になっていることが多いです。

代行業者は本を裁断してスキャンする所まで行ってくれます。裁断した本は業者の方で処分してもらえることが多いです。スキャンされたデータはそのまま送ってくれる他、USBやDVDといったメディア納品にも対応してくれます。

引っ越しの際や1人暮らしを始める方などは、自炊代行を利用して手元の本を電子化させる人が多いです。スキャナーなどの機材も必要なく全て業者任せで自炊できるため、大変お手軽ではあります。

自炊代行を利用するメリット

タブレットを持つ女性

自炊代行を利用するメリットには、以下のようなものがあります。

  • 自分で自炊する手間が省ける
  • スキャナーや裁断機を購入する必要がない
  • 業務用スキャナーでスキャンしてもらえる
  • OCR処理などオプションも使える
  • 本の処分もやってもらえる

自分で自炊する手間が省ける

やはり1番のメリットは、自分で自炊する手間が省けることでしょう。特に本の冊数が多い場合、自分で行うと時間がかなりかかってしまいます。実際自炊を行おうとして挫折する人は多いです。代行業者に頼むと、本を纏めて発送する手間しかかかりません

スキャナーや裁断機を購入する必要がない

自炊代行を利用すれば、スキャナーや裁断機も購入する必要がありません。家庭用のスキャナーは安いものでも4万円くらいはします。裁断機ですら2万5千円くらいが相場です。

100冊未満の本をスキャンするなら、自炊代行を使った方が安上がりになるでしょう。しかもスキャナーや裁断機は大きいため、購入すると邪魔になってしまいます。

業務用スキャナーでスキャンしてもらえる

また、自炊代行会社は高性能な業務用スキャナーを持っているため、綺麗に電子化ができます。自炊の際に、スキャナーの精度は非常に重要です。スキャナーの質が悪いと、黒ずんだり汚くなってしまうことが多いです。またスキャナーの読み取り速度が遅くて、時間がかかりすぎてしまうこともあるでしょう。

OCR処理などオプションも使える

更には、業者に頼むとOCR処理もしてもらえることが多いです。OCR処理とは、画像の文字などを読み取り、テキスト化することです。テキスト化させれば目当てのキーワードを検索することもできます。OCR処理は自分で行おうとすると、文字認識率が低かったりして、上手くいかないことも多いです。

OCR処理は高い解像度でスキャンしたり、コントラストを強調したり、色々テクニックが必要です。そのため、プロに任せた方が良いと言えるでしょう。

本の処分もやってもらえる

そして自炊代行会社は、本の処分も行ってくれます。バラバラになった本を自分で捨てる手間を省けます。電子化作業後の裁断済みの本は、流出することのないよう溶解処分されます。

自炊代行の注意点

自炊代行には数多くのメリットが存在しました。しかし自炊代行には、色々と問題点も存在することについても知っておいた方が良いでしょう。

この項目では自炊代行の注意点について、解説していきますね。

著作権の問題

裁判

実は、自炊を他社に依頼するのは、著作権侵害に当たる可能性があります。

数多くの自炊代行会社が存在しているのに「なぜ?」と思われるかもしれませんが、実際に裁判になった例もあります。2011年に小説家の浅田次郎さんや東野圭吾さんが、ある代行業者を著作権侵害として起訴しました。そして、裁判の結果自炊代行は違法であると認められ、賠償金70万円の支払いと複製の差し止めを命じられたのです。

自炊とは、本をパソコンでも読めるようにすること、すなわち本の複製にあたります。著作権法では、自分の本を自分で使用する目的で複製するのは、問題ないとされています。つまり自炊を自分で行うのは、違法ではありません。kindleなどに取り込んでも構わないのです。また、自炊した本を家族に読ませたりするのも合法になります。

ただし、自炊したものをネットにアップロードしたり、無断で売ったりすることはNGです。これと同じ理由で、自炊代行業者が本をスキャン=複製し、他人に売るという行為は、違法だということです。

また、自炊代行を依頼した個人も、権利侵害となる可能性もあります。共同で本を複製を行ったとみなされた場合は、一緒に罰せられます。

もちろん自炊代行を利用したからといって、絶対に逮捕されるという訳ではありません。しかし実際に裁判になった例もあることを考えると、自炊代行はリスクを伴う行為であると言えるでしょう。

なお作者から許諾を得ている自炊代行会社もあり、その場合は違法にはなりません。ただし許可を得ているのは、あくまで一部の作家からのみです。自炊代行の許可を出さない作家も大勢います。

本は必ず裁断しなくてはいけない

裁断シーン

自炊代行を利用すると、本を必ずと言っていいほど裁断しなくてはいけません。いくら本が手元に返ってこないとはいえ、本をバラバラにするのは罪悪感が伴う方も多いのではないでしょうか?

自炊代行業者は裁断前提であり、原本を保存することが難しいです。代行業者は破壊スキャナーを使い、非破壊スキャナーは使わないことが多いのです。

貴重な本であったり、思い入れの本であるなら、紙の本も残しておきたい場合もあるでしょう。特に社内資料などの場合は、万が一データが紛失したときのために、紙の資料も保管したいという希望が多いです。自炊代行業者はそういった希望には応えられないことが多いです。

古い書籍だと、電子化の際痛みがそのままになる

古い書籍

劣化したり痛みが激しかったりする書籍だと、電子化した場合黄ばみ痛みがそのままになってしまうことがあります。業務用スキャナーは性能は高いですが、古い書籍ですとなかなか綺麗にスキャンするのが難しい場合があります。

染みや汚れなどがあると、タブレットや電子書籍リーダーで表示した際に非常に汚いことになります。通常の電子書籍を読む場合と同じ環境で見た場合、どうしても相対的に見づらくなってしまうでしょう。

書籍を綺麗にスキャンするには、業務用スキャナーが高性能なだけでなく、担当者のスキルも必要になってきます。自炊代行業者の担当者全てが、高いスキルを持っているとは限りません

予約してから数ヶ月待たされることもある

待つ女性

前述した通り、自炊は現在注目を集めているため、自炊代行業者の所には数多くの依頼が来ています。そのため、業者によっては予約してから数ヶ月以上待たされることも少なくありません

書籍をすぐに電子化するのが困難である場合も多く、色々な業者を見て回らないといけなくなるかもしれません。結果的には、自分で自炊した方が早いケースもあるでしょう。

法人が自炊代行へ依頼する注意点(自炊代行との比較)

ここまで説明した通り、代行業者に自炊を依頼するのはデメリットも多く、特に著作権違法に関しては気になる所でした。

もしあなたが、他人の著作物である漫画や小説といったものではなく、社内発行物や書類といった企業内の資料や書籍を電子化したい場合は、自炊代行ではなくそのままスキャンのような「法人向けスキャンサービス」の業者へご依頼することをお勧めします

多くの場合、

  • 自炊代行=個人(コンシューマー)向け
  • スキャンサービス=法人(ビジネス)向け

のような形で、両者は様々な点で明確な違いがあり、個人が法人向けスキャンサービスへ依頼すること、逆に法人が自炊代行へ依頼することには様々なデメリットがあります

では、法人向けスキャンサービスと自炊代行は何が違うのでしょうか?

自炊代行との比較① スキャナー

非破壊スキャナー

自炊代行業者で使用するスキャナーはADFと呼ばれる自動スキャナーが中心です。これは原本の背表紙を裁断し、ページ単位でバラバラにして一気に自動スキャンするタイプのスキャナーです。

この方法は非常に安価かつ短期間で書籍の電子化が出来るため、多くの自炊代行業者で導入されています。しかし殆どのADFは最大A3までが対応可能サイズとなっているため、書籍以外にも書類程度であればスキャン出来るものの、A2以上の比較的大きな資料の電子化には対応していない上、裁断が大前提なので貴重書籍や劣化した書籍には向いていません

一方法人向けスキャンサービスでは、このADFに加え裁断しないで電子化出来るスキャナー(いわゆる非破壊スキャナー)や大判専用のスキャナー、名刺専用・・・と、資料に応じて様々なスキャナーを所有しています。これが個人を対象とした自炊代行との非常に大きな違いです。

通常、図面や貴重書籍を持っている個人は多くないので、自炊代行業者がわざわざこれら特殊な業務用スキャナーを購入するメリットは少ないのです。一方法人となると様々な資料を所有・保管していることも少なくないため、そうした団体は自炊代行ではなく法人向けサービスを使われるのが適切と言えます。

そのままスキャンでは、ADF、非破壊スキャナー、大判専用スキャナー、アートスキャナー、ポジ/ネガフィルム用スキャナーなどありとあらゆる資料に対応したスキャナーを10種類以上所有。設備だけでなく、それぞれの資料へのノウハウや取り扱いにおける豊富なナレッジも心得ており、様々な資料の電子化にお悩みの法人様に多数ご愛玩いただいてきました

⇨そのままスキャンの対応資料・スキャナーの一覧を見る

自炊代行との比較② 遵法性

先述したように、自炊代行では著作権法違反のケースも少なくありません。しかしここで業界の裏話をお話しすると、実は「違法と分かっていながら電子化の依頼を受ける」業者も存在し、要するに『バレなければ大丈夫』の姿勢で市販本の電子化代行を平然と行なっていることもあるのです。もちろん、こうした業者は自炊代行業者の中でもごく一部です。多くの自炊代行業者はHP上で「著作権について」の姿勢を明確に記載しているので、依頼する前にこのページをよく確認し、遵法姿勢を予め把握しておきましょう。

法人向けスキャンサービスの場合、著作権法が問題になることは多くありません。というのも、例えば私たちそのままスキャンでは10年以上に渡って企業や学校法人のお客様より書籍電子化のご依頼を承ってきましたが、多くが企業内で作成した社内報や記念誌、研究目的の資料でした。つまり著作権法上問題にならなかったり、著作権が依頼者ご本人に帰属していたりするケースが殆どなのです。

なお、そのままスキャンでも個人のお客様より電子化のお問い合わせを承ることが多々ありますが、著作権法に反するケースは全てお断りさせていただいております。

⇨【無料ダウンロード】法人実績5,000社のスキャンサービス「そのままスキャン」とは?

自炊代行との比較③ セキュリティ

「でも自炊代行の方が安いでしょ?依頼するのは弊社の社内報だし、法律上も問題ないよ」と思われる企業のご担当者様もいらっしゃるかも知れませんが、それでも注意いただきたいのがセキュリティです。

セキュリティのイメージ

具体的には、24時間体制の監視カメラ設置(及び録画)、関係者以外立ち入りが禁止されているオートロックシステム、プライバシーマークに代表される個人情報保護に関する認証取得などが挙げられます。そのままスキャン含め、多くの法人向けスキャンサービスでは当然に構築されていますし、その旨が必ずHP上で公開されています。

一方自炊代行業者では、HPにおけるセキュリティへの言及が殆どないことが特徴です。もちろん非公開というだけで実際には厳格な体制を敷いている可能性もありますが、特に法人様の場合、外注先のセキュリティ体制は必ず気になるところでしょう。その業者がどんなセキュリティへの配慮を行なっているのか、問い合わせる前に判断出来る材料があるかが選ぶ上で重要なポイントです。

⇨そのままスキャンを提供する(株)誠勝のセキュリティ体制はこちら

自炊代行との比較④ 実績

電子化のプロ

①〜③のまとめになりますが、法人(企業、団体、学校など)の電子化実績がどれだけあるかも大きな違いです。

自炊代行業者の実績は、主にご利用人数やスキャンページ数でPRされることが多い傾向にあります。一方法人向けスキャンサービスでは、HP上で実際に利用された企業のロゴ一覧、業者によってはその企業のインタビュー記事を掲載しているところも少なくありません。自炊代行業者でもインタビューや「お客様の声」を載せている会社さんもいらっしゃいますが、基本的には個人利用の方が中心です。

⇨【無料ダウンロード】法人実績5,000社のスキャンサービス「そのままスキャン」とは?

一括りに「スキャンサービス」と言うのは簡単ですが、自炊代行と法人向けスキャンサービスを比べるとこのような違いがあります。電子化作業の外注を検討中の方は、それが個人的な依頼なのか・企業としての依頼なのか、どんな資料をどれくらい依頼するのかを確認することをおすすめ致します。

慎重に比較して業者を選ぼう

オフィスのイメージ

いかがだったでしょうか。本記事では「自炊代行って何?」について解説させて頂きました。

自炊は自分で行うと、機材の購入も必要ですし手間がかかってしまいます。自炊は業者に代行してもらうこともできますが、著作権侵害の問題があったり、本を必ず裁断しなくてはならなかったりと、デメリットも多々あります。

もし社内資料でオフィスの本棚が圧迫されていたりするなら、そのままスキャンへ一度ご相談ください。社内資料を電子化させることには、数多くのメリットが存在します。

資料を会議室や出張先で閲覧することが容易になりますし、膨大な資料から情報を検索して探すこともできます。全て電子化して、皆さんの本棚や資料室をスッキリさせてみませんか?

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マイクロフィルムってなに?劣化したらどうすればいいの? https://sei-syou.com/library/what-is-microfilm https://sei-syou.com/library/what-is-microfilm#respond Tue, 27 Dec 2022 08:34:01 +0000 https://sei-syou.com/?p=11842 国立国会図書館をはじめとした図書館や大学などの研究施設、また新聞社、銀行、証券会社などで広く普及してきたマイクロフィルム。日本でマイクロフィルムが利用されるようになって半世紀が経ったいま、そのマイクロフィルムの多くが深刻な問題に直面しています。

それは、経年劣化です。

どんなにフィルムの保存環境に気を付けていても、程度の差こそあれ、フィルムの劣化は避けられません。ましてや通常のオフィスなどで放置されてきたフィルムは、劣化の進行具合も深刻になる例が多く認められます。

劣化したマイクロフィルムはどうなってしまうのでしょう。今回は、マイクロフィルムの基本的な紹介とその保存方法について紹介していきます。

マイクロフィルムってそもそも何?

悩む女性

そもそもマイクロフィルムとは何でしょうか。劣化についてお話する前に、その歴史や種類、使用用途について見ていきましょう。

マイクロフィルムの歴史と特徴

マイクロフィルムスキャナー

マイクロフィルムとは、書籍や文書などの資料を専用のカメラを使って専用のフィルムに縮小撮影したものです。フィルムは原本よりも非常に小さいため、当然肉眼で判読することはできません。専用の機器で拡大表示したり、紙に印刷したりして読みます。

マイクロフィルムの技術は、1839年にイギリスの科学者ジョン・ベンジャミン・ダンサーによって発明されました。本格的に実用化が進むのは1920~30年代のアメリカで、銀行が小切手をマイクロフィルムに複写したり、ニューヨーク公共図書館が資料のマイクロフィルム化を開始したりしてからのこと。日本では戦後、研究者たちの間で海外の文献を活用する方法としてマイクロフィルムが注目され始めました。

マイクロフィルムの特徴は、大量の情報を非常にコンパクトにまとめることができる省スペース性にあります。そのため膨大な資料を保存しなければならない図書館を中心に広く浸透してきました。

もうひとつマイクロフィルムの大きな利点が、100年以上の長期保存に耐えられる耐久性です。これはデジタルデータを保存する光学ディスクよりも圧倒的に長く、記録媒体としてのマイクロフィルムの有効性を表していると言えます。

マイクロフィルムの種類

フィルムの種類

マイクロフィルムは大きく分けて、ロールタイプとシートタイプの二種類があります。

ロールタイプには、35mmロールフィルム16mmロールフィルムがあります。35mmロールフィルムの方は、鮮明な複写ができるという特徴があり、図面や古文書、新聞などの複写に主に用いられています。16mmロールフィルムは、自動コマ検索が可能な専用カートリッジに装着して利用することが一般的で、伝票や帳簿などの複写に適しているタイプです。

シートタイプとしてはマイクロフィッシュがあります。これは105×148mmのシート状のフィルムに数十から数百コマのマイクロ画像を写しこんだもので、学術文献や報告書などの文書を複写する例が多く見られます。もうひとつアパチュアカードというものがあり、これは35mmロールフィルムを1コマずつカットし紙のカードに貼り付けたもので、図書カードのように日付などを記入して管理することができます。図面などを一枚ずつ管理する方法として今も利用されています。

また、マイクロフィルムの支持体には、セルロースエステル(TAC)ベースとポリエステル(PET)ベースという二種類の素材があり、長期保存にはPETベースのフィルムが推奨されています。

マイクロフィルムの劣化

劣化に悩む女性

さて、今現在も幅広い業種で活用されているマイクロフィルムですが、気を付けなければならないのが経年劣化です。

マイクロフィルムは100年を超える耐久性があると先ほど述べました。さらに、適切な保存条件下であれば期待される寿命は500年とも言われています。しかし現実問題として、撮影から30年程度しか経っていないマイクロフィルムでも、劣化による異常が発生するケースが少なくありません。

具体的には、ビネガー・シンドロームと呼ばれる酸っぱい臭いがしてくる、フィルムの表面がべたついてくる、フィルムがうねるように波打つ、白っぽくなったり銀色に変色してしまったりする、といった症状が現れます。最悪の場合、画像の読み取りができなくなってしまうことも

実はマイクロフィルムの長期保存は、

  1. フィルムに用いられている素材が適切
  2. 保存環境(温湿度)が適切
  3. 現像処理に不備がない

という、三つの条件がしっかりと揃っている必要があります。

特に保存環境は重要で、長期保存するためには、TACベースのフィルムであれば温度は21℃以下、相対湿度15~40%、長期保存に適しているとされるPETベースのフィルムでも温度21度以下、相対湿度30~40%を常にキープする必要があるとされています。

フィルム管理専用の収蔵庫を設けているような専門機関以外で、24時間常にこの条件を達成するのは困難と言えます。そのために、マイクロフィルムの経年劣化に悩む声が多いのでしょう。

マイクロフィルムは電子化しよう

電子化のプロ

マイクロフィルムは、デジタルデータを記録する光学ディスクのように、傷や反りなどによってすぐに記録が取り出せなくなるということはありません。それでも劣化が進行してしまうと、部分的な読み取りが困難になることは間違いありません。

この悩ましいマイクロフィルムの劣化の解決方法としては、マイクロフィルムをスキャニングして電子化するという手段があります。

劣化が進む前にデジタルデータに移行しておくのが理想ですが、仮にある程度変色などの劣化症状が進行していても、デジタルデータにすれば補正処理をするという対策も容易になります。そして一度電子化してしまえば、マイクロフィルム本体を頻繁に取り出す必要がなくなるため、安定した環境でそれ以上の劣化を食い止めることも期待できます。

また、マイクロフィルムを電子化すると、パソコン上での検索や閲覧、印刷などをすることができ、データへのアクセスのしやすさという点でもメリットがあります。そのほかにも、複数の人間が同時にデータを見ることができる、かさばるマイクロフィルムリーダーが必要なくなる、など利便性が格段に高まります。

マイクロフィルムの劣化が心配、すでに症状が出てきている、などお悩みの人はぜひマイクロフィルムの電子化をご検討ください。

ただ、電子化と言っても費用や時間が気になるところですね。そのままスキャンではマイクロフィルムの電子化サービスを提供しており、マイクロフィルム専用のスキャナーも所有、経年劣化したフィルムも1枚ずつ丁寧に電子化させていただきます。

料金やご利用の流れなど、詳しくはこちらのページをご覧ください。

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誠勝、手間のかかるシステムやリストの登録用データを作成する「インポート用データ作成サービス」を開始 https://sei-syou.com/pressrelease/system-entry https://sei-syou.com/pressrelease/system-entry#respond Tue, 29 Nov 2022 02:30:32 +0000 https://sei-syou.com/?p=12227

株式会社誠勝(本社:東京都新宿区 代表取締役社長:山本大視 以下誠勝)は、11月29日より、手間のかかるシステムやリストの登録用データを作成する「インポート用データ作成サービス」を開始します。

 

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本件に関するお問い合せ先

株式会社誠勝 広報担当:鈴木

お問い合わせメールアドレス haruki.s@sei-syou.com

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設立10周年を迎えた誠勝、サービスロゴを一新 https://sei-syou.com/news/logo-renewal-2022 https://sei-syou.com/news/logo-renewal-2022#respond Thu, 13 Oct 2022 00:46:47 +0000 https://sei-syou.com/?p=11650 .full-image{ width:100%; margin-bottom:20px; } p{ line-height:2rem; } .text-decorate{ text-decoration:underline; } .text-grey{ display:inline; padding:4px 2px; }

2022年10月12日にて設立10周年を迎えたことをお知らせします。またあわせて2022年10月14日より「そのままスキャン」「おまかせデータ入力」のサービスロゴをリニューアルします。


■ 誠勝、10年の歩み

誠勝は2022年10月12日にて会社設立から10周年を迎えました。私たちは多くの歴史的価値を持った資料が予期せぬ自然災害や人災・経年劣化などにより失われないよう、価値ある資料をデジタルデータとして残すことから始めました。現在はそれらのデジタルデータをITの力を駆使して現代・未来で利活用できる状態にすることに取り組んでいます。


2012年の設立当初は書籍の非破壊スキャン(※)から始まりました。次第にスキャナーも増設し、扱える資料媒体も増加したことで、資料の電子化サービス「そのままスキャン」は累計5,000社以上の企業・団体様にご利用いただいています。


2021年には関西圏の窓口として2月に奈良支店・11月に大阪営業所を開設、同年3月情報共有・業務効率化の観点からデータ入力代行サービス「おまかせデータ入力」を開始しました。2022年4月には企業・団体様が抱える資料の保管・データ管理を仕組化(自走化)して社内の誰もが必要な情報にアクセスできる社内環境の改善を実現するファイリングサービス「SEDiS(セディス)」を発表してきました。


誠勝は、これからも文化の保存および発展に貢献することに資するお手伝いをすることで、多くの企業・団体の「歴史・文化」を後世に繋いでまいります。
※非破壊スキャン・・・書籍を裁断せず、原本の傷つけることなく電子化するスキャン業務のこと


■ 「そのままスキャン」のロゴについて

1.コンセプト

「そのままスキャン」は原本でしか存在していなかった資料(書類・書籍・設計図・フィルム・絵画など)の電子化を行うスキャンサービスです。 新ロゴには設立当初から行っている非破壊スキャンの本をモチーフにしつつ「スキャナーの光」と「本のページがめくれていく様子」を描くことにより資料が電子化されていく様子を表現しています。


2.「そのままスキャン」のカラーについて

旧ロゴから採用されているライトグリーンは「クリエイティブ」「豊かな感受性」「安心」という意味があり、紙資料の電子化により花開く可能性を表現しています。


■ 「おまかせデータ入力」のロゴについて

1.コンセプト

「おまかせデータ入力」はアンケート・名刺・ハガキ・申込書・健診票など情報の多い書類のスキャンと文字情報の抽出・集計するデータ入力代行サービスです。

新ロゴでは「DATA」の頭文字である「D」をロゴに採用し、資料の情報がデータ化されていく様子を可視化しました。


2.「おまかせDATA入力」のカラーについて

新ロゴのドットに採用されているライトシアンは水のような「透明感」はデータという無形な情報を表し、Dは集積したデータの集合体として「まとまり」「誠実」を意味するダークトーンなシアンを採用しました。


これからも誠勝は、デジタルアーカイブ事業のプロ集団として、資料および情報の電子化、手書き文字や資料内文章のOCR処理、ファイリングシステムの導入などについてお客様のご要望に合わせたサービスを提供していきます。10年目の株式会社誠勝にもどうぞご期待ください。


■ 「10周年、サービスロゴの変更」に関するお問い合わせ

当サービスに関するお問い合わせは、以下よりご連絡ください。

お問い合わせ先: haruki.s@sei-syou.com(広報 / 鈴木)

TEL:東京本社 03-6457-7962 / 奈良支店 0742-22-5768

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誠勝、法人向け非破壊スキャナーレンタルサービスを開始 https://sei-syou.com/pressrelease/scanner-rental-service https://sei-syou.com/pressrelease/scanner-rental-service#respond Wed, 05 Oct 2022 01:00:35 +0000 https://sei-syou.com/?p=12223

株式会社誠勝(本社:東京都新宿区 代表取締役社長:山本大視 以下誠勝)は、9月30日より、お客様が自社内でも機密情報や貴重な史料などの電子化作業を完結できる法人向け非破壊スキャナーレンタルサービスを開始します。

 

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お客様インタビュー Orangette Chalkart 金城 まみ様 https://sei-syou.com/news/orangette-chalkart https://sei-syou.com/news/orangette-chalkart#respond Tue, 01 Feb 2022 08:06:31 +0000 https://sei-syou.com/?p=11360

【お客様インタビュー Orangette Chalkart 金城 まみ様】


神奈川県大和市を拠点に活動されている金城まみ様は、現在広く見られるようになったチョークアートを、日本における黎明期から制作・普及されてきたアーティストです。2017年からは制作に加えチョークアートの講座も開催されており、チョークアートの楽しさ、奥深さを伝え続けておられます。


この度株式会社誠勝では、大和市内の店舗「4DELI」様から依頼を受け制作された大判のチョークアートを看板出力用にデータ化させていただきました。


チョークアートの魅力と可能性、看板製作までの経緯、そしてそのままスキャンへお声掛けいただいた背景について、金城様にお話いただきました。

 

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誠勝、奈良市にサテライトオフィスを開設 https://sei-syou.com/pressrelease/nara-satellite https://sei-syou.com/pressrelease/nara-satellite#respond Tue, 15 Dec 2020 06:10:09 +0000 https://sei-syou.com/?p=10730

法人向け文書電子化サービス「そのままスキャン」を提供する株式会社 誠勝(本社:東京都新宿区、以下 誠勝)は、テレワーク等の普及に伴う電子化需要の増加に対応し、関西地方のお客様によりきめ細かなサービスを提供するため、2021年2月より奈良県奈良市に誠勝 奈良支店(以下 奈良支店)を開設します。

 

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お客様インタビュー 株式会社電波新聞社様 https://sei-syou.com/news/dempa https://sei-syou.com/news/dempa#respond Mon, 30 Nov 2020 10:55:32 +0000 https://sei-syou.com/?p=10711

【お客様インタビュー 株式会社電波新聞社様】


「ALL ABOUT namco ナムコゲームのすべて」は、1985年に初版が発売された当時の株式会社ナムコ(現:株式会社バンダイナムコエンターテインメント)のゲームタイトルについて事細かく解説した書籍。累計30万部という大ヒットを記録し、全国のゲームファンから熱狂的に迎えられた『ゲーム攻略本のパイオニア』とも言える一冊です。


それから35年の時を経て、「ALL ABOUT namco ナムコゲームのすべて」の復刻版が2020年8月に発売されました。誠勝は、この復刻版の電子化作業、OCR処理を担当しております。


「ALL ABOUT namco ナムコゲームのすべて」編集当時の知られざるエピソード、復刻に至った経緯、そして誠勝にご依頼いただいた理由について、株式会社電波新聞社 メディア事業本部 特別顧問の大橋 太郎様にお話いただきました。

 

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お客様インタビュー 株式会社世界文化社様 https://sei-syou.com/news/sekaibunka https://sei-syou.com/news/sekaibunka#respond Tue, 27 Oct 2020 04:27:55 +0000 https://sei-syou.com/?p=10638

【お客様インタビュー 株式会社世界文化社様】

日本を代表するライフスタイル誌『家庭画報』を半世紀以上出版されている、株式会社世界文化社様。『家庭画報』の世界観を体験できる同社のカルチャーセンター、セブンアカデミーは、その上質な“学びの場”が多くの受講者から高く評価されています。


新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」発令によりアカデミーが一時的に休校すると、わずか3か月という短い期間でオンライン講座を開設。誠勝は、オンライン講座の企画・配信・ディレクションを総合的にサポートしております。


誠勝へご依頼いただいた経緯について、株式会社世界文化社 アカデミー事業部 取締役(当時)の今井 朗子様にお話いただきました。

 

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個別相談会のお知らせ https://sei-syou.com/seminer/1-on-1-2020-06-05 https://sei-syou.com/seminer/1-on-1-2020-06-05#respond Fri, 05 Jun 2020 07:23:44 +0000 https://sei-syou.com/?p=10210
   
ペーパーレスの悩みに電子化のプロがお答えします

そのままスキャン
オンライン個別相談会

参加無料

ご自宅からでも気軽に相談可能!

企業・部署が抱える、紙の資料の取り扱いに関する課題を紐解き、解決手段を探る機会として、オンラインでの個別相談会を実施致します。数々の電子化に携わってきたプロフェッショナルがお申込頂いた内容を元に、参考事例や解決手段をご提案させていただきます。

こんな方におすすめ

電子化に悩む女性
  • テレワークの効率化の為にペーパーレス化を進めたい
  • どこからペーパーレス化を導入していけばいいかわからない
  • ペーパーレス化で何が出来るのかを知りたい

概要

開催日時
6月15日(月)~26日(金)
10:00~19:00(左記の時間帯で30分~1時間程度)
対象者
業務内で使用している紙の資料のペーパーレス化についてお悩みをお持ちの方
※同業社様のご参加はお断りさせていただいております。予めご了承ください。
会場
オンラインにて実施
※ご参加方法はお申込み後に個別にメールにてご案内いたします
参加費
無料

お申込み

お申込みは終了しました。

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誠勝、人材データの電子化から「カオナビ」への登録まで一括で請け負うサービスを開始 https://sei-syou.com/pressrelease/kaonavi_release https://sei-syou.com/pressrelease/kaonavi_release#respond Wed, 03 Jun 2020 04:20:56 +0000 https://sei-syou.com/?p=10203

法人向け文書電子化サービス「そのままスキャン」を提供する株式会社 誠勝は、クラウド人材マネジメントシステム「カオナビ」と連携し、「カオナビ」導入に最適化した人材データ電子化・登録サービスの提供を発表致しました。

 

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本件に関するお問い合せ先

株式会社誠勝 広報担当:飯田・麻岡・幕内

お問い合わせメールアドレス media@sei-syou.com

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Withコロナに向けたペーパーレス化の基礎知識 https://sei-syou.com/seminer/2020-05-27 https://sei-syou.com/seminer/2020-05-27#respond Fri, 15 May 2020 08:27:44 +0000 https://sei-syou.com/?p=10146

Withコロナに向けた
ペーパーレス化の基礎知識

~ 電子化で失敗しないためのポイントを解説 ~

2020. 5/27(水) 15:00~16:30

こんな方におすすめ

  1. テレワーク移行の中でペーパーレス化に課題を感じている方
  2. Withコロナに向けて早急にペーパーレス化の知識を取り入れたい方
  3. ペーパーレス化への切り替えに不安を感じている方

概要

4月から5月にかけての緊急事態宣言を受け、多くの企業がテレワーク環境へと移行する中、資料の電子化、いわゆるペーパーレス化の注目も高まってきています。

Withコロナにおけるテレワーク業務を効率的に行うためには、何が電子化できるのか、何を電子化すれば良いのか、電子化後の管理はどう行えばよいのか、電子化にまつわる様々な知識が必要となります

本セミナーではペーパーレス化導入の基礎となる電子化における基礎知識やデータの取り扱い、電子化で実現可能となる業務的メリット、また、電子化を行う上で失敗しないために注意したいポイントについて解説いたします。

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日時
2020年5月27日(水) 15:00-16:30

※10分前より入場可能です
内容

●書類・資料の“電子化”とは

  • 目的別の電子化方法
  • データ形式による利用方法の違い

●電子化によるイノベーション

  • 電子化による業務効率化
  • 実例を交えた電子化後の活用方法のご紹介

●電子化で失敗しないために

  • 電子化における失敗とは
  • 失敗しないためのポイント解説

●質疑応答

観覧方法
お申し込み完了後、メールにて別途ご案内致します。
※本プログラムはオンラインにて行います。セミナー会場にご来場頂く必要はありません。
※インターネット環境のある場所であれば、どこからでもご参加いただけます。
定員
40名
※複数名でご参加される場合は、それぞれ別のメールアドレスでお申込ください。
※定員を超えた場合は先着とさせていただきます。
申込期日
2020年5月26日 24時まで
参加費用
無料
主催紹介
株式会社誠勝
法人顧客の需要に特化した非破壊電子化総合サービス「そのままスキャン」、美大出身のスタッフが大判の絵画作品を大型スキャナーで電子化する「絵画そのままスキャン」などを提供するデジタルアーカイブのスペシャリスト集団です。
専門資格を持つスタッフが、これまでに累計600万ページ(2020年3月1日実績)のお客様の貴重な資料を破損・裁断することなく電子化し、その保存・活用をお手伝いしています。
登壇者紹介
山本

株式会社誠勝
代表取締役社長
山本大視(やまもと だいし)

学習院大学卒業後、3社を経て、文化の保存と継承に貢献することを目的として2012年に株式会社誠勝を設立。電子化業界において裁断を行わない資料や書籍の電子化の分野を開拓し、3,500社以上のペーパーレス化に貢献。 現在はデジタルアーキビスト・文書情報管理士1級等の資格を保有し、電子化のスペシャリストとして、学習院桜友会百周年記念史編纂委員も務める。他に、日経ムックにペーパーレス化について解説する記事なども掲載。

小澤

株式会社誠勝
デジタルアーカイブ事業グループ
営業部 ディレクター
小澤 鉄兵(おざわ てっぺい)

総合商社での営業活動を経て、株式会社誠勝に入社。
現在は文書情報管理士2級等の資格を保有し、デジタルアーカイブ事業グループ営業部ディレクターとして、多くのお客様の課題解決に取り組む。

お問合せ
株式会社誠勝
TEL:03-6457-7962
Email:info@sei-syou.com
注意事項
  • 同業他社様のご参加はご遠慮いただいております。予めご了承ください。
  • 申し込み後のキャンセルについては、前日までにご連絡ください。
  • 安定したインターネット環境下でご受講ください。
備考
  • セミナー後、内容を録画したものを配信いたします。
  • 本セミナーではZOOMウェビナーを利用致します。閲覧用URLはお申込み後にご連絡させていただきます。
  • ご質問はチャット機能より承り、チャットあるいはセミナー内にてお答えいたします。
  • 視聴環境によって音や画像の乱れがある場合がございますが、予めご了承ください。
  • Webセミナー終了後に、ご参加いただいた皆様にアンケートをメールで送付させていただきます。

お申込みフォーム

お申込みは終了しました。

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https://sei-syou.com/seminer/2020-05-27/feed 0
日経ムックに掲載されました。 https://sei-syou.com/news/nikkeki-mook_202004 https://sei-syou.com/news/nikkeki-mook_202004#respond Tue, 28 Apr 2020 01:42:35 +0000 https://sei-syou.com/?p=10063

日本経済新聞出版社様より本日発行された日経ムック「バックオフィスのDX戦略」に、弊社が掲載されました。


皆様、ぜひご一読ください。

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https://sei-syou.com/news/nikkeki-mook_202004/feed 0
改正著作権法とオンライン授業における著作物利用についての解説コンテンツを公開 https://sei-syou.com/pressrelease/copyright-act_revised https://sei-syou.com/pressrelease/copyright-act_revised#respond Mon, 27 Apr 2020 04:51:36 +0000 https://sei-syou.com/?p=10055

法人向け文書電子化サービス「そのままスキャン」を提供する株式会社 誠勝は、社会的なニーズの高まるオンライン授業の実施にあたって知っておくべき著作権法の改正ポイントや、「授業目的公衆送信補償金制度」の利用方法について弁護士の星野宏明先生の監修による解説コンテンツを公開しました。

 

リリースの詳細はこちらから

 

本件に関するお問い合せ先

株式会社誠勝 広報担当:飯田・幕内

お問い合わせメールアドレス media@sei-syou.com

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お客様インタビュー 東日本旅客鉄道株式会社様 https://sei-syou.com/news/jreast https://sei-syou.com/news/jreast#respond Mon, 06 Jan 2020 00:53:31 +0000 https://sei-syou.com/?p=9619

【お客様インタビュー 東日本旅客鉄道株式会社様】

鉄道はもちろん、Suicaなど私たちの生活に欠かせないインフラサービスを提供されている東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)様。


グループ経営ビジョン「変革2027」の一環として同社大宮支社がすすめていた「列車創造プロジェクト」、そこに参加していた1人の乗務員の発案で生まれたのが、手描きのイラスト地図にGPSが連動するという世界初のオンライン地図プラットフォーム「Stroly」を活用した「JR東日本社員おすすめ日光散策MAP」でした。

この度誠勝では、この地図の原画をアートスキャナーで電子化させていただきました。誠勝をご利用いただいた理由について、同社 大宮支社 大宮車掌区 人材育成担当助役の原澤 奈那様よりお話いただきます。

 

全文はこちら

 

本件に関するお問い合せ先

株式会社誠勝

広報担当:飯田・幕内

お問い合わせメールアドレス media@sei-syou.com

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