大村紙業株式会社様

非破壊電子化

大村紙業様の外観

低コストで数十部単位の小ロット印刷を実現する印刷技術・プリントオンデマンド(POD)。ケースによっては版代や在庫リスクが高くなりがちなオフセット印刷の代替策として、近年急激に普及している手法です。


大村紙業株式会社様は、出版代行業務を通して出版文化の発展、出版社と読者のかけ橋の役割を担う業務をしています。2016年からブックオンデマンドサ-ビスを立ち上げ、約350社の出版社の中からご依頼を受け、日々ありとあらゆる書籍の返品業務・改装業務・出荷業務・古紙業務を展開する創業50年以上の出版代行業務会社様。ますます高まるPODへのニーズにも非常に高い印刷技術で応えておられます。

そのままスキャンでは同社様より、約3年に渡って継続的にPOD用のデータ作成のご依頼を承っております。
長きに渡りご依頼いただく理由、そしてプリントオンデマンドの魅力について、埼玉県春日部市に位置する同社の施設・庄和流通センター 副センター長の小幡 泰之様にお話いただきました。実際にオンデマンドで印刷・製本されている現場もご紹介致します。

庄和流通センターで行われていることとは?

こちらのセンターではどのような業務が行われていますか?

小幡様:弊社では出版社様の“バックヤード”として出版代行業務を展開しています。
現在約350社ほどの出版社様と契約しているのですが、書店さんから再販制度を利用し、取次に返却され、取次から返品としてこのセンターに集まってくる仕組みになっています。まず銘柄別に仕分けや整理整頓をすると、その次に本の傷んだ部分や汚れを改装する『改装業務』があり、研磨機で削った上で新品のカバーをかけ、綺麗な新品の本に生まれ変わらせます。その後、各営業所にトラックで輸送し、一部当センタ-でも行っていますが『出荷業務』として綺麗になった本を取次店やAmazonに出荷し、お客様に直送する、というのが一連の業務の流れです。

研磨機と仰いましたが、かなりハイテクな機械も導入されているのですね。

小幡様:本の仕分けや改装はほぼ手作業ですが、一部ではカバーの取り外し、研磨、仕上げという一連の作業を『機械部隊(トライオート)』で実施してもいます。
本来、出版社様が出した本は自社で返品し、仕分け、改装…という流れになるんですが、自分の倉庫を持っている大手出版社様はともかく、中小の出版社様は設備投資や人件費を出すなら弊社のような出版代行業務に頼んだ方が低コストになります。現在も新規のお客様、特にPOD出版を広く展開されている出版社様のご依頼が増えてきていますね。

POD印刷機
▲大村紙業様で使用している、富士ゼロックス社製のオンデマンド印刷プリンター 。

オフセットだけでなく、オンデマンドの存在感も出てきている。

小幡様:徐々にオンデマンドを導入している業者さんも増えていますね。弊社でも4年ほど前からプリントオンデマンド用の機械を導入し、出版社様向けの新たなサービスの一環としてブックオンデマンド(BOD)という事業を展開しています。


まだ、PODをする上で必要な原稿のデータが無いとか、スキャニングというものをご存知でない出版社様もいらっしゃいます。オンデマンド=製作価格が高いというイメージがついており、オフセット印刷に比べたら品質が悪いのだと考えておられることがある。 ただ、一度オンデマンドを経験すると何度も継続的に発注いただけますし、『こんなに綺麗な仕上がりになるとは思っていなかった』という声もよく聞きます。オフセットに比べれば『スキャンしたもの』ということは分かってしまいますが、クオリティは非常に高いものだとご理解いただいた上でオンデマンドを選んでいただいていますね。

庄和流通センター内
▲全国から返却された書籍。非常に広大な倉庫内で各出版社ごとに仕分けされている。

出版社様は、PODのどんなところにメリットを感じているのでしょうか。

小幡様:売れてはいるけれど、一度に500冊、1,000冊重版するのは少し多過ぎる、売り切るまでの保管賃料の発生を抑えたいという時、小ロットで印刷したい希望を持たれるお客様にご依頼いただいています。
基本的には100冊刷ったら半年で売り切れるのですが、売り切れたらまた100冊刷って…というサイクルでご発注いただく出版社様もいらっしゃいます。また突発的な需要もあって、例えば著者さんのイベントで少しだけ使用したいという時にも、PODは便利ですね。 弊社では最低50部からのご依頼をお願いしていますが、その50部でご注文いただくお客様も結構いらっしゃいます。

どのような書籍を承っておられますか?

小幡様:基本的にA5サイズしか出していない出版社様、A4サイズの書籍しか出さない会社様、満遍なく様々な種類を出している会社様など様々なので一概には言えませんが、学術書から漫画本まで本当に色々なジャンルやサイズの本を製本しています。基本的には文庫本サイズからA4サイズまででしたら、どんなサイズでも対応可能な設備は整えています。

POD印刷で製本された書籍
▲オンデマンド印刷で製本された書籍。そのままスキャンでデータ化したものも含まれている。

複数のスキャン業者に依頼。しかし…

誠勝とは3年ほどお付き合いいただいておりますが、それ以前は?

小幡様:以前は別のスキャニング業者さんにお願いしていましたが、欠字やページの反転といったトラブルがかなりありまして…スキャンが粗く、文字化けのような仕上がりになっていました。1ページ1ページ、しっかり作業するというお話だったのですが、最初の依頼から欠字があったので。


それで今度は自分達で別の業者さんを探し、サンプルの作成をお願いすることにしました。
ところがこちらはデータ内の文字が薄過ぎており、印刷機の方で濃淡を変えて刷ったところ全体的に字がつぶれてしまったんです。製本した上で出版社様にもお見せしましたが『いや、これでは難しい』と。


悩んでいたところ、とある出版社様の方から『うちで依頼しているスキャニング業者がある』とご紹介いただいたのが、誠勝さんなんです。

2度スキャン業者で納得できない結果になった後で、不安ではありませんでしたか?

小幡様:そうですね。それまでの経験があるので、『スキャン業者=何かトラブルがあるもの、ちょっと雑な部分があるもの』と思ってはいました。
そんな中でご紹介いただいたのですが、ちょうど急ぎの案件があったのでサンプルは頼まず、初回にそのままスキャニングをお願いしました。


全然違いましたね。スキャニングに関して詳しくない私が見ても分かるくらい、スキャンデータの仕上がりが綺麗で。オンデマンドを担当している現場スタッフも『ここまで文字や写真をしっかりスキャンしているのはとても嬉しい』と言っていました。
値段的にも以前の業者さんよりずっと安いですし、クオリティにも満足しています。他のスキャン業者さんを探す予定はありません。

『オンデマンド印刷なのが分からない品質に』

様々な機械が導入された、とても自動化・効率化されている印刷現場ですね。

小幡様:そうですね。ただ、印刷機で1面につき4ページ分を印刷し、それを折りたたんで断裁機にかけ製本するというフローを採っていますが、これですと1冊ずつ製本することになり時間がかかってしまうんです。ですので現在はより時間を短縮できる作業として、一束4冊分を一度に印刷し、断裁機で十字に切る、という更に効率的な方法を考えており、実際にB5以上の大きいサイズに関しては実践しています。

製本の機械
▲オンデマンド印刷された書籍のページを製本する機械。断裁やページの折り畳みまでほぼ自動で行われており、この日はちょうどそのままスキャンでデータ化した書籍が製本されていた。

弊社がスキャンしたデータが本になっていく瞬間を拝見でき、嬉しく思います。

小幡様:弊社でもモノクロのトナーをより高精細なものに変えるなどし、仕上がりが綺麗になる努力をしています。誠勝さんのスキャニングと併せ、出来上がった製本を見ると一見オンデマンドなのかオフセットなのか分からない、もうそのレベルにまで来ていると思いますね。

●大村紙業株式会社:https://www.ohmurashigyo.com/index.html

大村紙業ロゴ
大村紙業株式会社
設立
1960年(昭和35年)4月1日
事業内容
商品保管業務 / 取次出荷業務 / 直送出荷業務 / 返品受入業務、他
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