デジタルアーカイブのメリットとは?代表的な機能も紹介!

デジタルアーカイブのメリットとは?

2023年4月に施行された改正博物館法にて、博物館の事業の一つとして資料のデジタルアーカイブ化が盛り込まれることになりました。最近では民間企業の間でもデジタルアーカイブを構築・公開する事例(企業アーカイブ)も増えており、史資料に関わりの少ない人にもデジタルアーカイブが身近になってきました。

一方「デジタルアーカイブ」という言葉は、わかるようで具体的なイメージが難しい概念でもあると思います。本稿では、デジタルアーカイブで出来ることや導入のメリット、実際の活用ケースについて解説したいと思います

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デジタルアーカイブとは

デジタルアーカイブ

まずは「デジタルアーカイブ」とはそもそもどんなものなのか、簡単に解説しておきましょう。

「デジタルアーカイブ」という言葉は、古文書や公文書、記録文書の集合、もしくはそうした文書を保管する場所を示す「アーカイブ」という言葉に「デジタル」をつけた和製英語です。

デジタルアーカイブは、古文書や公文書だけに限らず、出版物、有形・無形の文化財、その他歴史資料等のあらゆる知的資産をデジタルコンテンツとして記録・管理し、さらにインターネットを通じて広く公開する仕組みを指します。

デジタルアーカイブのメリットを端的に言うと、いつでも、どこでも、誰でも、自由に、コンテンツが利用できる点です。つまり、昼でも夜でも、世界のどこからでも、専門家でなくても、おまけに無料で、その情報にアクセスすることができるのです。デジタルアーカイブによって、情報が飛躍的に広まっていくことが容易に想像できますね。

デジタルアーカイブの普及は日本だけではなく、世界的な動きだと言っても過言ではありません。むしろデジタルアーカイブを牽引しているのは、欧米諸国の方です。

遡れば、1995年にG7(先進7ヵ国)世界情報インフラ関係閣僚会議(1995年2月,ブラッセル)において打ち出された「電子美術館・博物館構想」が、デジタルアーカイブという概念に繋がっていくものでした。そして2008年には、国際図書館連盟(IFLA)とオンラインコンピューターライブラリーセンター(OCLC)から、美術館・博物館(Museum)、図書館(Library)、文書館(Archives)の頭文字をとったMLA構想が発表されました。このMLA構想は、美術館・博物館、図書館、文書館が連携して情報を共有しようという働きかけであり、デジタルアーカイブ先進国である欧米を中心に各機関がデジタルコンテンツの充実を図るようになりました。

最近では、このMLAに、大学(University)と産業界(Industry)を加えて、「MALUI連携」という概念が生まれ、大学や企業の資料もデジタルアーカイブの対象になっています。

こうしたデジタルアーカイブ先進国の欧米の動きに続く形で、日本でも2000年代から徐々にデジタルコンテンツの作成と公開が進み始めました。いまでは公的機関がデジタルアーカイブを構築することは、社会的責務とも考えられています。

デジタルアーカイブのメリットは?

デジタルアーカイブには様々なメリットがあります。ここでは代表的なデジタルアーカイブのメリットを紹介していきましょう。

資料の共有が容易になる

PCでファイルデータを共有

デジタルアーカイブ構築の目的で最も多いのは資料の共有、公開です。デジタルアーカイブとして資料をインターネットに公開すれば、全世界のユーザーが資料を閲覧することが出来ます。

従来は原本をわざわざ取りに行って直接参照する、もしくは原本のコピーを都度撮って共有するといった手間のかかる方法を取らざるを得ませんが、アーカイブシステムを公開しておけば自由に手元のデバイスで資料を検索・閲覧出来るようになります

資料の劣化・紛失を防ぐ

「そのままスキャン」ではこれまで数多くのデジタルアーカイブ構築支援を実施してきましたが、その中で特に聞かれたのが希少資料の劣化と紛失です。

例えば紙資料は日焼けで色褪せたり、原本が擦れた結果一部ページが抜け落ちてしまうということが少なくありません。また希少資料とはいえ、利用者の“欲しい情報”がその中にしかない場合は都度持ち出されることになりますが、いつの間にか行方不明になってしまった、という例も少なからず存在するのです。

デジタルアーカイブに先立って電子化しておけば、中身の参照や共有はデータで済ますことが出来ます。原本は引き続き保管箱や書庫で大切に保管しておけば劣化・紛失の心配がありません

資料の検索性を高める

検索のイメージ

図書館で本を探す時、検索用のPCを使ったことのある方は多いと思います。蔵書の貸し出し状況や開架場所、著者情報や出版年といった基本情報が瞬時に把握出来るのは大変便利ですが、これと同じことがデジタルアーカイブでも実現出来ます。

デジタルアーカイブでは各資料に「メタデータ」と呼ばれる情報が付与されます。これは著者名やカテゴリ、ページ数、資料のタイプといった基本的な情報のことで、これらを付与しておけばデータベース上での検索・閲覧が瞬時に出来るようになります(図書館の検索システムも同様の仕組みです)。

数百〜数万点ある資料の中から目当ての1冊を見つけ出すのは面倒ですから、これは大変大きなメリットと言えます。

資料整理が出来る

資料が整理された倉庫

前項と重なる部分もありますが、デジタルアーカイブを構築すると資料整理が出来るようになります。『デジタルアーカイブを作るには、資料を整理する必要がある』と言い換えられるかも知れません。

デジタルアーカイブ構築フローの序盤で「概要調査」と呼ばれる作業があります。これは資料の保管状況、分類、種別等を調べて資料の全容を把握し、アーカイブのアウトラインや費用感を設計するために行うもので、ここの概要調査の結果を基にアーカイブ化する資料の系統を決定することになります。

あらかじめ資料が系統別に適切に保管されているケースもありますが、数量も資料の種類も全くわからない状態でも、デジタルアーカイブを構築する上では概要調査、加えて資料の系統の把握が必要となります。つまり、デジタルアーカイブを進める上で資料の整理は“いずれにしろやらなければならない”ことなのです。

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デジタルアーカイブにデメリットはあるの?

必ずしもデメリットがある訳ではありませんが、注意点をいくつか挙げさせていただこうと思います。

公開までに膨大な時間がかかる

資料の数量や仕様、ご予算にも依りますが、どんなに小規模でも企画から公開まで最低1年はかかると見てください。実際には2~3年以上要するのが一般的です

なぜここまで日数が必要かというと、資料のカウントや調査、仕様固め、スキャニング等それぞれの作業フェイズで数ヶ月以上必要となるからです。企画しているうちに予算上の都合が生じ、プロジェクト自体ペンディングに・・・ということも珍しく無いため、まずはデジタルアーカイブに詳しい担当者や業者にイメージを確認するのが良いでしょう。

“作って終わり”になりかねない

デジタルアーカイブ一般が抱える大きな課題として、『時間と費用をかけて作るだけの価値を見出すのが難しい』という側面があります。

デジタルアーカイブのメリットは先述した通りですが、いずれも売上に直結するものではなく、ブランディングや教育といった活用方法が中心です。しかしそうした活用方法を最初に意図していないと“完成したのはいいけど、何の役に立つの?”ということになりかねません。

デジタルアーカイブを企画する際は、何よりもまず「何のために作るのか?」を明確にすることが大切です

デジタルアーカイブで出来る事とは?

それでは実際にデジタルアーカイブというシステムでは、どんなことが出来るのでしょうか。アーカイブシステムに一般的に備わっている主な機能をご紹介しましょう。

検索・横断検索

検索のイメージ

デジタルアーカイブの最も重要な機能は、検索機能です。

充実した検索機能を持つことで、利用者がストレスなく目的のコンテンツまでたどり着くことができるようになります。カテゴリごとに検索したり、フリーワードで全文検索対象項目の中から検索したり、日付や数値などの範囲を指定して検索したり、様々な検索方法を選ぶことができます。

ただしこれだけであれば、Excelで作ったデータと大きな違いはありません。デジタルアーカイブの拡張性、発展性を支えているのが、横断検索機能です。横断検索とは、複数のデータベースを同時に検索することができる機能です。

横断検索で重要なのは、デジタルコンテンツの各項目に付与されている「ID」、「年代(作成年度)」、「資料名」、「作成者(部署名)」、「場所」、「備考等」といったメタデータです。SRU(Search/Retrieve via URL)、SRW(Search/Retrieve WebService)、Open Searchといった情報検索用APIを用いて、コンテンツに付与されたメタデータを取得することで、外部サーバーのデータベースの情報にもアクセスできるのです。APIについては、次に詳しく説明します。

標準規格のAPIの提供

API

デジタルアーカイブを積極的に活用してもらうためには、なるべく利用者にとって扱いやすい検索システムであることが必須です。汎用性のない独自のシステムを作り上げていては、利用者に使い勝手の悪いシステムになってしまう恐れがあります。

他のデジタルアーカイブシステムとリンクし、シームレスな利用ができることが利用者にとっての利便性につながりますが、そのためにはサーバー間で柔軟にメタデータのやり取りが可能になるよう、API(Application Programming Interface)を設ける必要があります。

APIとは、デジタルアーカイブのようなオペレーティングシステムやアプリケーションソフトなどが、他のシステムやアプリケーションソフトに対し、機能の一部を利用できるよう提供するインターフェースのことです。多くのデジタルアーカイブシステムには、このAPIを提供する機能があります。標準的な検索用のAPIとしては、SRU、SRW、OpenSearch、OpenURL、Z39.50などがあり、ハーベスト用APIとしてはOAI-PMHなどがあります。

こうした標準規格のAPIを複数提供しているデジタルアーカイブシステムであれば、他機関のデジタルアーカイブやその他のサービスとの連携が期待できます

アクセスの管理

アクセス管理のイメージ

デジタルアーカイブシステムでは、ウェブアクセス状況、通信履歴などのログをとって、管理者はデジタルアーカイブがどのように利用されているか詳細に状況を把握することができます。また、これらのデータを用いて、「閲覧数ランキング」や「ダウンロード数ランキング」などを作成することも可能です。

このようにシステムへのアクセスを管理することは非常に重要です。なぜなら、利用状況を正確に把握することで、利用者のニーズを適切に読み取り、そこから効率的にデジタルコンテンツの充実化を図ることが可能になるからです。

多言語対応

多言語

デジタルアーカイブのシステムによっては、多言語対応機能が備わっているものがあります。

デジタルアーカイブは、インターネットを通じて国内のみならず全世界に公開されることになります。コンテンツの活用を促進するためには、ユーザーインターフェースの多言語化が鍵となります。利用者が日本語以外に、英語や中国語、フランス語、ドイツ語など表示言語を切り替えて、ストレスなく閲覧できるようにすることが求められているのです。

多言語対応がなされているシステムであれば、分野を横断した統合ポータルの構築や、海外のポータルサイトとの連携などといった可能性も広がります。海外のポータルサイトの圧倒的な充実ぶりについては後で詳しく述べます。

画像・動画の配信・ダウンロード

動画閲覧

デジタルアーカイブが収集するコンテンツには、テキストデータだけでなく画像や動画、音声なども含まれます。そのためデジタルアーカイブシステムでは、こうした画像データや動画データを利用者が特別なソフトウェアを用いなくても閲覧、視聴できる機能があります。

ストリーミング配信という形で動画や音声を視聴する方法もありますし、ファイルをダウンロードする方法もあります。利用者は必要に応じた方法で、デジタルコンテンツを体験することができるのです。

バックアップ機能

貴重な資料をデジタル化した場合、最も気をつけなければならないのはデータの消失です。デジタルアーカイブのバックアップ機能がこの問題を解決してくれます。

デジタルアーカイブシステムがクラウドサービスを利用している場合は、クラウド上にバックアップデータを保管するサービスがあります。さらに天災の被害などを考慮して、遠隔地のデータセンター等へのバックアップサービスを提供しているシステムもあります。バックアップ機能の優劣でどのシステムを選ぶか検討する必要もあるでしょう

スマートデバイス対応

スマートフォンの操作
スマートデバイス対応機能を備えたデジタルアーカイブシステムもあります。現在の日本では、59歳以下の年齢層ではスマートフォンの普及率がパソコンの普及率を上回っているというデータがあります。そのため、デジタルアーカイブの閲覧も、パソコンだけでなくタブレットやスマートフォンを用いたケースがこれからも間違いなく増加していくでしょう。

タブレットやスマートフォンといったスマートデバイスは、ディスプレイのサイズや解像度がパソコンとは異なりますし、タップやスワイプといったパソコンにはない操作があるため、スマートデバイスに対応した専用のユーザーインターフェースが必須となります

SNS連携

デジタルアーカイブの検索結果画面にSNSへの投稿ボタンを設置することができるシステムもあります。

スマートデバイスの普及とともにtwitter、Facebookなどソーシャルメディアによる拡散効果も無視できなくなっています。SNSによる共有を簡易にすることで、デジタルアーカイブへの新たな流入が見込めるようになります

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デジタルアーカイブの活用例

デジタルアーカイブの主な機能をおさえたところで、図書館や博物館など各機関でこのシステムがどのように活用されているのかをご紹介します。

図書館

図書館

公共の図書館施設が、図書資料のデジタル化とデジタルアーカイブの構築をすると、まずレファレンス機能をアシストしてくれます。つまり、資料の有無だけを確認したいといった簡単な内容の利用者からの問い合わせが減り、職員の負担が軽減されます

また横断検索によって、自館にない資料を照会することが容易になります。特定の地域の図書館で連携すれば、資料の不足を補い合うことができ、相互に利用者の増加が期待できます。

図書館のデジタルアーカイブのポータルサイトとして国内最大規模の国立国会図書館サーチ[https://iss.ndl.go.jp/]は、全国の図書館、さらに公文書館や博物館・美術館とも連携し、1億件以上のデータ検索が可能になっています。このように図書館にとってデジタルアーカイブの横断検索は、大きな効果を発揮しているのです。

また、図書館の所蔵する貴重図書類は、保存の必要上、閲覧回数を制限したり、閲覧時の取り扱いを職員が管理したりしないといけませんが、これをデジタルコンテンツとして公開すれば、ほとんどの場合現物資料を閲覧のために持ち出す必要がなくなります。これは職員の負担軽減という面だけでなく、資料を未来に安全に伝えるという意味でも非常に大きな効果があります。

博物館・美術館

美術館

博物館や美術館などの展示施設にとって、デジタルアーカイブを活用することの恩恵は大きいと言えます。

博物館・美術館のデジタルアーカイブでは、当然ながら所蔵作品のデジタル画像が主なコンテンツとなります。実物の作品はいつでも公開できるわけではありません。保存のことを考えれば、展示期間は限定せざるを得ませんし、展示スペースにも限りがあります。またケース越しでは、作品の細かな部分が鑑賞できないという問題もあります。

作品を超高精細のデジタル画像にしてデジタルアーカイブで公開すれば、展示の制約にとらわれず、多くの人々に作品を鑑賞してもらうことができます。デジタルアーカイブのコンテンツを利用した電子展示会をウェブ上で行っている博物館・美術館もあります。

このようなメリットがあることから、デジタルアーカイブ導入を進める博物館・美術館は多く、文化庁は全国の国・公・私立博物館・美術館等と連携して、文化遺産オンライン[http://bunka.nii.ac.jp/]というポータルサイトを公開しています。これは各館のデジタルアーカイブコンテンツのメタデータを検索できるシステムで、12万件以上の文化財の情報にアクセスすることができるのです。

この他にも、国立科学博物館が運営するサイエンスミュージアムネット、国立美術館の所蔵作品総合目録検索システム、国立博物館の所蔵品を横断的に検索できるColBaseなど、複数機関の連携したデジタルアーカイブの活用が進んでいます。

公文書館

公文書館

公文書館においても、公文書をデジタルアーカイブで保存・公開することで、誰でも自由に資料を参照できる環境が実現します。

公文書管理法のもとで収集された情報は、国立公文書館と自治体の公文書館を中心とした国立公文書館デジタルアーカイブで公開されています。また、国立公文書館、外務省外交史料館、防衛省防衛研究所から歴史的公文書の提供を受けデジタル化、公開しているアジア歴史資料センターのデジタルアーカイブは、日本だけでなく世界中の日本・アジアの近現代史関係の研究者に利用されています

また、2019年に日本政府は行政文書の電子管理の促進に向けた基本方針を打ち出しました。業務の効率化や文書の改ざん防止などの理由で、行政文書は作成から保存、移管までを一貫して電子化するようにしよう、という動きです。

こうしてデジタルデータとして最初から作成される公文書の数が増加していく中で、情報の保存や利用に関しては、デジタルアーカイブがこれからさらに大きな役目を果していくことが想像できるでしょう。

地方自治体

地域文化

地方自治体やNPOなど地域団体でもデジタルアーカイブは活用されています。

そして、自治体主導のもと地域の図書館や美術館のデジタルアーカイブを連携させることで、巨大な地域文化のデータベースを作り、広く全世界から注目を集めようという動きもあります。誇るべき地域の文化をデジタルアーカイブによって広く公開することで、地域アイデンティティの再認識、地域起こし、地域復興、地域の絆の形成につながると考えられます。

教育機関

大学

大学などの教育機関もデジタルアーカイブを活用しています。

大学図書館のデジタルアーカイブは、主に書誌データを登録している公共図書館のアーカイブとはやや異なり、教員や学生の論文などの学術成果物を登録・公開しています。これは論文を発表した教員らからすれば、今まで以上に多くの人が自分の論文を目にする可能性が高まるというメリットがあります。

研究とは、常に先行研究を踏まえながら発展させていくものですから、本来誰でも自由に参照できる状態であることが望ましいのです。そして大学自体もデジタルアーカイブを通して所属する教員や学生たちの研究結果を公開することで、教育機関としての価値をアピールすることにもつながります。

また、大学が研究資料として収集したものの中には非常に貴重なコレクションも少なくありません。そうしたコレクションを公開することで、世界中の研究者が利用できるようになるというのも、見逃せないメリットです。

企業

オフィス

デジタルアーカイブはいまや企業にとっても重要な役割を果しています。過去の商品そのものや、企画資料、販売促進用の広報物、写真資料や図面など、企業の歴史をたどることのできるものを企業アーカイブといいます。企業アーカイブの重要性が広く認識されていた欧米では、古くから名だたる大企業がアーカイブの充実に取り組んでいます。

この企業アーカイブをデジタルアーカイブの形で公開することで、その企業が芯の通った経営理念を持ち、長い歴史もあるということのPRになり、それこそが企業に対する信頼感へとつながっていくのです。

日本では、これまでも50年史や100年史といった社史を作成して、企業の歴史をまとめることは慣習的に行われていました。しかし、そうした社史が配布されるのは関係者だけですから、その情報が世間に普及することにはつながりませんでした。

しかし近年では欧米の大企業と同様に、日本でも自社がたどってきた歴史そのものに価値を見出し、それを未来につなげていこうという活動の一環としてデジタルアーカイブの構築が進んでいます。そうすることで、企業理念の浸透、社員教育効果、そして企業のブランディングという様々なメリットがもたらされるのです。

海外の事例

欧米の町

ここまで日本における各機関のデジタルアーカイブ活用事例を挙げてきましたが、海外にも目を向けておきましょう。デジタルアーカイブ先進国の欧米では、図書館や博物館といった枠組みにとらわれない情報の共有が進んでいます。

欧州連合(EU)の統合ポータルサイトEuropeanaでは、欧州各国の博物館・美術館、図書館、文書館などが所蔵する図書、映像、音楽、絵画、写真などのデジタルコンテンツが網羅的に検索できるようになっています。その数は、43カ国約3,500機関から、5400万件以上のコンテンツのメタデータを集約しているというから驚くべき規模ですよね。

アメリカにはDPLAというデジタルアーカイブの統合ポータルサイトがあり、大規模な博物館・美術館、図書館、文書館と各州・地域などのサービス・ハブと呼ばれる組織から、1500万件以上のデジタルコンテンツのメタデータを集めて提供しています。

日本もこうした海外の事例にならって、各機関が構築したデジタルアーカイブがよりシームレスに連携することが期待されます。

さらなる機能の発展が期待されるデジタルアーカイブ

未来のイメージ

デジタルアーカイブが出来ることとして、主な機能を挙げてみました。またデジタルアーカイブの活用例についてもご紹介しました。

この記事でご説明した通り、図書館や博物館、公文書館の他、自治体や企業、教育機関などでデジタルアーカイブの構築は着実に進んでいます。デジタルアーカイブを導入することは、大げさに言えば地球規模の知識の共有に参加することなのです。

この数年で、デジタルアーカイブの機能は幅広くなり、またシステムの使いやすさも大幅に改善してきました。AI(人工知能)やAR(仮想現実)、VR(拡張現実)、MR(複合現実)といった技術革新も進んでいます。こうした新しい技術とデジタルアーカイブが組み合わさることで、今後はさらに様々な機能が追加され、より情報の共有が世界的に進むでしょう。

企業アーカイブを構築するサービスとは

先述したように、デジタルアーカイブは永らく文化施設での構築・運用がメインでしたが、近年では日本の企業でもその導入が進んでいます。

しかし単純な資料の電子化と違い、スキャニングをすれば終了、とはならないのがデジタルアーカイブの難しいところ。デジタルアーカイブでは、電子化に加えて

  • 企画
  • 現地(概要)調査
  • 目録の作成
  • 電子化データの加工
  • アーカイブシステムの開発・運用

などなど、それぞれ特殊なノウハウや技術が必要となる作業が発生します。機材を購入すれば良い電子化プロジェクトと異なり、これらを内製化するのは極めて困難です。

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デジタルアーカイブ構築を支援する業者は沢山ありますが、多くは企画やシステム開発のノウハウがあっても、資料のスキャニングにおいては外部業者へ委託することが殆どです。「そのままスキャン」では世界の博物館や図書館で導入されているスキャナーを10種類以上所有。だから大切な資料や情報の流出リスクを極限まで低減させたアーカイブ構築が実現出来ます。

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