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時代にふさわしい夢を提案する ~「家庭画報」はなぜ3か月でオンライン講座を立ち上げられたのか~

半世紀以上にわたって出版されている、株式会社世界文化社様の月刊誌『家庭画報』。衣食住や文化、著名人のコラムなど毎号上質なコンテンツを掲載し、女性を中心に全国の読者から幅広い支持を集める、日本を代表するライフスタイル誌です。


その「『家庭画報』の世界観を体験できる」ことをキャッチコピーに設立されたのが、世界文化社様の別館「セブンアネックス」で開催されているカルチャーセンター、セブンアカデミーです。毎回各界の著名人や第一人者を講師とする『家庭画報』ならではのリッチで実用的な講座は、従来のカルチャーセンターとは一線を画した“学びの時間”を受講者に提供しています。


新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」発令により、アカデミーは一時的に休校。その間に準備とテストを進め、7月より始動したのが映像配信ソフトを用いたオンライン講座です。
誠勝は、このオンライン講座の企画・配信・ディレクションを総合的にサポートしております。


カルチャーセンター業界におけるセブンアカデミーの位置づけ、オンライン講座の狙い、誠勝へご依頼いただいた理由について、株式会社世界文化社 アカデミー事業部 取締役(当時)の今井 朗子様にお話いただきました。


※新型コロナウィルス感染症対策のため、マスクご着用の上でお話いただきました。

出版社のカルチャーセンターならではの魅力

セブンアカデミーについて教えていただけますか。

今井様:セブンアカデミーは2016年10月に設立したカルチャーセンターです。弊社は『家庭画報』ほか様々な雑誌を出版していますが、そうした雑誌の世界を体験したり、著者と直接お会いして誌面に親しんでいただくことを目的に設立しました。


講座はいわゆる教養、食文化、ライフスタイルから手芸まで多岐に渡っており、昨年度はのべ700講座を開催しています。東京・市ヶ谷で開催していますが、『家庭画報』が全国誌であること、また、なかなかお目にかかれない講師にお越しいただくことから、地方など遠方からのお客様もいらっしゃいます。

セブンアカデミーならではの部分は何でしょうか。

今井様:比較的設立して日の浅いカルチャーセンターにもかかわらず、阿川佐和子さん、茂木健一郎さんなど著名な方にご登壇いただいているのが大きな特徴です。高額な講座も少なくないのですが、『家庭画報』の読者の方は、値段に関わらずご興味があればいらしていただけるという傾向もあるようです。


また、一般的にカルチャーセンターのお客様は70代以上の方が中心といわれていますが、弊社は50~60代の子育てがひと段落した方が多く、講座によっては20代から30代の方もいらっしゃいます。お客様・講師の方ともに幅広い年代の方がいらっしゃるのはセブンアカデミーならではですね。

本当に豪華な講師陣ですね。各界の著名人にお会いできるという。

今井様:出版社ということで、著者や執筆者という方にご登場いただけるのは非常にありがたいところですね。講義いただく方にしても、固定ファンに加えていつもと違うお客様とも「学び」という場を通して直近の活動をお伝えできるので、新しいファンを獲得できるというメリットがあります。


弊社では『家庭画報』を主な告知媒体として講座をご案内していますので、どういった性格のカルチャーセンターなのかがとても分かりやすい。カルチャーセンターは女性が大きなターゲットですが、その意味では女性誌を作ることに近いかも知れません。

セブンアカデミーのリーフレット
▲セブンアカデミーの案内リーフレット。多くの講座が新型コロナの影響で中止となったが、オフライン講座は6月から、オンラインは7月から順次再開・始動している。

セブンアカデミーには、年齢にかかわらず自分の為に何か新しいことをやりたい、学びたい方が来ていると思っています。その気持ちに沿った、時代にふさわしいものが求められているという印象ですし、そこから新たなビジネスを生み出せるかと。

自分のやりたいことで生きやすくなった今、まさに必要な場ですね。

今井様:元々私たちの会社では「いかに時代にふさわしい夢を読者に提供できるか」という想いが強くあります。


以前、仕事でパリのオートクチュールデザイナーを取材した時に、戦後間もない、物資も不足していた時代に何故豊かさの象徴であるオートクチュールのサロンを立ち上げたのかと聞いたところ、『そんな時代だからこそ、私たちは夢を提供しなくてはならないのです。なぜならば、人々が夢を見ることで、世界は変わるのだから』と。


いつの時代も同じだと思います。あらゆる仕事において、その時代にふさわしい夢をいかに提案するかというのはとても大切な視点。そういう意味では、セブンアカデミーで何か新しいことを体験していただくことによって、少しでもお客様の気持ちが豊かになる、私たちはそこを目指して日々運営しています。

“一緒に新しく創っていく”企業を探していた

オンライン講座を始めたきっかけについて教えてください。

今井様:カルチャーセンターは「足を運んで色々な方・仲間に会える」というのが一つの魅力でしたので、オンライン配信は可能性としてはありましたが、これまで具体的な検討はしてきませんでした。

今井様

それが「緊急事態宣言」を受け、今年の2月から6月にかけて予定していた企画がほぼ開催できなくなりました。直近で感染拡大が落ち着く気配が無い中、いつまでもこの状態を続けるのは…と考え、ただ講座を休講するのではなくオンラインに切り替えて開催できるようにしようと。それで4月末から具体的な話し合いを進めていきました。

動画配信はどのように考えていたのでしょうか。

今井様:社内にはデジタル部署もありましたし、『家庭画報』のオンライン版である「家庭画報.com」もありましたので、オンライン講座を始めるにあたり弊社各部署にどんなスキームが必要かリサーチを始めました。


その結果、まずはオンライン講座の製作と配信について専門的な知識をもつ方に入っていただき、スキームを作り、それを内製化していくことを方針としました。


また、弊社内に写真部があって、スチールだけでなく動画製作や配信もできるカメラマンを育成したいという思いもありました。ただ、写真部がすぐにフル稼働できる状況ではなかったため、写真部をサポートして一緒になって新しいものを作ってくださる企業さんを探そうと。そんな時に御社にお声がけさせていただいたんです。

誠勝は「映像制作の専門企業」ではありませんでしたが、何故ご依頼いただいたのでしょう。

今井様:最初に入っていただいた専門家チームはとても優秀で、オンライン講座を立ち上げられたことは、彼らの力があってこそと心から感謝しています。
ただ、それをカルチャーセンターとして毎日のように配信していくとなると、コスト的に厳しい。毎日配信できるコスト感で「ほどよいクオリティ」を写真部と一緒に追求していくパートナーが必要だろうと。


最新のツールや技術を生かしながら新たなやり方と品質で、カルチャーセンターにふさわしいオンライン講座を写真部とともに生み出してくれればと。

よく言えば「柔軟な企業」。

今井様:御社は「いろんなところで問題を解決する」のが仕事だと思っています。
それも一社一社違う問題を抱える企業に対し、それぞれ個別に解決方法を考えることができる。それが会社だけでなく、社員皆さんまでそういう考え方をしていらっしゃると感じ、お願い致しました。

セブンアカデミーの会場
▲オンライン講座の収録・配信も行われているセブンアカデミーの会場。パーテーションの設置、室内の換気等感染拡大予防対策を実施の上、6月15日からはオフラインの講座も再開されている。

「思った以上の提案をしてくれる」

オンライン講座の開始まで、どのようなスケジュールで進みましたか。

今井様:5月の後半にスタッフや関係者によるテスト配信を行い、6月に無料・有料のテスト配信、7月に一部オンライン講座をスタートさせまして、本格的に始動したのは8月に入ってからです。

これまで配信時のトラブルはありましたか?

今井様:オンライン講座のライブ配信にはZoomを使っているんですが、6月のテスト配信でリハーサル時全く問題なかった音声が、本番直前に突然出力しなくなってしまったんです。ただ一度そういうトラブルが発生すると早めに対策を組み立てることができますから、この段階で良かったなと思います。

配信・収録時は弊社担当が1名お手伝いさせていただいております。

今井様:配信に関してのディレクションをお願いしています。弊社写真部には「映像は作れるが配信に詳しくない」者が多いので、わからないことを洗い出しして御社ご担当者様に相談、アドバイスをいただき、現場で共有する、ということをやっています。配信当初はお客様からの技術的な問い合わせにも御社にご対応いただきました。例えば『音声が聞こえない』というお電話があると逐一お客様へご説明される等、配信が円滑に行きわたるようフォローいただきました。


いつも誠実に対応いただき、思った以上の提案をしてくれます。個々の質問から全体感をくみ取って、『やりたいのはこれですよね。そのためにはこれが必要ではないですか?』と言っていただける。「クライアントが何をやりたいのか」を常に考えるお仕事柄、今回のように新しいことをやる際その思考の下ご提案いただいていると感じています。

オンラインは、新しい事業

オンライン講座の反響はいかがでしょうか。

今井様:8月は8講座をオンラインで企画しましたが、心打たれる反響があります。例えばそれまでご自身でアプリをインストールしたことさえない70代の方が、どうしてもオンライン講座を受講したいと携帯ショップに行ってZoomをインストールしてもらった、ということがあって。そういう形でその世代の方に新しいことに挑戦するモチベーションを持っていただく、新しい体験をしていただけるのは大変ありがたいことだと思います。

今後、オンライン講座をどう展開していきたいですか。

今井様:現状、講座開催数はオフラインよりも少ないですが、オンライン講座は首都圏のお客様だけでなく全国からご受講いただけるという、私たちが当初意図した通りのバランスになっています。加えて30~40代の比較的若い方々にも受けていただけるようになり、まだ小規模ですが狙い通りの成果が出ています。


その上で、10月以降はオンラインならではの講座を企画したいと考えています。現在はお客様に丁寧に対応しながら出てくる問題を解決できる体制を整え、今後はSNS等での告知力をあげ、来年以降は大きな講座を増やしていきたいですね。

今井様

カルチャーセンター自体、ウイズ・コロナの時代に変換を求められていると思います。そんな中、幅広い顧客をもつセブンアカデミーはオンライン講座においてポテンシャルがあると思っていて、今までのカルチャーセンターに囚われない新しい事業を目指しているところです。

新型コロナが終息してもオンライン講座は続ける。

今井様:終息しても世の中のオンライン化は止められないでしょう。さまざまな対面型事業が、非対面型事業への変換を求められています。


非対面型事業としてのカルチャーセンターは、「学び」をテーマに、実用的なものを楽しく、適切なクオリティで伝えられることが強みになっていくと思います。


そこで得たノウハウを広めていきたいとも考えています。例えば大学では社会人講座など生涯学習に力を入れていますが、私たちと同じで「ただ休校・閉校で何もできない」という悩みを抱えていると思うんですね。そこへ何か提案をすることもできるのかなと。


誠勝さんには技術的サポートだけでなく、オンラインならではの告知方法やPRについてもご提案いただければ。
御社は若い社員の方が多く、皆さん普段からオンラインに触れているので、どういう講座や告知方法がオンラインにフィットしているのかを一緒に考え、オンライン講座を軌道に乗せていきたいと考えています。

●セブンアカデミー

『家庭画報』をはじめとする数々の雑誌や書籍を出版する出版社・世界文化社が主催・運営するカルチャー教室です。洗練された空間でのオフライン講座、上質なコンテンツを提供するオンライン講座については、下記よりご覧いただけます。

https://academy.sekaibunka.com/


〒102-8187 東京都千代田区九段北4-2-29 セブンアネックスビル6階
TEL:03-6697-0771(平日10:00~17:00、土曜・日曜・祝日除く)

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設立
1946年2月
HP
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