株式会社判例時報社様

電子化 OCR

創業70年、2,000冊以上の「判例時報」のデジタル化・OCR処理 ~これまでの判例の蓄積を活用できる社会を目指して~

株式会社判例時報社様が発刊する「判例時報」は最高裁判所をはじめとした全国各地で出される判決や決定の中から、価値ある判例を世に伝える法律雑誌です。


1953年に創刊され、2023年で創刊70年を迎えました。2023年6月末時点では累計2550冊以上の号数を発刊し、法律関係者や法学者などにとって重要な情報源としても役立てられています。


誠勝では、同社が発刊した創刊号(1号)~2135号までのバックナンバーの電子化サポートとしてOCR処理・傾き補正をさせていただきました。


バックナンバーの電子化を進めた理由、「判例時報」について、株式会社判例時報社 代表取締役 手島 祥午様にお伺いしました。


裁判で資料として活用される「判例時報」

「判例時報」とは、どのような雑誌になるのでしょうか?

手島様:「判例時報」は1953年から発行されている判例関係情報や法的時事を紹介することを目的に月3回(1日・11日・21日)発行される法律雑誌です。
(※臨時増刊号がある場合は月4冊(以上)となる場合もある)


世の中に伝える価値のある判例を選定し、解説を交えて分かりやすく紹介しています。


主に法曹三者と言われる「裁判官・検察官・弁護士」や、官公庁様、大学の法学部の先生方や学生の皆さん、企業の法務ご担当者様などのような法律関係の方々にご購読いただいております。


有難いことに「判例時報」は裁判の証拠資料のような形としてもご活用いただくこともあります。

手島様

デジタル化・OCR処理を進める理由は?

手島様: ご購読いただいている法律関係の方々から「判例を参照するためにも過去に発行した判例時報をデジタル化してほしい」というご要望を多くいただいたことがきっかけです。


また、「判例時報」は年間にして34冊以上発行していますが、毎回書籍版をご購入いただきますと次第に購入者様の書棚を埋め尽くすこととなり「止む無く処分せざるを得ない」という声をいただいたことも理由の1つですね。


これからも多くの方がご購読・ご活用いただけるよう、デジタル化とOCR処理によりバックナンバーの閲覧をできるようにしようと検討をしています。


1号は1953年に発刊されていますが、初期の原本は手元にあるのでしょうか?

手島様:はい、会社内で保管しています。しかし、過去の「判例時報」はこれまで何百・何千回と社内で参考資料として振り返り閲覧してきたこともあり、経年変化も相まって劣化が進んでいます。

判例時報1号の写真
▲判例時報1号の原本

バックナンバーも増刷してある号は1冊単位で、もしくは1〜700号のようなまとまった復刻版(合本)という形でご購入もいただけますが、まだ電子書籍版には対応できていないので、作業を進めているところです。

創刊当時は旧字体、複雑な文字配列だからこそ人の手が必要だった

誠勝を選んでいただいた理由は何でしょうか?

手島様

手島様:誠勝様に依頼する前段階から自動OCR処理をした「判例時報」の1〜2135号までのスキャンデータはありました。
しかし、自動OCR処理後のデータを見てみると4つの課題が浮き彫りになりました。


1.基本構成は縦書き4段組なので、自動OCRでは本来の読む順番とは異なるOCR処理がされてしまう

2.縦書きに横書きが入り混じる複雑な文章配列で、読み順番通りにOCR処理をするためにはどうしても人の手で行う必要がある

3.海外の判例紹介などは人名や参考資料名が外国語で記載されているため、都度言語切り替えが必要だった

4.創刊号が発刊された70年前ごろだと旧漢字が使用されており、正確な変換ができていなかった


課題が発覚したあとに誠勝様を知り、4つの課題にも対応いただけるということでご依頼しました。

納品データ品質はいかがですか?

手島様:大変満足しております。


自動OCRでは不可能だった、文章配列・文字向き・多言語の文章を、読む順番通りにOCR処理をしていただきましたし、スキャンデータの傾き補正にも対応いただきました。


想定外だったことは「原本の折れ曲がり(角折れ)」や「ページの抜け」など最初のスキャン時に落丁があったことですね。


ご依頼する前段階では落丁があるとは想定していなかったのですが、1ページずつきちんとチェックいただき感謝しております。


落丁があったページは再スキャンして差し込み・差し替えにも対応いただき、大変助かりました。


お陰で公開できる状態のデータに仕上げることができたと思っています。

法案も日々変わるように、時代に合わせた形で価値ある判例を伝えていく

2,000冊以上のデータは今後どのように活用されるのでしょうか?


手島様:過去の重要な判例の蓄積を価値のある資料として提供させていただくことは弊社の使命だと考えています。


「判例時報」は2023年時点で2500以上の号数を発刊しているので、紙媒体で保管するとなると、かなりのスペースを埋め尽くすことにもなります。また、欲しい情報を探すにも相当な労力が必要です。


今回、適切な形にOCR処理をしていただいたことで、文字検索も容易になり、現在ご購読いただいている方も瞬時に欲しい情報にアクセスできるようになるかと思います。


法律も日々変わっていくように、弊社の「判例時報」も時代に合わせて変化・対応しながら価値ある判例をお伝えしてまいります。


「判例時報」の新刊につきましては、2022年の12月以降、オプションサービスとして電子版のご提供も開始しましたが、これまで以上に法曹関係各位のお役に立てますよう、バックナンバーにつきましても電子版をご利用いただけるように準備を進めてまいります。

判例時報社ロゴ
株式会社判例時報社
創業
1953年(昭和28年)3月23日
設立
1963年(昭和38年)12月18日
事業内容
「判例時報」および法律専門書籍の発刊
HP
https://hanreijiho.co.jp/