株式会社Ampus様

絵画電子化

今ある状態を正確に再現するディテールへのこだわり~宝物になる作品を作る~

今尚、ファンの間で根強い人気を誇るクラシックゲーム。若者の間でも「昭和平成レトロらしさが新しい」と消費行動にも影響を与えている。


そんなクラシックゲームの名作と言われるナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)のアーケードゲーム3作品「源平討魔伝」「妖怪道中記」「スプラッターハウス」のキービジュアルを徹底再現した複製原画の販売をするプロジェクトを株式会社Ampusのアパレルブランド「TORCH TORCH」が「ナムコミュージアム オブ アート」とのコラボレーションにより完全受注生産で発売している。


※「源平討魔伝」「妖怪道中記」は既に受付終了している。「スプラッターハウス」は2023年8月31日まで予約受付中


誠勝では今回の3作品のキービジュアル原画4点のスキャンを担当させていただきました。


複製原画制作におけるこだわりと舞台裏について株式会社Ampusの企画室 ブランドマネージャーの原田 隼様と同室の筒井 ゆりえ様に伺いました。

原画と見比べて見分けがつかないようにしたい

お二人はどのような業務を担当されているのでしょうか?

原田様:私はブランドマネージャーとして商品の企画・開発を手掛けています。TORCH TORCHで商品開発をするときは、「宝物になるようなものを作りたい」「いい加減な出来にはしたくない」という想いを常に持っていて、自分たちが好きなもの、自信を持ってお送りできるものをお客様に届けたい。お客様にそれがしっかり伝わるようにというのを心がけています。

筒井様:私はアシスタントとして、商品開発に携わっています。新商品のたたき台を作っては修正を繰り返す毎日です。今回のプロジェクトでは原田と共に原画の複製作業を担当しました。

今回のプロジェクトの経緯は?

原田様:このプロジェクトはバンダイナムコエンターテインメントさんが「NAMCO MUSEUM of ART(※)」というプロジェクトを始めるにあたり、ゲームや映画作品の商品開発をしている我々にも、たくさんのアート素材を見せてくださったんです。これで何か作りませんかとお声かけいただいたときに、それならばと、複製原画を提案させていただきました。


※ 「NAMCO MUSEUM of ART」とは・・・
ナムコレジェンダリーIPの「キービジュアル」や様々なアートを再定義して、 その魅力を世に送り出すバンダイナムコエンターテインメントとバンダイナムコスタジオによるアートプロジェクト。

原田様:これまで手掛けた3作品は、どれもホラーテイストが魅力で、ゲームセンターで稼働していた当時から憧れた作品ばかりですね。

原田様と筒井様
▲取材中の(左)原田様 / (右)筒井様

経年による色あせもあったと思いますが、再現において拘ったポイントは?

原田様:原画と並べても複製と見分けがつかないようにしたいというところですね。そのためにはどうしたらいいだろうと試行錯誤しました。


重要なのは、原画が描かれた当時の色の予測や想像は一切せず、描かれてから30年経過した「今現在の姿」をそのまま表現していることです。


やはり当時の色味を再現しようとしても正解はわからないので、曖昧なままのゴールになってしまいます。しかし、「今の状態」を再現するのであればゴールも明確。「正確に再現しました!」と胸を張れる商品にしたかったです。
あとは「あるものは逃さない」「足さない・引かない」。黒一色の中の濃淡や、原画に残された修正液の跡があれば、その通りに再現するようにしました。


こういった細かな痕跡って、最終的にユーザーの皆さんがご覧になるゲームのパッケージやポスターには残っていないですが、原画だからこそ判明するものなんです。それを実感してほしくて、そのままの再現に拘っています。

筒井様:修正液って「マチエール(※2)」ができやすいのですが、そういった「厚みの空気感」というのでしょうか…そのような質感をジークレー印刷でも再現できるのではないかと。それを目標にして作業していました。


※2 マチエールとは・・・・絵の具を塗り重ねることでできる質感、筆の筆跡などの絵肌を指す。今回であれば原画に現れている修正液の盛り重ねの厚みという意味

原画ならではの質感を正確に。原画複製中の舞台裏

誠勝をお選び頂いた理由は?

原田様:誠勝さんに依頼して良かったと思っている点は、アートスキャナーに搭載さているアンチリフレクション(※3)機能ですね。それを活用することで、原画そのままの色味や質感を取りこぼさずにスキャンすることができたと思います。


例えば、絵の具や修正液のマチエールが強い箇所は、凹凸感のよく出るデフォルト設定、色味や質感に違いがある箇所はアンチリフレクションの設定をしたスキャンデータを使っています。


そのようにして、いくつかのデータからパーツごとに抽出し、全体的に違和感や差異がないように調整を施しながら合成したものが、最終的に商品となった複製原画なんです。


黒の主線、草むら、背景、キャラクターの鮮やかな色などなど…実はかなり沢山のパーツに分けて構成されているんですよ。


※3 アンチリフレクションとは・・・スキャナーの光源を反射した原画の映り込みをカットする撮影設定のこと

スキャン中の様子のお写真
▲(左)複製原画の色味や質感を比較確認する原田様 / (右)スキャンデータの確認をする原田様

色味を正確に再現するため御社の方でスキャンデータのマスク作業もされていましたね

原田様:はい、マスク作業(※4)をはじめ、色味や質感の再現に関しては、筒井とも頻繁にやり取りを重ね時間をかけて作業をしたので、2人で作った作品としての印象が強いです。

筒井様:そうですね。「何が足りていないだろう」「赤みか、彩度か…」など細かな部分についても、本当に幾度となく話しました。


1人で悩んで曖昧なまま進めるより、時間をかけても意見交換をして進める方が良い商品になっていくと思ったので、「協力して進めていこう」という意識は強かったです。


※4 マスクとは・・・画像編集ソフトで画像全体に対する編集処理を行わずに、それぞれの加工が必要な箇所に対して個別で編集可能とするための機能を指します。

スキャン中の様子のお写真
▲ 原画と複製原画の再現度を確認する原田様と誠勝メンバー

ファンの方々の想いに見合うアート作品として商品を届けたい

日頃の大切にしている想いについて教えてください

原田様: 「アートを届けたい」という想いはずっとあります。


今回のプロジェクトに関してお話しすると、複製原画化したゲームは30年以上も前の作品ばかりです。それらを今でもずっと好きでいる人たちは、かなりの思い入れや愛、熱量をお持ちの方々だと思います。


そういった方々の熱量・パッションというか、「思い入れの強さ」に見合う商品を作りたかったので、細部にまでこだわりました。その「強さ」に見合う商品とは何か?を考えたときに行きついた答えが「(原画と)同じにする」だったんです。


お客様にとっては、商品は1度買ってしまったら、替えが効きませんよね。もしも発売後に「バージョンをアップデートしました」というものが出たら、最初に買ってくれた人たちが、がっかりしてしまうかもしれない。それは避けたいので、私たちは常に、最初に出す商品から究極の・納得のいくクオリティでお届けすることを心がけています。


そのこだわりを持って歩んできた甲斐もあり、2023年5月には「TORCH TORCH」初となる実店舗を渋谷にオープンすることができました。これからもディテールへのこだわりを持って頑張っていきたいと思います。

【ナムコミュージアム オブ アート × TORCH TORCH/ スプラッターハウス 複製原画】は2023年8月31日(木)まで完全受注生産にて予約受付中です。

源平討魔伝™,妖怪道中記™,SPLATTER HOUSE™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.

Ampusロゴ
株式会社Ampus
設立
1998年1月12日
事業内容
MAMEGYORAI:アメコミを中心としたフィギュアの輸入販売、
造形作家やデザイナーなどと共にオリジナル商品の製作販売
TORCH TORCH:ゲームや映画作品などのキャラクターの
アパレル・アクセサリーの製作販売
HP
Ampus:https://ampus.co.jp/index.html
MAMEGYORAI:https://mamegyorai.jp/net/default.aspx
TORCH TORCH:https://torchtorch.jp/