お客様インタビューVol. 12 中小企業家同友会全国協議会様

共有財産は、創立から受け継ぐ“自主・自立の精神”  ~全国47,000の中小企業を支援する組織が電子化にこだわる理由とは~

中小企業庁の統計によると、2014年時点で日本国内には約382万の会社が存在しています。そのうち99%以上は中小企業。世界第三位の経済大国は、豊かな企業家精神を持つ全国の経営者によって支えられてきました。


中小企業家同友会全国協議会(中同協)様は、そんな中小企業経営者が会員の各都道府県で組織された『中小企業家同友会』の全国組織です。その総会員数は47,000社を数えます。
今回誠勝では、同会が発行・保有している『中小企業家しんぶん』『中同協誌』そして政府への要望書や提言書の計3種類のマイクロフィルムを電子化させていただいております。


現在の中小企業経営者を取り巻く状況、同会のご活動、そしてマイクロフィルムを電子化したきっかけについて、中小企業家同友会全国協議会 事務局長 平田美穂様にお話を伺いました。


※取材は納品前に実施致しました。

中小企業は“地域のインフラ”であるべし

Q, 中同協の活動について教えてください。

平田様:

全国47都道府県に『中小企業家同友会(同友会)』という中小企業の経営者で作る任意団体があり、中同協はそれら同友会の協議体です。
各同友会では、基礎組織である支部や地区(全国で480)ごとに中小企業経営者である会員が集まり経験や失敗談を共有し学び合う月に一回の会合の開催、企業経営やのセルフアセスメントを促す『企業変革支援プログラム』の活用、経営指針(経営理念、10年ビジョン、経営方針、経営計画)の成文化と実践のための活動、共同求人活動など様々な活動を行っています。


地域の振興や未来を関わる人みんなで考えていくということ、社員教育を大事にし、ただ中小企業が儲ければ良い訳では無く、“中小企業が地域のインフラ“としてどのような役割を果たしていくべきかを正面にすえて活動しています。例えば『地域の観光資源』一つを見ても、自治体だけが発信していくのではなく、そこに商品化やサービス提供、PRという形で民間が携わることで初めて『観光』を作ることが出来る。そういったサイクルを自治体や市民の皆さんと共に取り組んでけるような将来設計をイメージしていこうということです。

平田様

中同協はそうした同友会の『横』を繋ぐ組織です。各地の経験を繋げフィードバックするという良い循環を作るため、総会や中小企業問題全国研究集会といった全国行事を開催しています。加えて全国組織として、国への政策要望や提言も毎年実施しております。

Q, 設立にはどのような背景が?

平田様:

原点である『日本中小企業家同友会(現在の東京中小企業家同友会)』が設立された1957年当時は、『中小企業政治連盟』が中心になって中小企業の寡頭競争を防ぐため『中小企業国体法』制定運動を起こしていました。
そんな中で『中小企業の自主性を抑えつけない、自主的な努力と団結の力で自覚を高め、日本経済の自主的で平和的な発展を目指す』ため、70名程の経営者が奮起したことが始まりです。


中同協が設立された1969年は、東京など五つの地域の同友会しかありませんでした。個々に同友会があっても国の制度を変えることは出来ない。全国組織を作ることによって国に要望を出したり、全国に同友会を作るということで69年に創立されたのが中同協です。
そういった経緯のため、同友会は生まれた時から“自主・自立の精神”が強い組織となっています。

Q, 経営者の皆様はどういった理由でご入会されるのですか?

平田様:

会員の方に誘われて入会されるケースが多いのですが、最初から悩みや経営課題に気づいている訳ではありません。経営者はどうしても『お山の大将』になりがちなので、危機感を持っていなかったり社員との認識に差はないと考えてしまうことがかなりあります。


地域の身近な経営者から指摘を受けたり自分の悩みを吐露したり、先輩の失敗談を聞いて気づきを得ることで、初めて課題が見える。中小企業は経営者の姿勢次第で変わるものです。大変な時に悩みを相談する場が無い経営者が多い中で、お互いの経営を深く知り合い、本音で話し合う機会を日常的に持った結果、経営姿勢変わったという方が増えていますね。
会員同士が深く関わり成長し合える関係作りをしている地域は退会率が非常に低く、リーマンショックや災害のようなダメ―ジがあっても、励まし合いや苦しみを共有することで立ち上がれる。そうやって地域を強くしています。

Q, 大変な時でも経営者が団結して乗り越えると。

平田様:

私たちの会では、自ら学びの場を作り、全社一丸となって外部評価も受けられる付加価値の高い仕事ができる企業作りをすることを大事にしています。その為開催されるセミナーの講師やテキストの作成、総会の企画立案まで基本的には会員の経営者が担っています。特に中同協の総会は1000人以上が集まる大きな大会ですが、道案内や会場での出迎えまで全部会員である経営者が自主的にやっています。どの会でも『経営者自らのために自らかかわる』ことを実践しています。

デジタル化は当たり前。だから

Q, 今回電子化した資料について教えていただけますか。

平田様:

今回誠勝さんにお願いしているのは、いずれも当会で保管している資料のマイクロフィルムです。『中同協誌』は中同協設立の翌年から今日まで発行されている報告集で、総会や研究集会の内容が載っています。72年から現在も発行されている『中小企業家しんぶん』には、各同友会の活動や企業紹介が掲載されるようになりました。
『中同協誌』原本は全て冊子として残っています。


要望書・提言書は同友会の創立以降、毎年国へ提出している政策要望・提言を記載した資料です。こちらは発行物というより用紙なので通算の番号を付けて保管はしておらず、原本が残っていないものもありました。

『中小企業家しんぶん』の冊子

▲『中小企業家しんぶん』は、冊子としても丁重に保管されている。

Q, こうした資料をマイクロフィルムで保存していた理由はなんでしょうか?

平田様:

紙媒体よりも綺麗に残せますし、作成された当時は最良で一番安全な保管方法だったからでしょう。
全国組織として設立した当時から『誇り』を持っていたと思いますし、そうした流れをくむ組織として記録を残しておきたかったのではと考えています。

Q, 電子化を検討されたきっかけは?

平田様:

私が入局したのは1986年ですが、当初から様々なものをデジタル化、電子化する意識は持っていました。当時は全同友会のうち半分程度しかFAXを導入していないなど、全国組織なのにデジタル化がされていなかった。以降全国統一のグループウェアを作ったり、学生さんがエントリー出来る共同の求人サイトを整備するといった仕組みを提案しています。デジタル化は当たり前なんです。


マイクロフィルムに対しては、火事や地震といった管理に対するリスクも感じていました。デジタル化しておけば情報資料として管理が出来ますし、コピーも可能となる。そう考えるとこちらも早く電子化へ進んでおきたかったですね。

電子化したマイクロフィルム

▲『中小企業家しんぶん』のマイクロフィルムの一部

コスト面で電子化は難しかったが…

Q, 誠勝にご依頼いただくまでのいきさつを教えていただけますか。

平田様:

誠勝さんの前に、いくつか大手の会社さんへ見積をお願いしていました。
ただ数十年分のボリュームですし、内容もそこそこの文字数。おまけに段組み構成になっているので『どこからどこまでが原稿なのか』を機械が判読出来ないんですよね。
ですのでお見積も、誠勝さんとは桁違いの額が出まして…ということで中々手が出せませんでした。


そんな中、同じフロアにある東京中小企業家同友会がたまたま誠勝さんに過去データの電子化をお願いしていたところで、紹介してもらったんです。
お見積りいただいたところ大変安く、テキストもかなり正確に抽出出来ると聞きまして、私たちもお願いすることにしました。

Q, 今回はHTML形式での納品をご希望いただきました。

平田様:

『中小企業家しんぶん』に関しては、デジタル化した2000年以降の号をバックナンバー検索サイトにアップしており、会員の方が閲覧検索出来るようにしています。今回電子化とOCR処理をお願いしたのはそれ以前の『中小企業家しんぶん』および『中同協誌』になりますが、いずれも納品後は全てサイトへアップロードし、検索が出来るようにする予定です。

後世のため、情報資産を共有する

Q, バックナンバー検索サイトは『過去の資料を見たい』というお声があって作成を?

平田様:

いえ、声があった訳ではありません。今回の目的は『運動の資産を共有する』ことなんです。
同友会がどんな歩みで今に至っているのかは皆が知る必要があると考えています。
しかし『中小企業家しんぶん』が創刊された当時どういった情報が流れていたのかはつづりを見なければならないし、どこに何が書いてあるかなんて誰も分かりません。資料が電子化されないまま時間が経てばますます分からなくなります。

平田様

ただ、同友会は『誰か先生がいて常に教えてくれる』組織ではなく、気づいた人が自ら学べる環境を作る場所。その為今の同友会の会員や事務局、後世の為に情報資産をいかに共有するかという観点が大事です。
だからこそデジタル化は必須だと考えています。