社内にねむるバックナンバーを新しいコンテンツとして再生

2000年より前の書籍にはDTPデータがない本が多数存在します。そして、そのような書籍はDTPデータがないため、印刷することができません。つまり、電子化しない限り昔の貴重な情報が二度と日の目を見ることがなく消えていってしまう可能性があります。

そして、電子化を検討する際に一つ問題が発生します。多くの出版社様ではバックナンバーは1冊しか保存していないことが多く、原本を裁断してしまうと、貴重な書籍がなくなってしまう可能性があるのです。

そのままスキャンでは、このようなご相談に対して最適な解決方法を提案しております。

株式会社技術評論社様からのご相談に対する弊社からの提案

技術評論社様が1990年より刊行している雑誌「Software Design」について、1999年までの書籍約19000ページを電子化したいというご相談を受けました。

そのご相談は「Software Design」のバックナンバーのデータをDVDに納め総集編にして出版したいということでした。

実際に技術評論社様にお伺いし、対象書籍の事前調査、スキャニング内容のお打ち合わせをしたうえで、弊社から以下の提案をさせていただきました。

  1. 社内で保存するために高解像度での保存用電子データの作成
  2. 配布DVD-Rに収録するために中解像度での電子データの作成
  3. 中解像度での電子データをipadで快適に読めるようipad用の電子データに最適化
  4. それぞれの作成した電子データに対してOCR処理の実施
  5. 裏移りを軽減するため間紙を挿入した状態での非破壊によるスキャニング
  6. 2ヶ月という納期の確約(実際の作業実施期間45日)

今まで活用されることがなかったバックナンバーに新しい価値を

デジタルアーカイブをおこなうことで雑誌のバックナンバーを電子書籍化した写真

技術評論社様の社内でのご協議の上、上記提案を実行することになり無事原本を残したままきれいな状態の電子データを作成することに成功しました。そして、雑誌Software Designの貴重なバックナンバーはSoftware Design総集編 【1990~2000】として販売され、再び公衆の皆様の目に触れることが可能となっております。

このように実際に価値のある多くの書籍が、DTPデータがないために再活用されることなく社内や倉庫に眠っております。

弊社ではこのような書籍を電子書籍として再生し、価値のあるものとして再び皆様の目に触れることができるようにするお手伝いをしております。

雑誌読者の皆様にとっての付加価値

雑誌を購入していただいている読者の皆様に対しても紙の書籍にはない、以下のような付加価値を提供しています。

  1. 自宅サーバーなどに保存しておけばネット環境がつながる場所であればどこからでもアクセスが可能
  2. パソコン内などに保存しておけば120冊分のバックナンバーを簡単に持ち運ぶことができる
  3. 紙の書籍に比べて保存に場所をとることがないため、家のスペースを有効利用できる
  4. 電子データにOCR処理を行うことによって、紙の本では実現できなかった書籍内を瞬時に検索することが可能
  5. 紙の書籍は複製することができないが、電子データであれば複製が容易にできる

上記使用は個人が使用する場合に限られています。DVDに収録されているデータの再配布は禁止されております。

バックナンバーの総集編を低価格で出版する

今回のような事例を実現させる場合、最も肝心なことがあります。

それは、このような総集編を出そうと思ってもスキャニング費用が高い場合は総集編を出版することなどできないということです。

つまりスキャニング費用は書籍の出版価格に反映されます。そしてスキャニング費用が高すぎると、1冊の価格が20,000円を超えるような書籍を販売しなければいけなくなってしまうのです。

いくら総集編でも20,000円を超えるような書籍を買えるお客様はなかなかいません。

しかし、今回の場合、弊社でスキャニングを行うことによって、1冊2499(税込)円という低価格での総集編の出版が可能となりました。

また、技術評論社の担当者様からも、Software Designは『買いやすい値段』という点も読者の皆さんにご評価いただいているので、いくらこだわって作ったからと言って値段が高くなってしまうのは意味がないという言葉をいただきました。

そのあたりの制作の物語に関しましてはサイボウズ株式会社様が運営しているサイボウズ式の記事「SD総集編」のこだわり──1万9000ページをスキャンしてOCR、定価2000円台、技術の変遷を追体験」に掲載されておりますので、ご興味のある方は一度お読みいただければと思います。