プロが教える『紙を綺麗にスキャンするコツ』

スキャニングのコツ

そのままスキャンは電子化代行なので毎年100万ページ分ほどスキャニングしています。

これだけ電子化していると、スキャニング担当者は『綺麗にスキャンするコツ』を感覚レベルで理解することが出来るのですが、普通の方々はスキャンしても完成した画像データを見て『あぁー…影ができた』みたいに落ち込むことも多いんじゃないでしょうか。このブログをクリックしたあなた、もしかして本や資料を綺麗にコピーする方法を探していませんでしたか?

という訳で本稿では、自炊でお悩みの皆様へ、書籍を綺麗にスキャンするコツについて解説させていただこうと思います。オフィスやご自宅で本を綺麗にスキャニング出来ないとお悩みの方は是非ご覧ください。

※当記事は、2018年2月23日に公開された内容を大幅に修正したものです。

書籍は二種類に分けられる

書籍は大まかに「一般書」と「貴重書」に分けられ、この違いでスキャン方法が大きく変わります。まずはそれぞれについて解説しましょう。

一般書

一般書籍

文庫本、漫画、新書など書店などで広く流通している書籍を指します。仮に裁断しても同じものが容易に手に入る場合、電子化してしまえば必要無くなる等、本そのものが貴重でない場合は裁断してスキャンする事で視認性をぐっと上昇させる事が出来ます。書類など、元々一枚のペラ紙であるものなどもこちらに分類されます。

今回は一般的なフラットベット型(コンビニやオフィスにある、アクリル面に資料を押し付けて撮るタイプ)でのスキャンを想定してコツをご紹介しますが、ADF(自動給紙装置)があるならばそちらでスキャンする事も可能です。

貴重書

貴重書

この世に一冊しかない、絶版である、文化財である等々、その書物自体に価値のあるものがこちらになります。企業が節目の時に作成した記念誌、一般に流通していない社内報など、いわゆる社内刊行物と呼ばれるものも含まれます。

そのままスキャンの経験上、こうした貴重書は基本的に厚さが数cm程度ある傾向があります。一般的にこうした貴重書はストックが無いため、非破壊スキャンが前提です。しかしスキャナーの仕様上、こういった書籍のスキャン時には見開いた時の真ん中の部分(ノド奧と呼びます)にが出来てしまうため、綺麗にスキャンすることが難しくなってしまいます

スキャン業者の場合、より特殊な機材やノウハウ、ソフト等によってそんな書籍でも非破壊で電子化することは可能です。しかし一般的なオフィスや自炊の現場で、こうした手法を導入することは中々難しいと思います。

よって、今回は書籍を裁断して電子化する方法について解説します。

本をきれいにスキャンする方法

まずは本の裁断方法から解説していきます。本の形によってコツが必要になりますが、基本的な作業は同じです。

①表紙を切り離す

表紙の切り離し

いわゆる裁断と呼ばれる作業です。

ハードカバーの物は表紙・裏表紙部分を切り離す必要があります。本を広げて、上から覗くと分かりますが、本文と表紙部分が離れていると思います。その接合点をカッター等で切断し、分解しましょう。

文庫本や漫画など、本文と表紙等が合体している物に関してはこの作業は必要ありません。

②本文を数冊に切り分ける

ページの切り離し

本文の中央辺りのページを開き、背の部分をカッターで切断します。続いてその半分の中央ページを開き裁断・・・と言った手順で、本文をある程度の分量に切り分けていきます。

この際、背表紙にタイトル等書いてる本はタイトル部分が細切れになりますので、必要に応じて先にスキャンする等の処置を行って下さい。

③ノドの部分を切り落とす

ノドの切り落とし

切り分けた本文の糊でくっついている側(背表紙側)を切断し、各ページをバラバラにしていきます。切断後のページの順番が混ざると非常に面倒なので、順番はしっかり確認しておきましょう。また、本文の文字や、写真などの図を切ってしまわないよう、気をつけましょう。

以上で本の裁断が終了です。裁断が終わったらスキャンして行きましょう。

よくあるミスと対処法

フラットヘッド型でのスキャンは破壊・非破壊共に基本的には同じ処理をしていきます。置いて撮るだけなので簡単ですね。

なんて気楽に構えていると、突然現れる裏写りと謎の影、文字の伸びに傾きや一箇所に固まるゴミに悩まされることも

ドライバ等によりスキャン範囲を決めたり自動切り抜き等の機能などで切り抜く事も出来ますが、設定等の説明をし始めると細かくなってしまうので、汎用的なコツを紹介していきます。

裏写り

裏写り

書籍であれば裏の文字が、ペラ紙等であれば手の平が透けてしまうことがあります。この場合は、裏に黒い紙などを挟みましょう

これだけで裏写りがみるみるうちに押さえられます。

ノド奥の影

影の映りこんだ書籍

スキャナのガラス面から少しでも浮いてしまうとスキャン後の画像では黒い影となってしまいます。しっかりと書籍を押さえ、隙間の無いようにしてスキャニングしましょう。

非破壊スキャニングの場合、この影がどうしてもでてしまいますので、なるべく背表紙の部分を押さえ、ガラス面に近づけるようにしてください。そのため使用するスキャナーは極力ガラス面の割合が大きいとベターです。

文字の伸び

文字の伸びた本文

文字に限らず、画像などが伸びてしまう場合があります。これはスキャン中に書籍を動かした為に起きてしまう現象です。

こちらも、スキャン中にしっかり押さえて、動かないように対処しましょう。

妙な傾き

傾き画像

スキャナに対して垂直水平に書籍を置きスキャンしましょう。ページをめくる度に移動してしまうので、マスキングテープや付箋等で位置を決めてあげると良いでしょう(これは実際にそのままスキャンの制作現場でも行っています)。

ゴミが入ってしまう

ゴミの映ったスキャン画像

ガラス面の清掃をマメに行いましょう。また、スキャン中にプレビュー画面等でちゃんと撮れているかを確認し、ゴミを見つけたら払う、等の対策をすると良いでしょう。

基本は動かずずらさず毎画像しっかりと確認する事、です。スキャナの蓋が外れる場合は外し、外せない場合でも、蓋を開けたまま作業等をするとやりやすいでしょう。

これさえ守ればあなたも明日からスキャンマスター。この世のありとあらゆる物をスキャンして全てをPDFにしましょう!

丁寧にやることが肝要

いかがでしたでしょうか。今回は破壊スキャンを例にコツを紹介しましたが、基本的には非破壊スキャンでも注意点は同じです。機材によってスキャン画像のクオリティ、スキャニング作業の進めやすさは変わりますが、先述したように1ページずつ丁寧に行う、この点は機材に関係なく重要なポイント。

初めは時間がかかっても、慣れてくるとあまり時間がかからず、ミスも少なくなります。本記事が少しでも自炊や業務効率化の助けになれば幸いです!

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