契約書電子化の方法5選|費用比較と電子帳簿保存法対応【2025年版】

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【2025年版】契約書電子化の方法5選|
費用比較と電子帳簿保存法対応

契約書の電子化を迷っている方へ。最適な電子化の方法を教えます。

2024年1月から電子帳簿保存法が改正され、多くの企業が契約書の電子化を実施したり検討したりしています。しかし、「自社でスキャンをするべきか」「外注でスキャンをするべきか」「電子化の方法には他にどんな方法があるのか」といった疑問をもっている方も多いのではないでしょうか。

契約書の電子化には多くの方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。この記事では、契約書を電子化する5つの方法を紹介します。それぞれの方法で、電子化にかかるコストや電子化の作業にかかる効率、契約書の電子化をするときの法的要件への対応などの3つの観点から契約書の電子化について徹底的に解説します。

契約書を電子化する5つの方法

契約書の電子化には、大きく分けて「自社で自力で行う方法」と「外注して他社にお願いする方法」の2つがあります。それぞれの方法の特徴を理解して、自分の会社にとって最適な方法を選部必要があります。

1自社に存在している複合機(コピー機)で自力でスキャンする方法

複合機 スキャン 契約書 PDF 完成

ほとんどの会社にある複合機(コピー機)を使って電子化する方法は、最も手軽に始められる契約書の電子化をする方法です。

メリット

  • 会社の既存設備を活用できるので何と言っても追加投資が不要です
  • 普段皆さんが使い慣れている機械で操作するため、操作が簡単で誰でもできます
  • 急いで電子化する必要があったり、少量の契約書でも自社内に機械があるため即座に対応が可能

デメリット

  • 大量の契約書には不向きです。多くの時間がかかるため集中するべき本来の業務に支障が出ます。
  • 製本されている契約書では裁断が必要な場合もあります。
  • 専用のOCR処理ソフトを使用しない場合はOCRの精度が低く検索時に文字の読み取りが上手くいかない場合があります。
社内の複合機で電子化した場合のコスト目安
初期費用:0円(既存の設備を利用)
作業時間:契約書1枚あたり1〜2分
人件費換算:時給2,000円の場合、100枚で約3,300円

2自社で専用の業務用ドキュメントスキャナーを購入する方法

高速スキャナー 50枚/分 大量の 契約書 高品質 PDF 完成 年間1万枚以上の処理に最適

業務用のドキュメントスキャナーは、大量の契約書を効率的に電子化したい場合に適しています。

メリット

  • 裁断してしまえば高速でスキャンすることができる(50〜100枚/分)
  • 一度に両面を同時に読み取るため、自社の複合機ですキャンするより大幅にスピードをアップすることができる
  • 業務用ドキュメントスキャナーについている高精度OCRソフトで文字の読み取り精度が向上し契約書の検索精度が上がる
  • 業務用ドキュメントスキャナーの画像品質は高いため、電子帳簿保存法の要件をクリアできます

デメリット

  • 買取の場合は機材を購入する初期投資の費用が必要です(業務用の高速スキャナーの場合は50万円~、家庭用も含めると10万円~)
  • ドキュメントスキャナーにはスキャンするときに紙粉がつくので、大量のスキャンをする場合は毎日定期的なメンテナンス必要です
  • 両面読み取りのドキュメントスキャナーは、紙がバラバラになっていないとスキャン出来ないため、製本契約書をスキャンするときは1冊ずつ事前に裁断が必要で。
  • ドキュメントスキャナーは自動でスキャンしてくれるが、綺麗にスキャンするためにはある程度のコツが必要なためスキャン担当者の操作の習得に時間がかかります
機種名 スキャン速度 価格帯 特徴
富士通 ScanSnap iX1600 40枚/分 5万円前後 中小企業向け
エプソン DS-780N 45枚/分 10万円前後 ネットワーク対応
キヤノン DR-G2140 140枚/分 50万円前後 大企業向け

3スキャンアプリを使用する

スキャン中 スマートフォン クラウド 保存 データ保存 アップロード

スマートフォンのスキャンアプリは、少量の契約書や外出先での緊急対応に便利です。

主要なスキャンアプリ
• Adobe Scan(無料・有料版あり)
• Microsoft Lens(無料)
• CamScanner(無料・有料版あり)
• Genius Scan(無料・有料版あり)

メリット

  • 無料版を使用する場合は初期費用が不要です
  • 外出先でスキャナーがなくても携帯アプリなら即座にスキャンが可能です
  • クラウド連携もできるため、スキャンした契約書を即座に簡単に共有することができます

デメリット

  • 契約書をスキャンしたときの品質が撮影環境に左右されます
  • 1枚1枚スキャンするのに手間がかかるため大量のスキャニングにはむきません
  • 画像品質が要件を満たさないことがあるため、電子帳簿保存法への対応は困難です

4スキャン代行サービスを利用する

集荷 契約書 回収 スキャン 高品質 電子化 納品 データ+ 原本返却 1〜2日 3〜5日

スキャン代行サービスは、大量の契約書を効率的かつ確実に電子化したい企業に最適です。スキャン料金は手置きスキャンで1枚30円〜、ドキュメントスキャナーで1枚5円〜となり、数量や仕様により価格が変動します。

メリット

  • 製本契約書も裁断せずにスキャン可能
  • 電子帳簿保存法の要件に完全対応
  • OCR処理やファイル名付けまで一括対応
  • 人的リソースを本業に集中できる
  • セキュリティ体制が整備されている

デメリット

  • 外部に契約書を預ける必要がある
  • 少量の場合は割高になる可能性
  • 納期がかかる(通常3〜7営業日)
契約書の種類 料金(1枚あたり) 備考
バラの契約書 4〜10円 ADF使用
製本契約書 20〜40円 裁断なし
OCR処理込み +5〜10円 テキスト検索可能

※価格は2024年12月時点の参考価格です

5電子契約システムへの移行

将来的な契約書管理を考えると、電子契約システムの導入も検討すべきです。過去の紙の契約書は電子化し、今後は電子契約に移行することで、完全なペーパーレス化を実現できます。

主要な電子契約システム
• クラウドサイン(国内シェアNo.1)
• GMOサイン
• DocuSign
• Adobe Sign

導入のメリット

  • 印紙税が不要
  • 契約締結までの時間を大幅短縮
  • 保管スペース不要
  • 検索・管理が容易

導入の課題

  • 月額費用が発生
  • 取引先の理解が必要
  • システム導入の手間

電子帳簿保存法への対応方法

2024年1月から改正された電子帳簿保存法では、契約書をスキャンして保存する際の要件が大幅に緩和されました。しかし、依然として満たすべき要件があります。

電子帳簿保存法 スキャナ保存の3要件 解像度 要件 200dpi以上 カラー推奨 検索機能 要件 日付・金額 取引先で検索可 真実性 確保 訂正削除 履歴の保存 2024年改正でタイムスタンプ要件が緩和! システム導入で要件を簡单にクリアできます

契約書電子化の方法比較表

方法 初期費用 作業効率 品質 電帳法対応 おすすめ度
複合機
0円

遅い

普通

要工夫
★★☆☆☆
少量向け
スキャナー購入
10-50万円

速い

高品質

可能
★★★★☆
中量向け
スキャンアプリ
0円
×
非常に遅い

環境次第
×
困難
★☆☆☆☆
緊急用
スキャン代行
0円

丸投げ可

最高品質

完全対応
★★★★★
大量向け

契約書電子化を成功させるポイント

1. 電子化の目的を明確にする

契約書を電子化する目的によって、最適な方法が変わります。

  • スペース削減が目的:品質よりコストを重視
  • 業務効率化が目的:検索性(OCR)を重視
  • 法令対応が目的:電子帳簿保存法への完全準拠を重視

2. トータルコストで判断する

トータルコスト比較(契約書1万枚の場合) 自社スキャン 機器 10万円 人件費 40万円 その他 5万円 約55万円 スキャン代行 作業費のみ 約10万円 ※人件費:時給2,000円×200時間で計算

※人件費:時給2,000円×200時間で計算

3. セキュリティ対策を徹底する

契約書には機密情報が含まれるため、以下の対策が必要です。

  • 作業場所の物理的セキュリティ
  • データの暗号化
  • アクセス権限の管理
  • 作業完了後のデータ消去

スキャン代行サービスを利用する場合は、プライバシーマークやISO27001などの認証を取得している業者を選びましょう

まとめ:最適な契約書電子化方法の選び方

結論:多くの企業にはスキャン代行がおすすめ
特に以下の条件に当てはまる場合は、スキャン代行サービスの利用を強く推奨します。

• 製本された契約書が多い(裁断したくない)
• 電子帳簿保存法への確実な対応が必要
• 社内リソースを本業に集中させたい
• セキュリティ面での不安を解消したい

契約書の電子化は、単なるペーパーレス化だけでなく、業務効率化や法令対応の観点からも重要な取り組みです。自社の状況に合わせて最適な方法を選び、計画的に進めていきましょう。

契約書電子化 よくある質問

Q. 契約書を電子化する最も簡単な方法は?

A. 少量(100枚以下)であれば、オフィスの複合機でスキャンするのが最も簡単です。ただし、大量の契約書や製本された契約書の場合は、スキャン代行サービスの利用が効率的です。電子帳簿保存法への対応も同時に行えるため、長期的にはコストパフォーマンスが高くなります。

Q. 電子化した契約書に法的効力はありますか?

A. 電子帳簿保存法の要件を満たしてスキャン・保存された契約書は、税務上は原本として認められます。要件には、200dpi以上の解像度、検索機能の確保、真実性の確保(タイムスタンプまたは訂正削除履歴の保存)などがあります。ただし、契約の相手方との合意や、特定の法律で書面保存が義務付けられている場合は注意が必要です。

Q. 契約書電子化の費用相場は?

A. 方法により大きく異なります:

【自社:フラットベッドスキャナでの手置きスキャン】
人件費のみ(1枚あたり約30円〜)

【自社:ドキュメントスキャナー購入】
初期投資5〜50万円+人件費(1枚あたり約10円)

【スキャン代行サービス】
・手置きスキャン:1枚あたり30円〜
・ドキュメントスキャナー:1枚あたり5円〜
※契約書の状態や付加サービスにより変動
※多くの業者で最低発注金額5万円〜の設定あり

トータルコストで比較すると、1,000枚以上の場合はスキャン代行が最も経済的です。

Q. 製本された契約書も電子化できますか?

A. はい、可能です。製本された契約書を裁断してスキャンする方法もありますが、割印や契印の連続性が失われるため推奨されません。スキャン代行サービスでは、製本状態のまま専用スキャナーで電子化できるため、原本の状態を保ちながら高品質なデータ化が可能です。

Q. 電子化にかかる時間はどのくらい?

A. 自社で行う場合と代行サービスで大きく異なります:

【自社:フラットベッドスキャナでの手置きスキャン】
1枚あたり約10秒(1分で約6枚)
1,000枚の場合:約28時間

【自社:ドキュメントスキャナーでの自動スキャン】
1分あたり50〜100枚程度
1,000枚の場合:約10〜20分(準備・整理時間除く)
実際の作業時間は、書類の準備・整理・ファイル名設定・品質確認などを含めて2〜3時間程度

【スキャン代行サービス】
納期は通常3〜7営業日程度