お客様インタビュー Vol.05 株式会社ゲームフリーク様

日々のアイデアは、やがて会社の大切な”資産”になる

株式会社ゲームフリークは『ポケットモンスター』シリーズの原作者として知られる田尻智氏が、1989年に設立したゲームソフト開発会社。その社名は、田尻氏らが学生時代に制作していたミニコミ誌「ゲームフリーク」に由来します。


時代は80年代前半。まだゲーム専門誌もほとんど存在しなかった当時、コンピューターゲームのキャラクター設定や攻略情報を徹底的に網羅した「ゲームフリーク」は熱狂的に受け入れられ、ミニコミ誌としては驚異的な販売を記録しました。執筆者・読者にはのちにゲームクリエイターやゲームライターとして名を成した方も多く、ゲーム業界の歴史の一部として伝説的に語り継がれる存在です。
いまや世界中で愛されるコンテンツのひとつとなった『ポケットモンスター』シリーズも、もともとは田尻氏らが90年代、ワープロで作って印刷した素朴な企画書から、すべてがスタートしています。


こうした資料の重要性は、作品がヒットしてから気づかされるもの。クリエイターが創出した“アイデアの源泉”をいかに保管し、活用してゆくかは、ヒット作品を生み出し続けるゲーム開発会社にとって、重要な事柄です。


まもなく創業30周年を迎えるゲームフリーク、経営管理部 原口 志保様にお話を伺いました。

黎明期を物語る貴重資料

Q, 今回電子化いただいたものは?

原口様:

田尻らがかつて制作したミニコミ誌「ゲームフリーク」や、「ポケットモンスター」ができる前の初期の企画書、開発資料などです。


ミニコミ誌「ゲームフリーク」は、もちろん社内でも閲覧できるように保管・管理をしていますが、古いものなので部数も限られますし、貸出の際などに破損や紛失をするのでは、といった懸念がありました。


開発資料などは当社のグラフィックデザイナーが手元に保管していたもので、「自宅にも(資料等が)あるけど、どうしよう?」と相談され、会社で預かっていました。2000年ごろの作品になると企画書などもパソコンで作られており、資料として社内データベースにも残っているのですが、それ以前のものになると紙資料がほとんどです。過去の資料が必要になったときは、古株の社員に尋ねると「あの棚の中にあるんじゃないか」「あの人が持っているんじゃないか」という感じで、ガサっと出てきます(笑)

企画書、開発資料

社員らは現在進行中のプロジェクトにかかりきりなので、過去の資料に目を向けている余裕もなく、整理されないままだった、というのが実情でした。


ファイルにまとめただけのものや、封筒や段ボールに入ったままの紙資料も多数あったので、誠勝さんにも
「本じゃないけどお願いできますか?」
とご相談しました。

Q, こうした貴重な資料はどう保管されているのですか?

原口様:

現在は、数名のスタッフで過去の資料をひとつのサーバーに集め、ようやく整理にとりかかったところです。数年前に当社のグラフィックデザイナーが本を出したのですが、その際にも過去の資料集めで大変な想いをしました(笑)。このように、過去の資料が必要になるような機会はそうそうありませんが、いざ必要になったときにすぐ探し出せるよう、集めておいたほうがよいのでは、と思いまして。


発売されている作品の広報資料はしかるべき形で整備・保管されているのですが、作品が出来上がる前の企画段階の資料は、われわれの社内にしか無いものも多くあります。プロジェクトの担当者が退職したりすると、その存在自体がわからなくなってしまいかねません。

電子化だけでなくデータ管理まで適切に

Q, 誠勝にお声がけいただいた経緯は?

原口様:

まずはミニコミ誌「ゲームフリーク」を電子化したかったので、非破壊スキャンをしていただけるサービスをいくつか検討しました。誠勝さんは学術機関や政府自治体などの事例も多く「これ(ミニコミ誌「ゲームフリーク」)を預けても大丈夫かな」ということでご連絡しました。


これ自体は白黒のコピーで作られた古い冊子ですが、社長の田尻が高専時代に一人で作った、我々にとっては大切なものです。当時作られたのが数十部、いま世の中に残っているのはおそらく数部、という号もあるでしょう。信用のおけるところでないと田尻も了承しないでしょうし、その点は真剣に検討しました。

『ゲームフリーク』創刊号

ご相談したあともスピーディに連絡をいただき、資料のリストと、実物をお送りするだけでよかったです。


「ゲームフリーク」は1号につき1つのPDFにまとめていただきました。データの区切りなども誌面の内容に沿って適切になっており、大変助かりました


こうした資料はいつでも活用できるようにしておきたいのですが、かといって原本を社員が手に取れる場所に置いておくと、劣化もしますし、紛失の可能性もあります。電子化されていればその心配もないですね。

次の作品へ活かすために

Q, 資料が電子化されていることのメリットは?

原口様:

ゲーム開発はプロジェクトごとにチームで行われ、情報の管理も各チームに委ねられています。新しいプロジェクトが立ち上がるたび、外部委託の方も含め新しいスタッフの方が入られるので、過去の資料が電子化されていれば、「ここ見といて」といった形で情報を素早く共有することができます。


特に「ポケットモンスター」シリーズのように歴史がある作品では、これまでの作品の設定をたびたび確認しながら開発を進める必要があるので、過去の資料を整理しておくことは、次の作品を産みだしていくうえでも大切になってきます


開発チームは今取り掛かっている作品に全力投球しているので、終了したプロジェクトのことをふりかえる余裕はなかなかないのが実情です。管理部門としては「あれ、どうだったっけ?」と言われたときに、すぐデータを提供できる体制を整えておくことはできるかな、と考えています。

c2018 Pokemon. c1995-2018 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.

ポケットモンスターは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。