株式会社WOWOW様
日本初の民間有料衛星放送局、株式会社WOWOW様は、1984年の設立翌年から紙ベースの社内報を制作され続けています。『No.1 プレミアム・ペイチャンネル』として常に上質なエンターテイメントを日本に紹介し続けてきたWOWOW様の社内報は、日本のテレビ放送史を語るうえでも貴重な資料。今回、3345ページにも及ぶ社内報を、「そのままスキャン」で電子化された理由と背景を、経営戦略局 広報部 豊島 豊 様に伺いました。
社外の関係者にも配布するPRツールだから、今後も「紙」は必要
WOWOW様の社内報について教えてください。
豊島様:当社の社内報は、1984年の設立翌年から刊行しており、最新号で292号(2015年10月現在)になります。社内だけでなく、外部のメディア企業様やOB・OG、業界団体などにも配布するため、毎号2000部以上を印刷しています。初期の社内報は、社内向けというよりは、どちらかというと出資会社に向けたPRツール的な要素が強かった、という経緯もあります。現在では社内向けに電子データ版も用意していますが、印刷物は今後も対外配布用として残してゆく予定です。
歴史やビジョンが詰まった社内報を「共有できる財産」に
そもそも、社内報を電子化しようとされたきっかけは?
豊島様:2014年2月に広報部に異動して、社内報を担当することになったんですが、そのときにあらためて「過去の企画ってどうなっていたんだろう」とバックナンバーを調べたんです。そうしたら、そこにはWOWOWの歴史や、これまでの施策、その当時の会社のビジョンといった情報がたくさん詰まっていたんですね。せっかくだったら、共有できる財産として、全社員で使えたほうがいいんじゃないかな?と思いまして。
そこで電子化サービスについて調べ始め、誠勝さんに初めてお問い合わせしたのが5月下旬。6月中旬に正式に依頼して、7月上旬には280号、3345ページ分をDVD ROMで納品していただきました。
ずいぶんスピーディに進みましたね。社内的にはどのように承認を得たんでしょうか?
豊島様:「こういったメリットがあります、コストがこれくらいかかります」ということを企画書に整理して、上司である広報部長に承認をとりました。想像していたほど高価でもなかったですし、年間の社内報制作予算の中でまかなえる範囲でしたので、社内的にも特に苦労なく理解してもらえました。
決め手は『非裁断』
Q, ご発注されるときに他社サービスも検討されましたか?
豊島様:はい、実はもう少し安い見積もりをいただいた業者さんもあったんです。それでも「そのままスキャン」を選んだのは、“非裁断”という点を重視していたからです。開局当時の社内報は、私の知る限り、広報部に保管されている1部しかありません。それを裁断してしまうのは、もちろん電子化すればデータは残るのですが、保管の仕方としてどうかな、と思いまして。最初から非裁断のサービスを探していたわけではなかったのですが、最終的にはそこが決め手になりました。
まず『使えない』状態を、『使える』状態に
Q, お問い合わせされたときの印象はいかがでしたか?
豊島様:いろいろ相談に乗っていただきましたね。最初はもうちょっとオーバースペックなお願いをしていたんです。「本の閲覧アプリで使えるようにできないか」とか「データベース化できないか」とか。見積もりもベーシックなものと、オーバースペック版の2種類を出してもらいました。
その後いろいろと検討していく中で、まずは「使いやすさ」より、「デジタルで使えない状態を、使える状態にしよう」ということになり、PDF化とテキストのOCR(文字認識)をお願いしました。
「そのままスキャン」の電子化クオリティにはご満足いただけましたか?
豊島様:はい、文字の認識もちゃんとしていますし、テキストのコピーもできますし。今後社内で活用するためには、この点は必須です。
電子化したデータはどのように活用を?
豊島様:イントラネットに専用のフォルダを作り、社内の誰もがアクセスできるようにしています。全社員が見るイントラネットの掲示板に「過去のバックナンバーも閲覧できるようになりました!」とお知らせして。
バックナンバーは従来、広報部の棚にバインダーで保管していました。でも広報部にバインダーがおいてあったら、広報部の人しか見られないですよね。社内報はせっかく過去、いろんな担当者が汗かいて作ったものなので、会社にいる人がなら誰でもアクセスできたほうがいいですよね。
Q, ご苦労、ご心配などはありませんでしたか?
豊島様:ひとつ失敗したことがあるとすれば、ファイル名の付け方ですかね。第何号、というようにナンバリングをしていただいたのですが、実際に使うときには「あの時代の、あのころの情報を見たい」というようになるので、発行年月などをファイル名にしておいたほうが使い勝手が良かったです。
社史や年表に載っていない“想い”まで保管したい
Q, バックナンバーを電子化してよかったな、と思ったことは?
豊島様:たとえば当社の場合、出向、転職をされてこられた社員も多く、グループ会社もありますから、『社員の名前と顔がわからない』ということも少なくないんですね。そうした方が、過去10号ぐらいの社内報にザッと目を通すと、「この人こんな仕事やってるんだ」というのがすぐにわかってもらえる。社内イントラネットの組織図には顔写真は掲載されていないので、社内報の記事を読んでもらったほうがわかりやすいんです。
それから、WOWOWの過去のCIやロゴの変遷を調べた際に活用しました。バックナンバーの記事を読むと、こんな時に、こんなロゴになって、こんなキャッチコピーがあって、こんなミッションがあったんだ、ということがよく理解できます。
当社は「社史」も定期的に作っているのですが、そちらだと、内容がコンパクトにまとめられてしまって、“事実“しか載ってないんです。たとえばそのデザインの策定の”背景“や、その裏にある”想い“みたいなところが抜け落ちてしまう。創業当時を知る社員も少なくなりましたから、こうした情報は貴重です。『あ、有効活用されている!』と思う瞬間ですね。
ありがとうございました!