ブックオフオンライン株式会社様
会員数280万人、常時250万点以上(ともに2015年12月現在)の豊富な品ぞろえを誇る新古書通販・買取りサイト大手のブックオフオンライン様。2015年12月よりヤフオク!での出品を開始し、事業もますます拡大中です。今回、誠勝はその一端をお手伝いさせていただきました。わずか2か月半で約37万点の古書の表紙を電子化された経緯を、ブックオフオンライン株式会社 システム部の小林 満 様、舛田 有希 様に伺いました。
”捨てたくない”という気持ちに応えるインフラ、「ブックオフオンライン」
そもそもブックオフオンラインは、他のオンライン書店とどう違うのでしょうか?
小林様:「お客様の『捨てたくない』という気持ちを大切に、その想いをつないでゆくのが、ブックオフグループのスタンスです。常時250万点以上の在庫がすべて、こちらの物流センターで管理されています。買取り専用の『宅本便』で全国からお売りいただく古書は1日平均で7~8万点、年間では約3000万点以上に上ります。
いちど人手に渡った本でも、そのコンテンツとしての潜在的な価値が損なわれていないのであれば、受け止めてくれるお客様とマッチングし、お渡ししてゆきたい。その価値の見極めができることがブックオフオンラインの強みだと思いますし、そうしたマッチングができないと、”捨てない人のインフラ”としての役目も果たせないですから、まだまだ品ぞろえは強化していく予定です」
「ヤフオク!」との提携で、急きょ大量の画像データが必要に!
ブックオフオンライン様が電子化を検討されたのは、2014年4月に発表されたヤフー株式会社との資本・業務提携がきっかけでした。
小林様:「業務提携に伴い、両社で様々なサービス連携が企画されているのですが、その一環として『ブックオフオンラインの取扱商品をヤフオク!に出品する』ということが決まりました。システム面の構築は順調に進んでいたのですが、検証を進めたところ、当初出品予定だった80万点のうち、およそ半数の約40万点に、オークション出品の際に欠かせない(古本の表紙などの)画像が用意できていない、ということが判明したんです。せっかくのヤクオク!連携なのに、”No Image”ばかりでスタートするわけにはいかない、ということで、なんとか画像を手配しなければ…という手探りが始まりました。」
2ヶ月半で約40万点の表紙データが必要…どうする?
小林様:「なにしろ、ヤフオク!にそれだけの数を一気に出品するような経験は誰も持ってないですよね(苦笑)。私がこの課題に取り掛かったのは2015年8月ごろで、数社のスキャン業者さんご相談したのですが、やはり約40万点という物量が課題でした。たとえばとある業者さんからは『電子化は可能だが、本は小分けにして送ってほしい』と言われました。それでは物流コストもかかりますし、先方に保管場所がどれだけあるかもわからない。電子化の作業中は、ブックオフオンラインで販売することができなくなってしまうので、私たちにとっても機会ロスです。ほかにもさまざまな事情で折り合わず困っていたところ、9月に入ってから誠勝さんにお会いし、相談に乗っていただきました」
『1日1人1000冊』を実現した誠勝とのコラボ体制
誠勝ではお客様の事情を伺ったうえで、高性能スキャナ8台と、専任スタッフ1名の常駐による特別体制を提案。ブックオフオンラインのビジネスを止めずに、電子化のクオリティとスピードを両立するためには、お客様とのコラボレーションが必須だという結論に達したのです。10月5日、ブックオフオンライン 物流センター内に、8台の業務用スキャナが誠勝から運び込まれました。
舛田様:「12月末のヤフオク!連携開始までのおよそ2か月半のあいだに、約40万点を電子化しなければいけない、という目標から逆算するしかないですよね。今回、私どもからは合計11名(+誠勝の常駐スタッフ1名)のチームで作業にあたったのですが、そのほとんどは電子化やPC操作とは無縁だった物流センターのスタッフだったんです」
ブックオフオンライン様の在庫は日々流動します。誠勝の常駐スタッフの指導のもと、物流センター内で電子化作業がスタートしました。
舛田様:「とにかく誰もやったことのない作業なので、スキャンのコツから、作業が終了した本の棚への戻し方まで、誠勝さんにアドバイスいただきながら全員で工夫しました。『白い紙を敷いてスキャンしたほうがよりきれいにデータが取れるのでは?』など、試行錯誤を繰り返し、およそ1か月後には1日8000点、1人1000冊の電子化という目標が達成できるまでに。最終的にはほぼ計画通り、12月中旬までに約37万点の表紙の電子化作業(※)を終えることができました」
小林様:「誠勝さんにお願いした決め手は、スタンスの柔軟さとスピード感でした。機器だけ貸してくださるという業者さんもいたのですが、スタッフのスキルレベルを考えると、あとの電子化作業をわれわれがすべてコントロールできるとも思えなかった。誠勝さんは課題をクリアしていただいたうえで、ノウハウの部分も含め“こうしたほうが御社にとって良いと思いますよ”という提案をいただけたのが、大きかったですね」
欲しい本が見つかる喜びを、より多くのお客様に
2015年12月よりヤフオク!との連携を無事にスタートし、さらにビジネスを拡大されたブックオフオンライン様。最後に今後の展望と、新古書ビジネスの魅力を伺いました
小林様:「まずは直近では本にこだわって、『欲しいものが見つかるサイト』でありたい、というのが基本です。『ここに行けば見つかる』とお客様に思っていただけるレベルまでもっともっと商材を増やし、よりお客様が探しやすく、見つけやすいサイト、サービスに強化してゆくつもりです。実は店舗のブックオフにある在庫数のほうが、ブックオフオンラインの持つ在庫よりもまだまだ多い。古書店は、通常の書店よりも取扱商品の幅は広いいっぽう、お客様がサイトを訪れたときにたまたま在庫が切れていた、ということもまだ少なくない。そうしたマッチングの精度をさらに高めることで、よりお客様の利便性を向上させていきたいです。
そもそも小売りとは、お客様の反応がダイレクトに見える、とてもダイナミックなビジネス。その中でも新古書は『いくらで買っていくらで売るか』ということを通じて、こちらの意思が込められる。ともすれば廃棄されるはずだったモノを、われわれが活性化させることにより、お客様に喜んでいただけるという点で、社会的な意義も感じますね」舛田様:「「中高生の時に夢中になっていた漫画や、子供のころに親に読んでもらった絵本とか、手に取れば“あのころ”の記憶や気持ちが一気によみがえるような想い出の一冊が誰にでもありますよね。でも何らかの事情で手放さざるを得なかったり、いつの間にか手元からなくなってしまった想い出の本をまた手に取りたいと思ったとき、通常の書店では見つけられない本でも見つかるようにしていきたいです。そんな見つかる喜びを、お客様に感じていただけるのが、この仕事の魅力ですね」
- ブックオフオンライン ヤクオク!店 ※出品点数は順次増加予定。
- ブックオフオンライン(企業サイト)
- ブックオフオンライン株式会社
- 設立
- 2003年4月
- 事業内容
- 中古物品に関する買収および販売