「古文書」(こもんじょ)は、読んで字のごとく、古い文書のことです。博物館や史料館を訪れると、陳列ケースに変色した古い手紙が収められていることがありますが、あのような文書を古文書と言います。
では、単に古ければどれでも古文書に含まれるのでしょうか。またその種類には区別はないのでしょうか。
今回は、この古文書を取り上げて、古文書とはどういうものを指して言うのか、その定義や意味や特徴、どんな種類があるのか、また、どのように保存されているのか、などについて解説していきます。
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古文書とは?
まず、ここでは古文書について、定義、その学術的研究、特徴について説明します。
古文書の定義
古文書は、古い文書というだけでなく、歴史的な資料のひとつとして考えられています。
その意味や定義に関しては、三省堂の大辞林第3版によると、古文書では以下で定義されており、
「① 古い文書。② 古文書学の用語。歴史の史料となる古い記録で、特定の対象に意思・情報などを伝えるために作成された文書。一般の著述や記録・日記などと区別される。」
また、小学館のデジタル大辞泉によると次のような定義づけがされています。
「1 古い文書。古証文。2 古文書学上の用語。特定の相手に意志を伝えるために作成された書類のうち、江戸時代以前のもの。特に相手が定まっていない記録、すなわち一般の著述・編纂(へんさん)物・備忘録・日記などとは区別される。」
さらに、平凡社の世界大百科事典第2版には、「定義」として以下のように書かれています。
「広義の古文書とは,古い書付のことを広くいい,古記録や古典籍,さらには系図まで含めていう。たとえば冷泉家古文書というのがこれであるが,この広義の使い方はかならずしも学問的な厳密なものではない。狭義の古文書とは,差出人から受取人に対して,差出人の意思を表明するために作成されたものと規定できる。したがって古文書の要件としては,差出人と受取人の名がそろっていることであるが,願文(がんもん)のように神仏に捧げられたもの,禁制さらには法典のように受取人が不特定多数の場合もある。」
これらから、古文書は、江戸時代以前、つまり、近世以前に作成された文書で、特定の相手に何らかの意思を伝えるために書かれたもの、と定義することができると考えられます。
また、古文書は、紙に書かれているものであると限定されがちですが、上記の条件を満たしているならば、木に書かれていたり石に刻まれていたりしたものであっても、古文書と考えてよいとされています。
「古記録」との違いは?
この古文書は、よく古記録と混同されます。では、古記録とはどんなものを指して言うのでしょう。古文書との違いはどこにあるのでしょう。
古記録も、古文書と同様に歴史的資料のひとつです。小学館のデジタル大辞泉によると、「特定の相手なしに書かれた、比較的古い時代の史料となる記録。特に、公私の日記類。」となっています。これからも、古文書が特定の相手に向けて書かれたものであるのに対して、古記録は特定の相手なしの記録であることがわかります。特に公私の日記を指して言うことが多いようです。
学術的研究
日本には、奈良時代よりも前の時代から種々の古文書が多数存在しています。そういった古文書の研究は、古くから、様式や作成方法、書札礼(文書や手紙を書く時のマナー)などを中心に行われていたようですが、明治時代に入ってから、ヨーロッパの古文書学が紹介されたことをきっかけに、日本においても、科学的に体系立てて古文書に関する研究が学問として行われるようになりました。これを古文書学と呼びます。
この研究は大きく3つに分かれていると言われています。
文書の様式
まず、1つ目は、文書の様式の研究です。古文書には、差出人と受取人の関係に応じた様式が使われていたようです。この様式は、701年(大宝元年)に制定された大宝律令の中ではじめて定められたと言われていますが、その様式には、その当時の様式だった「公式様文書」、それが簡略化されていった「公家様文書」、鎌倉時代に入って武士も文書を書くようになってできていった「武家様文書」などがあります。さらには、下の者が上の者に出す「上申文書」や財産の譲渡などで発行される「証文類」などもあります。
形態
2つ目は、形態に視点を据えた研究、つまり、用紙、書風、文体、花押(署名の代わりに書いた記号や符号)、印章、用語などの研究です。
授受関係
そして3つ目は、授受関係においてその文書がどのような役割を果たしたのかといった視点からの研究です。つまり、文書の差出人はどういった人物なのか、その差出人と受取人との間にどんな関係があったか、どんな用件が書かれているのか、などの研究です。
いずれにしても、古文書の研究を介して、集積した文書を様式や形態ごとに分類したり、用紙、書風、文体、花押、印章、用語などを類型化することで、時代ごとあるいは地域ごとの特徴や相違を分析することが可能になります。また、古文書を読み解くことで、それに関連する史実の背景を推測したり裏付けたりすることができます。このように古文書学の発展は、その文書の持つ歴史的意義を明確にして、その文書の価値を高めるものだと考えることができます。
古文書の特徴
では、古文書は、現代の文書とどう違っているのでしょう。ここでは、江戸時代の古文書、近世古文書を取り上げて、古文書全般に見られる特徴について説明します。
草書体である
博物館や史料館などで古文書を目にして、まず誰もが気がつくことは、草書体(くずし字)で書かれているということではないでしょうか。文章の書き易さが優先されていたと見えて、くずし方や筆順などにこだわらずに書かれていることがわかります。
読点と句点がない
古文書を目にして、次に気がつくことは、読点(、)と句点(。)がないということです。延々とくずし文字が書き連ねられていて、文章がどこで終わるのか見ただけでは判別できません。
実は、古文書には、元々読点と句点はなかったのです。それが、明治時代に入ってから、読みやすいようにと、読点と句点をつけるようになったと言われています。
お家流である
お家流というのは、書道における書風の流派のひとつです。身分の高い家において代々伝承され用いられる流儀や流派のことを言いますが、平安時代の書道の一派だった青蓮院流(しょうれんいんりゅう)が室町時代を経て、そのまま江戸時代でも、お家流として公文書に用いられ、広く一般庶民の間にも浸透していきました。
和漢混淆文(わかんこんこうぶん)である
和漢混淆文という、和文体と漢文訓読体(漢文くずし)が入り混じった文体で書かれています。例えば、和文の中に返読文字(必ず返り点が付いて下から戻って読む字)が混じって使われていたりします。
候文である
「…………候」(そうろう)といった表現が頻出します。この「候」は、丁寧の助動詞で、文の切れ目や終わりに用いることで丁寧な表現の文章にします。
現在使われていない文字が使われている
例えば、発音や意味は同じでも自体が異なる「異体字」(旧字)(学→學、沢→澤、体→體など)や、現在使われていないひらがなである「変体仮名」が使われています(ゐ、ゑ、乃など)。1つの音に1つの文字が割り当てられたのは明治33年になってからで、それまでは、1つの音に複数の文字が使われていました。つまり、それだけ、自由に文章を書くことができていたということです。
特有の用字・用語があった
例えば、「急度・屹度」(きっと)、「草臥」(くたびれ)、「爰元・爰許」(ここもと、「拙者」という意味)、「扨」(さて)、「鳥渡」(ちょっと)、「無拠」(よんどころなし)などの古文書特有の言葉が使われています。
古文書の種類
古文書は、特定の対象に向けて出される文書、つまり伝達の役割を持った文書です。そういった視点で考えると、古文書は、個人間でやりとりされるもの、支配(主従)関係のある両者間でやりとりされもの、権利関係の取り決めに関するもの、生活や娯楽に関するものといった4種類に分けることができると考えられます。
個人間(差出人→受取人)
これには、書状や遺言書や家訓などが含まれます。
例としては、天正12年(1584年)に作成された『酒田市指定文化財の奥羽古文書《上杉景勝書状 本庄越前守宛》』等が挙げられます。
これは、上杉景勝(1556~1623)が、越後国(新潟県)の本庄繁長に出した書状です。所蔵している本間美術館によると、「信濃の情勢、勅使の来訪、羽柴秀吉との関係、関東及び越中の情勢、最後に新発田重家の乱と、景勝の置かれた状況全般について書かれている」手紙だとのことです。
支配(主従)関係のある両者間
これには、以下のような令状や通行手形(上→下)、上申文書(下→上)の「願」や「村明細帳」などが含まれます。
例:「送り一札之事(銀次郎娘とよ)」(人別送り状)(埼玉県立文書館所蔵 飯島家700)
人別送り状とは、住民が別の場所へ籍を移動する際に村の役人が移転先へ出す送り状のことです。
通行手形
例:「差上申一札之事(箱根関男五人御通行ニ付)」 (埼玉県立文書館所蔵 飯島家549)
通行手形とは、旅行中に、ある場所の通過が許可されたという証に発行された通行券。現在のパスポートのようなものです。
願(名主から役人へのお願い)
例:記録二(埼玉県立文書館所蔵 吉田(市)家7)
願とは、村の困窮に関する訴状です。
村明細帳(名主→役人)
例:當間家文書『村方銘細帳』 (小平市立図書館所蔵 (D-4-4)元文元年)
村明細帳とは、領主や代官の交代時に、村の村高・年貢高、戸数、人口、年貢高などの村の状況を村側で作成して役人に提出する文書です。
権利関係の取り決めに関するもの
これには、質地証文や金子証文などがあります。
質地証文
例:「質地証文之事(下畑・荒山、壱反壱畝十五歩)」 (埼玉県立文書館所蔵 飯島家397)
質地証文とは、家屋や土地や田畑を質入れして借金をする際にそれを証明する書付けのことです。
金子証文
例:「金子請取之事(りた蒲団代)」(埼玉県立文書館所蔵 平山家3909)
金子証文とは、今で言う領収書のことです。
生活や娯楽に関するもの
これは、版元が大衆に向けて出す文書で、暦、教科書、瓦版、図鑑、旅の心得を書いた旅行マニュアルみたいなものまで、多種に渡って出されています。
暦
例:「伊勢暦 天保壬寅元暦 文久2年」(埼玉県立文書館寄託 小室家4031)
伊勢暦というのは、地方暦のひとつで、カレンダーのことです。地方暦は、中世に入って各地の暦師が作っていた暦です。三島暦、南都暦、会津暦、鹿島暦などが作られていて、江戸時代に入ると、さらに伊勢暦、江戸暦、仙台暦ができて全国に流布しました。
瓦版
例:「蒸気船[図](フレカツト船図)」(埼玉県立文書館寄託 増田家文書402)
瓦版は、今で言う新聞で、江戸時代に、人々の関心度の高い出来事や事件、例えば、天変地異や火事、心中や仇討などを急報するために刷られた印刷物のことです。木版刷りで町の中を読みながら売り歩いたので、「読売」とも呼ばれていたそうです。
図鑑(植物図鑑)
例:「植学啓原 3巻合綴」(埼玉県立文書館寄託 小室家文書3954)
江戸時代には、植物図鑑、生物図鑑、馬の図鑑、魚図鑑、明かり図鑑、道具の図鑑など、様々な図鑑が精妙な絵入りでつくられていたようです。
旅行マニュアル
例:「旅行用心集」(埼玉県立文書館寄託 小室家文書3361)
古文書の保存について
古文書は、公的機関に保存されているものだけでなく、個人が所蔵しているものも含めてすべて、その土地やそこに住んでいた先人たちの歴史を物語る大切な資料です。失ってしまうともう二度と手に入れることはできません。それだけに取り扱いや保存には十二分な注意を払う必要があります。
特に閲覧時や保存場所の移動時には、古文書の破損や劣化を引き起こす可能性があるので要注意です。では、どういったことに気をつければ、破損や劣化を防ぐことができるのでしょう。
ここでは、古文書が破損したり劣化したりする原因、博物館や史料館などの公的機関で実際にどのような保存方法がとられているのか、また一般の家庭で保存する際にできる施策について説明したうえで、究極の保存方法を紹介します。
古文書が破損したり劣化したりする原因とは
古文書の破損や劣化を引き起こす原因には想像以上に多くのものがあります。
まず環境面から言うと、高温・多湿、光、水分、空気、ホコリ、ゴミがあります。
高温・多湿は、最もカビが生えやすい条件です。光は、太陽光線だけでなく、蛍光灯、白熱電球、水銀灯も紫外線を含んでいるために紙焼けを引き起こします。空気は、空中の酸素で紙が酸化したり汚染物質で汚染されたりして変色を引き起こします。ホコリやゴミは、カビや虫の温床になって、カビが繁殖したり虫食いができたりします。
次に気をつけなければならないのが、人為的な処置です。例えば、汚れた手で触るとその汚れが付着してシミをつくることがあります。汚れていなくても、手の皮脂が手あかとなって残ることもあります。また指をなめてページをめくったりすることでもシミをつくります。ホッチキスやクリップ、輪ゴム、セロテープ、付箋、科学のりなども古文書の大敵です。紙そのものを傷めたり、金属の錆の色がついたり、粘着部が紙について変色したりします。
公的機関で実践されている保存方法
では、博物館や史料館などの公的機関では、どのような方法で古文書を保存しているのでしょう。ここでは、1つの例として岡山県立記録史料館で行われている保存方法を紹介します。古文書を受け入れて保存するまで
- 古文書を受け入れる
- 状態をチェックし、ゴミやホコリが付着していれば除去
- 館内で燻蒸(通常は業者に依頼して施工)
- 燻蒸終了後、残っているゴミなどがあればきれいに除去
- 書き記されている内容、年代などを調べて概要を把握
- 中性紙箱でできている文書保存箱へ保存(中性紙の箱・封筒・付箋、無漂白の布紐、こより、薄葉紙を使用)
- 番号(資料番号)を付与し、付箋に記入して古文書に挟み込む
- 資料カードを作成し、古文書に関する情報を書き込み、システムに入力
- 古文書が入った保存箱を書庫へ納める
保存後の管理
①書庫内の空調および衛星管理
- 温度 22~25℃、湿度 55%程度に維持
- 定期的な清掃
- 専門業者に依頼し、書庫内の環境に関して温湿度の測定、酸度・アルカリ度の検査、空気中のほこり・粉塵・浮遊菌の測定、害虫の有無・数・種類の調査などを行って整備を徹底
- 書庫へ入る際に履物を履き替える
- 粘着フロアマットを設置
- 害虫侵入対策として出入口ドア下へ虫除けブラシを設置
②防カビ・殺虫・殺菌対策
- 薬剤を使った燻蒸による処理(専門業者へ持ち込む場合あり)
- 冷凍庫による低温処理
- 低酸素濃度(脱酸素)処理(酸欠状態にして殺虫を行う方法)
- 二酸化炭素処理(60%の二酸化炭素で殺虫・殺卵を行う方法)
家庭でできる保存方法
古文書を自宅に所蔵している方のために、家庭でできる保存方法を紹介します。現在の古文書の保存状態を確認する意味でも、この方法を参考にしながらメンテナンスを行ってみてはいかがでしょうか。
- 保存している容器や箱から取り出す(天気のよい日に、清潔な布や紙の上に置くようにしてください)
- 状態をよくチェックし、カビが生えていないか、虫に食われていないか、劣化などが見られないか確認
- ホコリやゴミがついている場合は、ハケや筆などで取り去る
- 直射日光の当たらない、風通しの良い日陰に置いて虫干し
- 古文書に傷んでいるところがないか調べる
- 保存していた容器や箱の清掃を行って、同じように陰干しをして乾燥させる
- 古文書を6の容器や箱に入れます(新聞紙は使わないこと)
- 市販の防虫剤を古文書の上にのせる(違う種類やメーカーのものを一緒に使わないこと)
- 内容物リストを作成し、メンテナンスを行った日付も記入して、容器の蓋の上や側面に貼り付ける
- あらかじめ清掃して清潔になった保存場所に容器を置く
古文書が傷んでいた場合に家庭でできる応急処置
水濡れの場合
風通しのよい、直射日光の当たらない日陰で自然乾燥させます。この場合、紙同士がひっついてしまっていても、無理にはがそうとせずにそのままにしておきます。紙がめくれるようであれば、紙と紙の間に和紙などを挟んで水分を吸収させるという作業を繰り返します。
虫食いや破損の場合
軽度の傷みの場合は、補修紙を使用して補修します。虫食いの場合は、古文書についたホコリや虫を取り去って、容器内を清掃し、防虫剤を入れます。
カビが生えている場合
容器から取り出してカビをハケなどで払い落としてから、エタノール(70%)を浸み込ませた布やキッチンペーパーなどで軽く拭きます。この場合、エタノールが合わない素材もあるので、きちんと確認してから処置するようにしましょう。またエタノールを使用する場合は換気に気をつけましょう。
その後、直射日光の当たらない風通しのよい日陰に置いて乾燥させます。容器も同じように手入れをして乾かします。ただし、段ボールの場合は、新しいものに取り換えてください。
のりが剥がれている場合
ばらばらにならないように気をつけながら、でんぷんのりを薄めたもので処置を行います。この場合、決してホッチキス、クリップ、セロテープ、化学のりは使わないでください。のりづけしたら、よく乾燥させてから容器に戻します。
泥などの汚れがついた場合
きれいな水で軽く洗浄し、キッチンペーパーや和紙で水分を吸い取ります。決して長時間水につけたり、力を入れてごしごしとこすったりしないでください。吸水処理ができない場合は、形を整え、カビが発生しないようにエタノールを噴射し、ポリ袋に入れて、冷凍庫に保存します。(エタノールを使用する際は換気に注意してください。)
家庭では、以上のような応急処置が可能ですが、素人でできる処置には限度があります。手に負えないと判断した場合は、早目に修復のプロに依頼しましょう。
電子化による保存のすすめ
貴重な歴史的資料である古文書は、これからも後の世に引き継いでいかなければなりません。しかし、紙ベースの資料は、保存の期間が長くなればなるほど、破損や劣化の可能性が高くなります。
そこでお勧めしたいのが、原本の紙の文書の保存と並行して、その古文書を電子化してデータとして残すという究極の保存方法です。以下に、電子化することで得られるメリットについて説明します。
原本を壊さずに済む
電子化する際に、非破壊スキャンで行えば、原本の古文書を裁断せずにそのままの形で残しながら、文書の電子化を実行することができます。電子化によって古文書をデータで残しておくと、その古文書が必要になった際に、原本ではなくデータを使うことができるようになるので、古文書をそれ以上傷めることがなくなります。
劣化を修正できる
電子化でデータにすると修正が可能になります。そのために、経年による黄ばみなどの劣化も画像修正によってきれいな文書に直すことができます。
共有が楽に
電子化すると、同時に複数の人がいろいろな場所でそのデータ(古文書)を閲覧することができるようになります。紙ベースの古文書は、取り扱いに気をつけながら閲覧しなければなりませんが、データ化すれば、そういったわずらわしさからも解放されます。
非破壊スキャナーを採用しているそのままスキャンの書籍電子化サービスは、戦国時代に作成された重要文化財の古文書(約400年前)を電子化したという実績を持っています。実は上の写真はその時のもの。しかも電子化だけでなく、書物に書かれている文字を白文化(レ点などのない漢文)する作業まで実施しました。電子化はもちろん、電子化の際に古い資料を出来るだけ傷つけたくない方に最適なサービスとなっています。同じお寺様の事例としては、蔵書およそ360冊を、こちらは電子化の上旧字→新字へ変換作業させていただいた浅草寺様もあります。
このように将来世代への保存もさることながら、古文書の中の情報を「現代で共有し、使える」ように加工することも電子化をする大きなメリットと言うことが出来ます。
古文書を未来に遺すための保存を
古文書は、どこに保存されていようと、どれも日本の大切な文化遺産です。その研究によって日本の知られざるエピソードが生まれる可能性もあります。ともすれば、見過ごされがちな古文書は、その研究者からしてみると宝の山です。それこそ世界にただ1つしか残っていない貴重な歴史的資料です。
そのように日本の歴史を知るうえで重要な古文書は、可能な限り破損や劣化を防いで後世へ引き継いでいかなければなりません。そのためにもこれを機に、電子化といった方法も含めて、保存の大切さを考えてみたいものです。