EPUB(イーパブ)という言葉を見たり聞いたことはありますか? 電子書籍を扱う仕事をしていたり電子書籍に興味がある方は、EPUBという言葉に聞き覚えがあるかもしれません。
電子書籍の標準として定着しているEPUBですが、実際に読みやすいデータを作成するには、本記事で紹介する専門的な知識や専用ソフトが必要になります。 紙の書籍を裁断せずにスキャンし、高品質な電子書籍データ(EPUB)を作成するサービスを提供する「株式会社誠勝」がEPUBの仕組みからメリット・デメリット、作成のポイントを詳しく解説します。
Table of Contents
EPUBとは
30秒でわかるEPUBの要点
EPUB(イーパブ)とは、世界中で採用されている電子書籍の標準ファイル形式です。
Webページのように「文字の大きさや行間」を自由に調整できるのが特徴で、スマートフォンのような小さな画面でも読みやすく、Amazon Kindleや楽天Koboなど主要な電子書籍ストアの「入稿データ」として推奨されています。
EPUBとは一体何なのでしょうか?ここではEPUBについて詳細に説明します。
電子書籍のフォーマット

EPUBは「Electronic PUBlication」の略で、電子書籍の1つのファイルフォーマットです。EPUBの特徴は特定のハードウェアでなければ読めないという依存性がないオープンフォーマットであるという点です。
EPUBの歴史と現在

EPUBが登場する前は独自仕様の電子書籍ファイルフォーマットが多く、固有のハードウェアが必要となるケースが大半でした。
固有のハードウェアに依存する電子書籍ファイルフォーマットは、そのハードウェアが販売されなくなった場合、使えなくなる可能性が高いというリスクを抱えていました。
その状況に危機感を抱いた国際電子出版フォーラム(IDPF)が、2007年9月にオープンフォーマットでハードウェアに依存しないファイルフォーマット規格であるEPUBを策定しました。
その後、2017年1月にIDPFはWeb技術の標準仕様を策定している団体「W3C(World Wide Web Consortium)」に統合され、EPUBはHTMLやCSSと同じ、国際的なWeb標準として管理されることになり、よりオープンかつ信頼性の高い規格となりました。
さらに2020年以降、EPUBは「ISO/IEC 23736」として国際標準規格に認定され、2023年には最新版であるEPUB 3.3がW3Cから正式勧告を受けました。
2025年以降の最新トレンド:アクセシビリティの義務化
2026年現在、EPUBは単なる「紙のデジタル化」から、新たなフェーズに突入しています。
大きな転換点となったのは、2025年に欧州で施行された「欧州アクセシビリティ法(EAA)」です。これにより、国際的な市場において「視覚障害者でも読めるか」「文字サイズ変更に対応しているか」といった品質基準(アクセシビリティ)への適合が法的義務となりました。
また、閲覧環境であるWebブラウザ技術の進化により、次世代画像フォーマット(WebP/AVIF)による軽量化や、目に優しいダークモードへの自動対応など、表現力と利便性も向上し続けています。
現在のEPUBは、「誰でも、どんな環境でも読めるユニバーサルな書籍」として、世界中でその品質が磨かれ続けています。
EPUBのファイル構造

少々専門的になりますが 、EPUBのファイル構造はWebサイト制作に使用されているHTML(XHTML)形式で情報内容が記載されています。それをパッケージ化し、ZIP形式で圧縮した後、ファイルの拡張子を.epubに変更したものがEPUBファイルです。
EPUBファイルを制作する際はテキストデータをEPUBファイルに変換する専用ソフトを使用するため、HTMLの知識等は必ずしも必要ではありません。
補足ですが、.epubファイルの拡張子を.zipに変更して圧縮解凍ソフトを使って解凍するとHTMLファイルとして記述されている中身を確認することができます。一般的にこのような使い方をすることはまずありませんが、雑学として覚えておくと面白いかもしれません。
【ご注意】
中身を見るために拡張子を「.zip」に変えて解凍することは可能ですが、逆にファイルをZIPで圧縮して名前を「.epub」に変えても、電子書籍としては機能しません。
EPUBデータを作るにはデータの並べ方に細かい決まりがあるため、必ず専用の作成ソフトを使用してください。
EPUBは専用のリーダーが端末にインストールされていれば読める

EPUBは最初にお伝えしたように特定のハードウェアに依存しない電子書籍ファイルフォーマットです。EPUBリーダーが端末にインストールされていれば、どの端末でもEPUBファイルを読み込むことができます。
EPUBリーダーは年々進化しており、2026年現在ではパソコン、スマートフォン、タブレットなど、あらゆるデバイスで快適にEPUBを読むことができます。
以下に、用途別のおすすめリーダーをご紹介します。
具体的にEPUBリーダー(汎用ビューアー)として有名なソフトと、それぞれの特徴・用途は以下の通りです。
-
Adobe Digital Editions(Windows/Mac)
【PC閲覧・図書館利用】
PCでの閲覧に特化したリーダーです。一般的な電子書籍ストアよりも、大学図書館や電子図書館サービスの閲覧ソフトとして採用されることが多く、DRM(著作権保護)付きのEPUBファイルを扱う際に標準的に利用されます。 -
Apple Books(iPhone/iPad/Mac)
【Apple製品ユーザー・手軽さ重視】
iOS/macOSに標準搭載されているため、インストール不要ですぐに使えます。iCloud経由で「しおり」や「メモ」が自動同期されるため、通勤中はiPhone、自宅ではiPadといった使い分けが非常にスムーズです。 -
Google Play ブックス(Android/iOS/Web)
【複数端末利用・クラウド管理】
最大の特徴は強力なクラウド機能です。自作のEPUBファイルをアップロードすれば、スマートフォン、タブレット、PCブラウザなど、OSを問わずどの端末からでも続きを読めます。特定の端末に縛られたくない方に最適です。 -
Kinoppy(Windows/Mac/Android/iOS)
【高機能・大量管理・学習用途】
紀伊國屋書店が提供する高機能アプリです。本棚の整理機能が非常に充実しているほか、マーカーやメモ機能も強力。資料としてじっくり読み込みたい場合や、大量の蔵書を細かくジャンル分けして管理したいヘビーユーザーにおすすめです。 -
honto(Windows/Mac/Android/iOS)
【紙の本と併用・国内書店派】
丸善・ジュンク堂などのリアル書店と連携したハイブリッド型書店アプリです。最大の特徴は、電子書籍だけでなく店舗で購入した「紙の本」も同じアプリ内の本棚でまとめて管理できる点。紙と電子を両方楽しむ読書家に最適です。
大手電子書籍ストア端末(Kindle/Kobo)の対応状況
「Kindleや楽天Koboは入らないの?」と疑問に思われたかもしれません。
上記の5つはファイルを直接開ける「汎用的なビューアー」ですが、KindleやKoboは基本的に「自社ストアで購入した本を読むための端末・アプリ」として設計されています。そのため、自分で用意したEPUBファイルを読むためには、汎用アプリとは異なる手順や挙動の理解が必要です。
特に日本国内で普及しているこれら2大プラットフォームにおけるEPUBの扱いは、以下の通り特殊な事情があるため注意が必要です。
| 端末名 | EPUB対応状況 | 詳細・利用方法 |
|---|---|---|
| Rakuten Kobo | 直接対応 | PCとUSB接続し、端末内のフォルダにEPUBファイルをコピーするだけで認識・閲覧が可能です。 |
| Amazon Kindle | 送信時に自動変換 | 端末はEPUBを直接開けませんが、「Send to Kindle」機能でEPUBファイルを送信すると、クラウド上でKindle形式に自動変換されて配信されます。 |
表の中で「直接対応」となっている楽天Koboですが、より快適に使うためには少し補足が必要です。
Koboは標準的なEPUBファイルをそのまま読み込むことができますが、Koboストアで公式に配信されている書籍データは「KEPUB(Kobo EPUB)」という独自の拡張形式が採用されています。
KEPUBは標準のEPUBをベースにしていますが、「高速なページめくり」や「読書時間の詳細な計測」、「画像の拡大機能」など、Kobo端末に特化した機能が追加されているのが特徴です。
【自作データを読む際のポイント】
自作のEPUBをKobo端末に入れる場合、そのままでも問題なく読めますが、KEPUB特有の快適な操作感(高速動作など)は反映されません。
より公式書籍に近い挙動で閲覧したい場合は、フリーソフト(Calibre等)を使用して、拡張子を「.kepub.epub」に変換してから転送するテクニックが愛好家の間で利用されています。
このように、端末によって「そのままコピーして読める」場合や「クラウド経由で変換される」場合など、扱われ方に違いはありますが、現在では専門的な変換ソフトを使わなくても、作成したEPUBファイルを主要な専用端末で楽しむことは十分可能になっています。
ご自身の持っている端末や、好みの読書スタイルに合わせて、最適な方法を選んでみてください。
EPUBのメリット
特定のハードウェアに依存しない電子書籍ファイルフォーマットである時点で十分使用する価値があるEPUBですが、メリットはそれだけではありません。
PDFとの決定的な違い:スマホ時代の「読みやすさ」

よく「電子書籍ならPDFでも良いのでは?」という質問をいただきますが、スマートフォンで読む場合、両者には決定的な違いがあります。
| 項目 | EPUB | |
|---|---|---|
| スマホ閲覧 | 画面幅に合わせて文字が自動で改行されるため、片手でスラスラ読める。 | 「紙」を縮小表示するため文字が小さく、都度拡大(ピンチアウト)と横スクロールが必要。 |
| 音声読み上げ | 文章の構造(見出しや本文)が明確なため、視覚障害者向けの読み上げ機能や、AIによる要約がスムーズに行える。 | 読み上げ順序が崩れたり、画像として認識されて読めない場合が多い。 |
ビジネス文書やマニュアルをPCの大画面で閲覧するならPDFも便利ですが、移動中にスマホで読書を楽しむ現代のスタイルには、圧倒的にEPUBが適しています。
AI時代におけるEPUBの可能性:コンテンツ資産としての価値

EPUBは単なる閲覧用のフォーマットではありません。テキストや構造が明確な「Web標準技術(HTML)」で作られているため、画像化されたPDFとは異なり、AI(人工知能)が最も解析しやすいデータ形式の一つです。
コンテンツホルダー(書籍や資料の保有者)にとって、EPUB化しておくことは「読む」以上の大きなビジネスメリットを生み出します。
- グローバル展開の加速(AI翻訳):
テキストデータが構造化されているため、レイアウト情報を保ったままAIで瞬時に多言語へ翻訳可能です。保有するコンテンツを低コストで世界市場へ展開する「越境EC」の資産として活用できます。 - メディアミックスの自動化:
正確なテキストデータを活EPUB(イーパブ)という言葉を見たり聞いたことはありますか? 電子書籍を扱う仕事をしていたり電子書籍に興味がある方は、EPUBという言葉に聞き覚えがあるかもしれません。
電子書籍の標準として定着しているEPUBですが、実際に読みやすいデータを作成するには、本記事で紹介する専門的な知識や専用ソフトが必要になります。 紙の書籍を裁断せずにスキャンし、高品質な電子書籍データ(EPUB)を作成するサービスを提供する「株式会社誠勝」がEPUBの仕組みからメリット・デメリット、作成のポイントを詳しく解説します。
EPUBとは
30秒でわかるEPUBの要点
EPUB(イーパブ)とは、世界中で採用されている電子書籍の標準ファイル形式です。
Webページのように「文字の大きさや行間」を自由に調整できるのが特徴で、スマートフォンのような小さな画面でも読みやすく、Amazon Kindleや楽天Koboなど主要な電子書籍ストアの「入稿データ」として推奨されています。EPUBとは一体何なのでしょうか?ここではEPUBについて詳細に説明します。
電子書籍のフォーマット

EPUBは「Electronic PUBlication」の略で、電子書籍の1つのファイルフォーマットです。EPUBの特徴は特定のハードウェアでなければ読めないという依存性がないオープンフォーマットであるという点です。
EPUBの歴史と現在

EPUBが登場する前は独自仕様の電子書籍ファイルフォーマットが多く、固有のハードウェアが必要となるケースが大半でした。
固有のハードウェアに依存する電子書籍ファイルフォーマットは、そのハードウェアが販売されなくなった場合、使えなくなる可能性が高いというリスクを抱えていました。
その状況に危機感を抱いた国際電子出版フォーラム(IDPF)が、2007年9月にオープンフォーマットでハードウェアに依存しないファイルフォーマット規格であるEPUBを策定しました。
その後、2017年1月にIDPFはWeb技術の標準仕様を策定している団体「W3C(World Wide Web Consortium)」に統合され、EPUBはHTMLやCSSと同じ、国際的なWeb標準として管理されることになり、よりオープンかつ信頼性の高い規格となりました。さらに2020年以降、EPUBは「ISO/IEC 23736」として国際標準規格に認定され、2023年には最新版であるEPUB 3.3がW3Cから正式勧告を受けました。
2025年以降の最新トレンド:アクセシビリティの義務化
2026年現在、EPUBは単なる「紙のデジタル化」から、新たなフェーズに突入しています。
大きな転換点となったのは、2025年に欧州で施行された「欧州アクセシビリティ法(EAA)」です。これにより、国際的な市場において「視覚障害者でも読めるか」「文字サイズ変更に対応しているか」といった品質基準(アクセシビリティ)への適合が法的義務となりました。また、閲覧環境であるWebブラウザ技術の進化により、次世代画像フォーマット(WebP/AVIF)による軽量化や、目に優しいダークモードへの自動対応など、表現力と利便性も向上し続けています。
現在のEPUBは、「誰でも、どんな環境でも読めるユニバーサルな書籍」として、世界中でその品質が磨かれ続けています。EPUBのファイル構造

少々専門的になりますが 、EPUBのファイル構造はWebサイト制作に使用されているHTML(XHTML)形式で情報内容が記載されています。それをパッケージ化し、ZIP形式で圧縮した後、ファイルの拡張子を.epubに変更したものがEPUBファイルです。
EPUBファイルを制作する際はテキストデータをEPUBファイルに変換する専用ソフトを使用するため、HTMLの知識等は必ずしも必要ではありません。
補足ですが、.epubファイルの拡張子を.zipに変更して圧縮解凍ソフトを使って解凍するとHTMLファイルとして記述されている中身を確認することができます。一般的にこのような使い方をすることはまずありませんが、雑学として覚えておくと面白いかもしれません。
【ご注意】
中身を見るために拡張子を「.zip」に変えて解凍することは可能ですが、逆にファイルをZIPで圧縮して名前を「.epub」に変えても、電子書籍としては機能しません。
EPUBデータを作るにはデータの並べ方に細かい決まりがあるため、必ず専用の作成ソフトを使用してください。EPUBは専用のリーダーが端末にインストールされていれば読める

EPUBは最初にお伝えしたように特定のハードウェアに依存しない電子書籍ファイルフォーマットです。EPUBリーダーが端末にインストールされていれば、どの端末でもEPUBファイルを読み込むことができます。
EPUBリーダーは年々進化しており、2026年現在ではパソコン、スマートフォン、タブレットなど、あらゆるデバイスで快適にEPUBを読むことができます。
以下に、用途別のおすすめリーダーをご紹介します。具体的にEPUBリーダー(汎用ビューアー)として有名なソフトと、それぞれの特徴・用途は以下の通りです。
-
Adobe Digital Editions(Windows/Mac)
【PC閲覧・図書館利用】
PCでの閲覧に特化したリーダーです。一般的な電子書籍ストアよりも、大学図書館や電子図書館サービスの閲覧ソフトとして採用されることが多く、DRM(著作権保護)付きのEPUBファイルを扱う際に標準的に利用されます。 -
Apple Books(iPhone/iPad/Mac)
【Apple製品ユーザー・手軽さ重視】
iOS/macOSに標準搭載されているため、インストール不要ですぐに使えます。iCloud経由で「しおり」や「メモ」が自動同期されるため、通勤中はiPhone、自宅ではiPadといった使い分けが非常にスムーズです。 -
Google Play ブックス(Android/iOS/Web)
【複数端末利用・クラウド管理】
最大の特徴は強力なクラウド機能です。自作のEPUBファイルをアップロードすれば、スマートフォン、タブレット、PCブラウザなど、OSを問わずどの端末からでも続きを読めます。特定の端末に縛られたくない方に最適です。 -
Kinoppy(Windows/Mac/Android/iOS)
【高機能・大量管理・学習用途】
紀伊國屋書店が提供する高機能アプリです。本棚の整理機能が非常に充実しているほか、マーカーやメモ機能も強力。資料としてじっくり読み込みたい場合や、大量の蔵書を細かくジャンル分けして管理したいヘビーユーザーにおすすめです。 -
honto(Windows/Mac/Android/iOS)
【紙の本と併用・国内書店派】
丸善・ジュンク堂などのリアル書店と連携したハイブリッド型書店アプリです。最大の特徴は、電子書籍だけでなく店舗で購入した「紙の本」も同じアプリ内の本棚でまとめて管理できる点。紙と電子を両方楽しむ読書家に最適です。
大手電子書籍ストア端末(Kindle/Kobo)の対応状況
「Kindleや楽天Koboは入らないの?」と疑問に思われたかもしれません。
上記の5つはファイルを直接開ける「汎用的なビューアー」ですが、KindleやKoboは基本的に「自社ストアで購入した本を読むための端末・アプリ」として設計されています。そのため、自分で用意したEPUBファイルを読むためには、汎用アプリとは異なる手順や挙動の理解が必要です。特に日本国内で普及しているこれら2大プラットフォームにおけるEPUBの扱いは、以下の通り特殊な事情があるため注意が必要です。
【表】Kindle・楽天KoboのEPUB対応状況 端末名 EPUB対応状況 詳細・利用方法 Rakuten Kobo 直接対応 PCとUSB接続し、端末内のフォルダにEPUBファイルをコピーするだけで認識・閲覧が可能です。 Amazon Kindle 送信時に自動変換 端末はEPUBを直接開けませんが、「Send to Kindle」機能でEPUBファイルを送信すると、クラウド上でKindle形式に自動変換されて配信されます。 表の中で「直接対応」となっている楽天Koboですが、より快適に使うためには少し補足が必要です。
Koboは標準的なEPUBファイルをそのまま読み込むことができますが、Koboストアで公式に配信されている書籍データは「KEPUB(Kobo EPUB)」という独自の拡張形式が採用されています。KEPUBは標準のEPUBをベースにしていますが、「高速なページめくり」や「読書時間の詳細な計測」、「画像の拡大機能」など、Kobo端末に特化した機能が追加されているのが特徴です。
【自作データを読む際のポイント】
自作のEPUBをKobo端末に入れる場合、そのままでも問題なく読めますが、KEPUB特有の快適な操作感(高速動作など)は反映されません。
より公式書籍に近い挙動で閲覧したい場合は、フリーソフト(Calibre等)を使用して、拡張子を「.kepub.epub」に変換してから転送するテクニックが愛好家の間で利用されています。このように、端末によって「そのままコピーして読める」場合や「クラウド経由で変換される」場合など、扱われ方に違いはありますが、現在では専門的な変換ソフトを使わなくても、作成したEPUBファイルを主要な専用端末で楽しむことは十分可能になっています。
ご自身の持っている端末や、好みの読書スタイルに合わせて、最適な方法を選んでみてください。EPUBのメリット
特定のハードウェアに依存しない電子書籍ファイルフォーマットである時点で十分使用する価値があるEPUBですが、メリットはそれだけではありません。
PDFとの決定的な違い:スマホ時代の「読みやすさ」

よく「電子書籍ならPDFでも良いのでは?」という質問をいただきますが、スマートフォンで読む場合、両者には決定的な違いがあります。
項目 EPUB PDF スマホ閲覧 画面幅に合わせて文字が自動で改行されるため、片手でスラスラ読める。 「紙」を縮小表示するため文字が小さく、都度拡大(ピンチアウト)と横スクロールが必要。 音声読み上げ 文章の構造(見出しや本文)が明確なため、視覚障害者向けの読み上げ機能や、AIによる要約がスムーズに行える。 読み上げ順序が崩れたり、画像として認識されて読めない場合が多い。 ビジネス文書やマニュアルをPCの大画面で閲覧するならPDFも便利ですが、移動中にスマホで読書を楽しむ現代のスタイルには、圧倒的にEPUBが適しています。
AI時代におけるEPUBの可能性:コンテンツ資産としての価値

EPUBは単なる閲覧用のフォーマットではありません。テキストや構造が明確な「Web標準技術(HTML)」で作られているため、画像化されたPDFとは異なり、AI(人工知能)が最も解析しやすいデータ形式の一つです。
コンテンツホルダー(書籍や資料の保有者)にとって、EPUB化しておくことは「読む」以上の大きなビジネスメリットを生み出します。
- グローバル展開の加速(AI翻訳):
テキストデータが構造化されているため、レイアウト情報を保ったままAIで瞬時に多言語へ翻訳可能です。保有するコンテンツを低コストで世界市場へ展開する「越境EC」の資産として活用できます。 - メディアミックスの自動化:
正確なテキストデータを活用し、AI音声合成による「オーディオブック化」や、AI要約による「プロモーション記事の生成」など、1つのEPUBから多角的なコンテンツ展開が容易に行えます。 - 社内ナレッジへの活用(RAG):
マニュアルや専門書をEPUB化すれば、生成AIの学習データや参照元(RAG)として正確に読み込ませることができます。検索性の高いデジタル資産として、永続的に活用可能です。
かつては「本にするため」の技術だったEPUBですが、AI時代においては「コンテンツの資産価値を最大化するためのマスターデータ」としての重要性が高まっています。
EPUBは今後読めなくなる可能性が無い

EPUBは現在のWebを構成しているHTMLをベースにしているため、HTMLが廃れない限り、読めなくなるということがありません。また、HTMLもWebを構成するフォーマットとして 画期的な代替手段が現れない限り廃れることはないでしょう。
つまり、今のところEPUBが読めなくなるという可能性は限りなくゼロに近いということです。W3Cによる標準化も進んでおり、長期的な保存フォーマットとしても推奨されています。
動画や音声を入れられる

電子書籍のフォーマットであるEPUBですが、驚くべきことに動画や音声も埋め込むことが可能です。読み上げ音声とテキストを同期させる「メディアオーバーレイ」という機能もあり、語学学習教材やアクセシビリティ対応書籍などで活用されています。
縦書き・日本市場への適応

EPUBが日本市場で急速に普及し、標準規格となった最大の理由は、日本の出版文化独特の繊細な表現を完全にサポートしている点にあります。
2010年代のEPUB3策定時に、縦書き(縦組み)、ルビ(ふりがな)、禁則処理といった日本語組版に必須の機能が正式仕様として盛り込まれました。これにより、小説や実用書が紙の書籍と変わらない美しいレイアウトで表示できるようになりました。
また、日本が世界に誇る「漫画(コミック)」の表現においても、EPUBは最適化されています。
見開きページをズレなく表示する機能や、右から左へ読み進める「右綴じ」の設定など、作品の意図を損なわずに電子化できる点が、日本の出版社や著者に支持され続けている理由です。【グローバルな言語対応について】
補足ですが、EPUBは英語や日本語だけでなく、台湾や香港で使われる「繁体字の縦書き」や、アラビア語やヘブライ語のような「右から左へ読む(RTL)」言語にも完全対応しています。
2026年現在の最新バージョン(EPUB 3.3)では、世界中のあらゆる文字やレイアウトが標準サポートされており、多くの言語で分け隔てなく電子書籍を作成できる点も、世界標準であるEPUBの大きな特徴です。レイアウトを細かく設定可能(リフローとフィックス)

EPUBはWebサイトのデザインを設定するCSS(カスケーディング・スタイル・シート)を利用することができるため、文字のフォント、大きさ、行間、余白などを細かくデザインすることが可能です。他にも画像を埋め込めるため、画像を多用する書籍、例えば数式を多く使う技術書なども電子書籍として作成することができます。
しかし、電子書籍を作る上で最も重要かつ、最初につまずきやすいのが、「リフロー型」と「フィックス型」という2つのレイアウト形式の選択です。
読者が本を読む端末は、スマートフォンのような小さな画面から、タブレットやパソコンのような大きな画面まで様々です。この「画面サイズの違い」に対して、本の中身をどのように表示させるかによって、選ぶべき形式が変わります。
それぞれの違いを正しく理解して、作りたい本に最適な形式を選びましょう。【表】リフロー型とフィックス型の違い 項目 リフロー(再流動)型 フィックス(固定レイアウト)型 仕組み 画面サイズに合わせて文字が自動的に流れる。
(水のように形を変える)1ページ全体が1枚の画像として固定される。
(絵画のように形が変わらない)メリット 文字サイズ変更が可能。
スマホでも拡大不要で読みやすい。著者の意図したデザイン・コマ割りを完全に再現できる。 向いている本 小説、ビジネス書、実用書、エッセイなど
(テキスト中心)漫画、雑誌、写真集、数式の多い技術書など
(ビジュアル中心)このように、文章中心なら「リフロー型」、画像中心なら「フィックス型」というように、コンテンツの特性に合わせて最適な表現方法を使い分けるのが、EPUB制作の基本となります。
EPUBで書籍を作成するとAmazonで出版できる

現在、Amazonの出版サービス「Kindle Direct Publishing (KDP)」では、入稿データの形式としてEPUB形式を最も推奨しています。
Wordファイルなどでも入稿は可能ですが、レイアウト崩れを防ぎ、プロフェッショナルな品質で出版するためには、EPUB形式で作成してアップロードするのが標準的な手法となっています。
EPUBのデメリットと課題
オープンフォーマットで国際化も進んでいるEPUBは、読み取る端末にとらわれない素晴らしい電子書籍ファイルフォーマットですが、制作上の注意点も存在します。
多言語対応は解決済みだが、検証は必要

【現在の状況】
かつては日本語特有の「縦書き」や「ルビ」の表示崩れが課題とされていましたが、現在は主要なリーダー(Kindle、Apple Books、Kinoppy等)での日本語表示性能はほぼ完成されており、実用上の問題はほとんど解消されています。ただし、リーダーアプリごとの細かな挙動(CSS解釈)の違いは依然として存在するため、制作したEPUBが「Kindleでどう見えるか」「iPhoneでどう見えるか」といった実機検証は変わらず重要です。
EPUB制作時の注意点

EPUBを使用して電子書籍を制作するときは、読者が読む端末のことを考慮しなければなりません。
特にリフロー型は読者が使用する端末の環境によって文字サイズや行間、1画面に表示される行数が異なってきます。制作者が意図しないところで文字が切れたり、意図通り読まれない可能性を考慮し、「どんな環境でも読みやすいシンプルな構造」を心がける必要があります。
ブラウザでの閲覧と普及
ブラウザでもEPUBが読める

現在、主要なブラウザ(Chrome, Edge, Safariなど)自体にはEPUBリーダー機能は標準搭載されていませんが、拡張機能(アドオン)を追加するか、ブラウザ上で動作する「Webリーダー」サービスを利用することで、アプリをインストールせずにEPUBを読むことが可能です。
また、図書館の電子書籍貸出サービスや、企業の研修資料配布システムなどでは、ブラウザビューアでのEPUB閲覧が一般的になっており、アプリ不要の手軽さが普及を後押ししています。
自作のコンテンツをEPUB化させたい場合
EPUBの普及により自作のコンテンツをEPUBとして電子書籍化したいというニーズも増えてきています。では、どうやって電子書籍化するのでしょうか。
EPUB制作に必要なソフト・サービス

一般的にEPUBで電子書籍を制作するために必要なソフトは以下になります。それぞれの特徴を表にまとめました。
【表】おすすめのEPUB制作ツール比較 ソフト名 価格 対応OS 特徴・おすすめユーザー 一太郎 有料 Windows 日本語の縦書き小説作成に定評あり。作家・執筆者向け。 Adobe InDesign 有料 Win / Mac プロ仕様の高度なレイアウトが可能。デザイナー・DTP向け。 でんでんコンバーター 無料 Web(ブラウザ) テキストをアップロードするだけで手軽に作成。初心者・個人作家向け。 Sigil 無料 Win / Mac EPUBの中身を直接編集できる高機能ソフト。中~上級者向け。 初めて電子書籍を作る場合は「でんでんコンバーター」のようなWebサービスや、ワープロソフトの「一太郎」「Pages(Mac)」のエクスポート機能を使うのが近道でしょう。
EPUBに関するよくある質問(FAQ)
Q. EPUBとは何ですか?
A. EPUBは、国際電子出版フォーラム(IDPF)が策定し、現在はW3C(World Wide Web Consortium)が管理する電子書籍の国際標準規格です。ファイル拡張子は「.epub」で、HTML/CSSをベースに作られています。Apple Books、楽天Kobo、Kinoppyなど世界中の主要な電子書籍ストアで採用されており、特定の端末やメーカーに依存しない「オープンフォーマット」である点が最大の特徴です。
Q. EPUBとPDFの違いは何ですか?
A. 最大の違いは「リフロー(自動改行)」への対応です。EPUBは画面サイズに合わせて文字が自動的に改行されるため、スマートフォンでも拡大操作なしで快適に読めます。一方、PDFは紙のレイアウトを固定して再現するため、小さな画面では文字が小さく表示され、拡大・スクロールが必要になります。移動中にスマホで読書するならEPUB、PCで図面やレイアウト重視の資料を見るならPDFが適しています。
Q. EPUBファイルはどこで読めますか?
A. スマートフォン、タブレット、パソコン、電子書籍専用端末など、ほぼすべてのデバイスで読むことができます。代表的な対応アプリには、Apple Books(iPhone/iPad/Mac)、楽天Koboアプリ、Kinoppy、Google Playブックス、calibre(PC)などがあります。また、ブラウザの拡張機能やWebリーダーサービスを使えば、アプリをインストールせずに読むことも可能です。
Q. KindleでEPUBは読めますか?
A. Kindle端末やKindleアプリは、直接EPUBファイルを開くことはできません。ただし、Amazon Kindle Direct Publishing(KDP)で電子書籍を出版する際は、EPUB形式での入稿が最も推奨されています。アップロード後、Amazon側で自動的にKindle形式(AZW3/KF8)に変換されます。個人でEPUBをKindleで読みたい場合は、calibreなどの変換ソフトでMOBI形式に変換する方法があります。
Q. EPUBは縦書き・ルビ(ふりがな)に対応していますか?
A. はい、EPUB3以降は縦書き、ルビ、禁則処理など日本語組版に完全対応しています。2010年代のEPUB3策定時に、日本の出版文化に必要な機能が正式仕様として盛り込まれました。小説や漫画の「右綴じ」表示、見開きページの正確な再現も可能で、紙の書籍と遜色ない美しいレイアウトを実現できます。現在の主要リーダー(Kindle、Apple Books、Kinoppy等)では日本語表示性能がほぼ完成されています。
Q. リフロー型とフィックス型の違いは何ですか?
A. リフロー型は画面サイズに合わせて文字が自動改行され、フィックス型は1ページが固定レイアウトで表示されます。小説・ビジネス書・実用書などテキスト中心のコンテンツにはリフロー型、漫画・雑誌・写真集・図版の多い技術書などビジュアル中心のコンテンツにはフィックス型が適しています。作りたい本の特性に合わせて選択することが、EPUB制作の基本です。
Q. EPUBの作り方は?必要なソフトは?
A. 初心者には「でんでんコンバーター」(無料・Webサービス)が最も手軽です。テキストファイルをアップロードするだけでEPUBを作成できます。縦書き小説を本格的に作りたい場合は「一太郎」、プロ仕様のレイアウトが必要なら「Adobe InDesign」、EPUBの中身を直接編集したい中上級者には「Sigil」(無料)がおすすめです。また、ChatGPTなどの生成AIを使えば、EPUB用のHTML/CSSコードを自動生成することも可能になっています。
Q. EPUBは将来も読めなくなりませんか?
A. EPUBが読めなくなる可能性は限りなくゼロに近いと言えます。EPUBはWebの基盤技術であるHTML/CSSをベースに作られており、インターネットが存続する限り廃れることはありません。また、W3Cによる国際標準化が進んでおり、2026年現在の最新バージョン(EPUB 3.3)では長期的なデジタルアーカイブ用途としても推奨されています。特定企業の独自フォーマットと異なり、オープン規格であることが長期保存の安心材料です。
EPUBのまとめ

オープンフォーマットであるEPUBの登場により、電子書籍は特定のハードウェアに依存することなく、様々な端末で利用できるようになりました。
EPUBはWeb標準技術(HTML/CSS)をベースに作られているため、将来にわたってデータが読めなくなるリスクが極めて低いフォーマットです。また、アクセシビリティ対応や縦書き対応など、時代のニーズに合わせて進化を続けています。
自作のコンテンツをEPUBにすれば、Amazon Kindleストアや楽天Koboなどで世界中に向けて自分の本を販売することも可能です。
電子書籍市場は拡大を続けており、紙の書籍の代替としてだけでなく、新しい表現の場として定着しています。EPUBについて正しく理解することは、デジタル出版の第一歩と言えるでしょう。
紙の原本からEPUBが作れるサービス

当サイトを運営する「そのままスキャン」では様々な非破壊スキャナーを所有しており、紙の原本を傷つけることなくEPUBデータ作成サービスを提供。最高精度99.96%の文字起こしでリフロー型も高品質に作成致します。
`事業内容スキーマ` `FAQスキーマ、HTMLを更新した際は必ず下記を本文と合わせる` `記事情報スキーマ更新した場合、dateModifiedの日付を手動で更新` -
Adobe Digital Editions(Windows/Mac)


