自炊代行って何?メリットや違法なケースまで紹介

自炊代行ってなに?

「最近自炊ってよく聞くけど、自炊ってどういう意味だろう」「自炊は自分でやるのと代行してもらうのとどっちのほうが良いのかな?」本記事は、このようなお悩みを持った方が対象となります。

自炊はここ数年で、良くも悪くもかなり話題になっています。紙の本を自炊して電子化し、スマホやリーダーで読めるようにする人が増えてきています。その一方で、自炊代行した結果著作権法違反だとして裁判になった例もありました。

本記事では、そんな今話題となっている自炊について纏めてみました。自炊代行業者に頼むことのメリット、問題点についても解説していきます。本記事を読めば、自炊に関することはおおよそ分かるような構成になっています。

自炊とは?

まずは「自炊」という言葉の意味について解説していきます。自炊が普及した理由や、具体的な自炊のやり方についても合わせて説明致します。自炊に関する基礎知識をまずは抑えていきましょう。

『自炊』ってどういう意味?

自炊の意味

そもそも自炊とは、どういう意味なのでしょうか?

自炊とは、本をデジタルデータに変換する行為のことも言います。デジタルデータに変換するために、書籍を裁断機で分解する行為も含めて自炊と呼ばれています

元々自炊という言葉はネットスラングであり、違う意味で使われていました。自炊とは、p2pソフトウェアで配布する目的で書籍を自分でスキャニングすることを指していたのです。スキャニングする際に、データを「自ら吸い込む」ということで、自炊と呼ばれるようになりました。

そこから転じて今では、本をスキャンすること自体を自炊と呼んでいます。

自炊が普及した背景

デバイス

自炊が普及した発端となる原因は、スマホやタブレットが普及してきたことでしょう。スマホを使ってどこでも気軽に、人々は本を読むようになりました。またAmazonや楽天など、各電子書籍サイト運営会社が次々と電子書籍リーダーを発表しました。

人々は電子書籍の利便性に、次第に気がつくようになっていきました。そのため、自らの手で手元の紙の書籍も電子書籍にして読みたいと考える人も増えてきたのです。

更には、自炊するときに必要なスキャナーも、安価で手に入るようになってきました。ソニーやシャープといった会社が家庭用のスキャナーで高性能なものを作り上げ、それらが普及してきました。

このような理由で、自分でスキャナーを使って書籍を電子化させる人が増えてきたのです。

電子化させると、本を気軽に持ち運べる他、屋外でも読むことができるようになります。更には紙の本と違って実物がないので、本棚を占領することもありません。本棚がいらなくなる分、部屋や押入れを広く使うことができます。更には電子化させると、書籍から情報を検索したり、本文のデータ化まですればエクセルに纏めて分析したり、といったことも簡単にできます

電子化させることには、このように数多くのメリットがあるのです。

電子書籍のメリットを知らない方からすると「なぜそんな手間とお金をかけてまで自炊するのか」と思うでしょう。しかし電子書籍の利便性は非常に高いため、そこまでしてでも自炊したい人が多いのです。

具体的な自炊の方法とは?

本のスキャン

自炊の具体的なやり方について説明します。自炊は自分で行う場合、以下の手順で行うことが多いです。なお、書籍や紙を綺麗にスキャニングする方法はこちらの記事にて詳細に解説していますので、宜しければ併せてご覧ください。

  1. 裁断機で本を裁断する(非破壊スキャナーを使う方法もあり)
  2. スキャナーを使ってページを読み込む
  3. データをリーダーに送る
  4. 裁断して本を処分する

まずは本を分断するための裁断機が必要になります。カッターナイフで分断することも可能ですが、裁断機を使った方が早くて便利でしょう。

なお「非破壊スキャナー」を使えば本を裁断せずとも読み込むことができます。非破壊スキャナーはページが歪んだ状態でも読み取れるため、スキャンしたいページを開くだけで良いのです。ただし非破壊スキャナーは通常の元と比べて、少し高いお値段となっています。

裁断したら、スキャナーを使ってページを読み込んでいきます。スキャナーの性能次第では綺麗に読み込めない場合もありますので、できるだけ高性能なものを使うのが望ましいでしょう。

その後は読み込んだデータを纏めてPCに保存したり、Kindleなどのリーダーに送ったりします。

バラバラにしてしまった本は、処分するのが普通です。ヤフーオークションで売る人もいますが、そこまで高くは売れないでしょう。

以上が自炊の基本的な流れです。一見すると自炊はそこまで大変ではなさそうに思えます。しかし何冊もスキャンしたいとなると、この作業を延々と続けなければいけないため、非常に根気がいります

自炊代行とは?

先程は、自炊のやり方についてご説明させて頂きました。自炊は自分で行うと、スキャナーも用意しなくてはいけないし手間もかかります。特に自炊したい本が少ない場合、わざわざスキャナーを購入するのか、悩ましいですよね。

そのため自炊を自分でやらずに業者に代行する人もいるのです。本項目では、「自炊代行」について説明していきます。

自炊代行ってどういうサービス?

書籍

自炊代行とは、自炊行為を業者にやってもらうことを言います。1冊あたり100円などといった料金形態になっていることが多いです。

代行業者は本を裁断してスキャンする所まで行ってくれます。裁断した本は業者の方で処分してもらえることが多いです。スキャンされたデータはそのまま送ってくれる他、USBやDVDといったメディア納品にも対応してくれます。

引っ越しの際や1人暮らしを始める方などは、自炊代行を利用して手元の本を電子化させる人が多いです。スキャナーなどの機材も必要なく全て業者任せで自炊できるため、大変お手軽ではあります。

自炊代行を利用するメリット

タブレットを持つ女性

自炊代行を利用するメリットには、以下のようなものがあります。

  • 自分で自炊する手間が省ける
  • スキャナーや裁断機を購入する必要がない
  • 業務用スキャナーでスキャンしてもらえる
  • OCR処理などオプションも使える
  • 本の処分もやってもらえる

自分で自炊する手間が省ける

やはり1番のメリットは、自分で自炊する手間が省けることでしょう。特に本の冊数が多い場合、自分で行うと時間がかなりかかってしまいます。実際自炊を行おうとして挫折する人は多いです。代行業者に頼むと、本を纏めて発送する手間しかかかりません

スキャナーや裁断機を購入する必要がない

自炊代行を利用すれば、スキャナーや裁断機も購入する必要がありません。家庭用のスキャナーは安いものでも4万円くらいはします。裁断機ですら2万5千円くらいが相場です。

100冊未満の本をスキャンするなら、自炊代行を使った方が安上がりになるでしょう。しかもスキャナーや裁断機は大きいため、購入すると邪魔になってしまいます。

業務用スキャナーでスキャンしてもらえる

また、自炊代行会社は高性能な業務用スキャナーを持っているため、綺麗に電子化ができます。自炊の際に、スキャナーの精度は非常に重要です。スキャナーの質が悪いと、黒ずんだり汚くなってしまうことが多いです。またスキャナーの読み取り速度が遅くて、時間がかかりすぎてしまうこともあるでしょう。

OCR処理などオプションも使える

更には、業者に頼むとOCR処理もしてもらえることが多いです。OCR処理とは、画像の文字などを読み取り、テキスト化することです。テキスト化させれば目当てのキーワードを検索することもできます。OCR処理は自分で行おうとすると、文字認識率が低かったりして、上手くいかないことも多いです。

OCR処理は高い解像度でスキャンしたり、コントラストを強調したり、色々テクニックが必要です。そのため、プロに任せた方が良いと言えるでしょう。

本の処分もやってもらえる

そして自炊代行会社は、本の処分も行ってくれます。バラバラになった本を自分で捨てる手間を省けます。電子化作業後の裁断済みの本は、流出することのないよう溶解処分されます。

自炊代行の注意点

自炊代行には数多くのメリットが存在しました。しかし自炊代行には、色々と問題点も存在することについても知っておいた方が良いでしょう。

この項目では自炊代行の注意点について、解説していきますね。

著作権の問題

裁判

実は、自炊を他社に依頼するのは、著作権侵害に当たる可能性があります。

数多くの自炊代行会社が存在しているのに「なぜ?」と思われるかもしれませんが、実際に裁判になった例もあります。2011年に小説家の浅田次郎さんや東野圭吾さんが、ある代行業者を著作権侵害として起訴しました。そして、裁判の結果自炊代行は違法であると認められ、賠償金70万円の支払いと複製の差し止めを命じられたのです。

自炊とは、本をパソコンでも読めるようにすること、すなわち本の複製にあたります。著作権法では、自分の本を自分で使用する目的で複製するのは、問題ないとされています。つまり自炊を自分で行うのは、違法ではありません。kindleなどに取り込んでも構わないのです。また、自炊した本を家族に読ませたりするのも合法になります。

ただし、自炊したものをネットにアップロードしたり、無断で売ったりすることはNGです。これと同じ理由で、自炊代行業者が本をスキャン=複製し、他人に売るという行為は、違法だということです。

また、自炊代行を依頼した個人も、権利侵害となる可能性もあります。共同で本を複製を行ったとみなされた場合は、一緒に罰せられます。

もちろん自炊代行を利用したからといって、絶対に逮捕されるという訳ではありません。しかし実際に裁判になった例もあることを考えると、自炊代行はリスクを伴う行為であると言えるでしょう。

なお作者から許諾を得ている自炊代行会社もあり、その場合は違法にはなりません。ただし許可を得ているのは、あくまで一部の作家からのみです。自炊代行の許可を出さない作家も大勢います。

本は必ず裁断しなくてはいけない

裁断シーン

自炊代行を利用すると、本を必ずと言っていいほど裁断しなくてはいけません。いくら本が手元に返ってこないとはいえ、本をバラバラにするのは罪悪感が伴う方も多いのではないでしょうか?

自炊代行業者は裁断前提であり、原本を保存することが難しいです。代行業者は破壊スキャナーを使い、非破壊スキャナーは使わないことが多いのです。

貴重な本であったり、思い入れの本であるなら、紙の本も残しておきたい場合もあるでしょう。特に社内資料などの場合は、万が一データが紛失したときのために、紙の資料も保管したいという希望が多いです。自炊代行業者はそういった希望には応えられないことが多いです。

古い書籍だと、電子化の際痛みがそのままになる

古い書籍

劣化したり痛みが激しかったりする書籍だと、電子化した場合黄ばみ痛みがそのままになってしまうことがあります。業務用スキャナーは性能は高いですが、古い書籍ですとなかなか綺麗にスキャンするのが難しい場合があります。

染みや汚れなどがあると、タブレットや電子書籍リーダーで表示した際に非常に汚いことになります。通常の電子書籍を読む場合と同じ環境で見た場合、どうしても相対的に見づらくなってしまうでしょう。

書籍を綺麗にスキャンするには、業務用スキャナーが高性能なだけでなく、担当者のスキルも必要になってきます。自炊代行業者の担当者全てが、高いスキルを持っているとは限りません

予約してから数ヶ月待たされることもある

待つ女性

前述した通り、自炊は現在注目を集めているため、自炊代行業者の所には数多くの依頼が来ています。そのため、業者によっては予約してから数ヶ月以上待たされることも少なくありません

書籍をすぐに電子化するのが困難である場合も多く、色々な業者を見て回らないといけなくなるかもしれません。結果的には、自分で自炊した方が早いケースもあるでしょう。

法人が自炊代行へ依頼する注意点(自炊代行との比較)

ここまで説明した通り、代行業者に自炊を依頼するのはデメリットも多く、特に著作権違法に関しては気になる所でした。

もしあなたが、他人の著作物である漫画や小説といったものではなく、社内発行物や書類といった企業内の資料や書籍を電子化したい場合は、自炊代行ではなくそのままスキャンのような「法人向けスキャンサービス」の業者へご依頼することをお勧めします

多くの場合、

  • 自炊代行=個人(コンシューマー)向け
  • スキャンサービス=法人(ビジネス)向け

のような形で、両者は様々な点で明確な違いがあり、個人が法人向けスキャンサービスへ依頼すること、逆に法人が自炊代行へ依頼することには様々なデメリットがあります

では、法人向けスキャンサービスと自炊代行は何が違うのでしょうか?

自炊代行との比較① スキャナー

非破壊スキャナー

自炊代行業者で使用するスキャナーはADFと呼ばれる自動スキャナーが中心です。これは原本の背表紙を裁断し、ページ単位でバラバラにして一気に自動スキャンするタイプのスキャナーです。

この方法は非常に安価かつ短期間で書籍の電子化が出来るため、多くの自炊代行業者で導入されています。しかし殆どのADFは最大A3までが対応可能サイズとなっているため、書籍以外にも書類程度であればスキャン出来るものの、A2以上の比較的大きな資料の電子化には対応していない上、裁断が大前提なので貴重書籍や劣化した書籍には向いていません

一方法人向けスキャンサービスでは、このADFに加え裁断しないで電子化出来るスキャナー(いわゆる非破壊スキャナー)や大判専用のスキャナー、名刺専用・・・と、資料に応じて様々なスキャナーを所有しています。これが個人を対象とした自炊代行との非常に大きな違いです。

通常、図面や貴重書籍を持っている個人は多くないので、自炊代行業者がわざわざこれら特殊な業務用スキャナーを購入するメリットは少ないのです。一方法人となると様々な資料を所有・保管していることも少なくないため、そうした団体は自炊代行ではなく法人向けサービスを使われるのが適切と言えます。

そのままスキャンでは、ADF、非破壊スキャナー、大判専用スキャナー、アートスキャナー、ポジ/ネガフィルム用スキャナーなどありとあらゆる資料に対応したスキャナーを10種類以上所有。設備だけでなく、それぞれの資料へのノウハウや取り扱いにおける豊富なナレッジも心得ており、様々な資料の電子化にお悩みの法人様に多数ご愛玩いただいてきました

⇨そのままスキャンの対応資料・スキャナーの一覧を見る

自炊代行との比較② 遵法性

先述したように、自炊代行では著作権法違反のケースも少なくありません。しかしここで業界の裏話をお話しすると、実は「違法と分かっていながら電子化の依頼を受ける」業者も存在し、要するに『バレなければ大丈夫』の姿勢で市販本の電子化代行を平然と行なっていることもあるのです。もちろん、こうした業者は自炊代行業者の中でもごく一部です。多くの自炊代行業者はHP上で「著作権について」の姿勢を明確に記載しているので、依頼する前にこのページをよく確認し、遵法姿勢を予め把握しておきましょう。

法人向けスキャンサービスの場合、著作権法が問題になることは多くありません。というのも、例えば私たちそのままスキャンでは10年以上に渡って企業や学校法人のお客様より書籍電子化のご依頼を承ってきましたが、多くが企業内で作成した社内報や記念誌、研究目的の資料でした。つまり著作権法上問題にならなかったり、著作権が依頼者ご本人に帰属していたりするケースが殆どなのです。

なお、そのままスキャンでも個人のお客様より電子化のお問い合わせを承ることが多々ありますが、著作権法に反するケースは全てお断りさせていただいております。

⇨【無料ダウンロード】法人実績5,000社のスキャンサービス「そのままスキャン」とは?

自炊代行との比較③ セキュリティ

「でも自炊代行の方が安いでしょ?依頼するのは弊社の社内報だし、法律上も問題ないよ」と思われる企業のご担当者様もいらっしゃるかも知れませんが、それでも注意いただきたいのがセキュリティです。

セキュリティのイメージ

具体的には、24時間体制の監視カメラ設置(及び録画)、関係者以外立ち入りが禁止されているオートロックシステム、プライバシーマークに代表される個人情報保護に関する認証取得などが挙げられます。そのままスキャン含め、多くの法人向けスキャンサービスでは当然に構築されていますし、その旨が必ずHP上で公開されています。

一方自炊代行業者では、HPにおけるセキュリティへの言及が殆どないことが特徴です。もちろん非公開というだけで実際には厳格な体制を敷いている可能性もありますが、特に法人様の場合、外注先のセキュリティ体制は必ず気になるところでしょう。その業者がどんなセキュリティへの配慮を行なっているのか、問い合わせる前に判断出来る材料があるかが選ぶ上で重要なポイントです。

⇨そのままスキャンを提供する(株)誠勝のセキュリティ体制はこちら

自炊代行との比較④ 実績

電子化のプロ

①〜③のまとめになりますが、法人(企業、団体、学校など)の電子化実績がどれだけあるかも大きな違いです。

自炊代行業者の実績は、主にご利用人数やスキャンページ数でPRされることが多い傾向にあります。一方法人向けスキャンサービスでは、HP上で実際に利用された企業のロゴ一覧、業者によってはその企業のインタビュー記事を掲載しているところも少なくありません。自炊代行業者でもインタビューや「お客様の声」を載せている会社さんもいらっしゃいますが、基本的には個人利用の方が中心です。

⇨【無料ダウンロード】法人実績5,000社のスキャンサービス「そのままスキャン」とは?

一括りに「スキャンサービス」と言うのは簡単ですが、自炊代行と法人向けスキャンサービスを比べるとこのような違いがあります。電子化作業の外注を検討中の方は、それが個人的な依頼なのか・企業としての依頼なのか、どんな資料をどれくらい依頼するのかを確認することをおすすめ致します。

慎重に比較して業者を選ぼう

オフィスのイメージ

いかがだったでしょうか。本記事では「自炊代行って何?」について解説させて頂きました。

自炊は自分で行うと、機材の購入も必要ですし手間がかかってしまいます。自炊は業者に代行してもらうこともできますが、著作権侵害の問題があったり、本を必ず裁断しなくてはならなかったりと、デメリットも多々あります。

もし社内資料でオフィスの本棚が圧迫されていたりするなら、そのままスキャンへ一度ご相談ください。社内資料を電子化させることには、数多くのメリットが存在します。

資料を会議室や出張先で閲覧することが容易になりますし、膨大な資料から情報を検索して探すこともできます。全て電子化して、皆さんの本棚や資料室をスッキリさせてみませんか?