電子ブックという言葉を耳にしたことはありますか?紙媒体のカタログやパンフレット、資料等を中心に電子化し、Web上で閲覧できるようになったファイル形式を電子ブックと呼びます。
電子ブックは、紙のカタログにはない特有の便利さがあります。本記事では、電子ブックの仕組みやメリットを中心に、カタログの電子化によく使用されるPDFと電子ブックの比較や弊社で用いている電子ブック作成ソフトActibookについて説明します。
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Table of Contents
電子ブックとは?
電子ブックには以下のように様々な呼び名があります。
- ebook
- 電子カタログ
- デジタルカタログ
- webカタログ
メディアや企業のWebサイトで呼ばれる名称が異なるだけで、性質は一緒です。この章では電子ブックの基本的な仕組みを説明します。
電子ブックの仕組み
電子ブックはパソコンやスマホ、タブレットで読むことができる、Web上で閲覧するカタログ。紙のカタログのようにペラペラとめくるアニメーションが入る点が特徴です。
電子ブックはパソコンやスマホ、タブレット等閲覧するデバイスによって最適なレイアウトに変更することが可能。2023年現在におけるWebサイトを思い出してください。同じWebサイトでもパソコンかスマホかでレイアウトが変わるものが大半のはずです。電子ブックは2023年現在のWebサイトのカタログ版と考えるとわかりやすいでしょう。
なぜ、電子ブックは閲覧するデバイスによってレイアウトが変わるWebサイトに似ているのでしょうか。実は電子ブックとWebサイトは同じ技術を使っているため、似ているのは当然なのです。
電子ブックもWebサイトもHTML5という技術をベースに作られています。HTML5で文章等コンテンツを書き、CSSと呼ばれるデザインを扱う技術でレイアウトを設定し、プログラミング言語であるJavaScriptを併用することでペラペラとめくるようなアニメーションを実現しています。電子ブックはWebサイトと作りが同じであるため、Web上で閲覧する形式なのです。
電子ブックは印刷物やデータを元に電子ブック制作ソフトを使用して作られます。作成した電子ブックはサーバーにアップすることによって、Web上で閲覧することができます。一般的にはサーバーにアップして利用する電子ブックですが、DVD等ローカルファイルに電子ブックを用意して閲覧することも可能です。
電子ブックという名称から顧客に対する広告物を連想しますが、社内用書類の電子化にも利用されています。機密性が高い社内資料等はローカルファイルを利用した方が安全かも知れませんね。
PDFとの違い
電子ブックはよくPDFと比較されます。「カタログであればPDFで良いのでは?」と感じる方もいるでしょう。
以下にPDFと比較した電子ブックの違いを列挙しました。順に説明していきます。
- 閲覧するデバイスに最適化される
- 閲覧する環境を選ばない
- データの一部だけを更新できる
- Webで利用されるリッチコンテンツを使用可能
閲覧するデバイスに最適化される
PDFは閲覧するデバイス問わず、レイアウトは1種類のみです。そのため、パソコンで閲覧していると時は問題なくても、スマホやタブレットで見た時は画面が小さすぎて拡大して見る必要が出てくる場面もあります。
一方、電子ブックは前の節で説明したように閲覧しているデバイスがパソコン、スマホ、タブレットのいずれかによってレイアウトを最適化します。スマホで閲覧している時は、スマホに最適化したレイアウトで表示されるため、拡大や縮小する必要はありません。PDF化されたカタログより見やすいため、ユーザーに優しいカタログとして作成することができます。
閲覧する環境を選ばない
PDFを閲覧するには、パソコンであればAdobe Acrobat ReaderなどPDFを表示するためのソフトをインストールする必要があります。スマホやタブレットでもPDFを読み込めるアプリが必要です。PDFを閲覧するには、専用ソフトのインストールという手間がかかってしまいます。
電子ブックに専用ソフトは必要ありません。Web上で表示するため、ブラウザさえあれば閲覧することが可能です。ブラウザはどんなパソコンやスマホ、タブレットでも最初からインストールされています。電子ブックを閲覧したい場合は、電子ブックを配置してあるサーバーのURLへアクセスするだけでOKです。
データの一部だけを更新できる
PDFの場合、データの一部を更新する場合は元データを修正して保存した後、再度PDFとして書き出す必要があります。つまり、PDFだと更新する度に新しいバージョンを作成する必要が発生します。
例えば自社のWebサイトにPDF化したカタログを設置して、顧客にアクセスして読んでもらう場合、新しいバージョンのPDFを再度設置する手間が発生します。
電子ブックの場合は、データを一部更新したら作業は完了です。新しいバージョンとして書き出す必要がないため、更新作業の手間もかからず、短時間のメンテナンスで済みます。
例えば自社のWebサイトに電子ブックを設置して、顧客にアクセスして読んでもらう場合、更新した内容が更新前の電子ブックを配置していたURLにそのまま反映されます。
Webで利用されるリッチコンテンツを使用可能
PDFは、表示出来る媒体が基本的に文字か絵のみです。一応、動画も加えることはできますが、ファイル容量の肥大化等考慮しなければならない要素が増えるため、あまり一般的ではないでしょう。
電子ブックでは、Webサイトで使用されるリンクやページめくりをはじめとするアクション、YouTube動画やGoogleマップを埋め込むといったリッチコンテンツを使用可能。PDFで作るカタログと比べて、動的で使いやすく、華やかなカタログを作ることができます。
EPUBとの違い
EPUBは主に書籍の電子化に広く使われるフォーマット。電子ブックと同様にHTMLをベースに作られています。リフロー型と呼ばれるレイアウトでは、電子ブックのように閲覧するデバイスに最適化した見やすいデザインへ自動的に変更してくれるなど、ユーザーが電子書籍を読む上で使いやすい性質を持っています。
以下にEPUBと比較した電子ブックの違いを列挙しました。順に説明していきます。
- Webで利用されるリッチコンテンツを使用可能
- 閲覧ソフトのインストールが不要
- データの一部だけを更新できる
- 用途が異なる
- ファイルを置く場所が異なる
Webで利用されるリッチコンテンツを使用可能
この2点についてはPDFと同様、EPUBでは実現できません。EPUBでデータを更新したい場合は元データを更新した後、再度EPUBとして出力する必要があります。
閲覧ソフトのインストールが不要
EPUBを閲覧するには専用のEPUBリーダーソフトが必要です。EPUBリーダーはパソコン用ソフトの他にスマホ・タブレット用のアプリが多くリリースされています。2019年現在ではマイクロソフトのEdgeなど一部のブラウザにEPUBリーダーが搭載されるようになり、ブラウザからEPUBを閲覧することも可能です。
PDFの節でも説明しましたが、電子ブックに専用のソフトをインストールする必要はありません。ブラウザからWebサイトを閲覧する時と同じく指定のURLにアクセスするだけで見ることができます。
用途が異なる
EPUBと電子ブックでは使用される場面が異なります。EPUBは電子書籍のフォーマットであるため、デジタル資料として書籍を扱いたい時や保管目的で利用されます。
一方、電子ブックはカタログの名前がつく通り、顧客に自社の商品をアピールする時等、営業目的で使用されるケースが大半です。
ファイルを置く場所が異なる
EPUBを閲覧する時は、読み込むEPUBファイルをEPUBリーダーがインストールされているデバイスの中に入れておく必要があります。
電子ブックの場合は、ブラウザから電子ブックが置いてあるURLにアクセスするため、電子ブックはサーバーに置かれている必要があります。そのため、EPUBと異なり、デバイスの中に電子ブックのファイルを置く必要はありません。
なお、EPUBについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
電子ブックの作成方法は?
ここまで、電子ブックにはただの電子書籍に留まらない、様々なメリットが沢山あることが分かりました。では、電子ブックはどのように作れば良いのでしょうか?
電子ブックはPDFのようにPCに標準搭載されている訳ではなく、専用の作成ソフトを使う必要があります。その上で電子ブックを作る方法は大きく2つです。
電子ブック作成ソフトを導入する
電子ブックは一見多機能なため難しそうに見えますが、お手元にPDFなど冊子のデータがあれば、専用ソフトを使うことで簡単に自作することが出来ます。
電子ブックにはいくつかソフトがありますが、中でも10,000社以上で導入されているクラウドサーカス社の「アクティブック」が特にポピュラー。このソフトについては記事の後半で紹介します。
電子ブック作成「代行」に依頼する
もう一つの方法として、電子ブックの作成を丸ごと代行してくれるサービスへ依頼する方法があります。
電子ブックの作成ソフトは基本的に月額制です。しかしスポット的に利用したい、少しだけ作りたいので割に合わないというケースも十分あるはずです。作成代行サービスではPDFを送れば電子ブックのを1冊単位で作成してくれるので、自社での導入や自前で作成することが難しい方に最適と言えます。
基本的にはページ単位での料金設定なので、必要な時、必要な分だけ支払えば良いのは嬉しいですね。
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電子ブックが使用される場面
前章では電子ブックの基本的な情報を説明しました。では、電子ブックはどういった場面で使用されるのでしょうか?
電子ブックが使用される媒体
電子ブックは主に企業のパンフレットや製品カタログ、ホワイトペーパーや広報誌等の資料が中心。顧客の元へ届ける必要のあるものが電子ブックとして取り扱われます。
ただし必ずしも販促物ばかりとは限らず、一部では会員向けに公開する会報誌や書籍などのWebコンテンツとしての活用も徐々に増えています。例えばそのままスキャンで電子ブック化を承っている株式会社絵本ナビ様は、自社の情報サイトに掲載する絵本を「コンテンツとして」電子ブック化し公開しています。
このように、販促物としての使い勝手もさることながら純粋なWebサイトのページとしても使われるなど、様々な活用の可能性を持っているのが電子ブックなのです。
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電子ブックのメリット
電子ブックには、紙のカタログでは実現できない多くのメリットが存在します。
見込み客の開拓に貢献
紙のカタログは郵送や手渡し等、制限された範囲内でしか配布することができません。ですが、電子ブックは自社のWebサイト等からオンラインで公開可能。紙のカタログと比べて、多くの人に見てもらえる可能性があります。
多数の人にカタログを閲覧して貰えれば、それだけ自社の商品に興味を持つ見込み客を開拓できます。
印刷コストの削減
電子ブックは紙のカタログと異なり、印刷する必要がありません。電子ブックを採用することで、印刷コストを大幅に削減することができます。
また、印刷コストを削減することによって、環境活動へ取り組んでいることをCSR報告書等から社会へアピールすることが可能です。
顧客に届くまでに時間がかからない
紙のカタログだと、顧客が注文してから届くまでに時間がかかりますが、電子ブックだと顧客が見たいタイミングですぐに閲覧可能。顧客のニーズが冷めないうちに情報を提供できるため、見込み客の獲得につながります。
一括管理できる
複数の紙のカタログがあるとかさばってしまい、管理コストがかかってしまいますが、電子ブックでは複数のカタログを一括管理できるため、コストがかかりません。
また、電子ブックのデータを更新すれば、全ての顧客や社員が最新のカタログを閲覧することが可能になります。最新版を閲覧している人と旧版を閲覧している人に分かれる、といった状態を回避できます。
営業社員の負担を軽減
営業社員は営業先に行く時に重いカタログを複数持つ必要がなくなります。代わりにカタログ閲覧用のタブレットやパソコンだけ持ち出せば良いため、営業社員の負担軽減が可能。
営業先でカタログを見せる時も目当てのカタログをカバンの中から探す必要がなくなるため、スムーズに営業活動を行えます。
電子ブックのデメリット
以上のようにとてもメリットの多い電子ブックですが、注意しなければならない点もあります。
タブレット等デバイスがないと閲覧できない
パソコンやスマホ、タブレット等Webに接続できるデバイスがないと電子ブックを閲覧できない点がネックになります。また、電子機器類に疎い人の割合が多い高齢者層に訴える内容は、電子ブックに向かないでしょう。
流通費用の代わりに広告費用が
電子ブックは紙のカタログと異なり、顧客や書店に届けるための流通費用がかかりません。一方で、多くの人の目に触れるには広告活動を行う必要があるため、広告費用が発生します。
PDFと比べた時の優位性
カタログをPDFで出力すれば、データのカタログとして使用可能です。しかし、電子ブックはPDFで出力したカタログと比べて優れた面がいくつも存在します。
表示速度が速い
Web用に特化してあるため、開く速度がPDFと比べて高速。電子ブック制作サービスEBOOK5では、電子ブックは開くまで3秒なのに対し、PDFでは10秒かかり、差は3倍になると発表しています。
Webサイトのコンテンツは、表示速度が遅いほどユーザーが途中で去る傾向があるため、電子ブックの表示速度は見込み客を逃さず掴むことができる力を持っていると言えるでしょう。
アクセス解析ができる
PDFではクリック数程度しか顧客がアクセスした形跡を解析できません。電子ブックはWeb上で閲覧するコンテンツであるため、Webサイトと同様にアクセス解析を利用することができます。
具体的には下記の項目等です(一部抜粋)。
- ユーザー数・セッション数
- ページビュー数
- 平均滞在時間
- 離脱率
- 参照元
- ヒートマップ
アクセス解析を利用することによって、顧客が何を望んでいるのか、何に対して強い興味を示すのかがわかるため、マーケティングの強化につながります。
特にヒートマップは、電子ブックを閲覧した顧客がどの部分をクリックやタップ、拡大縮小等行動を起こしたのかサーモグラフィーのようにわかりやすく表現してくれるため、電子ブックのコンテンツ強化等バージョンアップに貢献します。
電子ブック作成ソフト「アクティブック」
そのままスキャンでは電子ブック作成ソフトアクティブックを使用しています。アクティブックは10,000社の導入実績を持つソフトであり、冊子印刷物の体裁を維持したまま、HTML5やiOS、Androidに対応した電子ブックデータを一度の操作で制作可能。弊社のそのままスキャンと連携して本を裁断せずに電子ブック化できます。
アクティブックでは、Webサイトやスマホ、タブレットで閲覧・利用されたログ情報を解析でき、顧客動向を掴むことによって、問い合わせや閲覧率の向上を目的にしたコンテンツ強化に利用することが可能です。
電子ブックはブラウザで閲覧することがメインですが、アクティブックには専用のパソコン用ビューア、iOSアプリ、Androidアプリが用意されています。アプリを使用することで、ペンツールで情報を書き込む、本棚機能で複数の電子ブックを簡単に管理できるといった機能を簡単に利用可能です。
私たちそのままスキャンでは、このアクティブック作成を原本のスキャニングから承っております。電子ブックにするためのPDF化からOCR処理、電子ブックへの変換作業、ブラウザ上での動作確認まで全てワンストップで対応。電子ブックを作りたいけど元データが無い・大量・定期的に電子ブックを作りたい方はお気軽にご相談ください。
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電子ブックでビジネスを広げよう
電子ブックはHTML5を使用しているため、2023年現在のWebサイトを形作っているHTMLが廃れることがない限り、電子ブックも廃れることはないでしょう。
Web上で閲覧できる電子ブックは非常に利便性が高く、見るデバイスによってレイアウトが変わる点もユーザーのことを考えられた作りになっており、とても便利です。また、Webで使えるリッチコンテンツが使用できる点も見逃せません。
マーケティングに使用できる電子ブックは、商品を販売する会社にとって便利な存在です。見込み客の開拓から、アクセス解析を通してコンテンツの強化を図ることは売上を向上させるためにも重要なポイントになります。
肝心の作成方法ですが、これはスポット的に作りたいだけなのか、定期的な更新が想定されるのかに応じて検討することをお勧めします。いずれの方法でも代行サービスがありますので、リソースが限られている・社内での作成に自信がないという方は外注することも良いでしょう。